De-day-da or デレデレ?

怒濤の日々。
全英連・山口大会が刻々と迫ってきます。
全英連の分科会会場となる大学のご厚意で、祝日を返上して使用機器のリハーサル。
私の分科会だけ体育館での実施なので、組み立て式のスクリーンの準備から。
以前、山口県英語教育フォーラムで使用したこともある200インチでビニールのシートを「ぴんと張る」というよりも「ぎゅぎゅぎゅっと張る」タイプ。難儀しました。大人5人がかり。おまけに指は切るし。

プロジェクターは大学の備品は4000ルーメンの大型でしたが、レンズでのズーム/テレがないので、焦点距離が遠く、持参した高校英語科の備品を使うことに。会場は200人ということなので、着席した前の人の頭越しに見えるエリアなどを検討し、スライドのフォントの大きさなども修正。最終的に、配布資料をスライドの抜粋として、スライドの文字などがあまり見えなかった方にも概要は掴めるように配慮したつもりです。指導助言者の田地野彰先生の「意味順」概説&適用例の資料も一緒に印刷するべく、土曜日に業者に入稿。10日には製本され上がってくる予定です。

日に日に寒さが増してきているので、土曜日の朝の気温が心配になってきます。体育館には暖房はなかったと思います。私の分科会に参加される方は、マフラーやスカーフ、コートなど、着脱できるような寒さ対策をご検討いただきますようお願いいたします。暖かければ「空振り」でいいのですが、寒くて縮こまって話を聞くどころではない、というのは避けたいと思いますので。

今回は、13年ぶりの全英連発表ということになります。異なる都道府県で複数回発表した人って、どのくらいいるんでしょうか?
2003年当時は、まだ名前のついていなかった、私の授業の「定番」も紹介する予定です。「対面リピート」も「イカソーメン」も、今では私よりも、鹿児島の有嶋宏一先生の方が上手いと思いますので、今回全英連に参加される方も、都合がつかなかったけれども興味のある方も、こちらのDVDをお買い求めの上、取り組んでみては如何でしょうか?

Interesting, Funny, Empowering ENGLISH LESSONS
http://www.japanlaim.co.jp/fs/jplm/gd3611

授業者:有嶋 宏一(鹿児島県立甲南高等学校)
◆Read the passage(本文の導入)
◆[Task 1] Phrase hunt
◆[Task 2] Find words with following definitions.
◆[Task 3] Are the sentences true or false? If false, correct the sentences.
◆[Task 4] Answer the questions
◆[Task 5] Summary: Fill the blanks.
◆[Task 6] Reading aloud, and write it away!
・Summaryで使用したシート(答えを入れたもの、日本語を入れたもの、単語が抜けているもの)を使用して音読
・Quick Writing
・対面リピート
◆[Task 7] Grammar: Fill the blanks.
◆IKASOMEN
(4〜5文からなる1段落を用意し、グループに1文ずつランダムに渡し、文の順番を考えさせる)
◆[まとめ:解説]What kind of English Lessons should we have?
(61分)
2011.11

個人での購入にはいささか高額かもしれません。英語科の予算での購入など、ご検討よろしくお願いします。

イベントではない、肝心の日々の実作はというと、高1は、これまでの恒例となっている「全国縦断公立高校入試リスニングテスト制覇の旅」の簡略版、抜粋版を始めています。入学者の英語力が低下しているだけでなく、これまで以上に、習熟度のばらつきがあるので、イカソーメンもなかなか苦労します。初めは、「シャトルラン」の多様で復元完成を試みています。ただ、学年が違っても「同じ素材文」を扱うことで、「差」が見えてくることもあるので、古い年度のものも捨てずに使い続けています。
自分で作っておいてこういうのも変ですが、この「…旅」の最大の課題は、入試リスニングテストの設問に答えることでも、原文を聞き取りなどの活動を通して復元することでもないように感じています。その後で、より「つながり」と「まとまり」のある英文に、私が書き換えた(書き直した)英文を読み聞きし、原文と比較することによる「気づき」が得られるかどうか、そこにかかっていると思っています。

作成したことのある人には重々承知のことでしょうが、公立高校入試の素材文は、様々なというか、物凄い制約のもと作られています。使用可能な語彙、構文、一文の長さ、全体の長さ、などなど…。とりわけリスニングテストでは「注」が付けられませんので、さらなる縛りがあると思います。
その分、「つながり」や「まとまり」が犠牲になっていることも多いというのが偽らざる感想です。
設問も、local / global の軸で揺すぶられることは稀ですから、local & literal で直ぐに正答がわからないように、選択肢は若干書き換えてある、という程度だと思います。
高校に入学し、高校の教科書などの「素材文」に面食らうのは、初出の語彙や構文を難しい、と感じるだけではなく、「文章」「段落」「談話」の緊密さ、とでもいうようなものへの違和感もあるのだと思います。ただ、近年の高校の教科書では、レッスンによって、その英文の「質」にバラつきが大きいようにも感じています。

