東京で夜の七時

二学期の平常授業も残すところ僅か。進学クラスは冬期課外がありますが、それ以外は課外での英語はありません。

進学クラス2年は、修学旅行の関係で、一足先に期末試験。
今回のライティングは、obituaryが目玉です。
リーディングのコマでは、『話せる音読』を元にした出題。これは市販教材なので、英文を全部打ち込むのがちょっと面倒だけれど、自分で打っていると、音読とは違って、そのライターのクセがはっきりと分かるように思います。そういえば、東京にいた頃は、全ての教材を手書きでノートに書いて、著者になったつもりで英文を書くように、教材研究をしていたのでした。サボっちゃダメですね。

高3は、この時期恒例の「意見文」。授業でのドラフト、リバイズを経て、試験に臨みます。変化球にも対応できますかどうか。読解系のコマでは、『東大特講リスニング』から「ポイント特講」の項目を見繕って、頭の働かせ方。「却下系」と私が呼んでいる、標識語に関連して、私家版コーパスから英文を選び読解課題に。3分の2ほど大まかに読みながら大意を捉え、最後の段落を日本語訳として課した。最後の段落だけ引用。

There is also a growing recognition of the need for people to assume greater responsibility for their own health and in particular to lead their lives in such a way as to promote a sense of well-being. This increasing “consumer” involvement promises a new era of community care which is likely to become increasingly responsive to local needs and which will regard the users of the services as active participants rather than passive recipients. This will have a significant impact on the development of services. Changes brought about at the “grass roots” level have been described as “bottom-up” as opposed to the “top-down” planning of the past.

おそらく、最近はセンター対策模試の問題のように「情報処理」のスピードが求められる類の英文を読むことが多くなっていたのではないかと思う。与えられた選択肢から答えを選ぶための「解法」に夢中になると、英語の「文章」感覚が麻痺してしまうのではないかと心配になっていたのだが、案の定、引用した英文では、こちらの予想したところで躓いていたので、一コマかけて軌道修正。整体師のような感じですかね。
今日も引き続き、Yゼミの模試の問題文を取り上げ、つながりとまとまりを補いつつ、きちんと読むことの重要性を説いておきました。

進学クラス1年は、引き続き「高校入試」の素材文を、きちんと読む、きちんと聞く活動。
「話形」に関連して、一昨年の定期試験出題例を示して、授業で扱った高校入試素材文が、どのように書き換えられて定期試験に出題されるのかを「体感」してもらった。昨年も、ELEC協議会の研修会や、福岡県私学協会の教員研修会で示した青森県の出題例の改編だが、「この続きで、この人は何というでしょうか?」という問に対する答えが、本当に貧弱で、頭を抱えました。英語力以前の問題がまだまだ山積。英語教育プロパーの世界だけでなく、他教科も含めて、「何を、どのように読むのか」を「テクスト」との関連でしっかりと議論する必要があると痛感。

看護科1年は、ようやく<語彙の仕込み→意味順での内容理解→音読>という流れができつつあります。音声に関しては、進学クラスよりも「らしい」音、声が出るようになってきました。身体知なのですかね?
単語での仕込みは<日→英>。範読を聞き、日本語の意味に英語の音を結びつけます。その後、リピート、Read & Look up、対面リピート、日→英でのRead & Look upを経て、Flip & Write。
フレーズ、チャンクも、日→英ですが、こちらはマッチングをしてから、同じ流れで。ペアでの活動を受けて、必ず、自己診断。どのくらいできるようになったか、チェック欄という名のただの□を活用。

「呟き」で、過去ログに言及されていたので、「名詞は四角化で視覚化」からの流れを連投して、ワークシートに朱書きしたファイルを流していましたが、こちらにもまとめておきましょう。

まず「目的語感覚」を掴んでもらうことから。この後に扱うことになるであろう「接触節」での名詞句の限定表現まで見通して、この段階ではこれだけに集中します。気づく子は既に気づいていますが。「目的語」が「目的」以外の意味や働きを持つことは教えていますが、「自動詞」「他動詞」という言い方は授業では使っていません。
「目的語」感覚を養う (N1)_pdf-notes_flattened_201311300606.pdf 直

不定詞の形容詞的用法、などと呼ばれるものでの「四角化」を「ワニの口」と区別することが、山と言えば山ですかね。ここで大事なのは「足あと」がはっきり、くっきり分かるものから導入するということ。接触節の方が、ある意味「易しい(=優しい)」ですね。授業では、その後「シンデレラのガラスの靴」とか「インソールで調整」などと言うことになります。無理につめ込まなくとも、関係副詞のところで、前置詞+関係代名詞をおさらいするので、そこでもう一度まとめるチャンスはやってきます。靴が合わないからといって、自分の足を切っちゃうのは、やっぱりマズイ対応ですよね。
不定詞の形容詞的用法_1_pdf-notes_flattened_201311300606.pdf 直

「後置修飾」という英語の運動性能を感じてもらうことが主眼ですが、「足あと」がよくわからないもの、足あとはあるんだろうけれど、靴がピタッと嵌らないものなどを扱います。「同格」という用語は使っていません。否定の言葉が入ってくると、日本語とのギャップはさらに広がるように思います。
不定詞の形容詞的用法_2_pdf-notes_flattened_201311300605.pdf 直

現在分詞、過去分詞の導入を終えたところで、-ingの識別に。まずは、「四角化」でどう区別しているか。ここでも「ことがらは『ワニの口』」の考え方で記号付けです。-ingが「用途」「機能」「目的」を表すときは、アンダーラインの上で「ワニの口」の動名詞扱い。名詞と名詞がつなぎの言葉なしで並んだときの原理原則 (名詞1は名詞2に対して形容詞として働く) に還元しています。ここでは、パラフレーズして、<名詞2 for 動名詞としての名詞1>ということも教えています。
-ingの識別_1_pdf-notes_flattened_201311300604.pdf 直

このあたりで一区切りですかね。一連の「ワニの口」との整合性を見たい方は、過去ログの、

をご覧下さい。

私の記号付けは寺島流とも違い、組田先生のものとも違います。汎用性に関しては全く考慮しておりませんので、「やってみようかな」という方のサポートまでは致しかねます。「ここはよくわからないけど、こっちは使いやすそう」と、いいとこ取りをするような場合は、英文法の全体像 (というものがもしあればの話しですが) との整合性は自己責任でお願いします。

さて、土曜日課外を終えたら、上京です。

本日のBGM: 東京は夜の7時 (野宮真貴)