Back to basics

今日は文化祭の代休で授業無し。
大分国体から帰ってきたのはいいが、オールをキャリアに積みっぱなしで艇庫に戻る時間がなかったので、午前中に県の艇庫のある湖まで。いつもの水域にある大学艇庫は自分のチームのオールを置かせてもらっている分でキャパシティ一杯で、予備のオールを置いておくスペースがないため、ちょっと時間はかかるがひとっ走り。途中、特売のガソリンスタンドで給油し、往復約2時間。駐車場からオール3セットを持ってあの急な坂を降りるのは結構きつかった。鍛え直さねば。
帰宅前に『英語青年』を買おうと思って市内最大級の書店に寄ったのだが、まだ入っていなかった。がくっっ。帰宅後は娘とまったり過ごす。
さて、
たまにミクシィの「英語教育」コミュや「英語学習法・英文法のQ&A」コミュなどを覗くのだが、議論や助言が十分になされているとは思えないうちに、トピが閉じられることがままある。これらは「英語教育」に興味関心のある人が参加するコミュニティーという定義で捉えれば、助言者やディスカッサントは専門家でなくとも構わないわけで、いってみれば「ダイエット」を語る人たちの輪と相似形ということなのだろうか。
最近気になったのは

  • 「フォニクスは子供用なのか?」という問いかけからの発展
  • 「with one’s legs crossed という句でなぜ、crossingと現在分詞にならないのか?」という問いかけからの発展

前者は教育技術またはカリキュラムデザインにも関わるもので、まだ続いている模様。最近日本でも書籍が出ている ”Phonemic Awareness”との関連など考えておくべきことは多々ある。参加者のやりとりの中で竹林滋氏のフォニクス本への言及があったのだが今では絶版なので、議論は深まらないだろう。絶版でいいなら、宮田幸一氏の

  • 『教室英文法シリーズ8 発音・つづり・語形成』(研究社、昭和44年初版;現在絶版)

も機会があれば読んで欲しい1冊。

後者は語法・文法の知識と実際の運用での経験に関わるものと思われるが、これは不十分な情報交換のうちに解決してしまった模様。
with の付帯状況と分詞構文は『英語教育』(大修館;2008年10月号)の「クエスチョンボックス」 (pp.75-76)で八木氏が回答していた項目にも該当するので、ちょっとここで考えておきたい。
QBで扱われた項目の質問者(教職志望の大学院生)の意図は、

  • He lay on the sofa with his arms folded and soon fell asleep. において、with his arms folded の部分は folding his arms と相互に置き換え可能か?可能でないとすればどのような違いがあるか?

ということであったと思われる。
これに対して、八木氏のあげた用例は4つ、すべてBNCからの引用。八木氏は、この4例をもとに次のようにまとめている。

  • folding one’s armsは本来的には動作を表しますが、上の例のように、実際には状態と動作の区別があいまいになり、with one’s arms foldedと大した区別なく使われるようです。回答はいずれも可能としておきます。

八木氏のあげた4例中3例は、引用符に続く発話動詞を受けて、<”発話,” 人(主語)+ said, folding one’s arms>で終わっている。
ちなみに、BYUのMark Daviesの米語コーパス (COCA) で検索すると、folding his armsでのヒットは36件、うち発話動詞を受けて使われる例が13例。およそ1/3。一方、with his arms foldedでのヒットは49件、そのうち、発話動詞を受けて使われる例は1例もなかった。
私の教わった英文法では、分詞構文(八木氏の用語では「分詞節」)では同時進行または連続した動作を表しているのであるから、その前の動作とのリレーにせよオーバーラップにせよ、腕を組んでいない状態から、腕を組んだ状態への移行を伴う「動画」とでも言うべきものであり、これに対して、(with) one’s arms foldedでは「静止画」を表すというような説明をしていると思われる。

八木氏の言うように、「大した区別なく使われる」かどうかを4例で判断して良いものなのか?foldと同じく、起動相(終動相)の動詞である、cross / closeでも検証してみた方が良いのではないか、というのが率直な感想である。つまり、

  • with his legs crossedとcrossing his legsは相互置き換え可能か?
  • with his eyes closedと closing his eyes は相互置き換え可能か?

の2点も併せて検証した方がいいのではないかということである。

長々駄文を連ねてきたが、上記二点は関連領域や知識・技能に随分と差があるけれども、このような話題が混在して扱われているのが、「英語教育」関連のコミュであり、そういったものが乗っかっているのが日本の「英語教育界」なのである、という理解もまた必要なのではないかと思った休日であった。
某局で、筒井康隆の『七瀬ふたたび』のドラマ化。原作の面影無し。今風でのリメイクということか。この筒井作品のタイトルで「七瀬」は人名。E. ウォーの『ブライヅヘッドふたたび』では、”Brideshead Revisited”と「再訪」ということで地名なのだが、中高生時代、大の筒井狂だった私は『七瀬ふたたび』のイメージが固定していて、主人公がブライヅヘッドという人なのだとばかり思っていた。恥ずかしいが懐かしいエピソードを思い出したので、このドラマにも感謝しておこう。

本日のBGM: Lovers Town Revisited (Billy Bragg)