FREEDOM

もう一週間以上経ちましたが

新共通テストの2020年度からの実施をとめよう!
10・13緊急シンポジウム

のお手伝いで受付をしてきました。
動画はYouTubeにアップされています。

第1部
https://youtu.be/wuCzoK0FxUE
第2部
https://youtu.be/XvyRR3OEVCw

当日のスライド資料がこちらにあります。
※2019年10月22日23時追記

note.mu

有料記事ですが、「入試改革を考える会」の吉田先生の書かれたものがこちらに詳しく出ています。
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019101500002.html

この東大シンポジウムの反響は大きかったと思うのですが、問題の酷さが一般に広く認識されていないことがまだ広く認識されていないというジレンマ。
予約金返金問題も解決していない英検の予約も始まり、現高2生だけでなく高3生・既卒生の共通IDの発行申請問題など、制度整備の不備が質されないまま時間が過ぎていくのはもどかしい。

12日には台風19号が首都圏直撃。我が家は雨どいが飛びました。先月の台風15号で剥がれ落ちた屋根のスレート対応で設置していたブルーシートもズレ落ちている状態での今回の19号。台風の進路が前回よりも少し西だったおかげで停電も早くに復旧し、生き延びた感じです。ただ、今回は首都圏だけでなく長野や東北でも多大な被害が出ています。そんな困難な状況にいる高校生、受験生は「民間英語試験」どころじゃないでしょ?情報を精査し、申込など滞りなく行うのは、ほぼ無理だと思いますよ。ほんとに。

そんな中、緊急声明も出るとのこと。
以下、協力・賛同できる方、お願いします。

 「入試改革を考える会」では,2020年度からの実施が予定されている新共通テストに関して,大学入試英語成績提供システムの共通ID発行申込みが始まる11月1日に緊急声明文を発表し,また,萩生田光一文部科学大臣に提出します。
https://note.mu/anti_kaikaku/n/n7892dc11cb0d

ここからは自分の告知。

10月27日/11月4日の「英文ライティング指導法セミナー」は予定通り行います。もし、今回の台風の被害などで受講ができなくなった方がおられましたら、受講受付メールにあった事務局アドレスまでご連絡下さい。キャンセルの受付をさせていただきます。

11月下旬か12月上旬に、今回の内容を発展させた第2回を企画しています。
ツイッターなどSNSの情報をチェックしておいていただければ幸いです。
そうそう、受験生対象の講座も現在出講しているSアカデミーのものとは別に、東京会場で冬休み期間 (年末年始) に行う予定で、準備中です。申し込みと決済方法が確定し次第情報をアップしたいと思います。

Sアカデミーでの冬期講習も、一応予定はあるんですよ。
開講されるかどうかは申込者の人数で決まりますので、千葉県在住の方はよろしくご検討下さい。

既卒生対象の総合講座 「英語α」 は
12月23日(月)〜26日(木) 14:00〜17:00
年が明ければセンター試験対策一色になるであろう受験生に、その前に、より高いところに上がって、「英語」を見ておいてもらおうという目論見の講座です。読解中心の4日連続講座です。論説文、物語文ともに難易度の高い、文の密度の濃い素材と、設問を扱います。センター試験のような、ある程度の分量があっても「情報処理系」とは異なる頭の働かせ方を要求されることも多いと思われますので、時期的にも、そのつもりで受講してください。

高3生と既卒生対象の「ライティング」の講座は
2020年1月3日(金)〜6日(月) 10:00〜12:00
センター対策に打ち込む時期でしょうから、まとまった分量のライティングで、ドラフト→添削→書き直し、という労力を伴う課題を避け、整序完成作文、誤文訂正(指摘)問題を中心として、「診断テスト100」の整理と一層の拡充を図ります。予習以上に、授業中の解答と講師の解説を踏まえた徹底した復習が重要です。

高3生・既卒生対象の「ライティング」系の講座としては、センター試験以降の日程ですが、
1月22日(水)、29日(水)  16:00〜19:00
で直前講習も予定されています。
早慶の複数学部併願で必ず押さえておかねばならない「英作文・ライティング」を中心に、私大医学部等でも課される自由英作文と言う名の「不自由」な作文への対応を図る直前講習。「整序完成・和文英訳」をライティングに活かすコツも伝授します。

どの講座も、教材は入試過去問素材を含め、松井の作成したオリジナルのものを用います。
受講の問い合わせは、こちらではなく、Sアカデミーに直接お願いします。
Sアカデミー: 千葉 | 幕張 | 学習塾


これを書いている今も、地元は大雨です。
心も晴れるのはいつになりますやら。


本日のBGM:子供たちの子供たちの子供たちへ (ピチカートV)

Be true to and proud of yourself.

気がつけば10月も1週間が過ぎました。
自宅のMBPの和文フォントを、「メイリオ」から、モリサワの「BIZ UD」に換えて少し慣れてきたところです。

来週に迫ったこのイベントの告知から。

新共通テストの2020年度からの実施をとめよう!
10・13緊急シンポジウム
2019年10月13日(日)13:00~
東京大学本郷キャンパス 経済学研究科棟 第5教室 (※会場はこちらに変更となっています!)
登壇者:大内裕和、中村高康、紅野謙介、阿部公彦他。
参加費500円(学生・生徒は無料)
https://twitter.com/ouchi_h/status/1180282129789280256/photo/1

目下、土日の台風の最接近、とそのダメージが最大の懸案事項なのですが、無事開催されることを祈っています。
このブログのコメント欄は開放していますし、表で言えないようなことは、ツイッターのDMを一時的に開放しますので、そちらにお寄せ下さい。DMで寄せられた情報のプライバシーは厳守します。

今週の月曜日 (7日) には、私も名を連ねている「“入試改革”を考える予備校講師の会」の一員として、「英語民間試験導入問題 野党合同ヒアリング」に出席してきました。

