Summer your learning so as not to simmer.

気がつけば、8月も中旬。
先週末に、英授研2017大阪大会に参加してきましたので、そのレポートをば。

ELEC同友会は昨年度末で退会したので、私が所属している、英語教育に関する「学会」も、もうこれを残すのみです。その意味では、私もまだ「英語教育界」への期待は残しているということなのでしょう。

今回、全てのプログラムを見ているわけではないし、全てを高く評価している訳ではありませんが、気のついた、気になったところ、自分が揺すぶられたところなどを掻い摘んで。

初日の「映像による授業研究」、植野伸子先生(筑波大学附属中学校)の授業は流石という感じ。
日本語を使うところと、英語を使うところを行き来する「シームレス」な感じは、もう「りえ様」に匹敵するレベル。質疑応答の際に、会場から「笑顔が素敵」というコメントがあったように思うのだけれど、「声の表情」にもっと着目(音声だけに(着耳?)して欲しいと思う。
2013年に「山口県英語教育フォーラム」で講師としてお招きした時のまとめがこちらにありますので、そちらもご覧下さい。まとめてくれたのは、mami tanaka さんです。深謝。

https://togetter.com/li/590932

次の、分科会形式では、「パフォーマンステスト」に関する発表に出ました。
根岸雅史+茶本卓子+蒔田守という安定の顔ぶれ。

私の質問は「お題設定」に関わる、「もっともらしさ」=「うさんくささ」と、「Can-doを作りましょう!」の大合唱と共に、みんなそっちへ流れていないか? というもので、主に根岸先生に向けられたのでしたが、根岸先生はいつも以上に誠実に回答してくれていたと思います。(「松井さんが赤いシャツを着て質問すると緊張する」というコメントは余計だったと思いますが…。)
参加された方がどの程度、根岸先生の回答の持つ意味というか重みを分かっていたか、が気がかりではありますが、二日目の、午後のプログラムを待っている時に、そのピンポイントを太田会長から指摘され、私の意図も補足でき、全国を回っている会長からの現場とのやりとりもお聞きでき、少々安堵はしています。

二日目の午前のワークショップは、高校の部に出たのですが、少々残念な時間設定と構成。
高校の授業の中に interactionをどう位置づけるか、というのは、この後に控えている、「映像による授業研究」の高等学校の部、を見る際の重要な視点となるはずだったので、できれば、高校での授業実践に明るい方に担当していただきたかった。

高校の部の「映像による授業研究」は、神戸市立葺合高校の、「普通科」での実践。授業者は 宮崎貴弘先生。
英授研ではもう何回も発表されている実力者。

とかく「英語科」、「国際科」、「SGH校」、「拠点校」などの実践が取り上げられることの多い「大会」で、そういう教育課程を一方でもちながら、そうではない「普通」のクラスでの実践を見せる、というのは大変に勇気のいることだと思いました。その意味でも、今回の発表は貴重なものでした。有難うございます。

ただ、私はほぼリアルタイムでツイッターで連投していましたが、教科書として与えられている「素材文」の読みが浅すぎるまま、その理解を踏まえた、活動に移っていたのが残念でした。
今回の「ねらい」が「即興でのやりとり」にあることは充分理解した上で苦言を呈しますが、「即興でのやり取り」をする前に、「書いてある文字通りのことがら」を「きちんと」読ませることの重要性を再考すべきだと思います。この部分に関しては、「教科書」を作る、書く側にも再考すべきことが多々有ると思うので、この後で詳述します。

二日目の午後のプログラムでは、西村秀之先生の大学院生としての「5ラウンドシステム」に関わる発表(途中経過報告?)がお目当だったので、今回の英授研大会参加の目的は果たしたかなと。

一方で、分科会で聞いた、IB関連の発表は、「なんだかなぁ?」というものでした。
用語の定義説明もなく、HOTs, LOTs の対比で、「深くて高度な思考スキル」を授業で課すと生徒はこんなに伸びるのです、と発表されていたのですが、

生徒の英語の「伸び」の指標として、AWLの出現率を、指導前・後で比較しているのだが、高2なら高2のシラバス全体におけるAWLの出現率(カバー率、露出率?)はどのくらいなのか?

と質問したら、「それは調べていない」という回答に「?」。
もう、見切りをつけて、そのあとはツッコミませんでした。ある題材を扱って、その資料英文に、集中的にAWL語彙が出現してたら、それに基づく意見を言わせたり書かせたりしても、コピペですんじゃうでしょ?「成果」を検証する、統計的手法の選択の遥か以前の問題ではないでしょうかね。


さて、先程「詳述する」としていた、二日目の映像による授業研究「高等学校」編。
見ていて、随分考えさせられました。

私自身、英語教育に関わる先進的な取組みをしている高校の視察ということで20年以上前に訪問している「神戸市立葺合高等学校」の授業だけれど、今回は普通科の高1の「コミュ英」が見られるという、貴重な機会でした。やはり、普通科ならではの苦労もあるなあと思って見ていました。
特に、「読解による内容理解」では、ペアを作って日本語で確認するフェーズを設けていて、好感は持てたのですが、いかんせん、教科書本文の読みが「浅いまま」で、意見交換など、「即興的なやりとり」に進んでいたので、その後の発展や深化に繋げるのは難しいだろうというのが正直な感想です。

写真で貼り付けた1,2枚目が、教科書本文になります。



そして、指導案で「内容理解」に関わる部分は以下のようになっています。

6. 本時の目標 
教師の発問に対して、即興で意見を表現することができる。
与えられたテーマについて、質問を効果的に使い、話を深めることができる。
教科書本文を読み、概要を読みとることができる。

このレッスンでの、パート1は、それに続くパート2と違い、一人称のマララさんの手記というか談話となっていることにまず注意が必要でしょう。
マララが記憶を頼りに状況を描写する、映像的な表現となっています。
「本時の目標」にある「概要を読みとる」ためには、その「マララのことば」を読んで、どの程度読み手である生徒の頭に「絵」が浮かんでいるか、が大事だと思うのです。

正直言って、私は、この教科書のパート1の英文だけでは一読了解とはなりませんでした。
でも、私は既に、マララさんについて様々な情報を持っているので、この本文では細かいところを気にせず「流し読み」をしても、その事件の起こった「状況」の理解に支障を来さないだけなのだと思います。言ってみれば、本文を読んでいるのではなく。既に自分の「内」にある「意味内容」を、この本文で「想起」しているということでしょう。

映し出された授業展開を動画から推測するに、語義を確認として扱われていた threat(s) と同等か、それ以上に重要なのが、以下に列挙する「書いてある文字通りの理解」の確認だろうと思うのです。

まずは、

Outside the door to the school, there were fundamentalists ....

の the door はどこのドアなのか、絵が描けているか?

ここでの「内」「外」の理解は、この後の記述の理解を大きく左右します。

また、次の、

our bus arrived

という局面では、私たちはどこにいるのだろうか?バスの外?内?

our bus の “our” の理解が問われるところでもあります。

We ran down the steps. の the steps. がどこの階段なのか?

定冠詞の the の認識が問われるところ。

The other girls all covered their heads の 名詞head は身体のど(こからどこまで)の部分か?
The other girls で、「その他全ての女子」で母集団から取り除かれ、残る「その人」とは誰? We? I?

ここは、この後に出てくる、I was the only girl whose face was not covered. につながる部分だけれど、そのような「書かれている文字通りの情報」が的確に読めているかを、いつ、どのように確認しているのか、が心許なかった。

さらには、

... before emerging from the door のthe door はどこのドアなのか?

申し訳ないが、映像に映っているペアだけでなく、クラスの生徒全員が分かっているとは思えませんでした。しかしながら、この部分が的確、適切に押さえられていないと、次の

When the bus turned ..., we ....

で、このバスは私たちが今乗っているバスなのか、それともこれから乗り込もうとするバスなのか?
の絵が描けないと思う。

主節にある、we suddenly stopped. の「私たち」が誰なのか?そしてその居場所がどこなのか、本当にわかっているだろうか? We は乗客たる女子、つまり人?それとも乗客の集合としてのバス?

ここも、先程の「内」「外」と絡んでくるところ。

表現で言えば、ここは

we had to stop でも、
we were forced to stopでも、
we were stopped でもなく、
stopped と一般動詞の単純過去形で書かれている事実・行動です。
ここはどんな情景を淡々と描写したものなのか?

