千々にものこそ…。

高3の読解は、例の「易しめ入試過去問流用素材文」をテキストにしたものから。
今度は「エイブン」ではなく「英文」でした。後半ちょっと「?」だけれど。

教材研究の際に、手書きで書いていく、という話を書いたのですが、どうしているのか?という疑問を持たれた方がいるようなので、こちらに、最初に書いたものと、そこから授業で生徒に教えている一連の記号付けを施したものと、授業での狙い、生徒の習熟度を勘案して、メリハリ、濃淡をつけた語義・定義や文構造の書き込みのある最終メモの3バージョンを載せておきます。

教材研究では、まず私はどう読むか、私ならどう(いう表現や論理で)書くか、生徒はどこで誤読、読み落としをするか、既習事項とこれからの発展とを考えたときに、ここで扱うべき語彙・表現・文法・論理・発想は何か、というようなことをやっています。

はじめの手書き版


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「名詞は四角化で視覚化」、「時制が決まればとじかっこ」などの一連の記号付け版


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授業用最終メモ書き版


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今回の「月」にまつわる事実関係や科学的推論、考察に関しては、英語ネイティブの子供を想定した「図解」を読む方が「わかりやすい」とは思います。



ただ、それにしたところで、「自分で読む」ことが読解力を身につけるための前提条件ですから、誰かがお膳立てしてくれた「わかりやすい」物語りを聞いているだけでなく、行きつ戻りつの、緩慢な歩み、宇宙空間なら「浮遊」の段階が必要なのだと思います。

本日のBGM: The Voyage of the Moon (Donovan)

That's how the wind is blowing.

公立より一足先に夏期休業。
日曜日には炎天下で高校野球応援。
進学クラスは連休明けの火曜日から夏期課外講座が始まりました。

高3は入試に向けた読解演習もやっています。
ただ、「易し目の入試長文」を使った教材って、英文がグダグダだったりスカスカだったりするんですよね。今使っているのは数研出版から出ている学校採択用教材。
愛媛大学の池野修先生の監修で「リーディングスキルの養成」を謳う一番易しい部類のもので、類書よりは被害が少ないということで選んだのだけれど、この第5課も例に漏れず、第3段落からグダグダ。第4段落は「英文」の体をなしていない…。

英文の善し悪しは読んでいても分かりますが、自分で書いてみると、酷い「エイブン」の場合は、途中で自分がどこか別次元に呑み込まれたかのような感覚に囚われることもあるので、心身の健康な方はご自分でも試してみるといいですよ。私はかれこれ20年くらい教材研究はずっとこの手法で続けています。

気分を変えるために、いつものように一度モンテベルデで全部手書きで書いていたのですが、インクをエルバンの「忘れな草ブルー」に替えて改めて書き直しました。やれやれ。

FBでは、昨日アップしていた、この「易し目読解素材文」を扱った高3の課外講座1コマ目が終了。

いつものように私の手書きノートのコピーを貼っておきます。

昨日、全文を書き写してから、語義や文構造、情報構造、論理展開、主題への収束など、こんな風に授業で扱う濃淡を考えていきました。

第一段落のaroundのパラフレーズにちょっと悩んだけど、この文脈だと(be) in active use が一番しっくりきますね。

第1段落


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第2段落


SB_L5_2.jpg 直

第3段落


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第4段落


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これだけの時間をかけて、読み込む価値がある文章でしょうかね?

気象や気候に関する英文は「日常的」ではあると思います。
例えば、こういった「英語ネイティブ」の子供用の図鑑。
昨日職場に届いた「学級文庫」用の書籍のうちの一冊なんですけど、別に入試の過去問で解法の演習なんかしなくても、こういうのをしっかり消化吸収してくれればいいんですよ。
ホントに「宝の持ち腐れ」になりませんように。






上掲の写真が以下のリンクでダウンロードできます。

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夏期課外講座の「読解素材文」で扱ったものと該当、または関連するであろう、記述を抜き出して整理しておきました。
どうせ学ぶのなら、こういう英語を血肉化した方が余程いいのではないかと思っています。

See Inside Weather and Climate.pdf 直

本日のBGM: Fixing a hole (The Beatles)

the difference between loneliness and solitude

SLA研究の知見を取り入れ、TBLT的なアプローチで英語教育に取り組むとしても、「どの言語であれ、native writersは存在しない」という公理(?)からは逃れられないと思っています。その意味において、「ライティング指導の第一歩は文字指導から」と唱え続けているのです。

先日のJACETの「小学校英語の文字指導セミナー」で紹介した英国の教材(シリーズ)に、
Penpals for Handwriting (以下 PFH)があります。

私は、ケンブリッジ大学出版局から出ている「児童用テキスト」と「教師用指導書」を持っていって紹介したわけですが、このシリーズは実は、英国のHITACHIとのベンチャーで手がけたICT対応の教材となっています。

http://www.cambridge.org/gb/education/subject/english/literacy/penpals-handwriting-second-edition-series

日本だと、このシリーズを実際に指導で使っている学校や教室は多くないように思うのですが、兵庫教育大の吉田達弘先生のところでは、DVD版を購入したという話だったので、少しずつ広まっているのではないでしょうか。もし、使用中の方がおられましたら、情報交換などをお願いします。


全国英語教育学会での「小学校における文字指導」に関わる発表を見たり、巷の英語教育誌、教科書会社や企業のPR誌などを読んだりする限りでは、

小学校での英語の文字指導は、ペンマンシップのような四線の上に、ただアルファベットを写したり、書いていったりするドリルではなくて、児童が文字を書きたくなるような場面ややりとりの設定が肝心なんです。

という「有識者」が結構多いような印象を持っています。
私も、その部分は大事だとは思います。


ただ、私が指摘している一番のポイントのは、その後のことです。
書きたい気持ちが強くなれば、自然に書けるようになるものでしょうか?
文字認識と音韻意識、実際の運筆を支えるmotor skills などなど、実際に筆記具を手に持って書くということそのものをもっと深く考察するべきだろうと思うのです。

上述の、PFHの指導理念 (rationale) にはこういう文言が付されています。(p.5, Teacher’s Book 1)

3. Handwriting must also be practiced discretely and in context. Beyond the initial foundation stages, Penpals provides Workbooks for handwriting practice in the context of age-appropriate spelling, punctuation and grammar. Learning to associate the kinaesthetic handwriting movement with the visual letter pattern and the aural phonemes will help children with learning t spell. However, Penplas always takes a ‘handwriting first’ approach.

「handwritingの指導なのだから、当然handwriting-firstでしょう?」という「矜恃」のようなものが感じられます。

そして、その理念の最後は、fontについて。

4. Choosing the writing implement best suited to the task is an important part of a handwriting education. A Penplas Font CD-ROM supports practitioners who wish to use the Penpals font consistently in all aspects of teaching and learning.

初期段階では、Sassoon Infant を使い、その後発達段階が上がるにつれて joins がわかるような印刷がなされているのですが、これは、Sassoon系のフォントがもともと、fluentなrunning hand を実現することを想定してデザインされているからでもあります。

日本では、とかく「フォントおたく」のような捉えられ方をされがちですが、言語教育の現場で文字を扱うのに、その書体には無頓着、というのが私からすると違和感を通り越して、大問題に感じられます。

英語の発音はだいたいで良いんですよ、英語ネイティブの発音だっていろいろあるし、気にしていないから。

などと言って、

but, bit, bet, beat, bat, bot, bought, boat, bite, bait, bout, boot

の母音の違いは教えないで、同じ音で済ませる、という指導者は珍しいと思うのです。
であるなら、文字にしても、それぞれの識別、弁別ができ、よどみなく次の文字と連続し、語や句、さらには文が書けるように指導することになぜ「異」を唱えるのか、理解に苦しみます。

次のリンク先のコラムはお読みになったことがあるでしょうか?