動画がこちらにアップされています。

石垣のりこチャンネル
https://youtu.be/RI0co795Cx4

このヒアリングの際に、資料のひとつとして、このブログの記事、

「群れるな、連なれ、今」
http://tmrowing.hatenablog.com/entry/2018/05/04/185311

を印刷して配布していただいています。1年半前の記事ですが、実質何も進展していないことが分かろうかと思います。

公教育を直接担う「高校教諭」から、フリーの「英語講師・英語指導者」に立場は変わりましたが、是々非々の問題意識は変わっていません。

  • 制度として実施されている以上は、それに従って対策を講じるべき。

という意見には与しません。入試制度として成り立つ公算はほぼほぼありませんから。

  • 悪問といえども、出題されている以上は、それに従って対策を講じるべき。

という意見に与しないのと同じ視座です。
英語という「ことば」に限っていえば、「英語」「英文」として整合しないものはテストで問うべきではない、というのが私のかねてよりの持論です。

テストであれ、制度であれ、それに関わる者が、ダメなものにダメと言うのは、当事者主権のひとつのあり方だろうと思っています。当然、ブーメランで、「自分へのダメ出し」が待っていますけど。

最後に、自分の告知を。freeになりましたので、independentな営業活動です。

https://kokucheese.com/event/index/581053/

https://kokucheese.com/event/index/581540/

10月27日の講座は既に満席。
11月4日の講座も残席1となっています。(2019/10/09の9時半現在) 満席となりました。
指導者向けのセミナーは、このような形で、少人数で行いたいと考えています。
「ライティング指導法」の第2回は、11月下旬か12月上旬に開催予定、冬期の集中講習を12月下旬、1月上旬にできないか考えています。

今後、「ライティング指導」だけでなく、「文字指導/handwriting指導」のセミナーも企画していますので、ツイッターなど、情報をこまめにフォローしていただければと思います。

本日はこの辺で。

本日のBGM: (Hey Big Mouth) Stand Up and Say That / Nick Lowe
youtu.be

silver lining or silver maple?

9月になりました。
まずは告知です。

この9月より、Sアカデミーの専任から時間講師と契約が変更になりましたので、Sアカデミーとの競合のない内容・範囲でのワークショップやセミナーなどの講師のご依頼、教材・書籍の執筆のご依頼をお受けいたします。直接私の方までメールやSNSのダイレクトメッセージ等でご希望をお寄せ下さい。

前回の更新は、海浜幕張でのセミナーで日向清人先生との対バンの告知でした。
山口県英語教育フォーラムにわざわざ足を運んで下さったこともある日向先生と、またこうしてご一緒できて光栄でした。当日は70余名の受講をいただきまして、この場を借りて御礼申し上げます。かつての同僚との再会もあり、かなり緊張しましたが、お役に立てていれば何よりです。

私の配布資料&投影資料に関しては、著作権等の関係もあり、こちらでもまとまったファイルでの公開はいたしません。Sアカデミーにお越しいただければ資料を見ることは可能かと思います。
「共通テスト」への変更、「外部民間英語試験」の入試利用の影響を大きく受ける、現高2の上位クラスでの実践例(「和文英訳の入試過去問演習を英文ライティングの主題化・焦点化表現に活かす」など)を可能な限りお見せしたつもりです。一般的な大学受験指導のシラバスを踏襲するものでも、入試対策の市販教材に準拠するものでもありませんし、国産の外部試験や模擬試験などで成果を可視化しやすい領域ではありませんので、断言はできませんが、少なくとも「ライティング」に関わる部分では良い方向で進められていると思っています。

お盆明けには、大津由紀雄先生から依頼されていた、東京言語研究所の「教師のためのことばワークショップ」の講義&ワークショップを担当しました。当然の如く「文字指導」関連。しかも、”handwriting” に特化した内容です。今回は、「フォントデザインのプロ」の方も受講者にいらっしゃる中、

英語の入門期、再入門期におけるhandwriting指導
〜書体と補助線と運動技能〜

という内容で、一時間のバージョンでの講義&ワークショップでした。
このワークショップの資料も、こちらでは公開いたしません。
多くの内容は、これまで、このブログで公開してきたものと同じか、類似するものですので、過去ログの「文字指導」関連の記事を読まれるか、最近の知見や実践事例に関してお知りになりたい方は、私に新たに「ワークショップ」「セミナー」「教員研修」の講師依頼をしていただければと思います。

夏の終わりに、英国に発注していた、ネルソンの現行本の教師用指導書の類いが届きました。
ケンブリッジがHITACHIとのコラボで、ベンチャーを立ち上げ、National Handwriting Associateionのサポートを得て、 Penpals for Handwritingという指導の体系を構築し、優れた教材化に成功している中、伝統あるネルソンがオックスフォードとのコラボで、巻き返しを図る、そんな風に外から眺めていたので、指導書の中身には大変興味がありました。今回、書籍版だけにしか目を通していませんが、指導体系全般、ICTの活用も含めて、この剣牛2つの流れ・動きには、彼我の差を感じずにはいられません。
f:id:tmrowing:20190827081832j:plain
f:id:tmrowing:20190827081844j:plain
f:id:tmrowing:20190827082229j:plain
f:id:tmrowing:20190827082230j:plain
f:id:tmrowing:20190827082336j:plain
f:id:tmrowing:20190827082342j:plain

f:id:tmrowing:20190828235609j:plain
f:id:tmrowing:20190828235646j:plain
f:id:tmrowing:20190828235714j:plain

「教科化」に伴い「検定教科書」が作られていますが、必ずその関連教材・市販教材・準拠テストなど「印刷媒体」が雨後の筍のように出てくるでしょう。

  • 1行に文字や語を10回書いて来なさい!
  • ノートに本文を写してきなさい!