高2は、「副詞節シリーズ」を経て(まだ身についてはいないので「終わって」はいません)、「条件節」、「if の3タイプ」へ。これまた、定番の授業なのですが、過去ログをみていただければ分かるように、年度によって、高1の終わりに扱っていたり、高2のこの時期に扱っていたりと、まちまちです。生徒の英語力(とその伸び、そして伸び代)を勘案し決めています。
先輩達が残してくれた「白板のモノ」の記録がありますから、その資産運用に成功すれば、簡単にクリアーできる、と思いがちですが、やはり個々の「学び」には階段、発達段階があるのでしょう、時間は掛かることを覚悟してやっています。今日の私の板書はこちら。3タイプの概説です。

If のタイプ1 and 2.jpeg 直
Ifのタイプ3.jpeg 直

高3は、「意見文」「説得文」の課題と並行して、「易しめ」入試読解問題の素材文を読む活動。
以前、取り上げた Unit 11 の「経済社会学」の英文での、私の取り扱い、解釈に対する質問が「呟き」で寄せられていたので、「メールでお願いします」といったら、丁寧なメールで質問が来ましたので、そこでの「疑義」を教室で生徒に投げかけ、私の考えとの照らし合わせ。私からの返信も、生徒に示しておきました。過去ログでも、補足となる「追記」をしていますのでご覧下さい。

「追記」はこのエントリーの最後になりますが、素材文と私の手書き部分と照らし合わせて読まれることをオススメします。
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20161026

今週新たに扱った英文は、短め。ただ、「これで終わったの?」というような居心地の悪さは残ります。
例によって、私の手書き。

Unit 14_1.jpeg 直
Unit 14_2.jpeg 直
Unit 14_3_1.jpeg 直
Unit 14_3_2.jpeg 直

「英語ネイティブの発想」とか安易な一般化には慎重でありたいと思いますが、文章のキーワードの適切・正確な理解は、筆者の論理展開だけでなく、その筆者が用いる表現の選択の予測・予想にも役立ちます。英英辞典をただ引くのではなく、「活用」する、複数の辞書で定義を引き比べる、というのは中級以上の授業や学習で取り入れる価値のある方法だと思っています。

今回、shyという語を辞書で確認していた者は殆どいなかったと思います。でも、この語の適切な理解がある者とない者が、この文章を読み進めていく中でみる「景色」はかなり違うのではないか、というのが教師としての私の考えです。

やはり、一つ一つ読み進めるのが一番なのでは?


さて、以下はフィギュアスケートネタですので、とばしたい方はご随意に。
フィギュアスケートのGPSもカナダ大会に続いてロシア大会まで終了しました。
カナダ大会のアイスダンスでは、「テサモエ」こと(っていうか日本での愛称ですね)、テッサ・ヴァーチュ&スコット・モイア組が優勝。ショートダンスを見た時は、正直言って「ブランクって何なのさ?!」と思いました。フィニッシュ後の二人のローファイブとでも言うのでしょうか、バチッと手を叩きあった時の表情が良かったです。

  • やっぱり私たちって良いよね!

とでもいうかのようでした。フリーダンスではまだ持久力の面で十分ではないのか、若干ミスがありましたが見事総合での優勝。
僅差での2位には「チョクベイ」こと、マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組がつけました。チョクベイは総合順位こそ2位でしたが、フリーダンスでは堂々の1位。テサモエよりも上に行ったことを確認したチョック姐さんの嬉しそうな顔が今も鮮やかに蘇ります。
先週末で終了のロシア大会は、波乱あり、大逆転劇ありと、悲喜交交の結末となりました。
男子シングルは、SPで自己ベストの大幅更新で首位に付けた日本の宇野選手に、フリーでミスが出て2位でフィニッシュ。世界選手権2連覇のハビエル・フェルナンデス選手が、フリーで200点超えの圧巻の滑りで大逆転。
「王者の貫録」というのは簡単ですが、注目のジャンプも高さ・幅・流れ、そして入りのステップと出での流れと次のエレメントまで、トータルな演出がなされていました。ジャンプだけが目立たない強い滑り。
男子は「4回転ジャンプを3つ入れる」とか「難度の高いジャンプ構成で攻める」という戦略では勝てない時代なのかもしれません。

注目のアイスダンス、チョクベイの2戦目は、ロシア覇者「ボブソロ」、エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビエフ、そして、今季コーチをニコライ・モロゾフに代えてきたカナダの「ウィバ・ポジェ」、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェの三つ巴が予想されていました。
SDを終えて、2位のボブソロに僅差の首位で発進のチョクベイでしたが、FDのツイズルでベイツ選手の痛恨のミスが響き総合で2位に終わりました。SD, FDともきちんとまとめてきたボブソロが逆転で優勝。あらためてボブロワ選手(愛称は「カーチャ」です)のアスリートとしての資質の高さを認識させられた演技でした。この素晴らしい選手に、ドーピング疑惑がかかり、昨季の世界選手権での演技を見られなかったことを本当に残念に思うと共に、次期五輪まで、怪我なく続けてくれることを願っています。
2位に沈んだベイツ選手は、キスクラでも痛々しかったのですが、彼らのフリーダンスの曲目は、

