「身振り手振りも通じないまま…」

朝から雨。
文化祭の準備で変則時間割。
私のコマは今日は高1のオーラル一つだけ。
『レベルアップ英文法』の2007年のテキストから、エクササイズ部分を取り出して、どんな気持ちや、ものの見方をしたときに、現在完了<大関の助動詞have + 付き人-ed/en形>を使うのか、を実践。用法分類はあくまで便宜、取っかかり。特に、大関単独での使用は多くの高校生の弱点でもある。
穴埋めや4択ばっかりやっていると、語感が鈍ります。「達成感」「充実感」その対極にある「喪失感」「『しまった!』・『またやっちゃった…』感」などなど自分の頭に浮かんだ意味やイメージを英語の語順と形あわせで言葉に変えるトレーニングメニューの開発が現場の教師の仕事。

  • How long have you been in Japan?

に対して、

  • Since April.

とか、

  • For about three months.

などと、<前置詞+名詞 (句) = 副詞句>で即答できるように、形式も自分の感覚も育てることが肝要。こんなことを言ってくれる問題集もあります。

This very common tense is one that a foreign learner usually finds difficult to use properly. He frequently confuses it with the past tense, occasionally with the present tense.
All these perfect tense (present, past and future) tell us that some act is completed (= perfected) by a given time; for an act done at a certain time we use a simple tense.
(中略)
So the Present Perfect …
1. Tells us about an act completed (= perfected) by now.
2. It is a kind of Present tense because
(a) it does not tell us when this completed act happened;
(b) we are interested only in its present completed state and its relation to now.
(中略)
We see that we cannot use the Present Perfect tense if a definite time in the past is either mentioned or understood from the context. For the same reason a question with When? cannot be in this tense.
(中略)
Last. Be careful of this word. Look at these sentences:
I haven’t seen you since last month.
I haven’t seen you for the last month.
Last month (no article) refers to the last calendar month, and is therefore a period of time in the past from which we are measuring up to now. (= since April, May etc.)
The last month (with definite article) means the length of one month i.e. about 30days) up to now.
So without the definite article we use since; with it we use for.

これは全て、W. Stannard Allen の Living English Structure For School (Longman, 1958年) の記述。私の持っているのは、1964年の香港版。英語で説明してあればそれでいいというわけではないのは自明。適切な用例と場面設定がなされていることと、的確な説明がなされることが大切なのである。(この点は、先日来このブログでも再三言及している、D. キーン、松浪有 『英文法の問題点』 (研究社、1969年) でも同じ。)
そして、この本は『親本』から学校教育用に作られたドリルブック、エクササイズブックであり、口頭練習も豊富に用意されているところが卓見。
ドリルで自分の頭を使って組み立てたその英語を適切な英語の音とリズムで声にする。これが難しい。故にトレーニング。

  • Haven’t you known him for a long time?
  • Haven’t I told you that before?

などの、否定の助動詞で問われた疑問文でも、原理原則は<助動詞基準>で答えるのだから、

  • haveならYesで、haven’tならNoで自分の答えを始める。

ことを徹底。日本語に一々訳さないで、助動詞での処理が出来るようにするのも<助動詞の番付表>の大きな役割。
疑問文・否定文での「訳語」の違いが取り上げられている “yet” に関して、原理原則となる「頭の働かせ方」を提示。
次回は、<大関+関脇>の合体ロボ攻撃を迎え撃つ予定。そうそう、Allenにはこんな問題がありました。

  • He (learn) English for three years, but he can’t even read a newspaper yet.

現在の学習用英和辞典であれば、learnとstudyとの意味内容の対比を踏まえて用例提示をしていることでしょう。(例: I've been studying Russian for two years but have learned very little.『グランドセンチュリー英和』 (三省堂))
午後には雨も上がり、空は少し明るくなったが、雲が残り、七夕は楽しめそうにない。
放課後は職員会議で、その後、寮の当番なので、本業はエルゴの指示。アップの4kmに続いて4分漕をレースペース・マイナス2枚で3セット。レストは3分。ダウンは2km。記録を聞くと今ひとつ。若い選手の場合、マックスの方がやりやすいのは確かだけれど、この程度のメニューは自分でコントロールできるようにならないとね。
入寮までの時間、ガソリンを入れに行き、薬局と書店に寄る。

  • 『週刊朝日緊急増刊 朝日ジャーナル 原発と人間』 (朝日新聞出版)

と、

  • 鬼塚幹彦 『逆発想で身につく 前置詞トレーニング』 (研究社、2011年)

を仕入れて寮監室で読む。
前者は、小出裕章氏の私論がお目当て。職場に届いた、

  • 開沼博 『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』 (青土社、2011年)

と併せて読んでいこうと思う。
後者は、『自由英作文…』で多くのファンを落胆させた鬼塚氏の新刊。
詳しくは是非とも直接手にとってお読み頂きたいが、大事なところなので、「前置詞学習の注意点」 (p.2) を引いておく。

前置詞の勉強方法として、個々の前置詞をイメージでとらえる学習法があります。たとえばinは「枠」「囲い」「入れ物」のイメージ、atは「点」のイメージととらえます。(中略)
ただ、inやatならこれでいいのですが、forを1つのイメージで理解するのは無理があります。手段にすぎない習得法に必要以上に固執することは避けた方がいいでしょう。
本書では、日本語を出発点にします。たとえば、「駅で」なら、at the stationというつながりをまとめて頭に入れてしまうのが、本書の基本姿勢です。
前置詞や副詞を含んだイディオムの習得に関しても同じことが言えます。たとえば、「背広を脱ぐ」はtake off my suit、「(飛行機が) 離陸する」もtake offです。「背広」が「自分の身体」から分離していく状況と、「機体」が「陸地」から分離していく状況を重ねて理解していくアプローチで、これは大変有益な学習方法です。
しかし、有益なのはここまでです。take off the boss という表現を理解する場合、「上司」から「何」を分離するのかと考えても、正確な意味は導き出せません。これは「上司の物まねをする」という意味です。「特徴を上司から奪い取る」→「物まねをする」と理解するのも悪くありませんが、すべてこの調子で導いていては、手段と目的の関係を見失うことになりかねません。
前置詞を正確に使いこなすことが最終目標なのですから、そのための手段については柔軟に対応していくことをおすすめします。

私個人は、ここだけでも充分満足ですが、ファンの方たちは、本編で鬼塚節が健在かどうか確かめてみて下さい。
九時で宿直の先生と引き継ぎ帰宅。
明日はクラスマッチ。
私はグラウンドの係。
熱中症に注意すべし。
昼には「フォーラム」の打ち合わせも入っているので、慌ただしく過ごすことになりそう。

本日のBGM: 最後にひとつ (Bo Gumbos)