time to untie

tmrowing2014-02-16

ソチ五輪が始まり、普段とは違うリズムで過ごしているので、更新もままならず。
男子シングルで羽生選手が金メダルを取りましたので、ここらあたりで一休み。観戦記をば。

今大会から団体戦が採用され、会期も長いので、選手もピークを作るのはなかなか難しいだろうと思います。

日本のメディアは、相変わらず、浅田真央対キム・ヨナの「宿命のライバル」物語を綴っていますが、団体戦を見る前の私の女子シングルの予想は、FBでも書いていたように、

1 リプニツカヤ
2 ゴールド
3 浅田
4 ソトニコワ
5 コストナー

という順位でした。

私は、コンビネーションジャンプで3回転+3回転、中でも3Lz+3Tをきちんと跳べる選手を上位に選んでいます。その意味では、このリストにトクタミシェワがいないのは大変寂しいです。ラジオちゃんは年齢制限で、そもそも出場資格がありませんから。

浅田選手は、3+の流れが出ないと、GOEの加点が伸びないので苦しい戦いになるのでは、と予想。その意味では、個人戦の前に、団体戦で「最終調整」ができる選手に利点があるかもしれません。
ソトニコワ選手はSPに抜群の強さを発揮していますが、ルッツに課題が残ったままユーロを終えているので、表彰台に乗れるか難しいところ。
コストナー選手はSPを振り付けのローリー・ニコルとの共同作業で「アヴェ・マリア」に変え、気持よく滑れる環境を整えてきたので、尻上がりに調子を上げてくると思います。団体戦のSPのコストナー選手の素晴らしい演技を見た今では、メダルに絡んでくるように思います。

長年のファンにも読めないのが、キム・ヨナ選手。公式練習を見る限りでは、動き滑りはかなり良くなっていますから、体力面も含めて、フィットしていれば、表彰台は堅いと思います。
ただ、今シーズンの出来としては、ランキング以上に、リプニツカヤ選手が安定していますので。私の頂点予想はリプニツカヤです。

団体戦終了時点でのコメントをFBから採録。

男子シングルのプルシェンコはなんとか滑り切った感じ。やはり体力的というか肉体的に不安要素はありますね。
女子は予想通りリプニツカヤが圧巻。グレイシー・ゴールドは少し抑えた入りで、オープニングのコンボが全米ほどの高さが出ていませんでした。あとは「衣装」。GGの青はフェンスの青に完全に飲まれてしまい、スピードや高さが目立たない印象。SPの目の覚めるような赤で、現在の女子で最高の高さを印象づけておいて欲しい。
個人戦、ソトニコワはSP赤とLPグレーのような衣装。同じ青でもコストナーのSPの衣装は薄い青なのに白さも感じさせ、見映えするのが不思議。バランスの問題?コストナーのフリーは「ボレロ」。衣装は黒。楽しみです。


初の団体チャンピオンは総合力でロシア。
国歌を歌う時のエカテリーナ(ボブロワ)が子供みたいに大きな口を開けているのがとっても可愛かった。国歌に纏わる歴史や想いは簡単ではないだろうけれど、こういう時に、思い切り歌えるのは少し羨ましくもある。

個人戦の最初の種目は「ペア」。
「ボロ・トラ」として日本でも人気のあるロシアチャンピオンが、団体戦に続いて五輪チャンピオンに。お家芸と言われたこの種目で王座奪回が義務付けられていただけに、プレッシャーも尋常ではなかったでしょう。ICENETWORKの写真につけられていたこのキャプション。最後の受け身の使い方は上手いなぁ、と思いました。(http://web.icenetwork.com/photos/67698046

With a performance that brought the crowd at the Iceberg Skating Palace to a deafening roar, world champions Tatiana Volosozhar and Maxim Trankov of Russia blew away the competition by 18 points to win Olympic gold. The heavily favored pair, who were awarded 236.86 total points for their efforts, are overcome with emotion after their phenomenal free skate.