松香洋子の私的小学校英語教育論
第5回 What and how
アルファベットの指導
https://www.mpi-j.co.jp/kiji/report_1508/

  • Rosemary Sassoon は書き順の権威?

これには驚くやら呆れるやら悲しむやら…。

前回のエントリーから、再録します。

7. Rosemary Sassoon

※ サスーンの代表的著作から、cとdだけでも英語を教える小中学校、高校に1冊揃えて欲しい。

a. The Acquisition of a Second Writing System. 1995. Intellect, London

b. Handwriting of the Twentieth Century. 1999. Routledge

c. Handwriting: the way to teach it (2nd). 2003. Paul Chapman Publishing, London

d. Handwriting Problems in the Secondary School. 2011. Paul Chapman Publishing, London

e. The Power of Letterforms: Handwritten, printed, cut or carved, how they affect us all. 2015. Unicorn Press

「(欧文)文字を書く」ということの問題点について、フォニクスの専門家、ましてや大家であっても、よく知らない、ということを知ることが大事だという好例でしょう。
確かに、戦後の実質アメリカによる占領で、教育制度改革に伴い、「アメリカ的」な指導法が「英語教育」にも大きく影響を与えました。Ball & Stick 体の「活字体;ブロック体」の指導が、英語圏では今日でも「当たり前」に行われている指導だと思われているのも、この「アメリカ的」な指導法が広まって行く辺りに源泉がありそうです。


それでも、少なくとも「文字指導」に関しては、
・ 出来上がった文字の形よりも、文字の型の類型化
・ 書き順よりも、motor skills
・ 語の書き方に移る前に文字の連続(joins)

を考えて指導するのが基礎基本ですから、そこには当然、「どんな文字を読ませて、どんな文字を書かせるのか」についての考察と対応、配慮が伴います。

上述のPFH の理念にあった、fontへの配慮・対応は彼らには必然なわけです。


先日の「小学校英語での文字指導セミナーの」でも、終了後に大文字のMに関しての質問があり、ちょっとどころか、かなりビックリしました。Mの真ん中の「谷」が基線まで届かないといけないと思い込んでいる人は多いようです。

大文字のM」の何を問題視しているんですかね?

「大事なことはそんなんじゃな〜い‼︎」(inspired by 岡村ちゃん) ということで、その他諸々を補足するハンドアウトを作りましたので、こちらで紹介しておきます。

MとW.pdf 直

つい先日発表された、「小学校外国語活動、外国語 研修ハンドブック」や「中学校学習指導要領解説」などを読んでも、やはり文字指導のうちの handwriting に関しては、「無策」に近い印象を受けました。

現時点では、教科化は時期尚早、外国語活動の前倒しではなく、現行の5年生、6年生の「活動」の充実を目指し、付け焼き刃ではなく時間をかけた教員の研修体制の整備を選択するのが、本来有るべき「教育」政策といえるのではないでしょうか?

「有識者」「専門家」に目を覚ましてもらうことを望むと同時に、やはり、現場の先生方が、「文字そのもの」に加えて「手書き (handwriting)」の基礎基本を学ぶことが必要だと思います。

そして、問題の「根」には、「それを今から学んで間に合うのか?」「学んですぐに指導に活かせるのか?」という、ともすれば答えたくない、答えを知りたくない問いが待っているように思います。

私に言えるのは、handwritingに関しては、このブログでまとめた情報や知見を活かして欲しい、ということと、新しく出た書籍で役に立つものを紹介することくらいでしょうか。

小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ 小学校外国語科内容論

小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ 小学校外国語科内容論

研修、研鑽も大事ですが、くれぐれも心身の健康第一でお願いします。
教育の「成果」は、それぞれ、それなり、そのうち、ですから。

本日のBGM: ダンデライオン 〜 遅咲きのたんぽぽ(原田知世)

文字指導の明日

大阪での「小学校英語の文字指導セミナー」終了。
偏に私の講演の時間超過で、最後のシンポジウムが不完全燃焼の方が多かったことと思います。深くお詫びします。

新しい出会いもあれば、旧交を温めるシーンもあり、依頼を引き受けて良かったのだろうな、と思いました。一番実感したのは、G大の「血」のようなものですね。若林先生のことばを反芻しています。

英豪の実際の教材も少しだけですがお持ちしました。
私自身そうでしたが、彼我の差を感じて、「じゃあ、この後、自分はどうするか?」というところで、悩み処です。で、やっぱり、悩み処では悩むしかないと思うのです。Instant remedy はないということでしょう。

JACET教育問題研究会主催 
「小学校英語教育における文字指導について」のセミナー
2017年7月1日 於:関西外国語大学

落ちこぼれを無くすための入門期における適切な文字指導として
〜 handwriting指導の基礎基本 〜
松井 孝志(まつい たかし)


当日の投影資料の写しと、レジュメとして配布したものの終わりに付けた「参考資料」をこちらで公開しておきます。くれぐれも二次使用の際は良識に則ってお願いします。(商用での利用はご遠慮下さい。私が引用しているものを再度引用する際など、オリジナルの出典の明記をしていただきたく思います。)

当日投影資料 (一部のスライドはカットしてあります。PDFで4.6MBありますのでご注意。)

20170701 文字指導プレゼン公開版(修正版)
20170701 文字指導プレゼン公開版(修正版).pdf 直
今回の資料作成に当たり、大名力先生(スライド6)、齋藤理一郎先生(スライド31)、手島良先生(公開版ではスライドは割愛)、松浦年男先生(スライド29)より貴重な資料をお借りしました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

以下、配布資料の見出しを掻い摘んで。

0. (再)入門期に於ける英語の文字指導での基本的な考え方
1. ライティング指導の第一歩は文字指導:Handwriting の基礎 6 段階
2. 文字の「からだ (=elements)」とその名前
3. 文字のプロポーションを考える:四線は必要か?
4. 様々なバリエーションとプロポーション
5. Italic Hand を模した各種書体
6. モデル提示
7. 身体知(筋感覚)を開発する指導の重要性
8. 単独・単一の文字から文字の連続・まとまりへ 〜 何を書かせるか?
9. 「視写」の難しさの要因
10. ドリルでは何回も書かせない
11.「分割&縦書きドリル」とその功罪
12. それでも視写は難しい
13. グリップ(pen hold; grip; grasp)
14. 姿勢と利き手
15. 最後に二人の先人の言葉を
  ローズマリー・サスーン
  Handwriting: the way to teach it (2003) “The priority for handwriting in the curriculum”

As there has been so little guidance on how to teach handwriting for so long, it has now become accepted that it is a problem to teach and to learn. This book suggests that informed and confident teachers should be able to teach the basic movement of letters quite quickly and in such a way that many of the problems that hold children back later on should never occur. This is not a matter of more resources or teaching time, but using them at the right time and in the right way.
Each school will have to decide how to arrange the curriculum to ensure that enough time is allotted for skill training, particularly in the first year of schooling. The more thoroughly handwriting is taught at the beginning the less time will be necessary later on.

