「プラマイプラスです!!」

高2最後のテストが出てきた。総括票とともに回収。総括票からいくつかコメントを。
これを読んでどんな授業を想像するでしょうか?
the songs of the monthのシリーズは英語力の伸びにどの程度繋がったか?

  • 感想を英語で書けるようになった☆☆
  • 自分の英文を先生に直してもらえるし、歌詞から多くの表現を学び取ることができました。
  • 聞き取りが前よりできるようになった。洋楽を聞く時、前よりも注意して歌詞を聞くようになりました。
  • 自分の考えを英語で書くこと。ワンパターンになりがちだったが、レパートリーが増えた。
  • 曲の内容でよく理解したので、その中にある単語が他の文章ででてきたとき、すぐに意味を思い出せるようになり、語い力が身に付きました。
  • 今まで適当にしていた時制に注意するようになった。長い目で空欄を見るようになった。
  • ただ教科書の文をやるより、歌をやった方が、作者の意図、韻、比喩、ストーリー性などたくさん勉強になりました。
  • 今まで英作文で全く感想を書くことをしたことがなかったので、表現についての単語を覚えることができた。また前後の関係から空所の予測が立てられるようになった。
  • 英語というより、一般常識が増えた。
  • 数字では表せないが、効果はあった。
  • 伸びはともかく、楽しかった。
  • 効果は分からないけど、英語を口に出すことが好きになった。

コメント集の活用

  • みんなのコメントを読んで歌の理解が深まった。
  • 修正された自分の文章を見て参考にした。他の人のよい表現を見つけたりした。
  • 他の人が書いた単語・成句を使えるようになった。
  • 自分の書いた英文が、正しくなって返ってきて、こうすればいいんだ、とわかりました。
  • 自分の書いた英文が、どう違ったかがわかるので、文章の書き方がだんだんわかってきた。
  • 先生が直してくれた私の感想の英文は自分で言えるようになった。
  • 自分の書いたコメントが直されているのを見るたび、目からウロコでした。
  • 色んな事についての印象を述べたい時に活用できたと思う。
  • 形容詞の語いが増えた。
  • カスタマーレビューの文章は読んだ。
  • カスタマーレビューで初めて見た難しい単語も、その後表現としてよく使えることが分かり、カスタマーレビューはしっかり見ていた。
  • 自分が思いつかなかったフレーズを探し自分のものにしました。
  • 英語ができる人の表現を見て、自分のwritingに活かそうと思った。
  • 同じ年の人が書いてると思うと、頑張らなきゃと思えた。
  • コメント集を読むことで、次の歌のコメントを書くときに活用できました。
  • 自分の文の添削や、速読などに役立ちました。

言語活動・表現活動・創作活動の自己評価

  • 夏休みはたくさん練習できた。英詩の良さを学んだ。
  • 英語を英語で言い換えることの難しさを知った。
  • パラフレーズもサマリーも、どちらも自分の言葉に落として言い換えるものだからこれをやると記憶に残ります。
  • acrosticはすごく難しかったけど、英単語の幅とかは広がったと思います。
  • 詩を探したり読みの練習をしているときがすごく楽しかった。
  • 覚えやすい詩を選びました。マザーグースをすごい好きになりました。
  • 詩はちょっと短めのものを選んだ。しかし「量より質」だと思う。
  • ものすごく英文を読み込んだ。課題文に目を通すだけでなく、自分の書きたい文章をacrosticの形で表すため、語いが増えよかった。
  • パラフレーズとサマリーはいちばん大変だったー!! けど諦めずにがんばった。いちばん力がついたのはこの活動過程だと思う。
  • サマリーはまとめることも大変だったし、それを英語にして、さらに簡単な英語でというところが大変でした。けっこうボキャブラリーが増えたと思います。

