Hum your way through the crowd.

0限は『全国縦断…』企画。山口県。
全3問でモノローグ形式はなく、全て対話文。質問が印刷されていないので、その部分も聴きとる必要あり。問題に関する評価は最後に。
まず、ノートを用意させ、メモの準備。対話を聞いて、質問を聞いて、その答えを選択肢から選ぶのではなく、自分で書き出す。対話が聞き取れていれば答えは容易。1回目で、大まかな理解と、質問を聴き取り。2回目で、内容確認と答えを確定。という手順ができるのは1/3くらい。1分間相談タイムを経て、3回目の聴き取り。答え合わせの後、シャドウイング。この時点で最初の聞き落としに気づく者数名。
質問と答えを利用して、対話のサマリーを書かせるために、更にもう一回聴く。設問が5つあるので、5人一組の班から各問題担当を決め担当者会議を経て、ホームグループでレポート。口頭のみで、リピーター。部分的に繰り返してはダメ、というのがルール。せっかく質問が用意されていたのに、適切に使えないグループには喝!何のためのマッピング練習だったのかを確認して、再度シャドウイング。
続いては、やや長めの対話に質問4つ。2回聴き、1回相談タイムで再度聴き、前半戦の0限終了。
1限のLHRは出張で不在の担任の代打。
後半戦は、11月の歌合唱で、耳慣らし口慣らし。
0限の最後の対話(「訪ね犬目撃談」)を再度聞き、答えの確認。その後、一文の書き取り。

  • Well, I can’t read these Japanese words written on it.

theseの欠落、wordsの後置修飾部分などボロボロ。しつこくリピーティングと重ね読み。「完コピ」を目指してリズムとイントネーションをしつこく。Sentence repetitionで躓くところをごまかさない姿勢が肝心。普段の練習が呪文になっていると、「調音」もおろそかになるものだ。
続いて、「訪ね犬」の特徴を語る表現などを書き取る課題。

  • a three-year-old dog
  • a dog named Taro
  • a small dog with long hair
  • a small dog with long black hair
  • the dog Mark saw this morning
  • the dog Mr. Yamada lost a week ago [on April 2]
  • the dog Mr. Yamada is looking for

を確認し、それらをできる限りまとめて名詞句を作る課題を与えて、英語 I の教科書へ。以下淡々と。

普通科は、辞書でMust I …? に対する答え方の確認。この言い方がテキストにはなかった。一通り、禁止・不許可・不必要の棲み分けを確認してから、このレッスンの全例文で対面リピート。B4を縦に使ってみた。可もなく不可もなくと思ったが、中位以下の生徒でも少し自力で文を復元できるようになってきたのは大きな変化だろう。
帰りのSHRも担任の代わり。
放課後は職員会議。練習は見られず終い。
さて、
高校入試の対話文で気になったこと。山口県のリスニング問題、テスト1は5問。短い対話に基づく設問である。以下、対話と質問を3題引く。

1.
A: How about some tea or orange juice, Takeshi?
B: Tea, please. Thank you, Ms. White.
A: Here you are.
Question: What will Takeshi have?

3.
A: Is this your guitar, Akiko?
B: No, it’s my brother’s. Do you like it, Mary?
A: Yes. I want a guitar like this.
Question: Whose guitar are Akiko and Mary talking about?

5.
A: Can I use your computer, Masao?
B: Yes, Susan, but why?
A: My brother is using mine now.
Question: Why does Susan want to use Masao’s computer?

