Monkey see, monkey do.

高2の「英詩…」収録もあと1ラウンドでできそう。今日のグループ課題は、自分たち以外の4グループから訂正修正候補の英文を集め、英文を吟味し自分たちのグループのドラフトを修正し完成させるもの。ビデオ収録の間はまったく関知していないのでグループで多少出来にムラが出てくるのは致し方ない。次回は、初の試みで、他のクラスからのアドバイスをもとに最終稿の予定。
高3ライティングは、予定通り「英語俳句」の仕上げ。後半のdscriptive passage、cubingの導入のところで、昨日研究授業を見に行った実習生が見学に来た。「見るなら授業の後半」といっておいたので、まさに活動の切れ目に登場!律儀ないい人です。
昼休みは進路に関する個別指導の予定だったが、学校行事に向けての練習が昼と放課後に急遽入ったとかで延期。進展はあったそうなので、私のアドバイスも少しは役に立ったようだ。
さて、今日は教育ネタ。予めお断りしておきますが、以下、あくまでも主観的な印象評価です。
巷にあふれる「ネオ子育て雑誌」とでもいうべき雑誌が嫌いだ。「たまひよ」などの雑誌のことではない。最近雨後の竹の子のように創刊されている、父親を読者として取り込もうという見え見えの企画を前面に出した雑誌のことである。これらがよく売れているのだというから驚き。ここでは対照的な二冊のセールストークを紹介。

  • これまで『プレジデント』は、ビジネスマンの問題解決マガジンとしてそのノウハウを提供してまいりましたが、『プレジデントファミリー』では舞台を職場から家庭に移して、「子供を元気にする、親も元気になる」ための父親スキルを追求します。かつて日本の会社には家族的風土がありましたが、今は社員個人がドライな人間関係のなかで自立して働く時代となりました。そのため家庭はビジネスマンの地盤、心の拠り所としていっそう重要度を増しています。子供の教育から妻、老親との付き合い方、家づくり、将来設計まで。これから『プレジデントファミリー』が家庭を上手にマネジメントする方策をお教えします。(『プレジデントファミリー』サイトより)
  • テーマの柱は「遊び」「学び」「健康」。公園で何をして遊ぶ?子どもと一緒に読むならどんな本?カラダにいい食べ物はどれ?生活のさまざまなシーンに、『プラス』を提供します。『日経Kids+』は育児雑誌ではありません。育児という言葉には、家庭の「仕事」というイメージがあります。仕事ではなく、OFFの楽しみ。『日経Kids+』は子どもと一緒にOFF生活を楽しむための雑誌です。(『日経 Kids+』サイトより)

これらの雑誌、中身は結構まともです。良いことも書いてあります。ただ、『プレジデントファミリー』は見出しがひどい。コピーがあざとい。このひどさは、今やこの手の雑誌だけではないのだろう。コピーといえば『編集会議』(宣伝会議)の10月号の特集が「名編集長は名コピーライター『言葉力』の鍛え方」という業界お手盛り企画だった。80年代以降、バブルを経て、コピーライターなどという職種は淘汰されているのだろうと思っていたが、なんのことはない、自社栽培しているだけのことだ。電車の中吊り広告、新聞の広告欄、書店での平積みなど、普段読まない読者層を取り込むのに躍起。ここ1ヵ月ほど、この手の雑誌のリサーチをしてからブログに書こうと思って準備していたのだが、そんな悠長なことを言っていられない事態に!
『プレジデントファミリー』(プレジデント社)11月号の特集は、

  • 担任教師の能力判定 
  • 「モンダイ教師」の実践的攻略法を教えます

明らかに「公立不信」に便乗した企画。教員を批判非難糾弾するのは日本の文化風土となっているので、こういう企画もまかり通るのだろう。巷の雑誌の、「疾病・症状別、病院の格付け企画」などとは根本的に異なる。
この雑誌の場合、購読層として想定しているのは恐らく「勝ち組志向」のお父さん。リーダーシップ、マネジメント能力、危機管理などという言葉に敏感で、斉藤孝の「XX『力』」シリーズなどは全て読破しているような人たちなのでしょう。取り上げられる教育関係者は、

  • 陰山英男、藤原和博、若月秀夫

です。紋切り型の局地。独自の取材で、「メジャーなメディアには取り上げられていないけれども、地域の絶大な信頼を得ている校長を皆さんにも知ってもらいます!」なんてことはないわけですよ。寄らば大樹の陰、儲けられそうなものにみんなで乗っかっていく。
東京の公立中学校初の民間出身校長と評判の藤原氏は放課後や土日など「課外活動」で英語教育に力を入れていることでも有名だ。「ついてこれない子」のフォローはしない、などという方針がクローズアップされたりするが、放課後や土日も駆り出されるとなれば、生徒だけではなく「ついてこれない教員」もいるわけで、否応なしに学校の中に「民間企業の製品とそのサービスマン」を導入することで解決しているのだ、ということをもっと認識した方がよい。(興味のある方はこちらのサイトでもどうぞ→http://www.edvec.co.jp/research-institute/012/01.html
中でも、インタビュー(?)で馬脚を現したのが、若月氏。

  • 新卒採用の面接で若い人たちに教師を志望した動機を聞くと、よく「子どもの頃に良い先生と出会い、あこがれたから」といった答えが返ってきます。ですが、私はそうした人たちを採用したいとは思いません。今いる先生にあこがれている人は、教育界の現状に満足していて、それを変えようとは思わないだろうからです。私自身は「教師というのは生徒の発意などを全く理解しようとせず、きれいごとばかり言っている。こんな連中は叩き潰さないとだめだ」と考えて教師になりました。新しく教師を志す人たちに対して私が望むのは、「挑戦的で、現状に対して常に不満を持っていること」です。そうした意識を持った教師こそが、教育をより良いものにしていくと考えるからです。(p.45)

私が公立の教員なら、こういう人の下で働こうとは思わないだろう。

  • (担任の)先生の指導力であそこまで子どもたちが変わるのか、と驚きました。と同時に、校長の力量が学校の状況を大きく左右することを痛感しました。

などという保護者の率直な声も載っているのだが、大都市圏の公立の学校では、いかに教育委員会→校長→教員というトップダウンの管理が押しつけられているか、そしてその圧力が、教室の、現場の教員の柔軟性や活力を失わせているか、ということも理解しておく必要があるだろう。
批判ばかりしてきたが、この雑誌のいいところは、記事内容の要所要所では分別ある原稿を載せていること。

  • でもクラスの誰にとっても森下先生がいい先生だったかどうかはわかりません。たまたま娘とは合いましたが、別の子にとっては合わないかもしれませんよね。娘にしても、違う学年であたっていたら、また別の結果になっていたかもしれません。いい先生か、悪い先生かは、最終的には、子どもとの相性やタイミングで決まるのではないでしょうか。

取材したスタッフや、記事を書いたスタッフは有能なのだろう。最終的な記事のタイトルやコピーを決めるトップに立つ者が諸悪の根元といってしまえば、これ以上ない紋切り型の結論ではある。

このブログの関連記事→http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050419

本日の言葉:
みなトルソーになれ
そうすれば世間はもっと
礼儀正しくなる 住みよくなる

道案内も図で示せ
目と口とあれば用は足りる
目ざわりな指など消えてなくなれ
指は諸悪の根元だ

  • 福田陸太郎「指無用論」より