  • Under Pressure

自らを追い込むのではなく、バネにできるのが彼らの強みのはず。まだシーズン序盤で、歌声に負けている部分もみられますが、この曲で強く滑り切れば、名プログラムになりそうな予感はあります。ファンは信じて応援するのみです。

波乱は女子シングル。
SPを終わって、ロシア女子が上位を独占。ポゴリラヤ、ラジオノワ、そして3位につけていたのがユリア・リプニツカヤ選手でした。
私は個人的にはエレーナ・ラジオノワ選手の大ファンなのですが、SPの演技開始で画面に映し出されたリプニツカヤ選手のその容姿に「怖いくらいに美しい」と思いました。怪我の影響でアメリカ大会は欠場していたので、コンディションが心配されていましたが、ジャンプも高さ、流れとも素晴らしく、定評あるスピンもバリエーションが増え、新たなステージに入ったという印象でした。
期待の膨らんだフリーでの滑走順が、リプニツカヤ→ラジオノワ→ポゴリラヤ。
そのリプニツカヤ選手の演技途中で、まさかの中断。左足か左の股関節か、下半身の左側の異変を訴えて、ジャッジ席とフェンス越しにコーチのウルマノフさんのところとを往復。かなり長い中断のあと、途中から演技を再開し、ジャンプで転倒しながらもフィニッシュ。キスクラでは、涙をこらえていたであろう表情が映し出されていました。会場のお客さんでも泣いている人が…。
あのウルマノフさんがついているのだから、多分大丈夫だと思います。じっくり直して復活してくれることを信じています。
私のイチ推し、ラジオノワ選手は、この2シーズンで伸長が12センチも伸びました。世界ジュニアを2連覇した155cmから、現在の167cmへ。これって、大変なことなんです。
立ち位置での目の高さ、ジャンプでの目の高さが変われば、自分に見える「景色」が一変します。回転の軸を細くして、回転速度を高めることでスピンやジャンプが安定するのですが、身体の中心から末端までの距離が長くなればなるほどコントロールは難しく、スピードを上げようと無理な力が入れば軸は崩れます。
得意のレイバックでこれほどトラベリングするのを見たのは初めてです。昨シーズンから、最も得意とする3回転ルッツ・3回転トゥーのコンビネーションジャンプで、着氷時のフリーレッグのブレードのつま先部分が氷を擦るようになっていたのも、身長の伸びへの対処に苦しんでいたことの現れでしょう。
しかも、フリーでは、直前滑走者のリプニツカヤ選手のアクシデントでのかなり長い中断。ジュニア時代から切磋琢磨してきた二人ですから、精神的にも動揺はあったと思いますが、そんな中でも、最小限のミスでとどめて滑り切ったのは流石です。惚れ直しました。

優勝は、ショート、フリーと2本とも情熱溢れる滑りを見せた、アンナ・ポゴリラヤ選手。
ソチ五輪シーズン後、競技レベルから離れている、イタリアのカロリーナ・コストナー選手の温度をさらに上げたような演技、といえば少しは伝わるでしょうか。素晴らしかったです。

ラジオノワ選手の身長の話しをしたので、ついでと言ってはなんですが、ここでちょっと整理を。

公式プロフィールの身長と、実際に演技を見た大きさとはなかなか一致しないモノです。
ロシア女子だと、ポゴリラヤ選手が167cmでラジオノワ選手と同じなんです。リプニツカヤ選手が160cm、メドベデワ選手が157cm。ジュニアからシニアに上がったソツコワ選手と、ジュニアのトップのツルスカヤ選手が170cm。アメリカだと、グレイシー・ゴールド選手が168cm、ポリーナ・エドマンズ選手が169cm、スウェーデン女子のヨシ・ヘルゲソン選手が171cmです。日本では大型と言われる本郷選手、トリノ五輪覇者荒川静香さんが166cmなんです。
男子では、日本のスター高橋大輔さんが165cm、三冠王者羽生結弦選手が171cmです。アメリカのジェレミー・アボットが179cm、バンクーバー五輪の覇者エヴァン・ライサチェクが188cm。超人エフゲニー・プルシェンコが178cm。ロシア期待のマキシム・コフトゥンが180cm。現世界王者ハビエル・フェルナンデスが173cmなんです。

次回、TVなどで見る時に、ちょっと思い起こしてみて下さい。

本日のBGM: Under Pressure (David Bowie & Queen)