参考資料

直ぐに検索・確認が可能な website など

1. 英国 National Handwriting Association のサイト
http://www.nha-handwriting.org.uk/about-nha/about-nha
2. 豪州タスマニアの department of education のhandwritingの手引(pdf資料、2009年版)
https://www.education.tas.gov.au/documentcentre/Documents/Handwriting.pdf
3. Rosemary Sassoon の書籍のサポートサイト (ダウンロード可能な pdf 資料あり)
https://studysites.uk.sagepub.com/sassoon/default.htm
4.「なぜSassoonなのか?」というSassoon フォントのPRブックレット
http://www.sassoonfont.co.uk/fonts/sas/WhySassoon1.3.pdf
5. briem.net 〜 書家、fontのデザイナーである Gunnlaugur SE Briem 氏のサイト
http://briem.net/index.html
6.「英語教育あれこれ:『どれ?』『それ!』」 手島良先生のブログ 
https://blogs.yahoo.co.jp/tokyo_larkhill



概説書・教則本などの書籍

7. Rosemary Sassoon
※ サスーンの代表的著作から、cとdだけでも英語を教える小中学校、高校に1冊揃えて欲しい。
a. The Acquisition of a Second Writing System. 1995. Intellect, London
b. Handwriting of the Twentieth Century. 1999. Routledge
c. Handwriting: the way to teach it (2nd). 2003. Paul Chapman Publishing, London
d. Handwriting Problems in the Secondary School. 2011. Paul Chapman Publishing, London
e. The Power of Letterforms: Handwritten, printed, cut or carved, how they affect us all. 2015. Unicorn Press

8. Penpals for Handwriting のシリーズ
※ NHAによる理論と実践の全面的サポートを得た、Cambridgeと HITACHI のコラボレーション。
DVDを使ったICT教材まで開発&実用済み。日本の学齢で言えば幼稚園段階から小学校卒業くらいまで系統的に教材が開発されている。
http://www.cambridge.org/gb/education/subject/english/literacy/penpals-handwriting-second-edition-series

9. Handwriting Practice のシリーズ
※ シリーズの1 が文字形成 (= letter formation)、2が連結 (= joining) を練習するためのテキスト。
 通称『マチェット本』  
https://www.schofieldandsims.co.uk/product/555/handwriting-practice-1
https://www.schofieldandsims.co.uk/product/556/handwriting-practice-2

10. Nelson Handwriting Developing Skills のシリーズ
※ 歴史と定評のあるネルソンのシリーズ。個人的には80 -- 90年代の指導体系の方が好きでした。
https://oup.com.pk/school-textbooks/english/english-workbooks/nelson-handwriting-developing-skills-book-1.html

11. Targeting Handwriting のシリーズ
※大きく6つの行政区分ごとに指導体系とフォントを開発しているオーストラリアで使われている教則本のシリーズ。
http://www.pascalpress.com.au/targeting-handwriting/



日本の英語教育・語学教育環境に配慮のある概説書や教則本

12. 『新英語教育講座 第三巻』研究社 (1948年) ※絶版
※第二次世界大戦の敗戦後、学制改革に伴い、「新制中学校」での英語指導を担当できる「英語教師」の養成が急務だったため編纂された「講座」のうちの一冊。「英習字」の執筆担当は篠田治夫。その前の「英語の綴字」の担当が松本鐘一、「ローマ字」の担当が星山三郎となっている。

13. 『語学的指導の基礎 (中) 英語科ハンドブックス 第三巻』 (研究社、1959年) ※絶版
※「英習字」の執筆担当者は寿岳文章。能筆家の「お手本」を多数収録。

14. 宮田幸一『教壇の英文法』研究社 (1961年) ※絶版
※ 改訂される前の初版にのみ収録の「第三部 語句・発音・文字」にある幾つかの項目 (247. 文字の画順、248-49. 小文字の発生、251. F、 252. TおよびF、253. 横棒と点、258. Syllabicationの法則、263. つづりを覚えさせる方法、など) での宮田の解説は、今日でも示唆に富む。

15. 宮田幸一『発音・つづり・語形成 教室英文法シリーズ8』研究社 (1969年) ※絶版
※ 第2部の「つづり」(pp.99-138) が、今日でいう「フォニクス」の原理原則を記したもの。受け売りに甘んじることのない著者ならではの、地に足の着いた記述となっている。

16. 『英語教育の歩み 変遷と明日への提言』中教出版 (1980年) ※絶版
※ 第2部の執筆担当者は若林俊輔。第1章 13.活字の字体---どういう字体を選ぶか (pp. 195-200)、
 第2章 3. 発音記号の論理 (pp.212-223) は文字指導と音声指導を再考する確かな足場となる。

17. 竹林 滋『英語のフォニックス 綴り字と発音のルール』ジャパンタイムズ (1981年;改訂版1986年) ※絶版
※ 音声学・音韻論といった学問的裏付けのある phonics の概説書。

18. 若林俊輔『これからの英語教師』大修館書店 (1983年) ※絶版
※ 文字指導に関しては、第10章 ― 第14章までが参考になる。1980年刊の上記 16. では「イタリックハンド」に手書き文字指導の活路を見ていた感のある若林が、ここでは「ローマン体を少々変形した書きやすい字体」を推しているのは興味深い。

19. 手島 良『スラすら・読み書き・英単語』NHK出版 (1997年) ※絶版
※ 「NHKラジオ 基礎英語」の講座からのスピンオフ教材。Sassoonフォントを採用した、読みやすく書きやすいモデル提示にしたがって実際に発音と文字(単語)をつづる練習ができる。

20. 成田圭市『英語の綴りと発音 「渾沌」へのアプローチ』三恵社 (2009年)
※ 文字から音声への類型化だけでなく、音声から文字へ、という類型を把握するのに役立つ。

21. 大名 力『英語の文字・綴り・発音のしくみ』研究社(2014年)
※ 発音と綴り字の関係や「ルール」と称されるものに関して、俗説の誤りを正すのに必読の書。

22. 『日本語学2016年11月特大号』明治書院 (2016年)
※ 特集「手書きの字形を考える」は、日本語の漢字、かな(カナ)をとりあげ、「読むための書体」「書くための書体」を考えるヒントを多数与えてくれる。



タイポグラフィー、文字デザインなど

23. 小林章 『欧文書体』(2005年)、『欧文書体 2』(2008年) ともに美術出版社
※世界的な文字デザイナー小林章氏の仕事。今回の発表スライドでも一部用いた Between 3も彼のデザイン。
ブログ:「小林章のドイツ日記2」
http://dnikki2.exblog.jp/

24. 小泉均 編著『タイポグラフィ・ハンドブック』 研究社 (2012年)
※ 基礎基本、定番、常識を知るための「ハンドブック」。



その他
25. 国際交流基金『文字・語彙を教える 日本語教授法シリーズ3』ひつじ書房 (2011年)
※「国語」としてではなく、「日本語教育」の観点で、「日本語の文字」を見直すための資料。

26. 笹田 哲 『書字指導ワーク 字を書くための見る力・認知能力編』中央法規 (2014年)
※「幼児教材のギザギザや波線をなぞったり書いたりする練習は文字を書くための練習にならない」などと嘯く前に、児童生徒の「認知」「視認」「運動機能」などについて、指導者(教師や親)がきちんと向き合うための本。


ワークシートの四線の写しがこちら。
今はエクセルなどの手軽なアプリでお好みの間隔を設定できるので、ご自分で作られるのが一番かと。

四線ヨコ(文対応)
ワークシート四線ヨコ.png 直

四線タテ(語やフレーズ対応)
ワークシート四線タテ.png 直


でも、期末テストの合間を縫っての大阪はちょっと疲れました。

本日のBGM: Throw You Over (Aimee Mann)

※2017年7月3日追記

過去ログのこちらの資料を併せてお読みいただくと、より今回の講演内容が理解できるかと思います。
益々、悩みが深くなるかもしれませんが…。

英語の文字指導
tmrowing.hatenablog.com

Time flies.