などといった的はずれな「宿題」が溢れ出し、そのような作業を多く課すことが「学習」の充実だと錯覚させるような日が来ないことを祈っています。

四線や補助線の不統一に右往左往するのではなく、読む文字と書く文字のギャップを減らし、handwritingの負荷を下げ、「困り感」を減ずるような指導が、小学校から中学校へと引き継がれることが望ましく、そのための文字・書体やhandwriting、そして筆記用具や補助具等の「基礎知識」「基礎技能」を指導者側が知っておく、身に付けておくことは重要だと思っています。

今年になってから、手島良先生による素晴らしい指導書が市販されました。
過去ログでも大きく取り上げましたが、

http://tmrowing.hatenablog.com/entry/2019/02/21/133701

この本は、現在中1を教えている多くの指導者にこそ「読み、実践し、学んで」欲しい内容です。

指導上の留意点、注意点、文字そのもの、書体に関しての配慮など、より具体的に学びたい、という方はご連絡下さい。

  • 英文ライティング指導の第一歩は欧文書体の文字指導から。

信念は変わることはありません。

本日のBGM: あたらしい歌 (Kaede)

英語教育関係者は、8月7日の午後を空けておいて下さい!

8月のセミナーの告知です。
皆さん、お誘い合わせの上お申し込み下さい。

Sアカデミーのブログでも紹介されています。
http://www.s-academy.net/blog/2019/06/19/353

「高大接続改革」を取り巻く激動の中、「英語」ということばを学び身に付ける、また教える側として学び直すためにも、「目利き」「腕利き」のもとに集い、知見を共有したり、揺すぶったりすることこそが大切だと思っています。
「四技能」やその「バランス」を謳う、巷のセミナーとは一味も二味も違うものになることでしょう。
何しろ、講師があの日向清人先生と、私ですから。

2019英語教育セミナー参加者募集(後援:千葉市教育委員会・株式会社共進)
日時:8月7日(水) 13:00~17:00  
※17:30より懇親会あり(4,000円程度です)

場所:幕張テクノガーデン BC棟301号室(JR.海浜幕張駅より徒歩2分)

主催:2019英語教育セミナー実行委員会(後援:千葉市教育委員会・株式会社共進)

入場料:無料

講演:

書き手の立場からリーディングの素材を解読する(日向清人先生)

  • ようやくライティングの世界では「つながり」と「まとまり」の意義が意識されるようになってきたのに、大学のシラバスを見る限り、リーディングの授業では、それが反映されることなく、英文法講義ないし英文和訳の授業で終わっている例が多い。そこで、CEFRモデルを素材に、「つながり」と「まとまり」がなぜ意識されるようになってきたかを振り返ってから、上記リーダーの一節を使って、「読み手のひとりごと」をみなさんにお聞かせる形で、文章中の「つながり」や書き手の技(レトリック)をいっしょに楽しむ試みです。

「ライティング指導」入門:初歩と基礎とその先と(松井孝志)

  • ライティングにおける「つながり」と「まとまり」ということばは以前より市民権を得てきたように思いますが、昭和から平成にかけて「パラグラフ・ライティング」は高校現場に十分浸透普及したでしょうか?では、パラグラフ以前のライティングはどうでしょうか?テスト対策の前にまず適切・的確な指導をどうするか、何を読み、何を聞き、何を書くか、確りと見通したいと思います。

講師略歴

日向清人先生

和洋女子大学特任教授。慶大院修了後、国際法律事務所、外資系証券会社を経たのち、慶應義塾大学で20年以上、実務英語教育に従事した後、現職。松井孝志先生のご助言におおいに助けられた『即戦力がつく英文ライティング』(DHC) 他、著書多数。

松井孝志  2019年4月より Sアカデミー専任講師

下記のリンク先よりお申し込みください。

https://ws.formzu.net/dist/S88280131/

commencement

今日は現任校の卒業式。
担任として卒業生を送りだすのはこの学校で3回目。
今回は進学クラスの担任として入学から持ち上がりで卒業まで。現時点でまだ国公立の前期試験の結果がわからないので、最終進路のまだ決定していない者もおりますが、節目は節目です。

  • 卒業おめでとうございます。


そして、このたび、私も「卒業」します。
大学新卒で都立高校の教諭を振り出しに33年間、主として高校の英語教員をしてきましたが、この3月末でそのキャリアにピリオドを打つことになりました。まだ高2,高1の学年末テストと評価などがありますし、現職の在籍は3月中は続きますので、仕事は責任を持って全うしますが、そこで一区切りです。


既に、一部の方には伝えていましたが、4月からは組田幸一郎氏の主宰・経営する「Sアカデミー」の専任として中学生から高卒生までを対象に英語を教えることになります。その意味では、まだ「英語教育」には関わり続けるとも言えますが、「本業」とずっと称してきた Rowing(ボート競技)のコーチングは休業です。もともと、英語教師としてではなく、Rowingの指導者として山口に来ましたのでやはり色々な思いが込み上げてきます。2011年の山口国体のボート競技の指導者として、2007年に県に招かれたものの、県立高校の教諭や教育委員会づきの職員としては採用されず、県内の私立高校も競技人口の少ないボートという競技で新たに部活動を興そうなどとは思ってくれず、どこもかしこも食指を動かすことのない中、現任校の学校法人の当時のO理事長の「そいつ、面白そうじゃないか。ウチでやろう!」という鶴の一声で、ボート部をつくってもらえることになり、採用され着任し12年が経ちました。

英語教育以上に、「教職」「公教育」への拘りは持っているつもりでしたが、昨今の「改革」の波、とでもいうのでしょうか、学校現場を市場として「民間」が参入し、現場が疲弊していくような実感が募ってくるなか、「教職」に就く「公教育の教師」という自分の姿と,自分の英語教師としての輪郭線との間にズレが生じて来て、自分の「あり方」を考えあぐねていました。昨年の8月初頭に、鈴木大裕さんのツイートで記事が紹介され、あるベテラン教員の言葉が引かれていたのを覚えている方はいるでしょうか?