そんなに簡単に通り過ぎていいものですかね?
教科書は大修館書店の Genius のBook 1。
「流石はG1レース!」というわけではないですが、ここがレッスンの最初のパート1というのはハードルが高いな、と思いました。「マララ証言」を前面に出した、オーセンティックな英語での手記を題材にしたいのであれば、コラム扱いでよかったのに、というのが偽らざる実感です。

私がこの教科書を読む前に知っていた「情報」は、次のようなものから得られたものの集積でした。

BBCの2013年の特集記事より。

http://www.bbc.com/news/magazine-24379018

ここにまず、「バス」と称されるものの描写があり、教科書の記述ではわからないことが書かれていることがわかると思います。

こういう「事物の描写の的確さ」がほとんど考慮されていないのが、日本の英語の検定教科書の欠点の一つでもあると思っています。

ここでは、「ニュース特番」的な扱いですから、”the bus was flagged down by …” という、「事実関係として」重要な記述がきちんとあることに注目して欲しいと思います。

次は、小さなメディア、短いニュース動画。
「バス」の「幌」や「三列ベンチ」の様子だけではなく、テスト中の下校風景で、「階段」のイメージもわかるようなつくりになっています。

https://youtu.be/N1Zd_FOprtk

こちらのABCの記事では、マララの証言を多く引いています。教科書にあるものと同じ表現も出てきますので、該当箇所を照合されたし。

http://abcnews.go.com/International/malala-yousafzai-describes-moment-shot-point-blank-taliban/story?id=20459542

そして、マララの証言として「一人称」のもので、より長いものが、こちらの現地(?)メディアのPUKHTUNKHWA TIMES。教科書の内容と重なっている部分が多くなっています。

http://pukhtunkhwatimes.blogspot.jp/2013/10/malala-yousafzai-bravest-girl-in-world.html

最後に、Mirrorから。こちらの記事が引いている彼女の談話が教科書に一番近いのかな?

http://www.mirror.co.uk/news/uk-news/malala-yousafzai-tells-moment-shot-2365460

このような「情報」を踏まえて、再度、教科書本文を読むと、教科書の本文での「言葉」の選択に、もう少し配慮があってしかるべきだったろうと思います。「教科書著者」側の問題です。
このままの記述では、やはり、「普通の高校生」には一読了解となりにくいと思うのです。

少なくとも、「内」「外」が明確となるような、

When our bus was called that afternoon, we ran down the school steps.

とか、

the other girls all covered their heads before emerging from the door and climbing into the white Toyota van with benches in the back.

などの描写は入れておくべきだったでしょう。

また、できれば、

I asked Moniba, 'Why is there no-one here? Can you see it's not like it usually is?'

というような、襲撃を予感させる異様さを示す描写や、

I slumped forward on to Moniba, blood coming from my left ear, so the other bullets hit those near to me.

というような、悲惨さを簡潔に物語る「流血」の描写と、「三発打った」という、残りの二発の弾への言及はしておくべきだったかと。

そして、このような襲撃事件の背景、襲撃前の日常の描写と、襲撃&銃撃場面の凄惨さと異様さ、をより的確に理解した上で、「即興的なやりとり」に移っていたら、と思うのです。

「普通科の生徒たちによる、(私の主観では)健気な努力を払った『即興的な活動』」には好感を持ったものの、「これは、高校英語にとって、物凄く深刻な課題を突きつけられているんだな」と思って実践発表を見ていました。

ノーベル平和賞に輝く、平和と人権と教育に一家言ある十代の少女の話す「英語」を「ことばの教材」としてどのように扱うのか?ということ。

当然「平和や人権や教育」に関する「メッセージ」を受け取ることは容易ですが、それは、この教科書の素材文にある「語彙」や「表現」を特段必要としなかったのではないかと思うわけです。
であれば、「英語」の授業である必然性は薄い。「マララさん『について』書かれた」英語ではなく「マララさん『自身が書いた』」英語を、インプットとしてこれを読み・聞きすることに意味を見いだすとしても、その「彼女のことばそのもの」から、何を学ぶのか?という問いかけですね。

「技能統合」が囂しく叫ばれる、近年の高校英語ですが、「読み」や「聞き」での内容理解に依存した、他技能の活動の「質」を高めるためには、まず「理解」の確認が必要だと思うのです。
次に、これこれこういった活動をするには、少なくともこの部分は、読み落としてもらっては困る、聞き逃してもらっては困る、という部分の確認です。
では、ちゃんと読めたかどうかを確認するまで、読み以外の技能は封印するのか?選択肢としては、それも「アリ」だとは思いますが、他のやり方もあるでしょう。
例えば、ペアでの即興活動を、2,3ペア行った後で、教師の側から私が示したような「発問」を施し、再度「本文の正確な読み」を求める、とか。行きつ戻りつしてでも、読む価値のある、意見交換する価値のある題材であれば、という条件はつくと思いますが。
私が、「5ラウンドシステム」に希望を見いだす要因、「5ラウンドシステム」に見いだしている可能性も、その辺りにあるのだと思います。


因に、私が、このパート1の「映像的表現」「描写」で、着目させたいと思ったのは、前後関係を表わすけれども、後戻りせず時系列順に処理できることが望ましい beforeでした。”The other girls all covered their heads before emerging from the door.” のところ。

私たちの日常での、このことばの「生息域」としては、新幹線・のぞみ号の車内アナウンスの英語などがあげられるでしょう。

Ladies and gentlemen. Welcome to the SHINKANSEN. This is the NOZOMI superexpress bound for HAKATA. We will be stopping at SHIN-YOKOHAMA, NAGOYA, KYOTO, SHIN-OSAKA, SHIN-KOBE, OKAYAMA, FUKUYAMA, HIROSHIMA and KOKURA stations before arriving at HAKATA terminal. 

の最後に出てくるbefore ですね。(嗚呼、この「のぞみ号」下りは、「新山口」に止まらない…。)

この before に関しては、高校卒業までに「実感」を持って欲しいと私が思う英語表現の一つです。拙ブログの過去ログだと、ここで扱っています。

http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20100226
豪州のABCニュースの記事から、銃の暴発事故から幸運にも一命を取り留めた男に関する描写。

The bullet went through his left arm before hitting his right forearm, shattering both bones.

このような、beforeを左から右、語順の通りに処理できるか、という投げかけをしていました。

ということで、苦言は呈しましたが、その苦言の半分(以上?)は、教科書の著者に向けられるべきものでした。今回の授業者である宮崎先生には感謝しています。
英語の授業が「ことばの授業」であることの意味をあらためて考えさせられる、授業研究であり、英授研なのでした。

また根岸先生の解答にかかわるもろもろや、5ラウンドシステムに関しては、また日を改めて書くかもしれません。

本日のBGM: You might as well smile (Glen Campbell)

More brilliant still, ....

年一回の職場の健康診断で今年も採血のトラブル。
健康診断受けて具合が悪くなって帰るってあり得ないでしょ?
これって、私の義務ではなく、雇用者側の義務だからね。
自分が信頼できる医療機関で受けて、その費用を雇用者側が負担すれば済むこと。
翌日は、地元水域の水量を確認した後、遠い方の湖までオールを回収に。練習を終えたばかりのF先生にご挨拶し、地元水域へUターン。選手と一緒に2Xで乗艇。いやー、水があるっていいな。
それにしても暑い。

土日は、神戸へ。
初参加となる、JES(小学校英語教育学会)の全国大会です。(私は、これが何の略称かもよく分かっていない、非会員の身分での参加です…)。

会場となる神戸市外国語大学のキャンパスも初訪問です。

私の関心は、文字指導とその関連領域。
オープニングの儀礼的もろもろに続く大ホールでの発表では、発表者の御当地自慢での「つかみ」みたいなことを皆さんがやるので、こういう流儀の学会なのかな?と色々心配に。
細波だった心へ、前後左右至る所から響く、スマホと思しき「シャッター音」攻撃。
これには参りました。

この後、教室での発表では、司会の方から撮影は原則禁止、事前に講師の許可を得ればよし、というような、きちんとした注意がなされていて一安心。

午前のプロは「語彙リスト」と「音韻認識」。
見終えて、お昼をどうしようかな、というところで、寺沢拓敬先生とばったり。
昼食をご一緒させて頂きました。

途中での雑談で気がついたと言うか、気がつかされたのですが、なんと、私はこの「学園都市」には以前一度来ていたのです。しかも、寺沢先生との(リアルでの)初対面もその時。
そう、「ナラティブ・シンポ」です。
会場は「神戸市外大」ではあったのですが、駅に隣接した「プラザ」のようなところでの開催だったのでした。もう8年も前のことなんですね。

詳しくは広島大学の柳瀬先生のブログを

http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2009/08/20091011-12.html
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2009/10/1.html

振り返りはこのあたりにも。
http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20091012

http://d.hatena.ne.jp/TerasawaT/20091011/1255402833

さて、午後のプログラムは、念願かなって、村上加代子先生のワークショップに参加。

「英語教育における特別支援のあり方---ディスレクシア指導に焦点を当てて---」

このために神戸にきたと言っても過言ではないので、早めに入室。立ち見が出るほどの参加者。奇しくも、ナラティブシンポでもご一緒したY先生がお隣に。

個人的には、途中で何回か「激しく同意!」と机をバンバンしたい局面もあったのだけれど、自分を落ち着かせて諸々を学ばせてもらいました。もっと時間を当ててもいいのにな、という感想です。
FBなど、オンラインでは頻繁にやりとりをさせてもらっていましたが、やはり実際にお会いして、話を聞き、話をすると、理解が違いますね。

このワークショップの内容は、村上先生のブログでスライドが公開されていますので、ある程度は推測できるかと思います。お手数ですが、そちらを訪問されて下さい。村上先生は「音韻意識」という言い方をされていますが、その言葉遣いの背景もブログを是非お読み下さい。

学習障害と英語指導を考える:特別支援の視点から。どの子もハッピーになるような指導を。

小学校英語教育学会(JES)「英語教育における特別支援」発表
http://blog.goo.ne.jp/itkayoko/e/859052122ad352a795405b3179e5098a

ワークショップ終了後は村上先生の前に長蛇の列ができていたので、ご挨拶せずに、基調講演へ。
信州大の酒井英樹先生。

いやー、ずっと、「指導要領」改訂とか、WGでの議論の経緯を話してくれていたんですけど、「指導要領」の話をしなければならないのは酒井先生じゃなくて、文科相の直山木綿子さんか、明日のシンポジウムで登壇する文部科学省・初等中等教育局・国際教育課・外国語教育推進室・室長という素晴らしく長い肩書きの佐藤人海さんなんじゃないの?と思って聴いていました。

基調講演のなかで触れられた、文字指導に関連して、一点苦言を。

「初学者によるアルファベットの手書き文字」の困難度を示した調査結果が資料として出ているのですが、英語圏での公教育の指導で既にわかっている、学習者の困難点を踏まえた指導とはかけ離れた、文字の類型や運筆に必要なmotor skillへの配慮がない、この日本国内の指導に基づく「調査結果」が、一体どのような真実を、どの程度反映していると言えるのでしょうか?

