フィギュアスケートのシーズン開幕で充実した「スケオタ」の夜を過ごしています。
先日のスケートアメリカの興奮がまだ続いていますが、男子シングルのヴォロノフ選手のフリーを、今朝、あらためて観て、ちょっと涙腺が緩みました。特に、3回転ルッツの着氷を決めた後、フェンス際でのカメラに映った口元の笑みが最高でした。ヴォロノフ選手は、コーチをゴンチャレンコさんに代えての新シーズン。本当に良いスタートになったと思います。ゴンチャレンコさんのところには、同じく男子シングルで、コフトゥン選手も移籍しています。ラジオノワ選手など、ゴンチャレンコ門下の若手選手に良い影響が出てくれることを願っています。
一方の日本ではプロ野球の「日本シリーズ」真っ只中。
久しぶりに野球の試合を観ましたが、面白いじゃないですか。「煽りバラエティ」をしなくても、選手の動き(仕事)自体、試合自体が面白ければいい、という基礎基本を再確認しました。ありがとうカープ。ありがとうファイターズ。
さて、
生業の英語の授業の方はというと、高3の『易しめ入試過去問を(少々)加工して再録した問題集』での悩みが尽きません。
いつものように自分で視写しながら、第4段落までは、まあまあ、癖があってもスムーズに進んだのですが、第5、第6で、「ムムっ?」となり、例によって、原文捜し。
これですね。
Freakonomics: A Rogue Economist Explores the Hidden Side of Everything
- 作者: Steven D. Levitt,Stephen J. Dubner
- 出版社/メーカー: William Morrow & Co
- 発売日: 2005/05
- メディア: ハードカバー
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私の買ったkindle版だとこんな表紙です。
癖があるのはいいのですが、最終段落の次のところなど、句動詞の buy off (≒ bribe) でモノゴトを目的語とするのがちょっと「?」。
But there was another problem with the day-care center fine. For just a few dollars each day, parents could buy off their guilt. Furthermore, the small size of the fine sent a signal to the parents that late pickups weren’t such a big problem. If the day-care center suffers only $3 worth of pain for each late pickup, why bother to cut short the tennis game? Indeed, when the economists ended the $3 fine in the seventeenth week of their study, the number of late-arriving parents didn’t change. Now they could arrive late, pay no fine, and feel no guilt.
あと、Ifで始まる、第4文の、sufferの主語に「デイケアセンター」が来ているので、最初は「これ、suffer (≒ (to) experience something unpleasant) ではなくて、cost ってことなのでは?」と思って再読し、親の側の負担と、デイケアセンター側の負担で、辛苦と小銭のバーター、トレードオフの関係を述べているのだろうな、と納得はしましたが、雰囲気で引っ張っている(押し通している?)感じは否めませんでした。
原文と照らして、「一番の問題だな」と思ったのは、教材の第4段落と第5段落の間に、原文では、kindle版にして、約5頁分(PB版でも2,3頁分?)の英文がカットされているということ。これでは、「つながり」は薄れるでしょう。
冒頭部分(第1段落).png
第2から第4段落.png
教材の第4段落に続く部分(その1).png
第4段落に続く部分(その2).png
第4段落に続く部分(その3).png
第4段落に続く部分(その4).png
第4段落に続く部分(その5).png
漸く第5段落へ続く部分.png
第6段落の最後とその続き.png
まだまだ続きます.png
さらには、最後の写真を見てもらうとわかるように、教材の第6段落は、セクションの終わりなどの「キリのいい」ところではなく、この後もまだまだ、話は続くところである、というのも「?」。これで、「統一した主題」が掴めるような、「まとまり」は感じられるでしょうか?この『問題集』にも、当然のように解答や解説、さらには全文訳までついていますが、本当にそれを頼りにしても大丈夫でしょうか?
問題のsufferのところの日本語訳に「???」。
「もしお迎えに遅れるたびに託児所がたった3ドル分の苦痛しか受けないのなら、なぜわざわざテニスの試合を途中で切り上げる必要があるだろうか。」で日本語として意味&論理が整合すると思っているとしたら、そこまでの人ですね。
今回のレッスンの私の手書きノートの写しはこちら。
Unit 11_1&2.jpeg
Unit 11_3&4.jpeg
Unit 11_5.jpeg
Unit 11_6.jpeg
皆さんは、どうお読みになりますでしょうか?
いつものことばでお別れです。
より良い英語で、より良い教材。
本日のBGM: Bye Bye C-Boy (佐野元春)
※20161106追記
上記の教材の第6段落の英文に関して、呟きの方で疑義がでていましたが、私の授業の際に高3に解説したものを補足しておきます。
第6段落の
If the day-care center suffers only $3 worth of pain for each late pickup, why bother to cut short the tennis game?
は、本来親の独白で、疑問文は反語・修辞疑問になるもの。親の心の中の声を補うと、次のようなものになるであろう。
1. If I arrive late for picking up my child, the day-care center will fine me.
2. Even if they fine me for each late pickup, it only takes $3.
3. They will take the trouble to take care of my child for the extra time only for that small amount of money.
4. Then, why do I have to hurry?
5. I can leave all the trouble for the time to them.
6. They are willing to suffer the trouble as long as they fine me $3 for each late pick up.
7. I can buy my time for tennis games only for that small fine.
8. That’s the deal.
これは、ここまで読んできた人が読みたい「解釈」。でも、書いてあった字句は、教材の通り。
私が「雰囲気で引っ張っている」と書いたのは、そういうことです。
私だったら、当該の一文は次のように書くでしょうか。
If all the trouble the day-care center accepts is only worth $3 for each late pick up, they will or do suffer very little, then why do I have to feel guilty about being late or feel sorry for them?