「風の中に答えはなかった」

週明けの0限も『P単』100個一気食いから。先週にも増して低調。
個人的には「学習ストラテジー」などというものは、行為にラベルを貼って自分が今何をやっているのかをハッキリさせること以外の効果をあまり高く評価していないのだが、それにしても、どうにかならんものかと思う。
奇しくも倫太郎さんのブログで、「スキル(コツ)」を伝えることの難しさが語られていた。難しいのは分かっている。何でもかんでも「力」というラベルを貼るのは好きではないが、「学力」の前段階の学習企画力、学習設計力、学習運営力などの問題でもあろう。
たとえば、100のコロケーションを書き出すのにどのくらいの時間がかかるか?時間配分は実際にやったことがない人にはできないだろう。ドリルにしろ、自己診断テストにしろ、時間は限られているのだ。1コロケーション(便宜上1ペアとカウント)、日→英で書き出すのに15秒かかるとして、1分で4ペア、10分で40ペア、100ペアで25分。1ペアの正答チェックに綴り字を見て○か赤下線かだけで処理するとして、仮に5秒かかると考えると、100ペアで500秒。8分少々。正答数を数えて記入するのを入れても約10分あればいい。35分以内で終わる計算。ただし、こんなに時間をかけるのは週一回で充分。あとは1回に20ペア単位などと地道に小分けにして繰り返す。ところが、言うは易しとはまさにこのことなのだ。
1回につき、20ペア。Spaced rehearsalよろしく、各教科学習の合間合間のスキマを活用したり、登下校を利用したり、風呂上がりとか寝起きで確認したりなどなど、トータルで確認したり、作業したりする頻度を上げることに意識を向けるよう、一人一人の日誌にも赤でチェックを入れてきたのだが、ほとんどの生徒にはこれが出来ないのだなぁ。もっともこういう地道な学習方法が身についていないから、今現在英語の力が不足していると言えるのだろうけれど…。コロンブスが先か?卵が先か?
印刷機が故障し、ハンドアウトが印刷できない状況になっていて、高3は前時の教材の音読(重ね読み)に続いて、発音・聴き取りの注意点。
・ 顎の開き
・ 舌先の強さ
・ 唇の形
のチェックポイントのうち、上2つは自分ではなかなか感じられないが、最後の唇の形は鏡を見ればわかるので、ここはきちんと確認すること、という話し。
残りの時間で、新しい課をひたすら解説・説明で、と行こうと思ったのだが、名詞の数と進行形の組み合わせで気になる部分があったので、定番のある一文を板書し、その文の表す状況を絵に描かせてシェアリング。頭の働きを柔軟にしておくことが大切。
1年は予告してあった、規則変化動詞の音と綴り字の整理。不規則変化の暗記をやる前に、きちんと原理原則を押さえておくべき項目であろう。申し訳ないが、中学の入門期で指導を徹底すべき項目でもある。不規則変化をする動詞はある意味日常の使用頻度が高いのだから、頻繁に出くわすのだけれど、規則変化の動詞は初見でも気がつかなければならないという点で、難しいものでもあるのだ。
過去形・過去分詞形を表す形態素として、音声と文字とで以下の場合分けをして表の形で一つ一つ示していく。便宜上、縦に文字、横に音声をとって説明している。

1.「音声では、/d/をだけ原形につけ、綴り字では原形に –edをつける」グループ

  • call / clean / learn / listen / open / play / stay / turn

2. 「音声では、/d/だけを原形につけ、綴り字では、原形の最後の –eに –edのeを上から重ねてつける 」グループ

  • arrive / believe / close / live / love / name / receive / smile / use

3. 「音声では、/d/だけを原形につけ、綴り字では、原形の最後の –yを-ieに変えてから、-edをつける。ただし、原形の最後の文字 –eに-ed-のeを重ねる」 グループ

  • carry / marry / cry / study / try / worry

4. 「音声では、/t/ だけを原形につけ、綴り字では、原形に –edをつける」グループ

  • cook / dash / kick / help / look / talk / walk / watch

5. 「音声では、/t/だけを原形につけ、綴り字では、原形の最後の –eに –edのeを上から重ねてつける 」グループ

  • dance / face / hope / like / produce / promise

6. 「音声では /id/を原形につけ、綴り字では原形に –edをつける」グループ

  • count / collect / end / expect / repeat / start / visit / wait / want

7. 「音声では、/id/を原形につけ、綴り字では、原形の最後の –eに –edのeを上から重ねてつける 」グループ

  • decide / excite / invite

以下はマイナーなもの。
8.(= 1の変種)「音声では、/d/を原型につけ、綴り字では原形の最後の文字をくり返して、-edをつける」グループ。

  • plan / rob

9.(= 4の変種) 「音声では、/t/を原形につけ、綴り字では原形の最後の文字を繰り返して、-edをつける」グループ。

  • drop / stop

10. (= 3の変種) 「音声では /d/を原形につけ、綴り字では、原形の最後の –eに-edのeを上から重ねてつける」グループ。

  • die / lie(嘘をつく)

このような事例を類型化し板書の末に一覧表を完成させていく次第。従来の指導法とそう大きく変わるものではない。ただ、3.のグループの発音が /id/ だと思っている学習者は思いの外多いこと、-ing形(現在分詞・動名詞)の発音と綴り字の説明との整合性を持たせることを考えてこういう指導手順に落ち着いている。
動詞の規則変化(活用)での「説明」に使われる日本語で気になるものに、droppedやstoppedなどで「子音字を重ねて」という表現がある。(-ing形でいえば、running, cuttingとかbeginning, swimmingなどでの子音字の説明もほぼ同様)。この日本語はよく誤解を招かないなぁ、とすらすらとルールを覚えていける学習者に感心したりもする。このケースでの子音字は上下に重なっているのではなく、横に2つ並ぶことになるので、「原形の最後の文字をもう一度繰り返して」「その後から、-edをつける」と説明しているが、単純化・一般化はともすると教師の自己満足にとどまってしまうので気をつけねばと思う。

一事が万事。凡事が万事。

本日のBGM: 重なるように(真心ブラザーズ)