気がつけば6月もそろそろ終わり。
1年の半分が過ぎたことに。

前回の更新が中間試験後だったと思ったら、今、まさに期末試験の真っ只中。
今回は3学年6種類の作成です。

指導案を授業のコマの全てで書いて残す、などということは現実的に不可能ですから、印象に残る、または残しておくべき授業の記録をブログに綴って今日に至ります。その意味では、最近の更新頻度の低さは、授業がマンネリを脱していない、過去の自分の足跡をなぞるようなものであることの現れかもしれません。

確かに、これまでの記録から、発達段階のどの時期に何をやるか、大まかなシラバスと教材はできていますから、それを準備します。でも、入学者は毎年異なり、その習熟度もバラバラです。ここ数年、基礎学力が落ちているというよりも、基本的な学習済みであるはずの事項で、欠落している部分が、私の想定を超えている新入生が増えた印象です。では、高校入学以前に、既習であるはずの事項に代わる何かが優先されていて、それを身につけているのか?それがよく分かりません。おかげさまで、そういった「想定外」の事態に対応すべく、こちらのスペックはどんどん上がっているようにも思います。

高1では「意味順」をやっているので、文型分類はせず、動詞の意味と名詞の意味との関係性に着目して、目的語感覚の日英比較を取り入れています。
こちらが今年のハンドアウト。

2017「目的語」感覚を養う.pdf 直

使いたい方は、引用出典を明記していただけるのであればご自由に。でも「盗用」は「犯罪」です。「引用」って「盗用」とは違いますからね。「インスパイア」されたなら、「何に?」「誰に?」という情報は必須ですよね。まさに「意味順」の出番です。


1学期は中学校で学んだことの再入門と整理を目指しています。「助動詞の番付表」の導入も「小結」まで終わり、規則変化動詞の活用と、不規則変化する動詞のうち、「規則変化に近づきたいもの」という括りでABB型と読んでいる一群を教えていました。

こちらが、「規則変化動詞の活用表」

規則動詞の発音と綴り字一覧 (2017改良版).pdf 直

こちらが、「不規則といいながらもABBとなる動詞の活用表」

不規則動詞活用ABB型.pdf 直

期末試験明けで、「不規則変化動詞のABC型」と番付表の「平幕 (= do; does / did)」の整理をすることになるでしょうね。

この「平幕」の扱いに関しては、完全に「教わったようには教えるな」と説いた師匠の受け売りです。でも、一番やっかいなのは「隠れる?隠れない?」というところではなく、「現在形」とは何を表わす形で、「過去形」とは何を表わす形なのか?というところでしょう。

若林俊輔『英語の素朴な疑問に答える36章』(ジャパンタイムズ社、1990年)の、pp. 125-128には、今も踏まえておくべき重要な指摘がなされています。

26
I walk to school every day.
「現在」のことを言っているわけでもないのに、なぜ<現在形>を使うのか

例によって「絶版」ですから、こちらの写真でその一部をご覧下さい。

現在形1.jpeg 直
現在形2.jpeg 直

「説明1」では、

実は、英文法で<現在形>と呼ばれているものには、名前のとおり<現在形>であるものと、いわば「必ず形」と読んだ方がいいもの、この2種類があるのです。

と回答し、具体例で根拠を示しています。

また、「説明2」では、

英文法では、実は<現在形>という名称が不適切であることは昔から問題になっていました。そこで、I like pop music. のようなlike のことを<非過去形>と呼ぶ学者もいます。「過去のことについて言っているのではない形」ということですね。英語では、non-pastといいます。

という回答をし、筆者の見解を示しています。

やはり、言語事実と、学習者の発達段階、既習事項との折り合いのつけ方を考慮した上で整理と統合を図ることが重要だと思います。

現在時制の扱いに関しては過去ログでもかなりしつこく述べていますから、ここではリンクだけを示しておきます。

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110630
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20120718
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20121014

さあ、
この週末は「小学校英語での文字指導」セミナーです。
私の講演では handwriting に特化してお話します。良い意味で「揺すぶる」ことができればと思います。当然、私の視座も含めてです。

本日のBGM: ABC (ピコ from『ピコ・ファースト』)

taking liberties

前回から約1ヶ月が空き、久々の更新となりました。
GWの連休明けに、「教えて!絶版先生」の第10回の締めくくりをしようと、安井稔先生の著作をあれこれ読み返していたのですが、GW前後の「英語教育」を取り巻く動きが「イヤハヤナントモ」という感じで、「第10回」は暫しお預けです。

連休の最後には、上京して「座談会」に出席してきました。
こちらにある書籍の「高校教員」として。私以外の座談会メンバーは皆さん、高等教育に携わる第一線の研究者ということで、大変刺激的な会でした。出版が楽しみです。


これからの英語教育の話をしよう.jpeg 直

5月の「英授研」は関東支部、関西支部が同日の例会開催だったのですが、関東支部で緑川日出子先生が講演なさるということで上京し関東支部の例会へ。
講演の中で、Michael Swan の著作を勧めていて、わが意を得たり、という思いでした。
過去ログだとここで紹介しています。

一週間の詩
http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20121224

もっとも、私が駆け出しの頃に緑川先生に影響を受けているわけですからね。
非常勤になった頃に受けたご恩返しなど、これまで殆ど出来ておりませんが、英語教育において私のできる実作に励むことを肝に銘じて帰山しました。


先週末は、広島での「日本英学史学会」の研究例会へ。
県立広島大の馬本勉先生が、「令文社・学習英語辞典」にまつわる発表をされるという知らせを受け、これは千載一遇、とばかりに学会初参加。
日本での基礎語彙研究の歴史に関しては、馬本先生の研究にお世話になってばかりなのですが、今回の「学習英語辞典」に限っては、私のブログでの紹介が緒になっているとのことで、私の所有している、所謂「旧版」も持参しました。「新版」と二冊並べて見ることができるとは今まで思ってもいなかったので、感動。そして、研究の成果(の一端)にも感動。
Michael West の GSL を日本の英語教育へきちんとした形で移入した端緒が、「令文社・学習英語辞典」だったのではないか、そして、その中心となった人物が…、というスリリングな内容でした。

関連する一次資料をしっかりと集め、それを比較分析するというのは、研究者にとっては基本のキなんでしょうけれども、論文の「参考文献」でしかお目にかかったことのない資料の「現物」を拝見することもでき、「英学史」「英語教育史」に携わる方々の凄さを実感する一日となりました。

こうした充実の足跡の一方で、メディアを賑わす「英語教育」関連の話題には、アドレナリンが迸るやら、眩暈がするやら…。


小学校と中学校の新学習指導要領(案)に関するパブリックコメントの結果公表も終わった、と思った矢先に、「小学校英語」に関わる、トンデモな情報が漏れてきました。

5月25日の読売新聞朝刊では一面の扱い。流石に総理の広報紙。いつまで読めるかわかりませんが、リンクだけ。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20170524-OYT1T50120.html

度肝を抜かれました。
施行規則を変えて、「総合的学習の時間」まで使って、授業時数をごまかした中で実施しなければならないようなものを「教科化」する必要や意義があるのでしょうか? 「教科化」も「前倒し」も白紙に戻すのが筋でしょう?
これって、「総合的学習の時間」って、実は何やったって同じ、何やったって変わらないんですよ、っていうオフィシャルな宣言でもあるんですから。
現行の「外国語活動」を必修化した時 (2011年) に、どのような理屈をつけていたのかを考えれば、「総合」の枠を食うような「外国語活動」や「教科」はありえないはずです。