例えば、「小文字」。
いや、ホント、笑っちゃ悪いですが、CEFRを「世界基準」などと持ち上げて、新たな政策を進めているというのに、文字指導での手書き(handwriting)指導では、小文字から指導を始めないから、いつまでたっても「小文字の習得の具合」を示すデータがないっていうことでしょ?それは「手抜き」。

  • 手書きは小文字から書かせるんだよ!

とツイッターで叫んでいました。

三宮に投宿し、英気を養って、二日目。
山下桂世子先生の、「シンセティック・フォニックス」(ジョリー・フォニックス)の発表を聞こうと思っていたのですが、朝、電車が止まっていて、復旧を待っての現地入り。開始時間の5分前には教室に着いたのですが、既に満席、満室どころか、人が廊下にも溢れている状態で、断念。でも残念。

午前最後のプログラム、村上先生とチェン敦子先生の発表には席を確保してなんとか参加。「小学校3年生」になりきって、活動も体験しました。
ありがたいことに、村上先生、チェン先生、山下先生、先日の関西外大でお会いしたH先生、そして、Q&Asで村上先生の熱き魂に火をつけたS先生と、ランチをご一緒させていただくことに。

満室で発表が聴けなかった山下先生とはお隣の席で、文字指導についての私の考えも聞いていただきました。皆さん、本当に有難うございます。

充実したプログラムと軽食を終えて、私のJES初参加は終了。
今回、どうしても足を伸ばしたかった神戸のとある場所を散策して、帰路へ。

と思っていたのですが、猛暑のなか、坂を登って、写真を撮り降りてきたあたりで、滝のような汗。
ここ数年、こんなに汗をかいたことが無い、というくらいの「ダクダク」という拭きだし方で、イベント開催中の洋館でアイスコーヒーをいただいている間も、噴出は止まらず。
今回の神戸は新幹線往復なので、シアサッカーのシャツジャケットを冷房対策で持っていっていたのですが、大正解でした。いや、巨大な汗ふきタオルになった訳ですけど。
この洋館は、ハラトモ様が朗読会を開いた場所でもあるので、去る前に深呼吸。

まあ、切ない聖地巡礼というか、ノスタルジアの初詣というか、この土地には一人で来ることに意味があったので、その目的は果たして、満足はしています。

妻と同僚へのお土産に、お菓子を買い、自分へのご褒美には、前から気になっていた「ナガサワオリジナル」のKobe INK物語を1瓶買って帰りました。「はてなダイアリー」の方では「今日の1枚」で見えるのですが、こちらの「はてなブログ」では出ないので、色味を見たい方はこちらを。

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翌朝、洗濯物を干してから、万年筆のカートリッジをコンバーターに入れ替えて、試し書き。
モンテベルデに入れていたインクの漏れが気になっていたのですが、実は、先日から装着していたエルバンのカートリッジにひび割れがあったのですね。(配送時のトラブルがカスタマーレビューで多かったのですが、それが裏付けられた形です。)

コンバーターも順調で、インクフローもスムーズ、乾きもまずまず。
いい色。
一度好きになった色って、そう簡単に嫌いになれないものです。

本日のBGM: 塩屋(大江千里)

千々にものこそ…。

高3の読解は、例の「易しめ入試過去問流用素材文」をテキストにしたものから。
今度は「エイブン」ではなく「英文」でした。後半ちょっと「?」だけれど。

教材研究の際に、手書きで書いていく、という話を書いたのですが、どうしているのか?という疑問を持たれた方がいるようなので、こちらに、最初に書いたものと、そこから授業で生徒に教えている一連の記号付けを施したものと、授業での狙い、生徒の習熟度を勘案して、メリハリ、濃淡をつけた語義・定義や文構造の書き込みのある最終メモの3バージョンを載せておきます。

教材研究では、まず私はどう読むか、私ならどう(いう表現や論理で)書くか、生徒はどこで誤読、読み落としをするか、既習事項とこれからの発展とを考えたときに、ここで扱うべき語彙・表現・文法・論理・発想は何か、というようなことをやっています。

はじめの手書き版


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「名詞は四角化で視覚化」、「時制が決まればとじかっこ」などの一連の記号付け版


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授業用最終メモ書き版


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今回の「月」にまつわる事実関係や科学的推論、考察に関しては、英語ネイティブの子供を想定した「図解」を読む方が「わかりやすい」とは思います。



ただ、それにしたところで、「自分で読む」ことが読解力を身につけるための前提条件ですから、誰かがお膳立てしてくれた「わかりやすい」物語りを聞いているだけでなく、行きつ戻りつの、緩慢な歩み、宇宙空間なら「浮遊」の段階が必要なのだと思います。

本日のBGM: The Voyage of the Moon (Donovan)

That's how the wind is blowing.

公立より一足先に夏期休業。
日曜日には炎天下で高校野球応援。
進学クラスは連休明けの火曜日から夏期課外講座が始まりました。

高3は入試に向けた読解演習もやっています。
ただ、「易し目の入試長文」を使った教材って、英文がグダグダだったりスカスカだったりするんですよね。今使っているのは数研出版から出ている学校採択用教材。
愛媛大学の池野修先生の監修で「リーディングスキルの養成」を謳う一番易しい部類のもので、類書よりは被害が少ないということで選んだのだけれど、この第5課も例に漏れず、第3段落からグダグダ。第4段落は「英文」の体をなしていない…。

英文の善し悪しは読んでいても分かりますが、自分で書いてみると、酷い「エイブン」の場合は、途中で自分がどこか別次元に呑み込まれたかのような感覚に囚われることもあるので、心身の健康な方はご自分でも試してみるといいですよ。私はかれこれ20年くらい教材研究はずっとこの手法で続けています。

気分を変えるために、いつものように一度モンテベルデで全部手書きで書いていたのですが、インクをエルバンの「忘れな草ブルー」に替えて改めて書き直しました。やれやれ。

FBでは、昨日アップしていた、この「易し目読解素材文」を扱った高3の課外講座1コマ目が終了。

いつものように私の手書きノートのコピーを貼っておきます。

昨日、全文を書き写してから、語義や文構造、情報構造、論理展開、主題への収束など、こんな風に授業で扱う濃淡を考えていきました。

第一段落のaroundのパラフレーズにちょっと悩んだけど、この文脈だと(be) in active use が一番しっくりきますね。

第1段落


SB_L5_1.jpg 直

第2段落


SB_L5_2.jpg 直

第3段落


SB_L5_3.jpg 直

第4段落


SB_L5_4.jpg 直

これだけの時間をかけて、読み込む価値がある文章でしょうかね?

