the right stuff

土曜日は、妻が知人のギャラリーに出かけるので、娘の散歩、採点、昼食、採点、試験作成、娘の散歩、夕食の1日。丸つけはほぼ終了。あとは配点の微調整を残すのみのところまで漕ぎつける。
陸上の日本ユースに出ているクラスの生徒から、7位入賞を知らせるメールが。順位も大切だが、どのレースであれ、ファイナリストということにまず意味がある。決勝に進んでいるということは大きな取りこぼしがないということ。素晴らしい!国体が終わってすぐに中国新人、さらに今大会自体がテスト期間中で大変だったと思うが、ハイシーズンはこういうものだと自分の心と体で覚えればいいのです。
夕飯は外食で、新聞を読みながら。
文科省の思惑とは裏腹に、大阪では府知事が学力テストの市町村別の平均点を公開することに。後悔しなければいいのだけれど…。
米国の金融愚策が招いた経済危機の話で、専門家の声がそこここに出ている。元財務相の偉い人とか、「政界にも太いパイプを持つ」大企業の相談役とか。経済関係のメディアを見ていていつも不思議に思うのは、そんなにその人の言うことが当てになるのなら、なぜ今その人を現場で登用していないのか?ということ。
「政界との太いパイプを持つ」大企業のトップに話を聞く、ということで経済政策が決められていくという状況は、教育の世界で考えてみると、首都圏・近畿圏の自治体(都道府県とか政令指定都市とか)の教育関係者、有名(名門?)高校や大学の関係者と財界人で方向性を議論する中教審でなされる提言と同じようなものだ。地方単位で見ても、地元国公立大学の広報戦略は、地元の県立高校のトップ校の上位層確保にあったりするので、結局、真ん中〜下の声はどこにも届かないのではないか。
明けて日曜日。採点を一通り済ませてmixiなぞを覗く。
「フォニックスは子供用か?」という問いかけから始まったコミュもトピずれが甚だしく、読むに堪えない。
そもそも、phonicsをカタカナ表記する際に、いわゆるアクセント(第一強勢)をどこに置いているのか?英語では、第一音節に強勢を置くなら、二重母音でアルファベット読み、第二音節に強勢を置くなら第一音節は短母音(実際にはかなり長いのだが)となるのが原則的だろう。Wellsの発音辞典だと、米音・英音みな一様に第一音節に強勢だが、短母音と二重母音の両方が示されている。米国の教育関係をよく反映しているWBDでは第二音節の強勢も示しているのが興味深い。(ちなみにOxfordの定義だと、a method of teaching people to read by correlating sounds with symbols in an alphabetic writing system;WBDの定義だと、a method of teaching reading by the association of letters and combinations of letters with their appropriate speech sounds)
これに対して、日本語のカナ表記の「フォニックス」では野球の球団名でお馴染みの「オリックス」のようには読まれずに、第一音節にアクセントを置いて読んでいるように思える。私はつとめて「フォニクス」と表記するようにしているが、それでも「オニキス」のように読まずに、「オムレツ」とか「ソリスト」とか「フニクリ・フニクラ」のようにアクセントの核を置いて読む人はいるだろう。「カナ発音ではダメだ、フォニックス読みをマスターせねば」などと息巻いても、その用語そのものの発音がカタカナ発音なのでは上手く行くまいて。(もっとも、picnicをカナ表記した「ピクニック」を日本語式で読めば、多くの生徒が第二音節に強勢があるように感じるのだけれど…。)
フォニクスがやりたいならやればいい。英語の音声が正しく身につけられ、正字法が身につけられ、intelligibleな文字が書けるのであれば何でも大歓迎。特定の指導法を他人に強制するとか、他人の指導の矯正をするとか、という方向へ進むからおかしな話になる。
英国(といってもいろいろなのはわかっているが)でもLiteracyに関わる教育議論は喧しいようで、少し前の資料にはなるが、

とか、

あたりの背景的知識は持っておくに超したことはないだろう。特に、北米圏の帰国子女でそのまま指導者になったような人、自分の子どもが北米圏で学校教育を受けた人、学生でも北米phonicsを学んできたという人たちなどは、自分のいた環境だけが世界基準ではないことを知っておくことも、健全な議論のためには必要かと。
午後からは、進学クラス3年生の保護者会。英語の担当として指導方針やコメントなど。
本業の全日本新人戦終了。高校生の活躍が目立った大会となった。自艇参加であり、4X+などは借艇に頼らざるを得ないので、高校生の参加は難しいのだろう。いきおい、小艇に有力選手が集中する。男子のスイープ種目である4+と8+以外では、高校生の上位選手に多くの大学生が抜かれている。高校時代にそれなりの活躍をして、大学での競技を続けているにもかかわらずだ。「国立大など、大学から始めた選手は…」などという言い訳が通用しないのは、漕歴1年半の高校2年で女子シングルスカルに優勝していることでも自明。W4X+で、中学生相手に2000mで5秒しかリードできなかった大学生クルーには大きな事故でもあったのだと思いたくなる。
SELHiなど高校時代に優秀な指導者の下で英語力を伸ばし大学に入学したものの、その後、大学の授業で英語力がそれほど伸びていかない学生の姿が重なって見えた。
遅い昼食は妻が福井から持ち帰った越前蕎麦。大根のおろし汁に醤油をかけてつけ汁。
さらに遅い夕食は、我が家の定番、地鶏のバリバリ揚げ。大蒜と生姜と葱の薬味で身体に滲みた感じ。

本日のBGM::Don’t let me down (Paul Weller)