  • 私が教職を去るのではない。「教師」というしごとが私を去っていったのだ。『クレスコ』4月号から

https://twitter.com/daiyusuzuki/status/1025160476823441408

このことばはその時に自分が感じていた「虚しさ」のようなものを代弁してくれたような気がしていましたが、同時にまた、「私自身が求める『教師というしごと』」(こんなにカッコつけなくても、とも思いますが)を続ける「最適解」がどこかにあるはずだとも思っていました。その「解」として、組田さんからのオファーを受ける決断をしたわけです。

先月の「東大シンポ」の講演の冒頭では、万感を込めて教職から離れる旨の挨拶をさせていただいていました。直に「シンポジウム」の報告書も公式サイトでアップされるでしょうから、そちらでご確認いただければと思います。


本業のRowing (ボート競技)の指導では挫折と失敗の繰り返しの日々でしたが、県内のボート関係者には本当にお世話になりました。ありがとうございます。悔しいレースの方が多いのですが、自校選手だけでなく、成年チームの優秀な選手にも恵まれ、良いレースができたことも良い思い出です。

生業の英語教育では「山口県英語教育フォーラム」を8回開催し、お招きした講師の方たちとの交流もでき、参加された方たち、少数ではありますが、県内外からここに集い、「確実に種が蒔かれたな」という方たちの存在も実感できましたし、同僚も含め、地元の先生が何人もフォーラムの運営をサポートしてくれましたので、まあ、結果オーライ、「プラマイプラスです!」ではないでしょうか。

自慢のフォーラム講師陣と各回のタイトルを今一度振り返っておきましょう。

第1回(2008年)英語授業維新はここから
• 松井孝志
• 阿野幸一
• 久保野雅史
• 田尻悟郎


第2回(2009年)現場教師の声に「力」を!Power to the people who teach English
• 今井康人
• 永末温子
• 久保野りえ


第3回(2010年)今こそ、豊かな「ことば」の生きる教室を求めて 〜 ことばへの気づき、学びへの気づき
• 柳瀬和明
• 大津由紀雄
• 加藤京子


第4回(2011年)『英語教師の視点と立脚点---「教育」「読む」「つくる」の立つ場所とそこから見えてくるもの』
• 組田幸一郎
• 佐藤綾子
• 萩原一郎


第5回(2012年)「英語教育改革」その前に…。
• 長沼君主
• 山岡憲史
• 奥住桂


第6回(2013年)教室の英語は今…。
• 高橋愛
• 山岡大基
• 植野伸子


第7回 (2014年) 英語教育、「見直したい」も見直したい。
• 松井孝志
• 田地野彰
• 胡子美由紀


第8回(2015年;最終回) 英語教育を語る視座を揺すぶる
• 松井孝志
• 寺沢拓敬
• 亘理陽一

講師を引き受けてくれた皆さん、本当にありがとうございました。私自身の心が折れそうな時に、どれだけ救われたことか。タイトルに込めた思いも、参加者の胸のうちで、それぞれ、それなり、そのうちに芽吹き、花開くことでしょう。

4月以降の私の具体的な仕事内容は、Sアカデミーからの情報発信の方が詳しく、確かだと思いますので、そちらをご覧下さい。

Sアカデミー
http://www.s-academy.net/

Sアカデミー先輩の先生方、宜しくお願いします。新年度の受講生の皆さん、Sアカデミーでお会いできることを楽しみにしています。


このブログも、2004年から足掛け15年。15歳といえば、日本では義務教育を卒業するくらいの年齢です。

2007年の「大いなる船出」に際して、私はこう書いていました。

英語教育の明日は一人一人の英語教師の手に委ねられています。一人が不安なら、団結するもよし。ただ、手をつなぐためにはそれまで握っていた何かを放さなければならないものです。

  • 鍵はいつも、掌にある。握りしめている間は使えない。

tmrowing.hatenablog.com

本当に、鍵はいつも「かたちをかえてそこにある」ものなのでしょう。

コメント欄は開放していますので、卒業する私への「はなむけ」のことばでも投げかけてやって下されば幸せます。

本日のBGM: グッドバイから始めよう(佐野元春)

Spellbound

手島良先生より、新刊の『これからの英語の文字指導 書きやすく 読みやすく』(研究社、2019年)を送っていただきました。
ありがとうございます。
books.kenkyusha.co.jp

私は今でこそ、ライティング指導を専門とすると自称し、「ライティング指導の第一歩は文字指導から」と唱え続けていますが、そもそも、私が文字指導に興味関心を持ったのは、若林俊輔先生の薫陶によるものです。教壇に立って数年が経ち、1990年代の「基礎英語」のテキストでSassoonフォントを目にしたときの衝撃は今でも忘れません。その仕掛け人こそ、手島良先生でした。それ以来、文字指導で手島先生が拓き、均してきた道を、その背を追いかけるように駆けてきた後輩の一人として、今、日本の児童、生徒に必要な文字学習の教材が、このような豊富な経験と深い見識に裏打ちされた日本の第一人者によって書かれ、市販されることを言祝ぎます。著者の手島先生、研究社の編集者の方々のご尽力に改めて感謝の意を表したいと思います。

以前、手島先生からは、この本に結実することになる草稿も読ませていただいていましたし、その草稿に対しては個人的に意見も伝えさせていただいておりました。研究社から世に問われる多くの書籍と同様に、この本も不易流行、次世代にも読み継がれ、受け継がれる書になると思いますので、現段階での拙速な評価は慎みたいと思い、手島先生にも、その旨はお伝えしてはおりましたが、一般書店でも発売されたと思いきや、早、密林での在庫切れとの情報を知り、急遽、ブログで取り上げることにしました。