気象や気候に関する英文は「日常的」ではあると思います。
例えば、こういった「英語ネイティブ」の子供用の図鑑。
昨日職場に届いた「学級文庫」用の書籍のうちの一冊なんですけど、別に入試の過去問で解法の演習なんかしなくても、こういうのをしっかり消化吸収してくれればいいんですよ。
ホントに「宝の持ち腐れ」になりませんように。






上掲の写真が以下のリンクでダウンロードできます。

See_inside_weather_climate_cover.jpg 直
weather_climate_contents.jpg 直
Where_from.jpg 直
Where_inside_1.jpg 直
Where_inside_2.jpg 直
Where_inside3.jpg 直


夏期課外講座の「読解素材文」で扱ったものと該当、または関連するであろう、記述を抜き出して整理しておきました。
どうせ学ぶのなら、こういう英語を血肉化した方が余程いいのではないかと思っています。

See Inside Weather and Climate.pdf 直

本日のBGM: Fixing a hole (The Beatles)

the difference between loneliness and solitude

SLA研究の知見を取り入れ、TBLT的なアプローチで英語教育に取り組むとしても、「どの言語であれ、native writersは存在しない」という公理(?)からは逃れられないと思っています。その意味において、「ライティング指導の第一歩は文字指導から」と唱え続けているのです。

先日のJACETの「小学校英語の文字指導セミナー」で紹介した英国の教材(シリーズ)に、
Penpals for Handwriting (以下 PFH)があります。

私は、ケンブリッジ大学出版局から出ている「児童用テキスト」と「教師用指導書」を持っていって紹介したわけですが、このシリーズは実は、英国のHITACHIとのベンチャーで手がけたICT対応の教材となっています。

http://www.cambridge.org/gb/education/subject/english/literacy/penpals-handwriting-second-edition-series

日本だと、このシリーズを実際に指導で使っている学校や教室は多くないように思うのですが、兵庫教育大の吉田達弘先生のところでは、DVD版を購入したという話だったので、少しずつ広まっているのではないでしょうか。もし、使用中の方がおられましたら、情報交換などをお願いします。


全国英語教育学会での「小学校における文字指導」に関わる発表を見たり、巷の英語教育誌、教科書会社や企業のPR誌などを読んだりする限りでは、

小学校での英語の文字指導は、ペンマンシップのような四線の上に、ただアルファベットを写したり、書いていったりするドリルではなくて、児童が文字を書きたくなるような場面ややりとりの設定が肝心なんです。

という「有識者」が結構多いような印象を持っています。
私も、その部分は大事だとは思います。


ただ、私が指摘している一番のポイントのは、その後のことです。
書きたい気持ちが強くなれば、自然に書けるようになるものでしょうか?
文字認識と音韻意識、実際の運筆を支えるmotor skills などなど、実際に筆記具を手に持って書くということそのものをもっと深く考察するべきだろうと思うのです。

上述の、PFHの指導理念 (rationale) にはこういう文言が付されています。(p.5, Teacher’s Book 1)

3. Handwriting must also be practiced discretely and in context. Beyond the initial foundation stages, Penpals provides Workbooks for handwriting practice in the context of age-appropriate spelling, punctuation and grammar. Learning to associate the kinaesthetic handwriting movement with the visual letter pattern and the aural phonemes will help children with learning t spell. However, Penplas always takes a ‘handwriting first’ approach.

「handwritingの指導なのだから、当然handwriting-firstでしょう?」という「矜恃」のようなものが感じられます。

そして、その理念の最後は、fontについて。

4. Choosing the writing implement best suited to the task is an important part of a handwriting education. A Penplas Font CD-ROM supports practitioners who wish to use the Penpals font consistently in all aspects of teaching and learning.

初期段階では、Sassoon Infant を使い、その後発達段階が上がるにつれて joins がわかるような印刷がなされているのですが、これは、Sassoon系のフォントがもともと、fluentなrunning hand を実現することを想定してデザインされているからでもあります。

日本では、とかく「フォントおたく」のような捉えられ方をされがちですが、言語教育の現場で文字を扱うのに、その書体には無頓着、というのが私からすると違和感を通り越して、大問題に感じられます。

英語の発音はだいたいで良いんですよ、英語ネイティブの発音だっていろいろあるし、気にしていないから。

などと言って、

but, bit, bet, beat, bat, bot, bought, boat, bite, bait, bout, boot

の母音の違いは教えないで、同じ音で済ませる、という指導者は珍しいと思うのです。
であるなら、文字にしても、それぞれの識別、弁別ができ、よどみなく次の文字と連続し、語や句、さらには文が書けるように指導することになぜ「異」を唱えるのか、理解に苦しみます。

次のリンク先のコラムはお読みになったことがあるでしょうか?

松香洋子の私的小学校英語教育論
第5回 What and how
アルファベットの指導
https://www.mpi-j.co.jp/kiji/report_1508/

  • Rosemary Sassoon は書き順の権威?

これには驚くやら呆れるやら悲しむやら…。

前回のエントリーから、再録します。

7. Rosemary Sassoon

※ サスーンの代表的著作から、cとdだけでも英語を教える小中学校、高校に1冊揃えて欲しい。

a. The Acquisition of a Second Writing System. 1995. Intellect, London

b. Handwriting of the Twentieth Century. 1999. Routledge

c. Handwriting: the way to teach it (2nd). 2003. Paul Chapman Publishing, London

d. Handwriting Problems in the Secondary School. 2011. Paul Chapman Publishing, London

e. The Power of Letterforms: Handwritten, printed, cut or carved, how they affect us all. 2015. Unicorn Press

「(欧文)文字を書く」ということの問題点について、フォニクスの専門家、ましてや大家であっても、よく知らない、ということを知ることが大事だという好例でしょう。
確かに、戦後の実質アメリカによる占領で、教育制度改革に伴い、「アメリカ的」な指導法が「英語教育」にも大きく影響を与えました。Ball & Stick 体の「活字体;ブロック体」の指導が、英語圏では今日でも「当たり前」に行われている指導だと思われているのも、この「アメリカ的」な指導法が広まって行く辺りに源泉がありそうです。


それでも、少なくとも「文字指導」に関しては、
・ 出来上がった文字の形よりも、文字の型の類型化
・ 書き順よりも、motor skills
・ 語の書き方に移る前に文字の連続(joins)

を考えて指導するのが基礎基本ですから、そこには当然、「どんな文字を読ませて、どんな文字を書かせるのか」についての考察と対応、配慮が伴います。

上述のPFH の理念にあった、fontへの配慮・対応は彼らには必然なわけです。


先日の「小学校英語での文字指導セミナーの」でも、終了後に大文字のMに関しての質問があり、ちょっとどころか、かなりビックリしました。Mの真ん中の「谷」が基線まで届かないといけないと思い込んでいる人は多いようです。

大文字のM」の何を問題視しているんですかね?

「大事なことはそんなんじゃな〜い‼︎」(inspired by 岡村ちゃん) ということで、その他諸々を補足するハンドアウトを作りましたので、こちらで紹介しておきます。

MとW.pdf 直

つい先日発表された、「小学校外国語活動、外国語 研修ハンドブック」や「中学校学習指導要領解説」などを読んでも、やはり文字指導のうちの handwriting に関しては、「無策」に近い印象を受けました。

現時点では、教科化は時期尚早、外国語活動の前倒しではなく、現行の5年生、6年生の「活動」の充実を目指し、付け焼き刃ではなく時間をかけた教員の研修体制の整備を選択するのが、本来有るべき「教育」政策といえるのではないでしょうか?

「有識者」「専門家」に目を覚ましてもらうことを望むと同時に、やはり、現場の先生方が、「文字そのもの」に加えて「手書き (handwriting)」の基礎基本を学ぶことが必要だと思います。

そして、問題の「根」には、「それを今から学んで間に合うのか?」「学んですぐに指導に活かせるのか?」という、ともすれば答えたくない、答えを知りたくない問いが待っているように思います。

私に言えるのは、handwritingに関しては、このブログでまとめた情報や知見を活かして欲しい、ということと、新しく出た書籍で役に立つものを紹介することくらいでしょうか。

小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ 小学校外国語科内容論

小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ 小学校外国語科内容論

研修、研鑽も大事ですが、くれぐれも心身の健康第一でお願いします。
教育の「成果」は、それぞれ、それなり、そのうち、ですから。

本日のBGM: ダンデライオン 〜 遅咲きのたんぽぽ(原田知世)

文字指導の明日

大阪での「小学校英語の文字指導セミナー」終了。
偏に私の講演の時間超過で、最後のシンポジウムが不完全燃焼の方が多かったことと思います。深くお詫びします。

新しい出会いもあれば、旧交を温めるシーンもあり、依頼を引き受けて良かったのだろうな、と思いました。一番実感したのは、G大の「血」のようなものですね。若林先生のことばを反芻しています。

英豪の実際の教材も少しだけですがお持ちしました。
私自身そうでしたが、彼我の差を感じて、「じゃあ、この後、自分はどうするか?」というところで、悩み処です。で、やっぱり、悩み処では悩むしかないと思うのです。Instant remedy はないということでしょう。

JACET教育問題研究会主催 
「小学校英語教育における文字指導について」のセミナー
2017年7月1日 於:関西外国語大学

落ちこぼれを無くすための入門期における適切な文字指導として
〜 handwriting指導の基礎基本 〜
松井 孝志(まつい たかし)


当日の投影資料の写しと、レジュメとして配布したものの終わりに付けた「参考資料」をこちらで公開しておきます。くれぐれも二次使用の際は良識に則ってお願いします。(商用での利用はご遠慮下さい。私が引用しているものを再度引用する際など、オリジナルの出典の明記をしていただきたく思います。)

当日投影資料 (一部のスライドはカットしてあります。PDFで4.6MBありますのでご注意。)

20170701 文字指導プレゼン公開版(修正版)
20170701 文字指導プレゼン公開版(修正版).pdf 直
今回の資料作成に当たり、大名力先生(スライド6)、齋藤理一郎先生(スライド31)、手島良先生(公開版ではスライドは割愛)、松浦年男先生(スライド29)より貴重な資料をお借りしました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

