出講先の高校での定期試験(作問&採点評価)で結構時間がとられるので、更新頻度がガクッと低下しましたね。
かつて専任で教えていた、毎回6種類とか別のコマの作問をしていた頃と比べると、加齢とともに、次第に思うようには作問も採点も進まなくなってきます。余裕、大事です。
今日の「気になる語法」は、その「思い通りに進む」「予定通りに事が運ぶ」界隈。
私が若い頃に覚えたのは、
“go according to plan”
という成句で、大体、
“go as planned”
と同意という捉え方でした。
数年前に、ニュージーランド出身の人と話していて、
“go to plan”
という言い方に接し、そこから気にしていたら、結構見聞きするようになっていました。
今回、あらためて調べてみて、驚くこともあったのでこうして記事にまとめています。
ツイッターの私の投稿を時系列順に再掲。
一連の投稿の端緒。
肯定の文脈での go to plan
肯定の文脈でも使われるんですよね。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年5月30日
according のない、go to plan の例。
Everything's going to plan. - https://t.co/lxM7EpWGNU
こちらも全肯定。
こちらも全肯定。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年5月30日
Everything is going to plan! - https://t.co/m9Ha1ElQ0u
こちらは、お馴染の go according to planの例
according toの方はお馴染みですね。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年5月30日
Everything's going according to plan. - https://t.co/6tZsNp5Sag
否定文脈で according 無しの go to plan
否定の文脈でのaccordingなし。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年5月30日
But it didn't go to plan. - https://t.co/h9O1Wm4pFn
not always の部分否定は比較的見聞きする頻度が高い。
比較的よく見るnot alwaysの部分否定。 https://t.co/J4874mbYxa
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年5月30日
こちらも not always
同じくnot always の例。 https://t.co/P4RwviRduY
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年5月30日
もうひとつおまけで not alwaysの例
もう一つおまけ。 https://t.co/qw5vSv6TfV
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年5月30日
否定の例
否定の例。 https://t.co/QtNU1SjAkW
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年5月30日
今回取り上げている “go to plan” を載せている辞書は稀で、『Oxfordコロケーション辞典』に項目はあるものの、肝心の用例は示されていないので、その生息域など、実例を丁寧に精査していくしかありません。
小学館版
オリジナル
非常勤先の職員室の英語科のセクションで、空き時間にNgram Viewerで検索していたのですが、全体→米→英と進めていって、英の結果が表示されたところで、思わず声を上げてしまい、周りの先生方を驚かせてしまいました。
その時のスクショがこちら。
全体
米
英
「英国でのこの10年で何があった?」というくらいの変化ですね。
BNCでざっくりと。BNCでは20世紀の英国での使用例が見られます。
BNC goes to planの例
BNC go to plan
BNC went to plan
COHAで見る限りでは、米語法で「予定通り;思い通り」の意で使われるようになっているのは2010年代以降という印象。それ以前は「プランBに変更!」のような例。
COHAで go to plan で言い切りの形で再検索。
COHAで go according to plan の言い切りの形で検索。
関連表現の go as planned も含めて経年変化を再検索。
全体
米
ここまでは、go as planned がかなり優勢で、さもありなん、という感じ。
そして、英
「!」
です。
『相席食堂』なら、「ちょっと待て!」のランプが押されるところでしょうか。
ことばは生き物である、ということを痛感した語法の変化でした。
本当に、英文化圏で、この10年に何があったのか、そして、今後はどうなっていくのか?
その行く末を私は見届けられないでしょうから、未来の話は若い世代の皆さんに託します。
本日はこの辺で。
本日のBGM: 予定どおりに偶然に (KAN with ASKA) (2010年作品)