発売即在庫切れ、というのは、恐らく、「小学校での英語の『教科化』」を間近に控え、相当数の教育関係者が「文字指導」に不安を持っていることの現れでもあると思うのです。多くの方の目に触れ、手に取られることと思いますが、この書が単なる「マニュアル」として消化されることがないように、第1章と第2章に関してのみ、私が「文字指導をする方たちに、よく読んで、考えてほしい」あれやこれやを、ここに記して置こうと思います。

まず、伝えたいのは、この書は、小学校・中学校・高等学校で、児童生徒の指導をする英語教師だけでなく、その教師の指導に当たる立場の、各自治体の教育委員会の指導主事や大学で教員養成に携わる大学の先生方にも読んでいただきたいということです。

次に、「教師・指導者自身が手書きをすること」の意義です。
私も、過去2年で2回、「教育関係者対象の文字指導」のセミナー、ワークショップを行いました。
これから教壇に立つ方も、既に教歴の長い方も、実際に新たな枠組み・体系に則って「手書き文字を体現する」機会は、そう多くありません。この手島先生の新刊は、豊富で体系的かつ具体的なワークシートが付随(要ダウンロード)することで、児童・生徒の練習だけでなく、その前に、それと並行して、教師・指導者自身が、手書き文字の「現代体」では、どのような文字・字形・書体・運筆を成すのかを体現できる、という意味でも貴重な一冊といえるでしょう。

以下、第1章で気をつけたいことから。
「第1節 まずは書体を比較すると」の最後の「コラム」(p.10)で指摘されるように、「活字体」「ブロック体」「筆記体」といった、旧来(従前)の日本の英語教室で耳にする用語の問題点を認識し、「英語の手書き文字」を語る、リテラシーを日本の英語教育の世界に確立することが重要です。
Ball & Stick 体と呼ばれる字形の源流とその教育的な観点での問題については、手島先生が参考文献に示した Briemのサイトの資料 Handwriting Repairを御覧ください。

sites.google.com


p.9にある「手書き文字の分類表」は、手島先生が既にセミナーやご自身のブログなど発表されているものですが、あらためてその分類の精緻さに驚かされることでしょう。ここでの「運筆」「筆法」に関しては、第2章をカバーした上で、再度戻って確かめることをお勧めします。

「第2節 英語の文字に対して生徒が抱く疑問」には22の質問がリストされています。
詳細は実際にお読みいただきたいと思いますが、

文字を書く方向
文字数
大文字と小文字
文字の幅・高さ・位置
字形
筆順
文字の名前と読み方

など、教師が気にしておかなければならない観点を浮き彫りにしてくれますので、ここは軽く流したり、読み飛ばしたりせずに、ひとつひとつ確認してもらうことを望みます。ここで「?」を共有しておくことで、このあとの第2章以降で、より深い「気付き」が得られることと思います。

「第3節 文字指導のCAN-DO リスト」では、まず、pp. 17-19の文字の弁別的特徴を読み、実際にそのペアを書いてみることをお勧めします。
ここから先の「指導例」には、目安としての時間がついたものが多いのですが、指導者側が実際に自分で書いてみることがこの「目安」を体感するのに必須かと。
第1章の最後には「コラム」があり「学習指導要領」への注文(とりわけ「筆記体」の認識を改めること)もなされています。

「第2章 文字を教える」
は、手島先生の専門性と経験知の結実と言えるでしょう。「臨床の知」ということばは陳腐な用語となりつつありますが、入門期の学習者(及び再入門の学習者)指導に関わってきた手島先生の「目利き」に唸らされます。「心ここに在らざれば視れども見えず」ですね。

一点、「大文字が先か、小文字が先か」という指導の手順では、私自身は「小文字から」という方針ですので、手島先生との私信でも、この部分でのやり取りがありましたが、「大文字が先」という手島先生の意図・狙いに関しては、

  • できる限り早く小文字の指導に入るという条件付きで

という但し書きをよく読んでいただきたいと思います。小学校英語関連での「伝達講習」などで、既に文字指導が行われていると思いますが、テキストがその順番だから、ではなく、その背景にある理念・哲学に十分に注意・配慮して指導に当たって欲しいところです。

この第2章の中で、とりわけ注意を喚起したいのは、p. 48の「文字練習のさせ方」での、グループでの「縦」書き練習と、「分散」練習です。
私も、常々、「分割縦書き」の重要性を訴えていますが、

  • 1つの文字を繰り返し書かせることをしない
  • 一度に右端まで埋めさせない

というところは「現場」に浸透して欲しいと思っています。
「そのこころは?」と思われた方、異論のある方は是非、ご自身の目でお確かめください。

「大文字の指導」の「第3節」での私からの注文・要望は1点。
p. 52で、「大文字の文字の幅による分類」があり、字高(文字の背の高さ)との比較があるのですが、

MWの肩幅と歩幅、Mの谷とWの山
Qのしっぽの位置と向き
BEFPR(S)の一階と二階、肩幅と歩幅

についての補足、コメントがもう少し欲しかったと思います。この点に関しては、過去ログ
tmrowing.hatenablog.com

をお読みくだされば、私の意図はわかろうかと。

「第4節」から、小文字の指導に移りますが、ここでの文字の分類整理は、「第5節」で、実際に(教師・生徒ともに)書くことを体験してから、もう一度戻って確かめることが重要かと思います。

この分類では「筆法」に焦点が当てられているところが、従前の「市販ペンマンシップ教材」との相違点でしょう。文字を書く際のstrokeで、共通する動きを持つ文字を分類整理して練習しますので、開始点のドットと矢印のついたガイドラインに十分に注意させて指導することが望まれます。

motor skillsの習得が重要な観点なのですが、「通ってきた道を戻る」運筆に関して、日本語の「かな」との比較対照など、もう少し言及があっても良かったように思います。
過去ログの
tmrowing.hatenablog.com
に関連資料が見つかると思います。


