「賑やかな声を離れて、いつもの場所で」

職場復帰第一戦。
降りそうで降らない、どんよりした空。肌寒さで知る10月。
自分のクラスに行くのも1週間、いや9日ぶり。無駄な時間を費やしたわけではないことを、賞状と国体のレースのビデオを紹介して生徒に説明。
高一のオーラルは、生徒個々のマッピングで、Topic 1からTopic 5までの拡充を課題としていたので、その情報交換。同じネタ、かぶっているトピックで「これって英語でなんて言うの?」という「あすなろ」企画。

  • EXILEはデビュー8年目。

という内容を英語でうまく言えないものがどう英文へと辿り着くか、生徒同士のやりとりを観察。
「『8年前にデビューした』でいいんじゃない?」「でも、ずっと活動してるみたいな感じが…」と、英語ができないなりによく考えているのである。そして、考えているからこそ、すぐには英語が身につかないとも言えるのである。英語という外国語に、ではなく、自分の伝えたい内容の方に興味関心があるがために、英語のしくみ、英語的なものの見方考え方に「はいそうですか」と素直に耳を傾けられないことも多いのだ。教師の助言の役目、S-Sのインタラクションの役目は大きい。そして、やはり「良いインプットの必要性」になるのだろうと思う。
その後、サイコロを振って1分間スピーチ。用意したマップは自分の机に置いて教卓へ出てくる、手元に置いて良いのは「語順下敷き」のみ。リスナーに質問を投げかけ、スピーカーにフィードバック。今日のある生徒は、cheerfulで完全に躓いた。別の生徒は、famousの反対のことばがでてこなかった。どうすれば切り抜けられるか、準備しておいた原稿の丸暗記からどう柔軟性を養うか。こういう過程を経ずとも、「文法・語彙が大事」と教師が言うだけで、ゴリゴリ小テストに励んでくれる生徒はやはり少数派だろうなぁ。
高2は時間割変更で明日の分が今日に。
私のいない月曜日に自習課題が出ていたのだが、その課題が配布されていなかったので、今日やってもらうことに。
「英作文」で問われる基本動詞のコロケーション50題。
『P単』の発展だと思えばいいのだが、出来は頗る悪い。20分後、辞書使用を解禁。高2も半ばを過ぎようとしているが、未だに、辞書引きに慣れていないもの、辞書の用例から該当する適切な情報を引き出せないものもいて、道のりは険しい。ラスト10分で、基本動詞のコロケーションで大切なのは「英語ではこう言う時に haveなのか」「makeってこういう使い方もあるんだ」という単発の知識、断片としての知識が集まってきたところで整理をして「haveの持ち味はこういう感じだな」「makeの共通点はこういうイメージ」「英語ではこういう世界の切り取り方をしているんだな、やっぱり」という自分の落としどころを作ることであり、その意識ができた時に初めて、学級文庫が活用できる、と説く。
例えば以下の学級文庫収録書籍、

  • 小西友七『英語のしくみがわかる基本動詞24』(研究社)
  • 阿部一『ダイナミック英文法』(研究社)
  • 田中 茂範、河原 清志、 佐藤 芳明『絵で英単語 動詞編』(ワニブックス)
  • クリストファ・バーナード『バーナード先生のネイティブ発想・英熟語』(プレイス)
  • 『マーク・ピーターセンの図解!英文法入門 』(AC MOOK)

など、思い立った時にすぐに手にとって確認したり、1週間かけて、それぞれの動詞をじっくりと整理したりして下さい。そして、このような眼の付け所を作り、その回路をオンにしておいて「多読(多聴)」に励むことが肝要と思われます。変な喩えですが、牡蠣や海苔の養殖を思い起こしてみて下さい。ただ大海原に漕ぎ出したり、浮かんだりするだけで何もかも身につくわけではないのですから。
国体の結果を受け止め、本業の先行きを考えると頭が痛いが、こんな時でも後ろ向きで前へと進んでいくのだ。

本日のBGM:すべてうまくはいかなくても (International Hobo King Band featuring Motoharu Sano)