何かお気づきになったろうか?
1, 5が男女の対話である、というのは、放送でどちらが話しているのかを容易に識別するための制約であろうから仕方がないだろう。男性同士、女性同士の対話であればそれだけで正答率が下がるのではないかとの危惧はもっともである。検証したことはないけれど…。
私が気になったのは、合計3ターンしかない対話で、お互いの名前を呼んでいることである。色々な場面で、相手のfirst nameで呼びかけるのは確かである。
1.ではTakeshi以外に客がいるのであれば全く自然だが、それにしては、Ms. Whiteにお礼を言っている場面がイメージしにくい。お茶を入れてくれたのは他の誰かで、茶葉をお土産で持ってきてくれたのがMs. Whiteか?ではオレンジジュースを用意してくれたのは?
3. では、恐らく、Akikoが自宅にMaryを招いて、あるいは、Maryがホームステイに来ている場面などでの対話と思われるのだが、そのくらい仲の良い二人なら、Akikoの兄の名前の方を知っているのではないかと思うのだ。
3.では話者がAkikoが日本人と思われるので、自分の家族をfirst nameで呼ぶことがないとしても、5.では、AはSusanのはずだから、My brother is using mine now. の部分では、TomとかBillとか弟のfirst nameを言うような気がするのだけれど。
この対話より前になんらかのやりとりもあるはずなのに、何故にお互いの名前を執拗に?
これは質問でのreferenceで話者・発言を特定することを容易にするためではないか、と推察する。場面設定をト書きのように加えるだけで、対話はより自然な演出が可能だろうとは思う。しかし、そうすると今度は質問でどちらの発話かを特定することが却って難しくなってしまう。思案のしどころ。まずは、短いターンテイキングの方が聴き取りが簡単だ、という思いこみこそを疑ってみるべきだろう。

帰宅すると、『シグマベスト高校入試スーパーゼミ 英語』(文英堂)の見本が届いていた。これは、組田幸一郎氏に声を掛けて頂いて作成に協力させてもらったもの。高校入試の頻出問題集という位置づけであり、過去問対策に批判的な私にしては珍しい行動である。見かけ上は「文法問題」という出題が減ってはいるものの、問われているのは語彙と文法の知識、という設問がまだまだ多いことを受けて、全国の公立高校入試問題を中心に4000題の分析から頻度順で文法を扱っている。長文と英作文も後半に収録。手に取る機会があれば、是非ご意見をお聞かせいただきたい。
他に届いていたのは、

  • 宮田幸一著『教室英文法シリーズ8 発音・つづり・語形成』(研究社、昭和44年初版)

版型は選書版で、ハードカバー。中学校(昭和40年代)の必修語・基本語の音声やつづりに関して類型化・体系化を図り、これだけ詳細に解説を加えたものを見るのは初めて。勉強不足でした。
発音のうち、子音の発音に関する記述から引く。

  • 舌の表面をA, B, Cの3域に分ける。この3域とは別に舌先からその裏側わずかの部分にかけてAA域とする。口腔の ”天井” が口蓋である。ここに口蓋というのは、”はぐき” から硬口蓋をへて軟口蓋にいたる全域をさすものとする。そして、この口蓋の表面をA’, B’, C’の3域に分ける。これらはそれぞれ、”はぐき”、 硬口蓋、軟口蓋にあたる。(p.31)

この調音器官の分類定義を踏まえて、宮田は英語の子音を以下の6つに整理している。

  1. 下唇がつかさどる子音
  2. 舌の表面のA域がつかさどる子音
  3. 舌先のAA域がつかさどる子音
  4. 舌の表面のB域がつかさどる子音
  5. 舌の表面のC域がつかさどる子音
  6. 声帯がつかさどる子音

調音方法を言葉で説明するのは難しいのだが、図解の的確さと相まって、教師はもちろん、初学者(の指導者)にも効果的な参考書といえる。 
音節に関して、特に記述を割いているのが印象的。2音節の単語の音節構成について、

  • student/ father/ autumn/ baby/ over
  • study/ cover/ visit/ woman/ many/ mother
  • letter/ dinner/ happy/ merry/ common/ village
  • window/ doctor/ elder/ picture/ public
  • hundred/ district/ children/ complex
  • secret/ sacred/ April// danger/ only/ angel/ mountain/ chamber/ shoulder/ soldier
  • table/ people/ eagle/ cycle// little/ middle/ apple// simple/ single
  • even/ open/ seven/ lesson/ happen

のように分類をして、詳しく解説を加えている。
宮田がまさしく「教壇の」人であったことが実感できる一冊である。
宮田の音声指導関連の著作に関して、K先生に今度詳しく伺ってみることにしよう。

夕飯は、牛テールのスープ。柚子胡椒でいただく。内臓から生き返る感じ。
明日は、月曜日の出張で代講してもらう分の戻しを先取りで0限入り。
本日のBGM: Bite Your Tongue (Dunkan Sheik)