以下、配布資料の見出しを掻い摘んで。

0. (再)入門期に於ける英語の文字指導での基本的な考え方
1. ライティング指導の第一歩は文字指導:Handwriting の基礎 6 段階
2. 文字の「からだ (=elements)」とその名前
3. 文字のプロポーションを考える:四線は必要か?
4. 様々なバリエーションとプロポーション
5. Italic Hand を模した各種書体
6. モデル提示
7. 身体知(筋感覚)を開発する指導の重要性
8. 単独・単一の文字から文字の連続・まとまりへ 〜 何を書かせるか?
9. 「視写」の難しさの要因
10. ドリルでは何回も書かせない
11.「分割&縦書きドリル」とその功罪
12. それでも視写は難しい
13. グリップ(pen hold; grip; grasp)
14. 姿勢と利き手
15. 最後に二人の先人の言葉を
  ローズマリー・サスーン
  Handwriting: the way to teach it (2003) “The priority for handwriting in the curriculum”

As there has been so little guidance on how to teach handwriting for so long, it has now become accepted that it is a problem to teach and to learn. This book suggests that informed and confident teachers should be able to teach the basic movement of letters quite quickly and in such a way that many of the problems that hold children back later on should never occur. This is not a matter of more resources or teaching time, but using them at the right time and in the right way.
Each school will have to decide how to arrange the curriculum to ensure that enough time is allotted for skill training, particularly in the first year of schooling. The more thoroughly handwriting is taught at the beginning the less time will be necessary later on.

参考資料

直ぐに検索・確認が可能な website など

1. 英国 National Handwriting Association のサイト
http://www.nha-handwriting.org.uk/about-nha/about-nha
2. 豪州タスマニアの department of education のhandwritingの手引(pdf資料、2009年版)
https://www.education.tas.gov.au/documentcentre/Documents/Handwriting.pdf
3. Rosemary Sassoon の書籍のサポートサイト (ダウンロード可能な pdf 資料あり)
https://studysites.uk.sagepub.com/sassoon/default.htm
4.「なぜSassoonなのか?」というSassoon フォントのPRブックレット
http://www.sassoonfont.co.uk/fonts/sas/WhySassoon1.3.pdf
5. briem.net 〜 書家、fontのデザイナーである Gunnlaugur SE Briem 氏のサイト
http://briem.net/index.html
6.「英語教育あれこれ:『どれ?』『それ!』」 手島良先生のブログ 
https://blogs.yahoo.co.jp/tokyo_larkhill



概説書・教則本などの書籍

7. Rosemary Sassoon
※ サスーンの代表的著作から、cとdだけでも英語を教える小中学校、高校に1冊揃えて欲しい。
a. The Acquisition of a Second Writing System. 1995. Intellect, London
b. Handwriting of the Twentieth Century. 1999. Routledge
c. Handwriting: the way to teach it (2nd). 2003. Paul Chapman Publishing, London
d. Handwriting Problems in the Secondary School. 2011. Paul Chapman Publishing, London
e. The Power of Letterforms: Handwritten, printed, cut or carved, how they affect us all. 2015. Unicorn Press

8. Penpals for Handwriting のシリーズ
※ NHAによる理論と実践の全面的サポートを得た、Cambridgeと HITACHI のコラボレーション。
DVDを使ったICT教材まで開発&実用済み。日本の学齢で言えば幼稚園段階から小学校卒業くらいまで系統的に教材が開発されている。
http://www.cambridge.org/gb/education/subject/english/literacy/penpals-handwriting-second-edition-series

9. Handwriting Practice のシリーズ
※ シリーズの1 が文字形成 (= letter formation)、2が連結 (= joining) を練習するためのテキスト。
 通称『マチェット本』  
https://www.schofieldandsims.co.uk/product/555/handwriting-practice-1
https://www.schofieldandsims.co.uk/product/556/handwriting-practice-2

10. Nelson Handwriting Developing Skills のシリーズ
※ 歴史と定評のあるネルソンのシリーズ。個人的には80 -- 90年代の指導体系の方が好きでした。
https://oup.com.pk/school-textbooks/english/english-workbooks/nelson-handwriting-developing-skills-book-1.html

11. Targeting Handwriting のシリーズ
※大きく6つの行政区分ごとに指導体系とフォントを開発しているオーストラリアで使われている教則本のシリーズ。
http://www.pascalpress.com.au/targeting-handwriting/



日本の英語教育・語学教育環境に配慮のある概説書や教則本

12. 『新英語教育講座 第三巻』研究社 (1948年) ※絶版
※第二次世界大戦の敗戦後、学制改革に伴い、「新制中学校」での英語指導を担当できる「英語教師」の養成が急務だったため編纂された「講座」のうちの一冊。「英習字」の執筆担当は篠田治夫。その前の「英語の綴字」の担当が松本鐘一、「ローマ字」の担当が星山三郎となっている。

13. 『語学的指導の基礎 (中) 英語科ハンドブックス 第三巻』 (研究社、1959年) ※絶版
※「英習字」の執筆担当者は寿岳文章。能筆家の「お手本」を多数収録。

14. 宮田幸一『教壇の英文法』研究社 (1961年) ※絶版
※ 改訂される前の初版にのみ収録の「第三部 語句・発音・文字」にある幾つかの項目 (247. 文字の画順、248-49. 小文字の発生、251. F、 252. TおよびF、253. 横棒と点、258. Syllabicationの法則、263. つづりを覚えさせる方法、など) での宮田の解説は、今日でも示唆に富む。

15. 宮田幸一『発音・つづり・語形成 教室英文法シリーズ8』研究社 (1969年) ※絶版
※ 第2部の「つづり」(pp.99-138) が、今日でいう「フォニクス」の原理原則を記したもの。受け売りに甘んじることのない著者ならではの、地に足の着いた記述となっている。

16. 『英語教育の歩み 変遷と明日への提言』中教出版 (1980年) ※絶版
※ 第2部の執筆担当者は若林俊輔。第1章 13.活字の字体---どういう字体を選ぶか (pp. 195-200)、
 第2章 3. 発音記号の論理 (pp.212-223) は文字指導と音声指導を再考する確かな足場となる。

17. 竹林 滋『英語のフォニックス 綴り字と発音のルール』ジャパンタイムズ (1981年;改訂版1986年) ※絶版
※ 音声学・音韻論といった学問的裏付けのある phonics の概説書。

18. 若林俊輔『これからの英語教師』大修館書店 (1983年) ※絶版
※ 文字指導に関しては、第10章 ― 第14章までが参考になる。1980年刊の上記 16. では「イタリックハンド」に手書き文字指導の活路を見ていた感のある若林が、ここでは「ローマン体を少々変形した書きやすい字体」を推しているのは興味深い。

19. 手島 良『スラすら・読み書き・英単語』NHK出版 (1997年) ※絶版
※ 「NHKラジオ 基礎英語」の講座からのスピンオフ教材。Sassoonフォントを採用した、読みやすく書きやすいモデル提示にしたがって実際に発音と文字(単語)をつづる練習ができる。

20. 成田圭市『英語の綴りと発音 「渾沌」へのアプローチ』三恵社 (2009年)
※ 文字から音声への類型化だけでなく、音声から文字へ、という類型を把握するのに役立つ。

21. 大名 力『英語の文字・綴り・発音のしくみ』研究社(2014年)
※ 発音と綴り字の関係や「ルール」と称されるものに関して、俗説の誤りを正すのに必読の書。

22. 『日本語学2016年11月特大号』明治書院 (2016年)
※ 特集「手書きの字形を考える」は、日本語の漢字、かな(カナ)をとりあげ、「読むための書体」「書くための書体」を考えるヒントを多数与えてくれる。



タイポグラフィー、文字デザインなど

23. 小林章 『欧文書体』(2005年)、『欧文書体 2』(2008年) ともに美術出版社
※世界的な文字デザイナー小林章氏の仕事。今回の発表スライドでも一部用いた Between 3も彼のデザイン。
ブログ:「小林章のドイツ日記2」
http://dnikki2.exblog.jp/

24. 小泉均 編著『タイポグラフィ・ハンドブック』 研究社 (2012年)
※ 基礎基本、定番、常識を知るための「ハンドブック」。



その他
25. 国際交流基金『文字・語彙を教える 日本語教授法シリーズ3』ひつじ書房 (2011年)
※「国語」としてではなく、「日本語教育」の観点で、「日本語の文字」を見直すための資料。

26. 笹田 哲 『書字指導ワーク 字を書くための見る力・認知能力編』中央法規 (2014年)
※「幼児教材のギザギザや波線をなぞったり書いたりする練習は文字を書くための練習にならない」などと嘯く前に、児童生徒の「認知」「視認」「運動機能」などについて、指導者(教師や親)がきちんと向き合うための本。


ワークシートの四線の写しがこちら。
今はエクセルなどの手軽なアプリでお好みの間隔を設定できるので、ご自分で作られるのが一番かと。

四線ヨコ(文対応)
ワークシート四線ヨコ.png 直

四線タテ(語やフレーズ対応)
ワークシート四線タテ.png 直


でも、期末テストの合間を縫っての大阪はちょっと疲れました。

本日のBGM: Throw You Over (Aimee Mann)

※2017年7月3日追記

過去ログのこちらの資料を併せてお読みいただくと、より今回の講演内容が理解できるかと思います。
益々、悩みが深くなるかもしれませんが…。

英語の文字指導
tmrowing.hatenablog.com

Time flies.