「フォント」に関しては、Sassoon とBriem Handwriting とを取り上げていますが、なぜこの2つなのか、ということは、pp. 74-78までの「現代体の字形の整え方」で明らかにされています。ここは私も読んでいて震えました。第一人者が第一人者たる所以だと思います。

「第7節 大文字と小文字の練習」
では、字高と位置の習熟のために、四線、一線、二線と補助線の「効かせどころ」に配慮した指導例が示されています。味わいたいところです。
私は、4:5:4とか5:9:6の四線を活用し、徐々にそこからの自立を促すようにワークシートを工夫して使っていますが、手島先生の指導では、できるだけ早く「四線」を使わなくても安定して字高・位置・字形が整うようにシラバスが構築されているところに注目して欲しいと思います。

第2章の最後には、「コラム」で、「左利き」への対応、「ペンの握り」が取り上げられています。
「ペンの握り」に関しては、『小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ 小学校外国語科内容論』(酒井他編、2017年、三省堂)に収録のコラム(「コラム3 鉛筆の望ましい持ち方」小林比出代)の方が詳しいと思いますが、左利きの学習者への配慮、指導方法だけではなく、彼らの「困り感」を右利きの指導者が追体験する具体的な手順も記してあるところが手島先生ならではだな、と感心しました。
「筆記具・補助具」に関しては、このブログにも特集した記事がありますので、参考にしてください。
tmrowing.hatenablog.com


以上、駆け足で第2章まで言及しました。第3章以降も含めた詳しい評価は、また追って書きたいと思います。

繰り返しになりますが、英語教育関係者必携・必読の書です。
焦らず、丁寧に繰り返し、じっくりと消化吸収すべき、という点では、以前、同じ研究社から出た、

大名力『英語の文字・綴り・発音のしくみ』(研究社、2014年)
books.kenkyusha.co.jp

にも共通するところがあるかと思います。

やはり、このような、専門性が高く、読めば読むほど、噛めば噛むほど味わいの深まる本が、研究社からの英語教育関連書の真骨頂なのでしょう。

英語学習者として、英語教育に携わる者として、このような本に育てられ、鍛えられてきたことに改めて感謝します。

タイトルの「これからの…」ということばに込めた先輩の思いを噛み締め、本書を熟読玩味します。

本日はこの辺で。

本日のBGM:Something in common (Dawes)
f:id:tmrowing:20190221133039j:plain

「みんな牙を隠し 大人のふりをする」

行ってきました,東大へ。言ってきました、東大で。

2019/02/10
東京大学高大接続研究開発センター主催シンポジウム
「大学入学者選抜における英語試験のあり方をめぐって(2)
https://www.ct.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2021/11/koudai-sympo2019-report.pdf

登壇者のうち私だけ遠方なので、土曜日のうちに上京する予定でいたのですが、三連休の初日と三日目に雪予報で、飛行機が飛ぶかが本当に冷や冷やで。
南風原朝和先生に、万が一のことを予め伝えていたのですが、先生は流石に大人(たいじん)です。「大丈夫だと思いますよ」との返事。本当に大丈夫でした。
着陸態勢になって雪雲に突っ込んだところで相当に揺れましたけど。

まずは、「シンポジウム」に穴を開けずに済んだことに安堵しました。

今回、南風原先生にお声掛けいただき、

石井 洋二郎 
南風原 朝和 
大塚 雄作 
荘島 宏二郎 
亘理 陽一 
笹 のぶえ
(敬称略)

という登壇者の中にいれていただくという貴重な機会を与えていただいたことにあらためて御礼申し上げます。皆さんの講演から、刺激を受け、多くを学ばせていただきました。
会場にお越しいただいた方たち、スタッフの皆さんにも感謝いたします。

既に,シンポジウムの当該頁に,当日の発表スライドもpdfでアップされていますので、会場でお聴きいただいた方も、申し込みたかったけれど既に満席で受けつけされなかった方も、前日の雪で上京が適わなかった方も、申し込むつもりはなかったけど面白いらしいと耳にして興味を持った方も、興味があるくせに悪態をついていたような方も、是非、こちらの資料にお目通しいただいて、考察・議論を深めて下さいますよう、お願いします。
昨年の「第一回」の流れを見ますと、このあと、3月から4月くらいに「報告書」がリリースされて、当日のやり取りも含めて再現され、シンポジウムの成果をあらためて世に問うことになるようです。

センター主催シンポジウム「大学入学者選抜における英語試験のあり方をめぐって(2)」を開催《講演資料を掲載》

https://www.ct.u-tokyo.ac.jp/news/20190210-symposium2019-report/

当日の実況や感想、ご意見などは、こちらの「まとめ」に詳しいかと。○先生、ありがとうございました。

東京大学高大接続研究開発センター主催のシンポジウム「大学入学者選抜における英語試験のあり方をめぐって(2)」2019年2月10日
2月10日行われた標記シンポについて、ツイートを速報的にひとまとめにしました。少しずつ修正していく所存です。

https://togetter.com/li/1318020

ということで、SNSでもそれなりに反応,反響はあったように思います。期待に沿わない内容、展開、結末など、それぞれの視座、立場で思うところはあるでしょうが、私自身の講演(?)の補足も含めて、「報告書」がリリースされるまでは、このブログでもあまり多くを語りませんので、ご理解いただきますよう。
既に、SNSで呟いていたことだけ、こちらで再録しておきます。

Takashi Matsui on Twitter: "(承前)疑問点や懸念に対してほぼ無回答で時が過ぎ、政策実施期限が迫っている今、「理」を説くだけでは世の中は動かないように感じているからです。「NPO法人・森は海の恋人」の畠山重篤氏の「世の中を変えるには詩人が必要だ」という一節を反芻していました。詩人も叫べ、という批判は甘受します。"