パブコメはこちらからどうぞ。

小学校学習指導要領、中学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置案に対する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000901&Mode=0

時間割に入らないものをモジュールなどといってウヤムヤごまかしの見切り発車するのか、という「現場」に配慮したらしいのですが、あろうことか、「総合的学習の時間」の大枠から「外国語活動」「英語」に一定の時間を割いてもよろしい、という「容認」へと舵をきりたい模様。

時間数ばかりが問題ではありません。
資料にはこうあります。

・ 平成30年度及び平成31 年度の第3学年及び第4学年の外国語活動の指導に当たっては、新小学校学習指導要領の規定の全部又は一部によるものとし、新小学校学習指導要領第4章第2の2〔第3学年及び第4学年〕(1)イ(ア)及び(3)1に係る事項は必ず取り扱うものとする。【(i) 英語の音声やリズムなどに慣れ親しむ、(ii) 日本語との違いを知り、言葉の面白さや豊かさに気付く、(iii) 聞くこと及び話すこと[やり取り][発表]の言語活動の一部】

・ 平成30年度及び平成31 年度の第5学年及び第6学年の外国語活動の指導に当たっては、現行小学校学習指導要領に規定する事項に、新小学校学習指導要領第2章第10節の2の全部又は一部を加えて指導するものとし、新小学校学習指導要領第2章第10節の2〔第5学年及び第6学年〕(1)ア、同イ(ア)、同エ(ア)e 及びf、同エ(イ)並びに2〔第5学年及び第6学年〕(3)1イ及び同オに係る事項は必ず取り扱うものとする。【(i) 音声、活字体の大文字と小文字、(ii) 文及び文構造の一部、(iii) 読むこと及び書くことの言語活動の一部】

「新指導要領」での「外国語活動」「教科化」での時間割問題、教員確保の問題等、「見切り発車」がこれだけ問題視されているというのに、その見切りで発車する列車へと接続する「移行措置期間」の列車は、「総合的学習の時間」を食って時数のごまかしで運用しようという言語道断。

ここにある文言のうち「必ず取り扱うものとする」という意味、重さを皆さん理解していらっしゃるでしょうか?

平成30年度って来年度ですよ?
「文字指導」のノウハウって、共有されているの?
そんなにしてまで「教科化」したい人たちに聞きたいです。
何かというと、「伝えたい気持ち」が大事、「やりとり」のできる英語力を、などと言うんですけど、「伝えあい」で、話す内容が漏れないように、予め、キーワードだけメモしておくとか、「伝えあい」をしたあと、自分が相手から聴いた内容を忘れないようにメモする、とか、「書くこと」って、この入門期の段階でもかなり大変なタスクですよ。
そんな個々の児童の表現内容に対応した臨機応変な「メモ書き」ができるような「文字指導」までホントに出来るんですか?

無理なものは無理、無茶なものは無茶、と言わないと。土俵が相手の都合で勝手にどんどん狭められていくのに、いつまでも相手の土俵で戦おうとして苦しむのはいい加減に止めませんか?

「ユーシキシャ」はこんな暢気なことを言ってくれるだけです。

「中1」で英語を嫌いになってしまう理由
小学校教員が導く役割は大きい
http://president.jp/articles/-/21966

「外国語活動を3、4年生まで下ろして、そこで体験的に英語を学んだものをベースに、学区内で格差がないように5、6年生で基礎作り…。」というのだけれど、なぜ「学区内で格差がない」と言えるのですか?

・現状できちんと英語を教えられる小学校の先生ばかりではないので、夫々の小学校での取り組みとその成果にバラツキがあるのではないのでは?
・では、それが3、4年生に降りて行った後の、5、6年生の指導と成果が異なる学校間で均質になる根拠は?
・例のDVD教材が各学校各学年に揃ったら万事解決する?

いったい「誰得」なんでしょうか?


文科省の中の心ある方たちにお願いです。
せめて、土屋澄男先生の次のブログ記事を読んで考え直して下さい。

桐英会ブログ (土屋澄男)

<番外>書評:大修館書店『英語教育』6月号特集「小学校英語」
http://kiyofan.com/blog2/?p=2402

「コア・カリキュラムでの『コア』とは?」と「高大接続での英語外部試験への丸投げ大作戦」に関しては、また日を改めて。

本日のBGM: 勝手にしやがれ(沢田研二)

先輩後輩

先日お伝えしていた、「文字指導」関連のセミナーの告知です。

下記のお知らせにある「問い合わせ」「申込み」はそれぞれ「アットマーク」の部分を記号に変えて、メールをして下さい。
今回のセミナーはあくまでも「小学校英語での文字指導」を考えるためのものですので、その趣旨をご理解の上で参加をご検討していただければと思います。

JACET教育問題研究会が主催して
「小学校英語教育における文字指導について」のセミナーを
下記の要領で開催します。


日時:2017年7月1日 13時開始
会場:関西外国語大学中宮キャンパス 本館二階
多目的ルーム

参加費無料,参加希望の方は,参加登録が必要です。
申込みの際には、「ご所属」を明記の上、
shiensakaiアットマークgmail.comまでメールをください。
先着80名までに参加証をお送りします。


趣旨:中学校の入門期での文字指導についてはそれなり
の研究がなされてきましたし,研究の成果も実践されて
きました。しかし,小学校では,文字指導が積極的に推
進されなかったためか,そのような研究を受け継ぐこと
もなく,指導者の考えがバラバラのまま入門期の文字指
導が行われようとしている感があります。


本セミナーでは,
中学入門時(高校再入門時)の文字指導の第1人者に,
文字指導の知見について講演を行っていただきます。


次に,小学校で指導していらっしゃる先生に,小学校で
のローマ字指導(訓令式,ヘボン式)とフォニックスに
ついての考えを整理していただきます。


そして,小学校の英語指導者に,現場に沿った文字指導
はどうあるべきかを議論していただきます。


会場からもご意見をお聞きし,小学校での文字指導を考
えるきっかけにしたいと思います。


時程

13:00-13:50「落ちこぼれを無くすための入門期における
適切な文字指導として ~ handwriting指導の基礎基本」
松井孝志先生(山口県鴻城高校)


13:50-14:20「小学生に対する文字指導,訓令式,ヘボン式,
シンセティックフォニックス(特にジョリーフォニックス
に焦点を当てて)の整理」樫本洋子先生(大阪教育大学附
属小学校)


14:35-16:05
シンポジウム「小学校教育における文字指導について」
シンポジスト:土屋佳雅里先生(杉並区小学校英語講師)
「子どもたちの声から探る文字指導」,
成田潤也先生(厚木第二小学校)「小学生目線の文字指導,
文字を書くことの意義を小学生目線で考える。
加藤拓由先生(春日井市立鷹来小学校)「ふつうの公立小
学校でできる、ふつうの文字指導とは?」,
司会:村上裕美先生(関西外語大学短大部) 


このシンポジウムについての問い合わせは
酒井志延 (shienアットマークcuc.ac.jp)まで。

くり返しになりますが、今回のセミナーはあくまでも「小学校英語での文字指導」を考えるためのものですので、その趣旨をご理解の上で参加をご検討していただければと思います。

私の「小学校英語」に対する基本姿勢は、過日の「パブリックコメント」にある通りです。

過去ログはこちら
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20170311

その私が、「小学校英語」に関わる研究会で「文字指導」の話、しかも handwritingに関わる話しをする、ということの意味も合わせてお考え頂き、参加していただければと思います。