気がつけば6月もそろそろ終わり。
1年の半分が過ぎたことに。

前回の更新が中間試験後だったと思ったら、今、まさに期末試験の真っ只中。
今回は3学年6種類の作成です。

指導案を授業のコマの全てで書いて残す、などということは現実的に不可能ですから、印象に残る、または残しておくべき授業の記録をブログに綴って今日に至ります。その意味では、最近の更新頻度の低さは、授業がマンネリを脱していない、過去の自分の足跡をなぞるようなものであることの現れかもしれません。

確かに、これまでの記録から、発達段階のどの時期に何をやるか、大まかなシラバスと教材はできていますから、それを準備します。でも、入学者は毎年異なり、その習熟度もバラバラです。ここ数年、基礎学力が落ちているというよりも、基本的な学習済みであるはずの事項で、欠落している部分が、私の想定を超えている新入生が増えた印象です。では、高校入学以前に、既習であるはずの事項に代わる何かが優先されていて、それを身につけているのか?それがよく分かりません。おかげさまで、そういった「想定外」の事態に対応すべく、こちらのスペックはどんどん上がっているようにも思います。

高1では「意味順」をやっているので、文型分類はせず、動詞の意味と名詞の意味との関係性に着目して、目的語感覚の日英比較を取り入れています。
こちらが今年のハンドアウト。

2017「目的語」感覚を養う.pdf 直

使いたい方は、引用出典を明記していただけるのであればご自由に。でも「盗用」は「犯罪」です。「引用」って「盗用」とは違いますからね。「インスパイア」されたなら、「何に?」「誰に?」という情報は必須ですよね。まさに「意味順」の出番です。


1学期は中学校で学んだことの再入門と整理を目指しています。「助動詞の番付表」の導入も「小結」まで終わり、規則変化動詞の活用と、不規則変化する動詞のうち、「規則変化に近づきたいもの」という括りでABB型と読んでいる一群を教えていました。

こちらが、「規則変化動詞の活用表」

規則動詞の発音と綴り字一覧 (2017改良版).pdf 直

こちらが、「不規則といいながらもABBとなる動詞の活用表」

不規則動詞活用ABB型.pdf 直

期末試験明けで、「不規則変化動詞のABC型」と番付表の「平幕 (= do; does / did)」の整理をすることになるでしょうね。

この「平幕」の扱いに関しては、完全に「教わったようには教えるな」と説いた師匠の受け売りです。でも、一番やっかいなのは「隠れる?隠れない?」というところではなく、「現在形」とは何を表わす形で、「過去形」とは何を表わす形なのか?というところでしょう。

若林俊輔『英語の素朴な疑問に答える36章』(ジャパンタイムズ社、1990年)の、pp. 125-128には、今も踏まえておくべき重要な指摘がなされています。

26
I walk to school every day.
「現在」のことを言っているわけでもないのに、なぜ<現在形>を使うのか

例によって「絶版」ですから、こちらの写真でその一部をご覧下さい。

現在形1.jpeg 直
現在形2.jpeg 直

「説明1」では、

実は、英文法で<現在形>と呼ばれているものには、名前のとおり<現在形>であるものと、いわば「必ず形」と読んだ方がいいもの、この2種類があるのです。

と回答し、具体例で根拠を示しています。

また、「説明2」では、

英文法では、実は<現在形>という名称が不適切であることは昔から問題になっていました。そこで、I like pop music. のようなlike のことを<非過去形>と呼ぶ学者もいます。「過去のことについて言っているのではない形」ということですね。英語では、non-pastといいます。

という回答をし、筆者の見解を示しています。

やはり、言語事実と、学習者の発達段階、既習事項との折り合いのつけ方を考慮した上で整理と統合を図ることが重要だと思います。

現在時制の扱いに関しては過去ログでもかなりしつこく述べていますから、ここではリンクだけを示しておきます。

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110630
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20120718
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20121014

さあ、
この週末は「小学校英語での文字指導」セミナーです。
私の講演では handwriting に特化してお話します。良い意味で「揺すぶる」ことができればと思います。当然、私の視座も含めてです。

本日のBGM: ABC (ピコ from『ピコ・ファースト』)

taking liberties

前回から約1ヶ月が空き、久々の更新となりました。
GWの連休明けに、「教えて!絶版先生」の第10回の締めくくりをしようと、安井稔先生の著作をあれこれ読み返していたのですが、GW前後の「英語教育」を取り巻く動きが「イヤハヤナントモ」という感じで、「第10回」は暫しお預けです。

連休の最後には、上京して「座談会」に出席してきました。
こちらにある書籍の「高校教員」として。私以外の座談会メンバーは皆さん、高等教育に携わる第一線の研究者ということで、大変刺激的な会でした。出版が楽しみです。


これからの英語教育の話をしよう.jpeg 直

5月の「英授研」は関東支部、関西支部が同日の例会開催だったのですが、関東支部で緑川日出子先生が講演なさるということで上京し関東支部の例会へ。
講演の中で、Michael Swan の著作を勧めていて、わが意を得たり、という思いでした。
過去ログだとここで紹介しています。

一週間の詩
http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20121224

もっとも、私が駆け出しの頃に緑川先生に影響を受けているわけですからね。
非常勤になった頃に受けたご恩返しなど、これまで殆ど出来ておりませんが、英語教育において私のできる実作に励むことを肝に銘じて帰山しました。


先週末は、広島での「日本英学史学会」の研究例会へ。
県立広島大の馬本勉先生が、「令文社・学習英語辞典」にまつわる発表をされるという知らせを受け、これは千載一遇、とばかりに学会初参加。
日本での基礎語彙研究の歴史に関しては、馬本先生の研究にお世話になってばかりなのですが、今回の「学習英語辞典」に限っては、私のブログでの紹介が緒になっているとのことで、私の所有している、所謂「旧版」も持参しました。「新版」と二冊並べて見ることができるとは今まで思ってもいなかったので、感動。そして、研究の成果(の一端)にも感動。
Michael West の GSL を日本の英語教育へきちんとした形で移入した端緒が、「令文社・学習英語辞典」だったのではないか、そして、その中心となった人物が…、というスリリングな内容でした。

関連する一次資料をしっかりと集め、それを比較分析するというのは、研究者にとっては基本のキなんでしょうけれども、論文の「参考文献」でしかお目にかかったことのない資料の「現物」を拝見することもでき、「英学史」「英語教育史」に携わる方々の凄さを実感する一日となりました。

こうした充実の足跡の一方で、メディアを賑わす「英語教育」関連の話題には、アドレナリンが迸るやら、眩暈がするやら…。


小学校と中学校の新学習指導要領(案)に関するパブリックコメントの結果公表も終わった、と思った矢先に、「小学校英語」に関わる、トンデモな情報が漏れてきました。

5月25日の読売新聞朝刊では一面の扱い。流石に総理の広報紙。いつまで読めるかわかりませんが、リンクだけ。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20170524-OYT1T50120.html

度肝を抜かれました。
施行規則を変えて、「総合的学習の時間」まで使って、授業時数をごまかした中で実施しなければならないようなものを「教科化」する必要や意義があるのでしょうか? 「教科化」も「前倒し」も白紙に戻すのが筋でしょう?
これって、「総合的学習の時間」って、実は何やったって同じ、何やったって変わらないんですよ、っていうオフィシャルな宣言でもあるんですから。
現行の「外国語活動」を必修化した時 (2011年) に、どのような理屈をつけていたのかを考えれば、「総合」の枠を食うような「外国語活動」や「教科」はありえないはずです。

パブコメはこちらからどうぞ。

小学校学習指導要領、中学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置案に対する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000901&Mode=0

時間割に入らないものをモジュールなどといってウヤムヤごまかしの見切り発車するのか、という「現場」に配慮したらしいのですが、あろうことか、「総合的学習の時間」の大枠から「外国語活動」「英語」に一定の時間を割いてもよろしい、という「容認」へと舵をきりたい模様。

時間数ばかりが問題ではありません。
資料にはこうあります。

・ 平成30年度及び平成31 年度の第3学年及び第4学年の外国語活動の指導に当たっては、新小学校学習指導要領の規定の全部又は一部によるものとし、新小学校学習指導要領第4章第2の2〔第3学年及び第4学年〕(1)イ(ア)及び(3)1に係る事項は必ず取り扱うものとする。【(i) 英語の音声やリズムなどに慣れ親しむ、(ii) 日本語との違いを知り、言葉の面白さや豊かさに気付く、(iii) 聞くこと及び話すこと[やり取り][発表]の言語活動の一部】

・ 平成30年度及び平成31 年度の第5学年及び第6学年の外国語活動の指導に当たっては、現行小学校学習指導要領に規定する事項に、新小学校学習指導要領第2章第10節の2の全部又は一部を加えて指導するものとし、新小学校学習指導要領第2章第10節の2〔第5学年及び第6学年〕(1)ア、同イ(ア)、同エ(ア)e 及びf、同エ(イ)並びに2〔第5学年及び第6学年〕(3)1イ及び同オに係る事項は必ず取り扱うものとする。【(i) 音声、活字体の大文字と小文字、(ii) 文及び文構造の一部、(iii) 読むこと及び書くことの言語活動の一部】

「新指導要領」での「外国語活動」「教科化」での時間割問題、教員確保の問題等、「見切り発車」がこれだけ問題視されているというのに、その見切りで発車する列車へと接続する「移行措置期間」の列車は、「総合的学習の時間」を食って時数のごまかしで運用しようという言語道断。

ここにある文言のうち「必ず取り扱うものとする」という意味、重さを皆さん理解していらっしゃるでしょうか?

