”I string the words together softly”

淡々と実作で1月も終わり。
商業科2年は、授業の基本展開とそれぞれの狙い、効果を「講釈」。頭の働かせ方と耳口のトレーニングは両方やらないとダメ。そして誰かに褒めてもらってやる気を出すのではなくて、自分で自分の足跡を振り返ること。
仕込みBの連語で各自によるwarm upを2分。連語を2つ選んで連続での対面リピートをペアを替えながら5分。そこから自分の席に戻り、自分の出来不出来を自己診断して、「スラスラ感」が得られたものからいくつか自分で選んで、Flip & Writeまで。ワークシートの裏面がどんどん埋まっていっているか、一目瞭然。ここから先が、自分の学びですから。どうぞ、お先へ、という目論見だが、ここまで「自分」を強調すると「じぶんぶんぶん、三ぶんぶん」って感じだな。
今日のメインは、「フレーズ順送り訳」の「矢印」部分での合いの手の整備。そして、日→英での復元。ここも、5分で合いの手確認、7分で対面リピート。パートナーは表面の英文を読み上げ、リピートが上手くできないところは、裏面にあたる「フレーズ順送り訳」を「チラ見」してもよいというルールでゲームは進みます。意味と英語がとりあえず重なりだしたら、「フレーズ訳」だけを見て、私の範読を聴き、左から右へと処理できるか確認。その後、各自で「フレーズ訳」と「英文」とを行ったり来たりで、英文での日→英をスムーズに。最後は、音とリズムに注意を払ってコーラスで音読。
パート2の「仕込み」と教科書本文のワークシートを配布。『ひらタイ』の2月号の「山口県特集」を紹介して本日は終了。
進学クラスの方は、高1は「入試問題」の読解問題をdictoglossもどきで。600語弱の英文なので、聴解で主題が掴めないと保持も難しい。ではどうすれば主題は掴めるのか?まずは個々の文。部分の理解から、主題の仮構築、そしてその「仮の主題」に照らしての、自分の細部の理解の修正、という地味な作業しかないように思う。
高2は、午後のコマで、入室時に入り口の扉と教室の前方の窓が開いていたので、英語で理由を聞くと、日本語で「換気」と答えが返ってきたので、

  • 換気のために窓を開けたままにしておいて下さい。

の英訳から。まずは自力で、シェアリングを経て、辞書活用で着地点。

  • Keep the window(s) open to let in some fresh air.
  • Keep the window(s) open for some fresh air.

で、不定詞で「目的」を表す際の “let” の肝を押さえつつ、『前置詞のハンドブック』の用例補充で、 “for“ の項目に、例文を書き加えさせ、カスタマイズ。来年度の改訂に向け作業を着々と。このletを使った用例を扱う時の定番で、GODIEGOの『僕のサラダガール』の出だしをちょっと流しておいた。タケカワユキヒデのソロバージョンも忘れずに。この曲を覚えたのは、中1くらいだったけれど、このletの肝に気がついたのは高校に入ってからでした。
Readingの教科書を音源を再生しながら解説。確かに書き言葉ではあるけれども、

  • 耳で聞いただけで処理できるか?

を自分に問うことには意味があるでしょう。
並列構造と、同意表現の言い換えを確認。andの並列の処理とワニの口の中のワニの口の処理は、やっぱり慣れるまでは構造を単純化して取り出さないとダメなんじゃないかと思っています。今回の課では、

  • The second factor is related to the idea that reading is an activity which is influenced by the reader’s past experience and knowledge of the world and the subject matter---in other words, our background knowledge.

の部分が最初のハードル。高校の英語教師は 「in other words で言い換えられているから、その後を読めば分かるよ」、などと言いがちですが、 では、“background knowledge” はその前の何を言い換えているのか、2つのandのうち、最初の and を越えて、the reader’s past experienceから纏められるのか、というところは悩めるようにならないと、後々、独り立ちできないように思います。で、こういうところの解説は『指導書』にはないのですね。
ワニの口の迷い所はこちら。

  • We relate what we already know to what is appearing in the text and check whether or not what we have guessed matches what the author is trying to express.

andが結んでいるペアが relateと checkだと分かれば、出口はすぐそこのはずなのに、後半でうろうろしてしまう生徒がいるのです。matchesが動詞だとすると主語は何か、目的語が何か?と探しに行って初めて whatのかたまりが「見えてくる」のではないかと思います。この場合は、大きなワニである “whether” での名詞節の中に、名詞のないところに名詞のかたまりを作る ”what” というワニが二匹棲んでいたわけです。
このような文構造を理解し、習熟するのに、最近流行の「推論発問」の出番はないように思います。
今日の解説で取り上げたのは「代名詞」と「数の呼応」。

  • For example, if we are reading a newspaper article, knowing the kinds of verb or noun phrases that frequently appear in newspaper articles can make them easier to read.

での “them” は具体的には何のことか?という問いです。教室の誰もが them = newspaper articles だと思っていますし、『指導書』でもそのように書いてあります。が、この文の出だし、従属節では何と書いてあったでしょうか? “if we are reading a newspaper article” です。「何でもいいけどいろいろあるもののうちの一つ」として取り上げられた、「その新聞記事」の理解度についてあれこれ言っているのではないでしょうか?とすれば、ここで easier to read になるのは、 “that particular newspaper article I have just taken as an example” とでもいうべきものではないのでしょうか?では、もしその内容を “it” でまとめた場合に、言い表したい内容・意味は確実に伝わるのでしょうか?意味と形の整合性が崩れているところであり、私は悩む価値のあるところだと思っていますが、当然のように、ここでも『指導書』は何も触れていません。
読む時は、掻い摘んだり、端折ったりできるので、このようなところが致命傷になることは少ないのですが、これが「書く」時にはハードルとなって立ちふさがることになります。確かに、このレベルで書くことを求められる人は少ないでしょう。それでも、私は、このようなところを、英語学習のどこかの段階できちんと押さえておかないから、「英語が書けない」のだし、「英語で書けない」のだと本気で考えている人間です。
高校の教室で「精読」が次第に消えていき、「ライティング」の授業もなくなってしまえば、いったい、いつ誰の手ほどきでこのような迷い所をクリアーしていけるのか。来年度からの高校の新課程で、「英語を書く」ことや「英語で書く」ことが、中身や実体のない、「絵に描いた餅」になってしまわないことを願っています。
昼休みに、「表現ノート」を提出してもらって、ダメ出しの準備に。

3学期の高3の授業は「自宅学習」期間に入ったので、少し持ちコマに余裕が出来ました。
「中締め講義」以降、ここで「意味」というものときちんと向き合って、勉強し直そうと決心。再読と、新読を計画中です。暫くは写真にある4冊を行ったり来たりすることになると思います。

本日のBGM: Musician, Please Take Heed (God Help The Girl)