”Boys Don’t Cry”

どこぞの大統領が来日で東京は賑わっているとか。

連休前にキリの良い所まで進みたい気持ちはあるのですが、授業というか「学び」は生き物なので、進度ばかりを気にしてもいられません。家庭訪問週間で短縮授業。できることの精度を高めるくらいですね。先日は下関まで往復150km。原則として高速代は支給されないので、自分の時間を買い戻すようにETCのゲートをくぐります。車内で待ちに待った新譜を繰り返し聴けたのでよしとしましょう。

看護科2年は、仕込みを終えて教科書本文の聞きと読みと。

まずは、フレーズ読みのワークシートで。左側の英文を「眺めながら」英語を聞いて理解の濃淡・温度差を確認。右側のフレーズ順送り訳を見て、自分の理解を確認。フレーズ訳の「→」の部分に「合いの手」をメモメモ。日→英行ったり来たりで自分が順送りで処理できているかを確認。「字幕スーパー」もどきで、フレーズ訳の方だけを見ながら英語を聞く。英語のフレーズごとの改行を読みながら英語を聞く。で、黙読。

お膳立てがない状態で、自分に何かができるためには、それぞれの「お膳」をしっかり味わっておかないとダメ。まだ本気スイッチの入っていない人は、そのうち気づくのかなぁ…。

『フレーズ英作文』の方は、音源のダウンロードをしてもらうと教室を離れてもトレーニングがスムーズに進むので、是非、手間を厭わずダウンロードして下さいね。

進学クラス高3は、”Silent Spring” に関連して、久々にAcrostic をやっています。(過去ログ参照 http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20070109
久々に、昔の動画を見た。「いいことやっているなぁ」と自画自賛。今の教室ではどう機能するか。
「診断テスト」は30番まで。
受験対策に「も」なるように、『東大特講リスニング』でも扱った、「講義の型」と「目印・耳印」「談話標識」のガイダンス。
あとは、『表現ノート』のネタ探し。

高2はせっせと『コーパス口頭英作文』。
並行して、土曜日課外で、恒例の「副詞節シリーズ」の導入です。多分、悲しくなるくらい何も出来ないだろうな、と思っていたので、先輩たちの残してくれた “before & after” のサンプルを見せてガイダンスをしてから始めたのですが、こちらの想定以上にダメダメで、こちらが泣きそうでした。それでも、英語の「運動性能」を掴むいい機会だと思いますので、まあ、頑張るしかありません。この「運動性能」という言い方は、東大の阿部公彦先生の受け売り。(http://booklog.kinokuniya.co.jp/abe/archives/2013/05/post_131.html) 確かにそうだと思うので、使わせてもらっています。

そして、高1は、「四角化ドリル」へ。昨年の反省をもとに、丁寧に日英比較をして進んでいます。
日英比較で「英語の仕組み」を使いこなす頭の働かせ方を身につけようという試みとしては、田地野彰先生の「意味順」の他にも、『英作文なんかこわくない』(東京外国語大学出版会)があげられると思います。『学習英文法を見直したい』(研究社)の拙稿でも、参考書籍として示していましたが、この度、続刊が出ました。

馬場彰監修、猪野真理枝、佐野洋著 『英作文なんかこわくない II 連体修飾編』(東京外国語大学出版会、2014年)

英作文なんかこわくないII 連体修飾編

英作文なんかこわくないII 連体修飾編

馬場彰先生に、拙稿を紹介していただいたことが契機となり、今回、著者の佐野洋先生から、ご恵贈いただきました。馬場先生、佐野先生、本当に有難うございます。
中高現場では、英語の「後置修飾」にスポットライトを当ててまとめ直すような指導は見られますが、普段私たちが使っている日本語の「連体修飾」を、どのように英語に対応させていくのか、という体系は薄いように感じています。その部分に光を照らしてくれる一冊だと思います。名詞の四角化と足あと、ワニの口、といった私の一連の指導に強力なサポートを得た思いがしています。

さて、
英語の授業で「歌」を使っている先生は多いと思います。
今季、授業開き、歌い初めなど、1曲目で、あの映画のあの曲を使った方もいらっしゃるでしょう。
日本語版では「すこしもさむくないわ」と決めるあの曲。英語の歌詞は、The cold won't bother me anymore. ではなく、The cold never bothered me anyway. と過去形。授業で使う英語の先生はなぜ過去か意味を整理してあげて欲しいと思います。
大まかに分かったつもりの「気分」や「雰囲気」を掴んでいるだけでは、自分で使えるところまで「近づいている」のかが自分でよくわからないもの。腕利き・目利きの助けを借りるべきところでは救いを求めることも必要なのです。
この話をFBの方でしていたら、ギリシア語バージョンでは、この部分は「現在形」なのだそうです。この辺りの対照言語学的考察をしてみてもおもしろいかも。

先ほど、阿部先生の言う、言葉の「運動性能」の話をしていましたが、最近の大修館書店の『英語教育』の特集記事や連載のうちで、英語教師が、英語の力というか、英語の運動性能を養い、英語の生態を把握するのに一番適しているのは、真野泰先生の「クエスチョン・ボックス」の回答を精読・熟読することだと思っています。忙しい人もここだけは読みましょう。

今週になってようやく、

阿部 公彦 『詩的思考のめざめ 心と言葉にほんとうは起きていること』(東京大学出版会)
http://www.amazon.co.jp/dp/4130830643/ref=cm_sw_r_tw_dp_mXYwtb0WM98AP

を読み始めました。副題の「は」に唸り、「はじめに」でまた唸り。この知性と同時代を生きていることに感謝しています。『週刊読書人』4/18号に和合亮一の書評があります。こちらも是非。

今、一番期待している書籍が、こちら。刊行が待ち遠しいです。

阿部 公彦 『英語的思考を読む ――英語文章読本II 』
http://www.amazon.co.jp/dp/4327481629/ref=cm_sw_r_tw_dp_1jJwtb175AGZE

本日のBGM: America (綿内克幸)