個人的に、メール等でお尋ねいただけば回答はいたしますが、その場合も、直ぐに回答できるものと、報告書のリリースを待って、というものがあるのかな、という理解です。

ただ、一点、それぞれの先生からの講演のあと、質疑応答・討論の段階で、石井洋二郎先生から、「TOMOYO問題」が取り上げられ、会場が笑いに包まれるという場面についての補足を。
会場の400余名の面前で「信仰」の告白をするというのは、なかなかない体験でしたが、石井先生のこの御著書の項目を見るに、「名前」で突っ込みが入るのは必然だったかと思います。念願のサインもいただきまして、本当にありがとうございました。
こちらでご確認下さいますよう。

本日のBGM: 2月の雲(原田知世/作詞:高橋久美子、作曲:伊藤ゴロー)

追記:当日私が胸ポケットに付けていた、"center hero" の缶バッジは荘島先生に差し上げました。
f:id:tmrowing:20190216165727j:plain

"Make a little space to make a better place"

2019年になって最初の更新です。
最後にならないことを願います。
前回のエントリーで、コメント欄を開放し、温かいお言葉、励ましやねぎらいの言葉をいくつかいただきました。ありがとうございます。
ここに転載させていただき、重ねてお礼を申し上げます。

ヒャダイン さん
来年は、松井先生自らが、いい教材をバンバン出版なさってください。無理なら、PDFという形などで、シェアしていただけるとありがたいです。

axlight さん
いつも拝読しております,某県の高校で英語を教えている者です。先生のダイアリーの存在を知って以来10年弱,更新されるたびに必ず読んでまいりました。先生の指導観・英語観・教材観は私にとっていつも,迷ったときの道標であり,心の支えです。今回のコメント欄開放を,この感謝の気持ちをお伝えするまたとない機会と思い,投稿いたしました。

yama.hiro さん
先日はありがとうございました。先生のブログからは学生時代から勉強させてもらっています。本当に惜しみなく、いつも共有してくださることに感謝しています。

mitetさん
このブログのおかげで、どれだけ勉強させてもらったか。このブログのおかげで、どれだけ励まされたか。「はてなダイアリー」の更新が終わってしまうというのは、何とも寂しい限りです。「はてなブログ」の方で更新を続けて下さることを切に願っています。

Kamisaka Hiroshi さん
松井先生、本当に長い間、お疲れ様でした。と言って、旺盛な好奇心と探究心をお持ちの先生ですから、舞台を変えて、またご活躍を続けて行かれるのでしょう。今後も楽しみにしています。
いろいろなテーマで競い合うように書きまくっていた時期が懐かしいです。あれから色々なことがあり、教科書会社の人間は大っぴらに他社教材を批判できなくなったりしたわけですが、そういったことを出版社が自主的に決めたことが情けなくて、私もあの業界を去りました。
でも、いつかそのうち、サラリーマンを辞めてもよくなったら、何かしたいと思います。が、その前に一杯やりましょう!

bettybotterさん
松井先生、7年くらいブログポストを読ませていただいていました。最近読み返してみて、つい最近自分が思いついた気がしたことも、実は先生のブログで既に触れられている話題だったことも多くて影響の大きさに驚いています。自分にとって、英語はファッションでもおまけでもなく、身体の一部です。同じように、私の英語教育実践において、先生から学んでいることは、取り替え可能な部品ではなく、本体のOSです。
P.S. ELECの研修会で私が書いたコメントを載せてくださったのがとても嬉しく思い出深いです。

みなさん、本当に今までお読みいただき、ありがとうございます。愛着のある「はてなダイアリー」は間もなく終了します。こちらの「はてなブログ」の方の記事は一応は残ります。ただ、過去ログの「リンク」は見えていても、リンクは切れているため、その先の「ファイル」はありませんので、悪しからず。新たに、私の方でリンクを張り直すということはいたしません。

さて、
近況の報告というよりは、イベントのお知らせです。
昨年の2月10日 東大でのシンポジウムが大きな話題となりましたが、その第二弾が今年の同日に行われます。
なんと、私もシンポジストの一人として参加します。
詳しくは、以下特設ページを御覧ください。
ここで告知しておいて申し訳ないのですが、既にメイン会場の約400人、サブ会場の約100人とも申し込み予約済みで、現在は受付を締め切っております。昨年度の社会的な反響の大きさを受け、皆さんの興味関心の高さ、問題意識の高さを実感しております。

https://www.ct.u-tokyo.ac.jp/news/20190110-symposium2019/
センター主催シンポジウム「大学入学者選抜における英語試験のあり方をめぐって(2)」
日時2019年2月10日(日)13:30~17:30
会場 東京大学本郷キャンパス 伊藤国際学術研究センター・B2 伊藤謝恩ホール

プログラム
開会の挨拶

  • 石井 洋二郎 東京大学理事・副学長

講演
南風原 朝和 東京大学高大接続研究開発センター長

  • 英語入試改革の現状と論点

大塚 雄作 京都大学名誉教授/大学入試センター名誉教授

  • 大学入試センター試験はどのように作成・実施されてきたか

荘島 宏二郎 大学入試センター研究開発部准教授

  • センター試験「英語」はどのような試験だったか

松井 孝志 山口県鴻城高等学校教諭

  • 高等学校から見たセンター試験と民間試験の「英語」について

亘理 陽一 静岡大学教育学部准教授

  • 高等学校による英語運用能力のアセスメントについて

笹 のぶえ 東京都立三田高等学校長/全国高等学校長協会長

  • これからの大学入学者選抜に望むこと

討論

  • 講演者全員・石井 洋二郎

司会

  • 南風原 朝和

今回は「センター試験」に、しかも私の役割は「英語」という部分にスポットライトを当てることになりますので、昨年まで書いてきたセンター試験批評も今年はお預けです。今年は「リスニングテスト」第1問がほぼ全ての話題を攫っていった観がありますが、他にも考えておくべきことは多々あります。
当日、東大にお越しいただけない方々には、シンポジウム後にあらたな気付きがあれば、そこから何か書きたいとは思っていますので、後日また覗いて見て下さい。