中学校、高等学校でのライティング指導から見た文字指導ということでしたら、お住いのエリアの教育委員会や、中英研、高英研、または英授研などの学会に「研修会」や「講演」のリクエストをあげていただくのが良いかと思います。

本日のBGM: 宙船(中島みゆき)

20170505追記
英語の文字指導に関する過去ログでは、次のエントリーが一番まとまっていると思いますので、是非一読をお願いします。
とりわけ、指導者の指導者に当たると思われる大学の先生におかれましては、リンク先の画像も含めて彼我の差を確認して下さるよう、お願いします。

英語の文字指導
tmrowing.hatenablog.com

「二人で写真を撮ろう」

新年度も淡々と進んでおります。

新入生の保護者会も終わりました。
2017年度の入学生は、2020年度の大学受験生、ということなので、「高大接続改革」で何かと話題の「外部試験」を利用した入試について英語科の担当として説明も加えました。

情報に躍らされることなく、「英語力」を身につけることを主眼として日々の学習に取り組み、それを試す場として「外部試験」を利用して欲しい。

というスタンスです。

先日のエントリーで取り上げた、「広島大学」の「みなし満点」の事例も紹介しました。
その際に、色々なところで目にする、外部試験とCEFRとの「対照表」について、適切な理解につながるように私の方から説明を加えました。
殆どの保護者の方は、進研模試とGTECの関係はあまりご存知ではないし、英検とTOEIC、TOEFL辺りは知っていても、ケンブリッジ英検やIELTSなどはよく分からないようです。

私が東京都の高英研の月例会発表をしたのが1997年、今から20年前ですが、当時の勤務校で外部試験対策講座を開講していた関係で、IELTSの二つのモジュールでのライティングの扱いなども資料を使って説明を加えていましたが、まだまだ一般には浸透していないのでしょう。

ただ、この「独り歩きしてしまってもはや誰も止められないかのような」対照表には気をつけなければなりません。

広島大学で満点とみなす「四技能対応の外部試験」で、日本の英検(実用英語技能検定)の準一級とケンブリッジ英検のFCEが、「対照表」では同じ扱いなのですが、私が専門と称する「ライティング」の出題で、両者を比べたことがある方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

まずは英検。

準1級の過去問・対策(英検)
http://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p1/solutions.html

2016年度の第3回の問題がこちらからダウンロードできます。(期間は限られています)
http://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p1/pdf/201603/2016-3-1ji-p1kyu.pdf

このpdfファイルのp.14にライティング問題 (ここではcompositionと呼ばれているようです) があります。
与えられたお題に従い、四つの観点を含めて120-150語程度で書くことを求められています。お題は1題で、所謂「意見文・論証文」です。筆記試験には語彙や文法、リーディングも含み、試験時間は90分。リスニングテストで30分。合計で120分となっています。



次にケンブリッジ英検。

Cambridge English: First (FCE)
Exam format
http://www.cambridgeenglish.org/exams/first/exam-format/
ライティングセクションは、2つのパートで構成され、このセクションだけで1時間20分の試験時間が割り当てられています。サンプルはこちらにあります。(zip ファイルですのでご注意下さい)
http://www.cambridgeenglish.org/Images/174037-first-2015-sample-papers-1.zip

ライティングとは言っても、”letters, reports, reviews and essays” という多様なジャンル、テクストタイプ (text types) をカバーすることを求めています。


ケンブリッジ英検のFCEのPart 1 の形式って、英検準1級の形式に似てますね。え?ギャグ?いや、逆ですかね?
分量は英検の120-150語に対して、ケンブリッジは140-190語。この差は何によって生まれますかね?何によって埋められますかね?

ケンブリッジ英検のPart 2は3つのうち二つを選べばいいので、与しやすい印象を与えますが、どれを選んだとしても、Part 1のお題では測れないライティング力を診ようという「狙い」がよくわかります。なぜ、この試験に First という名前がついているか、重みが伝わってきます。

でも、この二つの異なる試験の「ライティング技能」って、同じ扱いでいいんですかね?
広島大学に限らず、これから「外部試験」を利用しようという大学は増えるように思いますが、ケンブリッジ英検のFCEを受験生に要求しますか?

私なら、高校生に求めるライティング力としては要求水準が高過ぎると思います。
ケンブリッジ英検には、このFCEの下に位置づけられる Preliminary (= PET) という試験があり、その試験での上位合格で充分かと。(適切な理解がされていないこともあり残念ですが、学校などの教育機関で学ぶ人を対象とした、PET for Schools も同じ扱いで、GTECの学校団体受験やTOEFLのITP版などとは違って、合格が公式に認められる試験です。)

PETの概要はこちら。

http://www.cambridgeenglish.org/exams/preliminary/exam-format/

サンプル問題はこちらから(zipファイルですのでご注意下さい)。
http://www.cambridgeenglish.org/Images/23318-preliminary-sample-paper-6.zip

PETでは、筆記試験はリーディングと合わせて90分。
ライティングのセクションは、3つのパートで構成され、7題。
Part 1は所謂「語彙と文法」の空所補充完成が5題。ただし、選択肢はなし。
Part 2 は状況設定のある「お題メール」で、35-45 語。
Part 3 は選択問題。Part 2より長い返信メール (100語)、または、書き出しの与えられた物語文の創作(100語)。

「こんな問題では大学入試としては易しすぎる!」と息巻くのではなく、東大や一橋大や金沢大で過去に出題された、「写真」「絵」を元にした「描写文」や「創作物語文」の基礎として捉えられればいいのですけれど、何かに囚われているとそういう頭の切り替えが難しいのでしょうね。


さて、
今年度から、学校全体として「全ての教室に新聞を」と題したメディア・リテラシー養成、クリティカル・シンキング育成の新たな取組が始まりました。
今朝、教卓の上にあった二紙とも、1面には「フランス大統領選」についての記事があり、決選投票の見込み、という見出しと候補者お二方の写真が並んでいました。

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この企画が表面的なものとならずず、定着することを願っています。


肝心の授業の実作も淡々と進んでいます。
高3は「診断テスト100」が先週末で70まで進みました。1題の診断テスト分で、ノートの1ページを使って、今後の学習の足場を作ってもらっています。問題集でも模試でもいいのですが、できれば、自分で読んだり、聞いたりした英語から、または自分で表現した英語から、関連事項をこのノートに記録していけると、試験のスコアや偏差値では測れない自分にとっての意味・価値のある「英語発想&表現ノート」が出来上がると思います。

読解系の授業では、昨年度の反省から、類書と比べてできるだけ被害の少ない「英文」を求めていましたが、そうすると英文の難易度が上がるので妥協の産物で選んでいます。

例によって、私の手書きノートをば。

SB_1_1.jpeg 直
SB_1_2.jpeg 直
SB_1_3.jpeg 直
SB_1_4.jpeg 直

・時制の統一
・結論での主題への収束
という観点での読み直し(書き直し?)が求められる素材です。
第3段落からの展開に難がありますが、webで出典はヒットせず。

今日の授業では、

第3段落で、general な話題を振っておいて、それを回収せずに第4段落が始まった感じですね。ここは、「月の運行」の話だけに、「新月」で見えないんでしょうか?

太陰暦では、1年を構成する日数が足りない問題を、太陽暦の採用とうるう年の採用でどう解消したのか、という部分の考察・記述が甘く、浅いので、最後の一文が何か取ってつけた、紋切り型に響いて終わってしまう。Leap Yearが出てきたので、途中の理路整然としたサポートも「跳んだ (leapした)」んですかね?

