実を言うと、「実を言うと…」に関わる英語表現は、数ヶ月前にツイッターで取り上げていました。
- The fact is that SV
などに代表されるものです。
発端は、
- 「困ったことに…」の困ったことに…
という、テストでの出題のされ方でした。
自分でもう指摘済みだと思っていたが、まだだった。
「困ったことに」の困ったことに…
The trouble is ( ) this expression has been frequently asked on exams.
のような空所補充はやめましょう、という話。
何も入れなくて正解だし、カンマを入れても正解。
主語のthe がなくても正しい。自分でもう指摘済みだと思っていたが、まだだった。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年2月19日
「困ったことに」の困ったことに…
The trouble is ( ) this expression has been frequently asked on exams.
のような空所補充はやめましょう、という話。
何も入れなくて正解だし、カンマを入れても正解。
主語のthe がなくても正しい。 pic.twitter.com/hrebiNkzHJ
こちらが定冠詞なしの「困ったことに」。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年2月19日
話し言葉がちょっと減って、雑誌やWeb、TVで多い印象。
でも無視できない実態ですよね。 https://t.co/KFnEx9fHKX pic.twitter.com/Rfp71uyRCF
画像も再録しておきます。
定冠詞あり
定冠詞無し
that節を従えるのではなく、イントロどどいつでカンマで区切る用法に関していえば、少なくとも米用法では、
- Trouble is, > The trouble is,
という印象です。
そして、第一弾の
- 「実は…」の実話
がこちら。
不都合な真実、って昔流行ったかな、と思うんですが、こちらは
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年2月19日
「実は…」の実話
一枚目:定冠詞なし
二枚目:定冠詞あり
実際の話、頻度が先ツイまでと大違いだから、こちらの方が影響は大きいよね。 pic.twitter.com/u5l0R82I4X
定冠詞あり
定冠詞無し
比較的近年の入試問題から。
対話文や引用符部分ではなく、読解の地の部分から。
ちゃんとした書き言葉でもさまざまな現れ方をするわけですよ。
挿入のthe fact isを書き換えちゃった大学もあるけどね。比較的近年の入試問題から。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年2月19日
対話文や引用符部分ではなく、読解の地の部分から。
ちゃんとした書き言葉でもさまざまな現れ方をするわけですよ。
挿入のthe fact isを書き換えちゃった大学もあるけどね。 pic.twitter.com/pZK1MGV0qo
同様の意味を表し、同様の働きをしていながら、これだけ現れ方にバリエーションがあるのですから、次のような空所補充や語句整序完成問題は一日も早くやめた方が良いですね。
これは指導する側だけでなく、出題側は勿論、中高生に限らず、学習者自身が、自分の使っている教材や自分の受けている「テスト」で確認すべき案件だと思います。
空所補充完成
The fact is ( ) she has lost her watch.
①that ②which ③what ④why
語句整序文完成
実は私は今,転職を考えています。
(① that ② the ③ is ④ fact) I’m thinking about changing jobs.
同じことは名詞の “truth” にも当てはまります。
実は,状況は良くなりそうもないのです。
The truth ( ① is ② not ③ the situation ④ that ⑤ will ) improve.
COCAで定冠詞。3分の1強がカンマ+ SVです。
COCAで無冠詞。過半数がカンマ+SV。
2020年代の「現代」英語の実情・実態からいえば、頻度の差はあれども、
- The truth/fact is (that) SV
- The truth/fact is, SV
- Truth/Fact is, SV
- Truth/Fact is (that) SV
のどれもが「生きた」英語表現なのですね。
次の表でよーーく比べてみて下さい。
COCAで定冠詞つきの truth/factで、カンマSVか、that SVか。
COCAで無冠詞のtruth/factで、カンマSVか、that SVか。
いったい「テスト」で何を診たいのか、本当に再考が求められます。
そして、これに続く第二弾のツイートがこちら。
「実は…」の話し、第二弾。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年6月14日
文頭の To tell the truth と To tell you the truth
の比較。「youって言うよね?」という話し。
話し言葉の実態にもう少し迫れるといいのですが…。 https://t.co/4YzL1ZOiEu pic.twitter.com/RNkSIgCNJk
- 文頭での「独立不定詞」 To tell the truth とTo tell you the truthの比較
をしています。
NOW ※ヒット数が二倍近い。
COCA ※ヒット数が二倍以上の差に。話し言葉だと youありが相当に優勢。
GLOWBE ※地域差がかなりありそう
TV ※要注目!台本のある話し言葉が顕著なTVコーパスだと、you ありが優勢。
Ngram Viewerで「書き言葉」での推移を
全体で見ると、逆転はしているけれど、現在はそれほど大きな差には見えない。
米では比較的早くに逆転
英での逆転は21世紀以降という印象
どちらも使われているのだから、一方しか正解にならないようなテストは拙かろう、ということを皆さんに考えて欲しいのですよ。
「入試にでるから」といって、入試問題コーパスを構築&整備している間は、問題は解決しないどころか、「何が問題なのか?」にさえ気づいてもらえないでしょう。
実を言うと、タバコを1日に2箱吸っていて体を壊したんだ。
( )( ) the ( ), I used to smoke two packs a day and ruined my health.
To ( ) the truth, I still haven’t finished my homework.
① say ② tell ③ speak ④ mention
普段 “to tell you the truth” って “you” を言う人は悩まない?
“to tell the truth” か “to tell you the truth” のどちらかが使えれば、それで支障ないんじゃないの?
空所補充とか整序とか誤文訂正とか、日本語を排除し、採点の便を図った結果、何を失い、どこに新たなトラブルを生じているか、良く考えましょうね。
本日はこの辺で。
本日のBGM: Only the truth (the Last Shadow Puppets)