「分け入っても分け入っても…」

金曜朝は5:30から本業。大学も試験期間に入り、今日は3名のみが練習。着いたときにはもうすでに一人は水の上だった。骨盤の動きでリズムが作れると大きな力が持続するのか、大きな力を出し続けようとするから骨盤が良く動くようになるのか。見極めの難しいところだ。練習後に、なぜか、私の学生時代の教職課程にまつわる話に。先日のFTCと同じようなことを話す。彼女たちも年度が変われば4年生だものなぁ。
帰宅時の数十分で昨日買ってきた本を読了。

  • 影浦峡著『子どもと話す 言葉ってなに?』(現代企画室、2006年)

面白い本ではあったが、「子どもと話す」というコンセプトは読者として誰を想定しているのだろう?小学校英語に批判的な人は、この書の内容を引用したりするのだろうか?著者はウェブサイトやブログもやっているとのこと。読んでみたい人はメールを下されば、お譲りします。
帰宅後、横になりながら、もう一冊。

  • 外山滋比古著『中年記』(みすず書房、2007年)

高校生の頃あれだけ嫌っていたのに、今読むと、もの凄く面白いのが外山氏。『少年記』(展望社)は、英語に関わりそうなところだけ立ち読みで済ませてしまったが、これはちゃんと購入し一気呵成に読み切った。これはとりあえず保存。
近所の蕎麦屋で昼食をとり、その後書店へ足を運ぶ。加島祥造の「タオ」もの新刊、とか鶴見和子の追悼と思しき単行本など、食指が動くものは多々あれど、次の本だけ。

  • 内田樹著『下流志向:学ばない子どもたち 働かない若者たち』(講談社、2007年)

内田氏のブログ読者にとっては基本線は承知済みの論考だろう。もともとは経営者向けの講演とのこと。引用し出すと切りがないのでしません。(内田ファンがあちこちで引用するでしょう)第4章の質疑応答がこの本(講演)ならではの内容。5時間の講演をまとめたものを約1時間で読了できるのだから読書は効率が良い。
数研出版のサイトで竹岡氏が入試の英作文出題に関して問題点を論じているのを読む。確かに和文英訳の出題には問題が多いので指摘はしやすい。私が言ってもダメだろうが、この人が言えば世間でも進学校の英語教師の間でも反響が大きいだろうから頑張って欲しい。早く「自由英作文」などという特別な技能ではなく、英語で書くものは須く普通に「ライティング」として指導法を語れる日がこないものか。竹岡氏も筆記試験における発音問題と聴覚障害者の問題とか、この英作文の話は結構真っ当で説得力があるのに、なぜ、『AERA English』の語源とか語根の話はあんなに恣意的でいい加減だったのだろう?取材側の問題か?
渡辺照宏著『外国語の学び方』(岩波新書、1962年)に、次のような記述がある。このような姿勢に触発されたのだろうか。

  • 長くて覚えにくい単語はたいてい語源でかたづけると楽に覚えられます。専門的にやると語源学はたいへんですが、連想を助けるという軽い気持ちでけっこうです。少し大きな辞書ならば英和にもたいてい語源の説明が出ています。/連想を助けるのが目的ならば、コジツケでもかまいません。kindergarten「幼稚園」はもともとドイツ語で「子どもたちの園」という意味ですが、英語のkindに連想して「親切な庭」と覚えてもさしつかえはありません。/これをさらに押しすすめるとダジャレも応用して効果があります。(以下略)(pp.80 - 81、「語源について」)

語源・語根に関する私のスタンスは、

  • 清水かつぞー著『英単語ピーナツほどおいしいものはない 銅メダルコース』(南雲堂)

の「英単語つれづれ草 7」(pp.172 - 173) とだいたい同じである。気になる方は、学校に届いている採用見本か、書店で立ち読みを!
この「P単」が南雲堂から出たばかりの頃、自分が担当している学年の責任者を説得し(=有無を言わさず)一括採用させたことがあった。当時としてはまだ一括採用は少なかったようで、すぐさま出版社編集部経由で著者の清水氏から熱いお便りが届いたのを覚えている。その後、当時私が毎年作っていた市販の英語参考書・問題集のミシュランガイドもどきをお送りしたことが契機で、お互いに英語の参考書のあるべき姿を論じあったことも懐かしい。「コロケーションの利用でも丸暗記であることにはかわりない」とか「意味と形との両方に注意が向けられて定着の効率が悪い」とか、否定的な向きもあるのだが、この「P単」の最大の特長はAmazonのカスタマーレビューでも書いたが「学習者が既に持っている日本語の連語に対して、英語のコロケーションを関連づけ覚えることが可能である」という点。この点で、現在市販されている数多の単語集と異なるだろう。(例外は晴山陽一氏の著作か)
話が逸れたが、語源というか語の成り立ち=語形成、に関しては、新書レベルでは多くの書籍が出版されているが、本当に学習者の視点で書かれているか疑問が残る。教師が学ぶのであれば、やはり語学的基盤が確かなものがいいのではないか。最近の学術書では、

  • 西川盛雄著『英語接辞研究』(開拓社、2006年)

が接頭辞・接尾辞をきちんと分析整理している。現代的な用例に支えられた好著である。私のin-, non-, un-, -less に対する疑問のかなりの部分はこの本で解消した。
明日朝も5:30から本業。
本日のBGM: The Observation (Donovan)