とコメントをつけておきました。いや、このような英文で入試の合否が決まってしまうわけでうから、笑っている場合じゃないんですけどね。

こうして見て来ると、旧課程の英語IIBやリーディングの「検定教科書」でオリジナルを改編せず収録していたものであれ、教科書著者による書き下ろしであれ、 Reading Course というものをちゃんと作っていた方たちを改めて尊敬します。

高2は産みの苦しみです。
教科書を「身につける」ことの重要性をどれだけ切実に感じているか。「インプット」とか「インテイク」とかラベルを貼って誤魔化さないで、地道な取り組みをすることを求めています。

昨日は、本文の読みが終わってから、教科書のTM付属の “Easy Versions” と本文の読み比べ。オーラル・イントロダクションをしないので、この「易しい版」を足場として、本文と行ったり来たりができるかどうか。ともすると、この「易しい版」にも、いろいろ書き込みをしないと分からない、と思いこんで、いつまで経っても自分の英語が育ちませんから。

今日の授業では、ひとつの課を通して、Q&As。
まずは、質問の空所を聞き取り書き取る作業から。意味順と助動詞の番付表、そして足跡ですね。
ただ、多くの教科書の内容理解の設問は Wh- による事実確認から、直ぐに「推論発問」に跳び、とかく、personal involvement な質問で、自己表現させようという欲目が目立ちます。

Open questions と closed questions とを合わせ鏡にして、的確に情報を引き出す訓練がもっと必要でしょう。

先週の土曜日課外講座を利用して『P単』の「100個一気食い」をやったばかりですが、日常の中にどれだけ丁寧に仕込みの時間を作れるか、が大事。そもそも、その日本語がどんな意味なのか?を知らないことだって多いのだから。それを踏まえた上でのコロケーションの類型化、記憶の引き出しから引っ張り出すトレーニングを積み重ねられるか、ということです。

学校設定科目の「クリエイティブ英語」では、『コーパス口頭英作文』での、1秒反射を目指します。
日→普通の速度の英→やや速い英、という(モデル)音源の構成を最大限に活かして欲しいものです。浦島先生も、この音声の収録方法の特許を取っておけば良かったのに…。

高1は、文字指導、発音指導から。
文字の形、フォント、文字の名前と発音。「フォニクス」的なアプローチも取り入れています。
筆記具の持ち方から、文字のプロポーション、バランスを経て、縦書きドリルへ。

先週の土曜日課外で扱った教材はこんな感じです。

短単春期課題発音縦書きドリル.pdf 直

『短文で覚える英単語』の第1章にもとずく診断テストの振り返りから、所謂「フォニクス」的なアプローチを取り入れて、縦書き練習。
一番左のブロックを縦に読み、音読し、共通点・相違点と調音上の注意をした後で、右の下線部に、それぞれの語の縦書き練習。
罫線に沿って、同じ語を右側に何回も書く、という指導はしていません。書いても1、2回で済むように、各ブロックの単語(2〜4語)の配列に苦労しました。

この初回で、今までやってきたことがいろいろ繋がって「腑に落ちる」生徒もいれば、まだまだ半信半疑のように取り組んでいる生徒もいます。

音韻認識が育つまでは、生徒を観察しながら、行きつ戻りつ、続けることしかないのでしょう。
講座終了後、「先生、someとかmoveとかは、最後のeを読まないけど、今日やった原理原則のようにはなっていませんよね?」と聞きにきた生徒がいて、「いいところに気がついたね。」と褒めた後、少し対応し、「不規則に見えたり、例外に見えたりするものは、どちらかというと使用頻度が高い」というコメントを加えておきました。
外来語というか、英語にとっての借入語の話はおいおい。

間違って覚えてしまったり、覚えにくかったり、というのは初学者に限らず、当たり前のこと。「分割・縦書きドリル」で、ターゲットを絞って一つずつ片付けます。

分割・縦書きドリル.pdf 直

「進学クラスなのに…」と、できないことを嘆くのではなく、イマココでやるべきことに注力です。
中学校の先生方には、入門期の指導を焦らずに、そして、「中1の最初に指導したから」と思わずに、「学習材」が難しくなるのに合わせて継続的に「文字指導」、handwritingの指導を続けてほしいと願うばかりです。

今年は、どこかの学会で「文字指導」の、しかも ”handwriting” の指導法についてお話する機会ができることと思います。
詳しいことが分かりましたら、このブログや他のSNSでも告知します。
更新頻度は少なくなったこのブログや、「つぶやき」の方も、少し気にしておいて下さい。

本日はこの辺りで。

本日のBGM: 愛をこめて花束を(Superfly)

「一歩ずつ 登るだけ」

前回のエントリーでお伝えしたように、ファイル容量が満杯となったため、ブログの更新が滞っておりましたが、見通しがある程度立ったので、新たなエントリーです。

2月のパブリックコメントも殆ど「広く国民の意見を受けて…」という既成事実づくりだったかのような、ろくでなし、なし崩しに近い「次期学習指導要領の告示」が行われました。

私のパブコメはこちらに示してありました

「もっとスローにささやいて」
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20170311

で、この意見に対する回答はあったのか、あったとしたらどのようなものだったのか、見に行こうかと思っていたのですが、GWの真っ只中で閲覧は終了なのですね。以下の電子政府のリンクを参考までに。

お寄せいただいた御意見の閲覧について  
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000157167

もし、どなたか、見に行かれるという方がいましたら、ご連絡いただければ幸いです。

今日から本格的に新年度のスタートで終日会議。
明日が始業式です。
今年度は授業の種類が、「総合的な学習の時間」も含めると8種類という教師生活31年で最多となりました。学年を跨る学校設定科目の各学年の配分が1単位ずつだったりするので、なかなかに大変です。
新入生の英語力はおいおい確かめるとして、上級生、特に2年生は、授業内で「学級文庫」の英語関連書籍を読む時間を設定して、個別化対応を少し進めようかと考えています。
昨年は全英連での発表があり、それまで8年続けていた「山口県英語教育フォーラム」に一応の区切りをつけました。その最終回にあたる一昨年の私の発表が、

「英語力の可視化」かくかくしかじか

というものでした。
過去ログだと、

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20151117
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20151118
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20151130

と、そのリンク先の資料をお読みいただければ、私の意図は理解できるのではないかと思います。

呟きのほうでも「ヨンギノー」と揶揄する発言を多数しておりますが、上述の私の発表でも取り上げた、この資料にも (http://4skills.jp/qualification/comparison_cefr.html) あるように、「対照表」だけが一人歩きするかのような「四技能試験」礼賛には懐疑的であり、各種資格試験・英語運用力試験のそれぞれの特徴・特質を無視し、相互を乱暴に対照表にして、CEFRとの対応付けや意味付けをしていることを憂うものです。


先日、広島大学が平成31年度の「一般入試」で外部試験を用いた(新)センター試験英語での「みなし満点」の制度を公表しました。

英語外部検定試験の一般入試等での活用について
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/38253

ここで示されている、それぞれの外部試験の基準も、上述の対照表・一覧表で示されているものと全く同じものがつかわれています。

3 活用する英語外部検定試験
(1) 種類
活用する英語外部検定試験は平成29年度AO入試(総合評価方式)で本学が指定している英語外部検定試験の一覧(以下の表)と同様とし、適用区分はCEFR(外国語のコミュニケーション能力を6段階(A1~C2)で示す国際標準規格)B2以上のスコア・等級とします。
名称 スコア・等級(適用区分B2以上)
Cambridge English FCE(160~179)以上

そして、次のような但し書きがついています。

(2) 有効期間
 平成31年度入試の場合、平成28年4月以降(2年10か月前から)に受験したものを有効とします。

私の疑問は次のようなものでした。

「ケンブリッジ英検」は、世界のどこで何時受験しても、合格した資格は生涯有効、というのが、最大のポイントだと、私は生徒にも伝えているのですが、この広島大学のように、他の資格・技能試験と横並びで「有効期間」を設定している根拠は何なのか?ケンブリッジ英検側に照会したりして、了解をとっているのだろうか?