平成30年度って来年度ですよ?
「文字指導」のノウハウって、共有されているの?
そんなにしてまで「教科化」したい人たちに聞きたいです。
何かというと、「伝えたい気持ち」が大事、「やりとり」のできる英語力を、などと言うんですけど、「伝えあい」で、話す内容が漏れないように、予め、キーワードだけメモしておくとか、「伝えあい」をしたあと、自分が相手から聴いた内容を忘れないようにメモする、とか、「書くこと」って、この入門期の段階でもかなり大変なタスクですよ。
そんな個々の児童の表現内容に対応した臨機応変な「メモ書き」ができるような「文字指導」までホントに出来るんですか?

無理なものは無理、無茶なものは無茶、と言わないと。土俵が相手の都合で勝手にどんどん狭められていくのに、いつまでも相手の土俵で戦おうとして苦しむのはいい加減に止めませんか?

「ユーシキシャ」はこんな暢気なことを言ってくれるだけです。

「中1」で英語を嫌いになってしまう理由
小学校教員が導く役割は大きい
http://president.jp/articles/-/21966

「外国語活動を3、4年生まで下ろして、そこで体験的に英語を学んだものをベースに、学区内で格差がないように5、6年生で基礎作り…。」というのだけれど、なぜ「学区内で格差がない」と言えるのですか?

・現状できちんと英語を教えられる小学校の先生ばかりではないので、夫々の小学校での取り組みとその成果にバラツキがあるのではないのでは?
・では、それが3、4年生に降りて行った後の、5、6年生の指導と成果が異なる学校間で均質になる根拠は?
・例のDVD教材が各学校各学年に揃ったら万事解決する?

いったい「誰得」なんでしょうか?


文科省の中の心ある方たちにお願いです。
せめて、土屋澄男先生の次のブログ記事を読んで考え直して下さい。

桐英会ブログ (土屋澄男)

<番外>書評:大修館書店『英語教育』6月号特集「小学校英語」
http://kiyofan.com/blog2/?p=2402

「コア・カリキュラムでの『コア』とは?」と「高大接続での英語外部試験への丸投げ大作戦」に関しては、また日を改めて。

本日のBGM: 勝手にしやがれ(沢田研二)

先輩後輩

先日お伝えしていた、「文字指導」関連のセミナーの告知です。

下記のお知らせにある「問い合わせ」「申込み」はそれぞれ「アットマーク」の部分を記号に変えて、メールをして下さい。
今回のセミナーはあくまでも「小学校英語での文字指導」を考えるためのものですので、その趣旨をご理解の上で参加をご検討していただければと思います。

JACET教育問題研究会が主催して
「小学校英語教育における文字指導について」のセミナーを
下記の要領で開催します。


日時:2017年7月1日 13時開始
会場:関西外国語大学中宮キャンパス 本館二階
多目的ルーム

参加費無料,参加希望の方は,参加登録が必要です。
申込みの際には、「ご所属」を明記の上、
shiensakaiアットマークgmail.comまでメールをください。
先着80名までに参加証をお送りします。


趣旨:中学校の入門期での文字指導についてはそれなり
の研究がなされてきましたし,研究の成果も実践されて
きました。しかし,小学校では,文字指導が積極的に推
進されなかったためか,そのような研究を受け継ぐこと
もなく,指導者の考えがバラバラのまま入門期の文字指
導が行われようとしている感があります。


本セミナーでは,
中学入門時(高校再入門時)の文字指導の第1人者に,
文字指導の知見について講演を行っていただきます。


次に,小学校で指導していらっしゃる先生に,小学校で
のローマ字指導(訓令式,ヘボン式)とフォニックスに
ついての考えを整理していただきます。


そして,小学校の英語指導者に,現場に沿った文字指導
はどうあるべきかを議論していただきます。


会場からもご意見をお聞きし,小学校での文字指導を考
えるきっかけにしたいと思います。


時程

13:00-13:50「落ちこぼれを無くすための入門期における
適切な文字指導として ~ handwriting指導の基礎基本」
松井孝志先生(山口県鴻城高校)


13:50-14:20「小学生に対する文字指導,訓令式,ヘボン式,
シンセティックフォニックス(特にジョリーフォニックス
に焦点を当てて)の整理」樫本洋子先生(大阪教育大学附
属小学校)


14:35-16:05
シンポジウム「小学校教育における文字指導について」
シンポジスト:土屋佳雅里先生(杉並区小学校英語講師)
「子どもたちの声から探る文字指導」,
成田潤也先生(厚木第二小学校)「小学生目線の文字指導,
文字を書くことの意義を小学生目線で考える。
加藤拓由先生(春日井市立鷹来小学校)「ふつうの公立小
学校でできる、ふつうの文字指導とは?」,
司会:村上裕美先生(関西外語大学短大部) 


このシンポジウムについての問い合わせは
酒井志延 (shienアットマークcuc.ac.jp)まで。

くり返しになりますが、今回のセミナーはあくまでも「小学校英語での文字指導」を考えるためのものですので、その趣旨をご理解の上で参加をご検討していただければと思います。

私の「小学校英語」に対する基本姿勢は、過日の「パブリックコメント」にある通りです。

過去ログはこちら
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20170311

その私が、「小学校英語」に関わる研究会で「文字指導」の話、しかも handwritingに関わる話しをする、ということの意味も合わせてお考え頂き、参加していただければと思います。

中学校、高等学校でのライティング指導から見た文字指導ということでしたら、お住いのエリアの教育委員会や、中英研、高英研、または英授研などの学会に「研修会」や「講演」のリクエストをあげていただくのが良いかと思います。

本日のBGM: 宙船(中島みゆき)

20170505追記
英語の文字指導に関する過去ログでは、次のエントリーが一番まとまっていると思いますので、是非一読をお願いします。
とりわけ、指導者の指導者に当たると思われる大学の先生におかれましては、リンク先の画像も含めて彼我の差を確認して下さるよう、お願いします。

英語の文字指導
tmrowing.hatenablog.com

「二人で写真を撮ろう」

新年度も淡々と進んでおります。

新入生の保護者会も終わりました。
2017年度の入学生は、2020年度の大学受験生、ということなので、「高大接続改革」で何かと話題の「外部試験」を利用した入試について英語科の担当として説明も加えました。

情報に躍らされることなく、「英語力」を身につけることを主眼として日々の学習に取り組み、それを試す場として「外部試験」を利用して欲しい。

というスタンスです。

先日のエントリーで取り上げた、「広島大学」の「みなし満点」の事例も紹介しました。
その際に、色々なところで目にする、外部試験とCEFRとの「対照表」について、適切な理解につながるように私の方から説明を加えました。
殆どの保護者の方は、進研模試とGTECの関係はあまりご存知ではないし、英検とTOEIC、TOEFL辺りは知っていても、ケンブリッジ英検やIELTSなどはよく分からないようです。

私が東京都の高英研の月例会発表をしたのが1997年、今から20年前ですが、当時の勤務校で外部試験対策講座を開講していた関係で、IELTSの二つのモジュールでのライティングの扱いなども資料を使って説明を加えていましたが、まだまだ一般には浸透していないのでしょう。

ただ、この「独り歩きしてしまってもはや誰も止められないかのような」対照表には気をつけなければなりません。

広島大学で満点とみなす「四技能対応の外部試験」で、日本の英検(実用英語技能検定)の準一級とケンブリッジ英検のFCEが、「対照表」では同じ扱いなのですが、私が専門と称する「ライティング」の出題で、両者を比べたことがある方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

まずは英検。

準1級の過去問・対策(英検)
http://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p1/solutions.html

2016年度の第3回の問題がこちらからダウンロードできます。(期間は限られています)
http://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p1/pdf/201603/2016-3-1ji-p1kyu.pdf

このpdfファイルのp.14にライティング問題 (ここではcompositionと呼ばれているようです) があります。
与えられたお題に従い、四つの観点を含めて120-150語程度で書くことを求められています。お題は1題で、所謂「意見文・論証文」です。筆記試験には語彙や文法、リーディングも含み、試験時間は90分。リスニングテストで30分。合計で120分となっています。



次にケンブリッジ英検。

Cambridge English: First (FCE)
Exam format
http://www.cambridgeenglish.org/exams/first/exam-format/
ライティングセクションは、2つのパートで構成され、このセクションだけで1時間20分の試験時間が割り当てられています。サンプルはこちらにあります。(zip ファイルですのでご注意下さい)
http://www.cambridgeenglish.org/Images/174037-first-2015-sample-papers-1.zip

ライティングとは言っても、”letters, reports, reviews and essays” という多様なジャンル、テクストタイプ (text types) をカバーすることを求めています。


ケンブリッジ英検のFCEのPart 1 の形式って、英検準1級の形式に似てますね。え?ギャグ?いや、逆ですかね?
分量は英検の120-150語に対して、ケンブリッジは140-190語。この差は何によって生まれますかね?何によって埋められますかね?

