「忘れることを恐れるな」

  • 『CDムックNHK英語講座公式ガイド2007:英語力測定テスト付き!』(NHK出版)

がいよいよ発売となります(2月18日に店頭に並ぶとのこと)。2007年4月からの各講座の紹介と受講講座の目安となるテストで構成されています。リスニング&解説CD付きで500円はリーズナブルでしょう。
新年度のテスト作成者は、文法問題:久保野雅史(筑波大附属駒場中学高校)、会話・表現問題:阿野幸一(茨城大学)、そしてリスニング問題が私という現場重視の人選となっております。中学高校の生徒さんに是非オススメ下さい。英語(教育)関係者の方は作問・解説に関するご意見・ご批判をお願いいたします。テストのデータ入力は2月18日以降となります。
今朝は5:30から本業。雨もなんとか上がってくれた。久々に、一人でコーチング。テスト期間で練習量が足りていないために、パフォーマンス低調な者多し。気合いを入れたので疲れた。いったん帰宅し、午後から再度トライアルに合流。KO大も地方合宿から戻ってきたりとコースは過密気味。細波に影響され全体的にスピードを拾い切れていない。暗くなり、空いてきてやっと本来の動きに。まだまだだなぁ。一昨年の主将が本社研修で戻ってきていて、後輩の練習を見てくれていた。有り難いことだ。
先日いただいた若林先生の講演で、千野栄一氏の話題が出て来た。言語学者。以前の同僚に大学の先輩がいたのだが、千野先生の授業を酷評していたのが不思議でならなかった。言葉のセンスとユーモアのセンスの両方がない人だったのだろう。軽妙洒脱なエッセイも特筆すべきだが、『外国語上達法』(岩波新書、1986年)は今や古典的名著だと思う。誤解を恐れず言わせてもらえば、(小)中高大と英語大好き!でそのまま英語教師になったような人は一度読むべきだろう。この本全体を貫いているのが、外国語上達には「語/文法」がこの順に重要であり、「教科書/教師/辞書」は良いものを持つべし、という哲学である。この哲学には大いに影響を受けた。

  • 役立たせる目的がなく、外国語を学ぶことを目的にしている人は悲劇である。/ところで、外国語そのものを目的としている人を仮に「目的派」と呼ぶことにする。目的派には、言語学を学んでいる人のように「目的利用派」と、ただ外国語を学ぶことが目的の「目的そのもの派」の人がいる。全体から見ると目的利用派はごく少数の人であり、目的そのもの派はそれよりずっと多い。この派の人はやがて目的利用派なり後述する「手段派」に転ずることは可能だが、その存在自体にレーゾンデートルがなく、語学習得に失敗する可能性が高いグループである。(p. 204)

などということが、書いてある「語学入門書」って今の時代では商品に成り得ないのではないか?
他に今でも覚えているのは、

  • 語学の習得で決して忘れてはいけない一つの忠告は「忘れることを恐れるな」ということである。(p. 9)

という一言。
大学では、千野先生、西江先生、宮岡先生、吉沢先生など英語以外にも「ことば」の先生に恵まれたと思う。皆、奥が深いというか、得体が知れないというか、知の畏れを感じさせてくれる人だったと思う。もっと学んでおくべきだった。
来月は慌ただしくて、個々に触れられないと思うので以下、防備録代わりに。

  • 2002年3月2日 若林俊輔氏没
  • 2002年3月17日 山家保氏没
  • 2002年3月19日 千野栄一氏没

本日のBGM: All Because of You Guys (TULIP)
本日の晩酌:杉勇・特別純米・生もと辛口+12原酒/燗