今年度は高3の進学クラス担任なので、こんなことを書いている現在も、「センター試験」の自己採点に基づくデータリサーチ関係で大童なんです。
本日はこの辺で。

本日のBGM: Heal The World (Paul Heaton & Jacqui Abbott

弁別と分別と

先月の30日以降、一度も更新できないまま、年の瀬、大晦日を迎えました。

まずは業務連絡から。

2014-2016年程度の更新はしたかったのですが、年内に「はてな」の方から、「ダイアリー」を終了するというアナウンスがあり、このブログの在り方も考えあぐねているうちに、40 に満たない更新数となりました。現在は、「はてなダイアリー」と「はてなブログ」に画像以外は同じ情報を入れて更新していますが、既に「はてなダイアリーでのファイルアップロード」ができなくなりましたので年明けからは「はてなブログ」のみの更新になるかと思います。現在、「ダイアリー」の方にブックマークなどをされている方は、「ブログ」の方への変更をお願いします。また、2019年の1月中旬以降は現在読むことのできるファイルも全てダウンロードができなくなりますので、読みたい記事がある方はお早めに。
そういう私自身がまだ全ファイルのバックアップが終わっていない状況です。データファイルの移行・移植どころか、この足掛け15年の英語教育関連の情報が失われる可能性もありますので、宜しくお願いします。

生業の実作では、2学期終了後は、冬期課外講座が28日まで。
高3生は、「センター試験」に向けた情報の整理でした。

センター試験の筆記って、全国平均点は120点前後なのですが、最頻値は150-160辺りにあると思うので、100点に満たない人たちが毎年大量に存在するわけです。
過去問を使って解答をしてみて、60点〜80点の人を100点を越えるようにするのって、結構大変なんですよ。
そういう生徒は、読解だけを取り出してみても、語彙、文法、つながりとまとまりや論理構成のあちこちに穴があります。「まずは語彙から」とか「まずは文法を」といった「積み上げ」型の学習を上手くこなしてこれなかったからこそ、それだけの穴を残して今に至るわけですから、ただ「基礎に戻れ」とか「できる問題に集中」といってもあまりご利益はありません。
にもかかわらず、類題とか予想問題とかを使って(作って?買って?)、「その問題はやったことがある」という、再現性を高めるかのような作業が「センター試験対策」になりがちです。

最近見たある対策教材では、高得点者グループとその下に位置するグループでの小問ごとの正答率を示していたのですが、高得点者グループは全体で9割以上の得点率、その下でさえ全体で8割以上の正答率となっているので、受験者全体の英語学力の実態解明には殆ど役に立ちません。
大学入試センターが作成する「本試験・追試験」と比べた場合に、業者の模試にしろ、問題集にしろ、その構成や形式、分量では似せられても、問題の質という点では、せいぜいが劣化コピーですので、その結果に一喜一憂する必要はありません。模試に何か利点があるとすれば、全受験者のデータ処理後に、大問、小問ごとのクロス集計が見られる、と言うことくらいだと思うのですが、小問での正答率と誤答率、さらには選択肢ごとの選択率などは、個別に見ないとわかりません。センター試験の本試験のあとには、業者におんぶに抱っこで「データリサーチ」を行い、前年度に比べて各教科科目、文型、理系、全体での平均点の上下などがいち早く「公表」されます。これに基づいて、個々の生徒の個別試験での強み(弱み?)を勘案して、出願の最終決定をする、というのが、一般的な流れでしょうか。

ここでの焦点は、出願に当たっての合格可能性のようなものですから、その回の出題で、英語の学力の上下、優劣(?)を弁別できた問題とそうではない問題は何だったのか、にはあまり関心が払われません。その回の出題の何が好ましくて、何が好ましくなかったか、例えば、古典的な分類に従って、全体の総得点で上位の者、中位の者、下位の者、と分けた場合に、個々の設問はそれぞれを弁別できていたか、選択肢中のその錯乱肢は弁別に機能していたか、などなど、せっかく同世代の50万人が受ける「国民的試験」であるにも関わらず、そのデータが、受験生本人の英語学力の診断にも、次にその試験を受けることになるであろう学習者への学習の指針・指標にも活かされていないのは残念です。

これって、大学入試センターが責任を持って、統計処理して発表すべき情報なのではないでしょうか?受験生当人に1ヶ月でフィードバックするのは無理としても、翌年度の早い段階で、情報を公表できれば、どのレベルにいる学習者であれ、「今の自分にはできなければならない問題」だったのか、そうではないのかがわかると思うのです。

現時点で、何か、出題・問題そのものへの関心が高まるとすれば、それまでになかった「新形式」の出題があったときと、「出題ミス」が疑われるときくらいでしょうか。ミスはできればない方が良いし、もしあったとしたら、早急に対処するべきです。しかしながら、出題ミスとまでは言い切れなくとも、これまで見てきて「好ましくない出題」、「改善が求められる出題」というのは確実に存在します。

もうすぐなくなるといわれている「センター試験」作問チームのモーティべーションが高いまま持続してくれることと、これまでDNCが蓄積してきたこの国の若者の英語学力に関する膨大なデータが、英語教育の改善に役立てられることを強く願っています。


以上、本年最後の更新となりました。
新年以降、「ダイアリー」終了後、どうなるかはまだ未定です。ダイアリー終了とともに、この「ブログ」自体もとじるかも知れません。
ということで、これまでのご愛顧に感謝して、コメント欄を開放しますので、ミ○とク○の区別のつく、分別のある方からの、このブログに関するご感想などを受け付けます。コメントは承認後、年明けの更新で反映させたいと思います。コメントの承認・不承認は私が決めますので、反映されなかった場合は、悪しからず。

それでは、良いお年を。

本日のBGM: I Gatta Praise (Paul Heaton & Jacqui Abbott)