後輩への親身のアドバイス

  • 先生は「この課題は何の意味があるのか」ということは教えてくれない。テンションを下げている暇があったらとにかく課題をこなすこと。どっちにしろ後になれば分かる。指示は一回しかいってくれないから、ちゃんと聞いた方が良い。
  • 予習はした方が良い。分かってから聞くのと分かってないのとじゃ、たぶん楽しさも違う。
  • 予習よりも復習を頑張った方がよいと思います。
  • 復習をちゃんとやる!! この授業の予習は難しいと思うので、せめて復習。とにかく先生の話を聞き言われたことをすぐやる。辞書を引くことなどは家でもできるから、まず先生の話を聞く。とにかく授業が大事だと思う。
  • 授業中に全部終わらせるように真剣に取り組む。文法、単語などは自分でできる限りやるようにする。自宅学習でできることなので。
  • 授業中にしかできないような活動、先生の話を無駄にしない。
  • 先生は口頭でも重要な事を言うので、授業中はひたすら集中することが重要!! 先生の面白い話の時は笑って、それ以外は授業に集中!! めりはりが重要だと思います。
  • テスト前の帳尻あわせは不可能なので、授業に100%集中して下さい。授業中に一言も聞き漏らさないように!!
  • ペア活動もグループも相手や仲間の良い点を吸収して自分の能力を高めるべきだと思います。辞書は類義語や例文を調べるのに役立ちます。忘れないように!
  • 発音練習とかちゃんと声に出した方がよい。ペア活動、グループ活動は積極的に参加した方がよい。こういう活動で得たものは記憶に残りやすいし、周りの人から知識を吸収できる。
  • 一回一回の活動を大事にしてやれば、その時の活動で結構力がつくはず。
  • 自分で類義語を調べて書き出してみるとためになるし、案外楽しい。電子辞書の類語検索は便利。
  • 辞書は絶対に持参!! 授業中でも感想を書いたりする時も語いを増やすチャンスにする。
  • ペアで読みあう時間を無駄にせず、発音と共に文を覚える。辞書はあまり引かないで文脈から理解することをまず試みなさい。
  • 英語が苦手な人ほど積極的に。できる人から吸収する。帰国子女には頼らない。
  • 帰国子女でないからこそ、質問をどんどんする。
  • 気合いが重要です。
  • 自分が英語が苦手だったとしても、とにかく自分で考えてやる。
  • グループワークで割り当てられたことはしっかりやってくること。一人不真面目だと皆に多大な迷惑がかかる。「やらないこと」が迷惑になる。
  • 後でやればいいや、とか思わず、今やるべきことを今やる!! 話し合うことが大切。分からないことがあったらグループみんなに投げかけてみる。恥を捨てる!!「みんなのために、自分のために」。
  • とにかく寝るな、休むな、遊ぶな、です。死ぬ気で頑張りましょう。間違ってもいいから発言しないとダメです。語いの整理はルーズリーフとかにまとめて1年分見返すと将来の財産になると思います。
  • 英語の曲を聞いてみたり、洋画を観たり、英語の絵本を読んでみるなど、自分が興味のある分野から英語に触れていくと英語の楽しさが分かると思います。授業の内容は難しいけど自分の分かるところからまずやっていく、周りの人や辞書の力を借りて理解していけば英語の力はすごくつくと思います。

最も伸びた・進歩した・力が付いた・成長したと思う点

  • 英語の本を読んだり、映画を観たり、英語で日記をつけたりしてみたいと、英語への意欲がふくらんだと思います。
  • ひとつの文にはストーリーがあって、それについて考える力。
  • 文構造を理解して読めるし、1年前より発展した文が書けるようになった。
  • 発音が1年前と比べて見違えるほど良くなったし、帰国に対して自分は英語が喋れないからと引け目をあまり感じなくなった。
  • 英文を読む力。今までこんなに英文を多く、いっぺんに読んだことがなかった。英文で発表する力。どうやって言えば、聞く人が聞きやすいかとか。
  • 自分の気持ちをそのまま英語で表せるようになってきた。
  • 長文読解は得意だったけど、英作文は自分でもまだまだな所があったと思っていたので、この1年で英文を書くコツなどがつかめたのが良かった。単調な英文だけで終わらず、もっと質の高い英語を書けるように頑張ったと思う。
  • 一番身に付いたと思うのは文章力です。大変だったけど、必死でいつも作ったから。英語が気楽にできるようになった気がする。
  • 自分が表現したいことを英語で表す力。英語を英語で理解する力。
  • ただ文法・単語を学んだだけでなく、自分で英文を作るなどして「聞く」だけの授業でなかったため、本当の意味で英語力がついたと思う。
  • 英語への興味。長文でもあまり尻込みしなくなったかも。英作文。とりあえず伝えようと思って書けば意外に書ける。
  • 英文を読み取る力がついた。同じ文章を何度も読むので文の構成が分かり、何が重要なのかも読み取れるようになってきた。
  • 私が思ったことを英語で書けるようになった所です。気がつくと2学期後半くらいからは短いけどほぼ英語で感想を書いていたと思います。
  • どんな内容の英語の文章でも読もうと思えるようになった。
  • この授業があるときはほとんど常に「英語体勢」という戦闘体勢にいることで、前よりも理解力が高まったんじゃないかと思います。