続いては、男子シングル。
団体戦でロシアの金メダルに貢献した、「皇帝」エフゲニー・プルシェンコが個人戦SP目前で棄権。
異様な空気の流れる中、プルシェンコと同じ第2Gで滑ったアボット選手が、オープニングで前のめりに転倒・フェンス直撃。暫くの間(10秒以上?)うずくまり、右腰・右脇を押さえていて、「まさか、このまま…」と思ったあたりで、起き出して、続きの演技。エレメントの抜けはどうするのか?とハラハラドキドキしながら見ていたがジャンプやスピンは全部いれて滑り終わった。転倒は不本意だったが、その後のリカバリーは見事というか、奇跡。結果的に、フリーに進めたのだから。
高橋選手は、4回転はDGでもその後は、淀みなく滑り切るという戦略か。得点は伸びなかったが、フリーへと無事につなげられて安堵。
羽生選手の100点越えは、いたるところで評されているだろうから、ここでは省略。
パトリック・チャン選手は、不安要素の3+でリズムが滞ったが、それでも別格の滑り。
フェルナンデス選手は、4回転を跳んだものの、羽生、チャンとは差のある3位につけたまま、最終滑走の町田選手「エデンの東」。
まずまずの滑り出しで、このまま行けばフェルナンデス越えも、と思ったところで、ルッツの抜け。まるまる4点以上は失った計算。
各人各様でフリーへの思惑があったろうが、これだけ荒れたフリーは記憶にない。
プルシェンコ引退表明で、様々なバランスが崩れたのだろうか?
バンクーバーで4回転を飛ばずに優勝したライサチェクは、プルシェンコに酷評されたが、今回のように上位陣にミスが続出した時に、嗜めるべき存在のプルシェンコ自身がSPで棄権、引退。
羽生選手の金メダルで日本のフィギュアに新たな歴史の1ページが書き加えられたのは素直に嬉しいが、複雑な心境。ジョニー・ウィアーは「金メダルに相応しい演技をした選手はいない」と評したそうだが、さもありなん。それぞれのベストの滑りで「ガチンコ」の勝負とはならなかった。

SP前の私の順位予想は、

1 羽生
2 チャン
3 プルシェンコ
4 フェルナンデス
5 町田
6 高橋

というもの。
選手名では6分の5。高橋選手と町田選手の順位は逆になったけど。
プルシェンコ棄権はさておき、私の予想外だったのは悩ましいシーズンをくぐり抜けてきたデニス・テン選手。持ち前の端正な滑りがフリーでは少しだけ戻っていて嬉しい誤算。演技の最後に天井に向かって投げキスをする仕草では私の頭の中で『接吻』(by オリジナルラブ)が流れていました。
パトリック・チャン選手は、4年という時間の綾に絡み取られたのかな。五輪が去年でも一昨年でも、男子は誰も勝てなかっただろう。ここにピークが合わなかったという感じ。

「呟き」にも書いた日本選手への感謝の言葉をこちらにも残しておきます。

羽生選手、金メダルおめでとう。またいつか、完璧な「ロミジュリ」を見せて下さい。

町田選手、この悔しさをバネに4年後に舞い上がるのが本当の「火の鳥」です。

高橋選手、本当にお疲れ様。ビートルズメドレーの"In My Life" で笑顔がほころんだ時に、泣けてきました。

ありがとう‼

バンクーバー五輪のキスクラで見てからずっと探していた配色のレジメンタルタイ。去年ようやくイメージ通りのものが見つかり、それをしながら、個人戦のフリーの演技を見ようと思っていた私の願いが叶わなかったことが心残りです。

今大会、私が最も楽しみにしているのは、アイスダンス。
米国とカナダの金メダル争いだけではありませんよ。
いよいよ、今夜個人戦スタート。
寝不足との戦いも佳境です。

本日のBGM: Balance of power (ELO)