というのも、外部試験として、わざわざ「ケンブリッジ英検」しかも、PETではなく、FCEを要求するというのは、その試験としての世界的な評価を認めたからこそではないか、と思うのです。
にもかかわらず、「3年経ったら、ケンブリッジ英検で認めた英語力は低下しているかもしれないから、有効な英語力の資格とは認められない」というかのように、他の試験と一律に有効期限を儲ける広島大学の見解は、ケンブリッジ英検の試験としての妥当性や、信頼性を含む、評価そのものを否定するものではないのか、ということです。

今回私は、広島大学の担当部局と、ケンブリッジ英検の担当部局に照会しました。

広島大学の「入学センター」の担当者Sさんに電話でお聞きしたところ、外部試験を利用する趣旨は2点あるというのですが、その回答は私の疑問に答えるものではありませんでした。

1つ目。高校の現役生を想定していて、高校入学前ではなく、高校での学習成果を見る。

2つ目。「各種試験の英語力を認めない」ということではなく、大学入試の一般入試という枠組みで考えている。

一つ目の趣旨は、Sさんによれば「最近ありますよね、小学生で英検準1級合格とか、そういうのではなく、高校での学習の成果を見たい」という回答でした。ということは、この制度で受験生の資質として評価する主眼は英語力ではない、ということなのでしょうか?

「ケンブリッジ英検では生涯有効な英語力のお墨付きを出しているのに、3年以上前の合格だと、広島大学はその英語力を認めない、ということに関して、ケンブリッジ英検には照会などをしているのか?」という質問には、「これは広島大学独自の一般入試での見解であって、先方に問い合わせたり確認したりはしていない」とのお答えでした。

「外部試験」って、何を証明するための資格試験なのか、よくわからなくなりました。英語力があると認める生涯有効な試験の結果を、なぜ大学独自に却下してしまえるのか?


ということで、次は「ケンブリッジ英検」に問い合わせです。
日本国内の統括のオフィスから、英国の本部へと照会していただくという大変なお骨折りを経て、回答を得ました。
機構本部(Cambridge English Language Assessment) のGlobal Recognition Teamよりの私宛の回答ですが、「私信」ではなく、このブログのようなSNSで公開しても構わないという許可を得ています。
当たり前といえば当たり前ですが、流石は英語の試験の「横綱」とでも言えばいいでしょうか、この回答にはケンブリッジ英検としてのスタンス、矜恃がはっきりと現れていると思いました。

一番初めの回答がこちら。

Cambridge English certificates do not expire. They show that on a particular date the holder demonstrated that they had attained the specified level of language skills. Language skills can however diminish over time, if they are not practised, this is often referred to as ‘language attrition’.

Educational institutions and employers need to take into account a number of factors when considering an applicant’s English language skills – most importantly whether the holder has maintained their use of the language and whether the level of the certificate is suitable for the job or course in question. Universities, employers, professional organisations and government bodies can set their own language requirements and may use their own criteria on any exam’s validity on the basis of timeframe, level and subsequent use of the applicant’s English language skills. They may therefore request additional evidence of current language ability.

The decision of whether to accept older certificates is left to individual institutions, depending on their requirements. So, while our exam certificates do not expire, it is important for all language learners to practise their skills after successful completion of an exam.

IELTSとの違いに関して補足があった二回目の回答がこちらになります。最後の段落でIELTSに言及があります。

Shelf life of certificates
We are sometimes asked how long the Cambridge ESOL certificates last, or whether a candidate who took an exam some years ago needs to retake the exam.

The simple answer is that the certificates do not expire. They show that on a particular date the holder demonstrated that they had attained the specified level of language skills. For most candidates, the certificate is the result of a specific preparation course and serves as a mark of achievement in completing the course successfully.

It is clear, however, that language skills can diminish over time –a phenomenon often referred to as ‘language attrition’. In deciding whether to rely on a certificate obtained some years ago, educational institutions and employers need to take into account a number of factors, most importantly whether the holder has kept up his or her use of the language and whether the level of the certificate is significantly higher than that required for the job or course in question.

There are therefore no hard-and-fast guidelines for the period since obtaining a Cambridge ESOL certificate after which additional evidence of current language ability may be required by employers or institutions.

The Test Report Form provided by IELTS is not a certificate since it is not focused on a particular level of language ability; for this reason, the normal shelf life for an IELTS Test Report Form is two years (see under Results in the IELTS Handbook).


今回、広島大学とケンブリッジ英検にお尋ねして、そのそれぞれから回答を得たわけですが、あらためて、外部試験のスコアや級の比較対照表のようなものが独り歩きしていることに危惧を感じています。

試験それぞれには、それぞれの特徴・特質があります。それぞれの試験で測定している英語力とはどういうものなのか、対照表を「鵜呑み」にするのではなく、今一度、冷静に考えて見るべきでしょう。
私は「ライティング」が専門と自称していますが、ケンブリッジ英検のFCEでのライティングで要求される技能と、日本の「英検」の準一級のライティングで要求される技能とが横並びになる、とはちょっと思えません。

ともすれば、「四技能」というbuzzwordばかりが飛び交っていて、外部入試で「四技能」試験を採用している大学は、個別試験で従来型の大学入試を課している大学よりも進んでいる、優れている、という評価を煽るかのような英語教育の世界ですが、喧伝する声の大きさに躍らされたり、行列の長さに靡いたりせず、それぞれの「試験」を、当然、センター試験(に代わるといわれる新テスト)や、大学の個別試験も含めて、きちんと評価吟味をした上で活用することが大事だと思うのです。

そして、何よりも地に足を付けて英語教育、特に日々の授業に取り組むことの重要性を、中高現場の教師に伝えたいと思ってブログで情報発信を続けている次第です。

外部試験とCEFRの関連に関しては、validationの問題も含め、今一度、2015年の私の発表「『英語力の可視化』かくかくしかじか」をお読みいただければ幸いです。

フォーラム配布資料
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/files/2.yamaguchi_EngForum_matsui.pdf

当日投影資料
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/files/2015_YEF_matsui_presentation%E5%85%AC%E9%96%8B%E7%89%88.pdf?d=download

最後になりますが、今回、お忙しいところ時間を割いて回答して下さった、広島大学、ケンブリッジ英検の皆様に御礼申し上げます。

本日のBGM: ノビシロマックス (The Collectors)

ブログの移行を試行しています

足掛け13年綴ってきた「はてなダイアリー」のファイル容量がマックスに達しましたので、「はてなブログ」に移行を試行しております。
ファイルアップロードなど、以前の機能は引き継がれていないため、どこをデータアーカイブにするか、など今後の詰めが必要ですが、とりあえず現時点ではこちらに、新しいエントリーの「更新」をしていくことになるだろうと思います。

第二の住み処ということで、サブタイトルがちょっと変わりましたが、ダイアリー時代と同様にご贔屓にしていただければと思います。

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英語教育の明日はどっちだ! tmrowing at second best
http://tmrowing.hatenablog.com/