”Their hearts were full of spring”

Zenconundrumさんのブログに、「fallの形容詞形は?」という記事があった。季節を表す名詞の由来と(派生?)形容詞は興味深い。
“fall” という語自体が、”fall of the leaf” 由来だからそれ自体からは派生せず、という説明で納得するならそこまで。ただし、綴りや音から無理にこじつければ、それこそfallaciousということになろうかと。
以前、倫太郎さんとspringという語に関してやりとりをしたのですが、その時に辞書でspring, summer, fall, winterという名詞を形容詞として使う場合の「品詞」の扱いが、各辞書でどうなっているかを調べたことがあります。
このうち、summerとwinterは完全に形容詞として定着しているのではないかという印象です。springやfallは辞書によっては、名詞のエントリーの中に、「形容詞的に」とか「限定的に」という扱いかも知れません。
summerには対応するsummery「夏らしい」という派生形容詞が、winterにはwintry「冬のような;寒い」という派生形容詞があり、独自の意味を担っています。それに対して、springにはspringyという派生形容詞があるものの「バネバネした;泉泉した」というフィーリングの意味しかないようです。
autumnはもともとautumnalという形容詞(「秋に実りをつける」などの意)を持っていますが、それでも、現代英語では、autumnを形容詞として使うことが多い印象です。
「春」関連では、vernal, 「夏」関連では、「熱」の連想からか、aestival [estival]、「冬」関連では、hibernalという形容詞がありますが、「秋」には、それらしい意味で対応する形容詞が autumnal以外にないのでしょうか。
四季を表す語それぞれの語源に関しては、

  • 中島文雄主幹『中学英語事典 ―語法から指導法まで』(三省堂、1966年;これは当時の中学校教科書『クラウン』のTM的な位置づけを持った千ページ弱の事典です。)

で、松浪有氏が簡潔かつ明確に解説しています(pp.74-75)。OEもMEも知らないことだらけなので、「効率」を考えると流行らない勉強の仕方ですが、表面だけを見て、「蘊蓄」と片づけるのは感心しません。このような、語の全体像を掴まえるのに、派生語との行きつ戻りつを活用できるようになって、高校段階の学習は終了でしょう。昔の『岩波英和辞典』(私の手元にあるのは、田中菊雄氏が中心となって編まれた1958年の新版です。)のように、歴史的な語義の配列を持つ辞書の持ち味はこういうところにあるのだと思います。

気になる入試問題、というほどではないが、日本語を与えての整序作文が、対応する和文のない整序作文よりも手間がかかるという一例を、立命館大・A方式・2月2日試験より。

  • 大学の授業は高校で経験したものよりもっと難しいです。
  • The classes in university are (more challenging than those I experienced in) high school.

とかっこの中の7つの語を並べ替える出題。日本語の「もっと」を比較級を強調するものと考えてしまうと、英語だけ見ていればかけなくて済む時間を取られてしまう。「接触節」に気がつけば瞬殺のはずの問題(ですよね?写し間違いがあれば指摘して下さい)。センター試験の整序問題には、対応する和文がないのだが、ある意味良心的なのかも知れない。
さて、
某O社の受験雑誌に、予備校講師の解説する英語の講座が連載されています。今年度は昨年度と講師が代わり安堵したのも束の間、中身を見たら杜撰な執筆で、編集部に電話で内容の問い合わせ。以前、他の出版社に教材に関して問い合わせた際に極めて不快な対応をされたのですが、こちらは誠意の見られる対応でした。(私が入試問題正解の解答解説を書いていた頃はすでに15年ほど前なので、この編集部にも私を知っている人はいないでしょうから。)
執筆した本人であろうと思われる名前の出ている講師も、「資料を用意した編集部の単純なミス」で済ませてはいけません。その誤植を前提として、英語の語法や整序作文の解法の解説をしているのだから。2008年のセンター試験の整序問題ですから誰にでも確認できるだけでなく、英語としても誰が見てもすぐに誤りだと気づくレベルのミスです。編集側は来月号に間に合うように訂正したいとのことでしたから、5月号の発売される4月中旬まではこの連載をやる意味がなくなってしまいます。今や、メディアミックスの時代なのだから、雑誌の誤植(というより解説そのもの)の訂正もweb上で行えば速いし、方々に迷惑をかけないと思うのですけれど…。
教員・保護者に拘わらず、大学受験生・高校生をお持ちの方でこの雑誌を読ませている場合にはくれぐれもご注意を。
年度末の提出書類を一通り済ませて帰宅。
途中で、商店街に寄って中古CDを物色。押尾コータローの “Tussie Mussie” (2009年)、南佳孝の “Last Picture Show” (1986年) などを購入。店主に、リクオのライブ情報を調べてもらう。5月に山口市に来るそうな。
夕飯を食べながら、フィギュアの世界選手権の最後を飾るEXを観る。リンクでは何事もなかったかのようなリラックスムード。浅田選手は、タンゴのプログラムの後でも息が切れていた。疲弊の度合いが心配。アイスダンスはメダリスト3組とも放送。ベルビンの元気な姿が見られてよかった。地上波でもっと放送すればいいのに。このEXが、多くのファンにとってのExitにならないことを信じています。

本日のBGM: Why Do Fools Fall In Love (Tatsuro Yamashita)