愛憎メッセージ

  • 初めて先生の授業を受けた時、厳しい先生と先輩からも聞いていたため、一年間大変そうだなと思いました。実際慣れないうちは嫌だとも思っていたし毎回緊張していました。でも、いつの間にかあまりそう思わなくなって、自分から積極的に吸収しようという意識が出てきました。歌も最初はどの曲もあまり好きとは思えなかったのですが、何度も聴いていると自然と好きになっていました。先生の授業は他の先生の授業では受けられないようなものだったので、この1年間貴重な体験ができたと思います。一年間ありがとうございました。
  • 先生の授業はハードル高くて、最初はかなり焦ったし、「わかんない〜」ってパニックみたくなったときもありました。でも慣れたらびっくりするくらい早く過ぎていく授業でした。授業内容が充実しているからだと思います。そんな英語の授業は初めてでした。
  • 最初は迫力があって「なんて怖い先生だろう」ととてもおびえていたけど、怖いのはやる気のない人に対してだけで、ふだんはとても優しくていい先生なんだと思いました。今までの英語の授業とは全く違った質のもので、やっている最中はしんどいときも本当にあったけど、この一年間、先生の授業を受けることができて本当に良かったと思ってます。先生にはそれまで「英語=公式」で、英語を避けていた私に、「英語って面白い。もっとやってみたい」と考えを変えるきっかけをもらいました。
  • 大変でした。自分にお疲れ様といいたい気分。多分先生との1年は“発見”の1年でした。自分のダメさに気づき、新しい世界を見つけて、今、すごい満足なのです。
  • 先生のことは「教えられてやるより経験したことを活かせ」派だと思っています。周りにそういう先生がいなかったので、私達は新鮮さを感じた(というより最初はそれを通り越して反発した)のかも。2,3学期ともなると、皆、先生からの要求もわかってきていい授業が多かったと思います。受け身の授業でなく、自分の文の添削が返ってくる所が好きでした。
  • 一回一回の授業で学ぶことが多かったですし、何より先生の授業を通じて努力すれば純ジャパでも一人前に英語を喋れるようになると思えるようになりました。授業を通じて具体的な勉強方法を教えてくれたからです。先生の授業は1年間でしたが、二年間分位の英語力がこの一年でついた気がします。
  • 一年間というより、授業中の一瞬一瞬を大切に使ってきたつもりです。先生にはいっぱい怒られたし、授業に行きたくないって思う時もありました。でも、くじけないで、すねないで、がんばってきてよかったと思ってます。厳しい中のたまーにのやさしさがうれしかったです。先生の授業の活動の中にはスピーチの表現力、英作文での表現力、読解、単語力、全てを底上げするものが含まれていたんだなぁって今になって気づきます。今だからこそ、この授業の大切さが本当に分かった気がします。これからも英語でいっぱい表現できるような英語力を身につけられるように頑張っていきたいです。今までありがとうございました、こんな私を見捨てないでくれて。
  • 困ったこともたくさんあったけど、1年を振り返ってそれよりも得たものの方が多いと感じます。今となって去年の先輩のコメントは本当だったんだなぁ、としみじみ思います。(過去ログ参照→http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20060228
  • 先生の授業ではグループの活動が多かったので自分が帰国子女だということを実感する事がよくありました。結局帰国子女として授業を受ける際に忘れてはならないことは、「まだまだ自分が学ぶべきことがある」ということではないかと思いました。自分の身につけた英語と他の人が使う英語は、形の上では同じであったとしても違う思考をたどって使われたものである以上、自分がどれだけ英語力を伸ばせるかというのは自分が周りの英語にどれだけ敏感となりそれを吸収しようという意思があるかにかかっているのだと思います。そういうことに気づいた1年でした。これは予備校などでは絶対に学べないことです:-) ありがとうございました。

私の授業の特徴と言えるかどうかわかりませんが、私自身の意識としては、

  • All (in) Englishの授業ではありません。ただ、授業の8割以上は生徒の活動でしょうか。時に解説する私の言語はほぼ日本語です。
  • グループ活動が授業の生命線ですので、学期ごとにメンバーはシャッフルします。
  • 「何が何でもコミュニカティブな活動」と意識しているわけでありません。むしろ目の付け所、とかセンスを具体化しようとしています。
  • 入試問題から何か持ってくるというようなことは一切やりません。入試に出たか、とか、出そうかどうかということは全く気にしません。
  • オーラルイントロダクションはやりません。躓いたらそこで時間を取って対処法を考えます。
  • 単語集は使わないし、高2では小テストも一切やりません。定着のための復習は音読と暗誦でしょうか。
  • 作業のペースは速くても、じっくり考えて、喋るときは絶対に早口にならないように注意します。目標は「いとしこいし」です。
  • プレゼンなどの発表活動も、story message+音声が中心で、visual の要素は重視していません。教室の制約もありますが、ITの活用はあまりありません。

という感じです。『英語教育』誌で出てくるような今風の授業実践とはかなりずれていると思います。TOEFLもTOEICも英検もGTECも使っていません。その中で、では生徒は何をもって「英語力が伸びた」と実感し、自己評価しているのでしょうか。英語教育学者の方々には、そういう部分にも考えを及ぼして欲しいと思います。

さあ、あとは採点です。
本日のBGM: everybody knows (except you) ( The Divine Comedy)