TGIF

昨日は、高3ライティング授業2コマだけの日。一クラスは、チェック済みのRayの作文をもとに、フィードバックのハンドアウトを作成。4サンプルの英文をワープロで打ち、高3のこの時期に気をつけなければならない項目でサンプルにレスポンスした部分に下線部と通し番号を付け、留意点だけを示し、クラス全体に考えさせるもの、訂正の候補の英語を示すもの、類例の英文を示すもの、論理展開など英語以前に考えなければいけないものとに分け作成。最後に比較的出来の良いものを一つそのままコピーして貼り付けてできあがり。最後の例は、授業で解説しながら、実際に生徒に書き込ませて「擬似的なダイレクトフィードバック」を演出。もう一クラスは、Rayの原稿書き。こうして、1クラスの英文を1時間半くらいで見終わったと思ったら、またもう一クラスの原稿が出てくるのであった。まだ家に帰れば、前日の高2のstress management作文のチェックも待っている。
という思いを振り切り、一路、護国寺へ。U先生の中学校1年生の授業を2コマ見せてもらった。この学校は本当に良い先生を採ったなぁと思った。私としても中学入門期で文字(書写)指導に入って2週目くらいの授業に立ち会えたのは幸運。フォニクス的な指導で音と文字(綴り字の組み合わせ)の練習が進んでいるので、いよいよ「(単)語」を続けて書く練習。生徒の活動を見ていて感動した。「書く」ということをなめちゃいけない。入門期はこんなに真剣に、敬虔に、そして衒うことなく文字・語を「書く」ことを楽しんでいる。だからこそ、適切な指導手順が必要だし、細かいフィードバックが必要なのだ。
umbrellaという語を書かせる指導で、お手本で印刷されている書体は小文字のuはダウンストロークで終わらない書体だったのだが、普段はペンマンシップ練習帳ではダウンストローク付きのuを書いているのだという。私の一番近くにいた生徒は、よく書けているので、最後は3回繰り返して書きましょう、というところにもスラスラ書き込んでいた。そのhandwritingを見ていて、最初の2回は、お手本のようにダウンストロークのないumbrellaだったのだが、最後の一つではもう自信を持って書けると思ったのか、慣れているダウンストローク付きのuで書き始めumbrellaという語が綴られていたのである。中途半端な筆記体指導(裏を返せば指導の不在)のために、判読不能な字を書き続ける高校生を何人も見てきた私としては、川の流れの源流・源泉の水があまりにも澄み切っているかのような衝撃的な体験だった。U先生どうもありがとうございました。帰宅して、意気揚々と高3の英文チェックを2時間弱で終わらせ、フィードバック用のハンドアウトを作成して日付変更線。その後、高2のチェックへと進み、1クラス終わった所でダウン。仮眠をとって、充電し直し、明け方に続きをやって、残り10枚の所でやむなく家を出る時間。出校して一番に高3フィードバック用ハンドアウト印刷。授業の準備。今日の高3ライティングの授業では早速昨日の中学1年生のエピソードを披露。中間考査の答案は丁寧に書くように、と付け加えることも忘れません。
高2はなんとか午前中までに作文のチェックが終わったので、元ネタのSpeech2つに対して、2つずつ出来の良い作品を選んでB4両面にコピーしてハンドアウト作成。授業では、コロケーションの即答練習、班別トーナメントで、15分。課題曲3曲合唱で15分。作文の講評で15分。とりわけ、「言いたかったのに言えなかった表現」に対するフィードバックは、「スピーチや質問の英文に既に含まれている」レベル、「これまでの授業で扱った表現で応用できるレベル」、「典型的・模範的英文例の候補を示すレベル」があるので時間がかかった。ある生徒は、「他人には厳しいくせに、自分には甘いのではダメだと思う」という英語表現が思いつかなかったというのだが、Carole KingのChild of Mineで<make it hard on +人>という表現は既に扱っているので、それを応用するようにフィードバックを与え、「尻込みする」と書いた生徒には、第一課で乙武さんの父親に関して、「障害の詳細は、なかなか言い出せなかった (= couldn't bring himself to... )」という記述があるのでその部分を指摘した上で、動詞のhesitateやイディオムのget cold feetを示す。こんな風に、高2でもライティング活動の基礎は生きているわけです。最後にテストの出題形式の予告をして、無事終了。寝不足で疲労困憊の金曜日でした。
さて、英語教育ブログの草分けとも言える『英語教育にもの申す』が今熱い。ハンドルネーム倫太郎氏の実践には現実を見る冷静な目と、生徒と言葉(そしてその言葉を司る心)に対する確かな・豊かな愛情が溢れていていつも更新が待ち遠しい。私事になりますが今度又、ご一緒して地酒を堪能したいものです。
さあ、明日からはまた本業で朝から晩まで忙しくなります。本日はこの辺で。

  • 本日のBGM: Music Of My Mind
  • Stevie Wonder (1972)