ケンブリッジ英検のPart 2は3つのうち二つを選べばいいので、与しやすい印象を与えますが、どれを選んだとしても、Part 1のお題では測れないライティング力を診ようという「狙い」がよくわかります。なぜ、この試験に First という名前がついているか、重みが伝わってきます。

でも、この二つの異なる試験の「ライティング技能」って、同じ扱いでいいんですかね?
広島大学に限らず、これから「外部試験」を利用しようという大学は増えるように思いますが、ケンブリッジ英検のFCEを受験生に要求しますか?

私なら、高校生に求めるライティング力としては要求水準が高過ぎると思います。
ケンブリッジ英検には、このFCEの下に位置づけられる Preliminary (= PET) という試験があり、その試験での上位合格で充分かと。(適切な理解がされていないこともあり残念ですが、学校などの教育機関で学ぶ人を対象とした、PET for Schools も同じ扱いで、GTECの学校団体受験やTOEFLのITP版などとは違って、合格が公式に認められる試験です。)

PETの概要はこちら。

http://www.cambridgeenglish.org/exams/preliminary/exam-format/

サンプル問題はこちらから(zipファイルですのでご注意下さい)。
http://www.cambridgeenglish.org/Images/23318-preliminary-sample-paper-6.zip

PETでは、筆記試験はリーディングと合わせて90分。
ライティングのセクションは、3つのパートで構成され、7題。
Part 1は所謂「語彙と文法」の空所補充完成が5題。ただし、選択肢はなし。
Part 2 は状況設定のある「お題メール」で、35-45 語。
Part 3 は選択問題。Part 2より長い返信メール (100語)、または、書き出しの与えられた物語文の創作(100語)。

「こんな問題では大学入試としては易しすぎる!」と息巻くのではなく、東大や一橋大や金沢大で過去に出題された、「写真」「絵」を元にした「描写文」や「創作物語文」の基礎として捉えられればいいのですけれど、何かに囚われているとそういう頭の切り替えが難しいのでしょうね。


さて、
今年度から、学校全体として「全ての教室に新聞を」と題したメディア・リテラシー養成、クリティカル・シンキング育成の新たな取組が始まりました。
今朝、教卓の上にあった二紙とも、1面には「フランス大統領選」についての記事があり、決選投票の見込み、という見出しと候補者お二方の写真が並んでいました。

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この企画が表面的なものとならずず、定着することを願っています。


肝心の授業の実作も淡々と進んでいます。
高3は「診断テスト100」が先週末で70まで進みました。1題の診断テスト分で、ノートの1ページを使って、今後の学習の足場を作ってもらっています。問題集でも模試でもいいのですが、できれば、自分で読んだり、聞いたりした英語から、または自分で表現した英語から、関連事項をこのノートに記録していけると、試験のスコアや偏差値では測れない自分にとっての意味・価値のある「英語発想&表現ノート」が出来上がると思います。

読解系の授業では、昨年度の反省から、類書と比べてできるだけ被害の少ない「英文」を求めていましたが、そうすると英文の難易度が上がるので妥協の産物で選んでいます。

例によって、私の手書きノートをば。

SB_1_1.jpeg 直
SB_1_2.jpeg 直
SB_1_3.jpeg 直
SB_1_4.jpeg 直

・時制の統一
・結論での主題への収束
という観点での読み直し(書き直し?)が求められる素材です。
第3段落からの展開に難がありますが、webで出典はヒットせず。

今日の授業では、

第3段落で、general な話題を振っておいて、それを回収せずに第4段落が始まった感じですね。ここは、「月の運行」の話だけに、「新月」で見えないんでしょうか?

太陰暦では、1年を構成する日数が足りない問題を、太陽暦の採用とうるう年の採用でどう解消したのか、という部分の考察・記述が甘く、浅いので、最後の一文が何か取ってつけた、紋切り型に響いて終わってしまう。Leap Yearが出てきたので、途中の理路整然としたサポートも「跳んだ (leapした)」んですかね?

とコメントをつけておきました。いや、このような英文で入試の合否が決まってしまうわけでうから、笑っている場合じゃないんですけどね。

こうして見て来ると、旧課程の英語IIBやリーディングの「検定教科書」でオリジナルを改編せず収録していたものであれ、教科書著者による書き下ろしであれ、 Reading Course というものをちゃんと作っていた方たちを改めて尊敬します。

高2は産みの苦しみです。
教科書を「身につける」ことの重要性をどれだけ切実に感じているか。「インプット」とか「インテイク」とかラベルを貼って誤魔化さないで、地道な取り組みをすることを求めています。

昨日は、本文の読みが終わってから、教科書のTM付属の “Easy Versions” と本文の読み比べ。オーラル・イントロダクションをしないので、この「易しい版」を足場として、本文と行ったり来たりができるかどうか。ともすると、この「易しい版」にも、いろいろ書き込みをしないと分からない、と思いこんで、いつまで経っても自分の英語が育ちませんから。

今日の授業では、ひとつの課を通して、Q&As。
まずは、質問の空所を聞き取り書き取る作業から。意味順と助動詞の番付表、そして足跡ですね。
ただ、多くの教科書の内容理解の設問は Wh- による事実確認から、直ぐに「推論発問」に跳び、とかく、personal involvement な質問で、自己表現させようという欲目が目立ちます。

Open questions と closed questions とを合わせ鏡にして、的確に情報を引き出す訓練がもっと必要でしょう。

先週の土曜日課外講座を利用して『P単』の「100個一気食い」をやったばかりですが、日常の中にどれだけ丁寧に仕込みの時間を作れるか、が大事。そもそも、その日本語がどんな意味なのか?を知らないことだって多いのだから。それを踏まえた上でのコロケーションの類型化、記憶の引き出しから引っ張り出すトレーニングを積み重ねられるか、ということです。

学校設定科目の「クリエイティブ英語」では、『コーパス口頭英作文』での、1秒反射を目指します。
日→普通の速度の英→やや速い英、という(モデル)音源の構成を最大限に活かして欲しいものです。浦島先生も、この音声の収録方法の特許を取っておけば良かったのに…。

高1は、文字指導、発音指導から。
文字の形、フォント、文字の名前と発音。「フォニクス」的なアプローチも取り入れています。
筆記具の持ち方から、文字のプロポーション、バランスを経て、縦書きドリルへ。

先週の土曜日課外で扱った教材はこんな感じです。

短単春期課題発音縦書きドリル.pdf 直

『短文で覚える英単語』の第1章にもとずく診断テストの振り返りから、所謂「フォニクス」的なアプローチを取り入れて、縦書き練習。
一番左のブロックを縦に読み、音読し、共通点・相違点と調音上の注意をした後で、右の下線部に、それぞれの語の縦書き練習。
罫線に沿って、同じ語を右側に何回も書く、という指導はしていません。書いても1、2回で済むように、各ブロックの単語(2〜4語)の配列に苦労しました。

この初回で、今までやってきたことがいろいろ繋がって「腑に落ちる」生徒もいれば、まだまだ半信半疑のように取り組んでいる生徒もいます。

音韻認識が育つまでは、生徒を観察しながら、行きつ戻りつ、続けることしかないのでしょう。
講座終了後、「先生、someとかmoveとかは、最後のeを読まないけど、今日やった原理原則のようにはなっていませんよね?」と聞きにきた生徒がいて、「いいところに気がついたね。」と褒めた後、少し対応し、「不規則に見えたり、例外に見えたりするものは、どちらかというと使用頻度が高い」というコメントを加えておきました。
外来語というか、英語にとっての借入語の話はおいおい。

間違って覚えてしまったり、覚えにくかったり、というのは初学者に限らず、当たり前のこと。「分割・縦書きドリル」で、ターゲットを絞って一つずつ片付けます。

分割・縦書きドリル.pdf 直

「進学クラスなのに…」と、できないことを嘆くのではなく、イマココでやるべきことに注力です。
中学校の先生方には、入門期の指導を焦らずに、そして、「中1の最初に指導したから」と思わずに、「学習材」が難しくなるのに合わせて継続的に「文字指導」、handwritingの指導を続けてほしいと願うばかりです。

今年は、どこかの学会で「文字指導」の、しかも ”handwriting” の指導法についてお話する機会ができることと思います。
詳しいことが分かりましたら、このブログや他のSNSでも告知します。
更新頻度は少なくなったこのブログや、「つぶやき」の方も、少し気にしておいて下さい。

本日はこの辺りで。

本日のBGM: 愛をこめて花束を(Superfly)