星山の白集り? 白山の星集り?

金曜日(21日)に引用した高3センター対策の英文。ここで出てきた「天の川(the Milky Way)」に関する説明を理解させるのに、パラフレーズではなく、和訳でもなく、慣用句を示したのだった。

  • 黒山の人集り(くろやまのひとだかり)

その喩えを援用すれば、

  1. 星山の白集り
  2. 白山の星集り

のどちらのイメージになるかクラスに問いかけたことを思い出した。
日曜は朝から曇り空。2Xのリギングに苦戦したが、午前中で一通りセッティングと乗艇を済ます。昼からはK大学の選手が来ると聞いていたが、コーチは旧知のFさんであった。「そうか、東北大繋がりか」と独り語つでもなく、昼ご飯は選手3名とFさん、Iさんとハーブレストランで。いつもの一人飯とは違って、今日は大人数なのでピザとパスタと鶏雑炊。
時折陽射しも顔を覗かせた午前中とは打って変わり、雨が落ち始めたなぁ、と思っていたらみるみるうちに土砂降り。黒澤明の雨。溜まったものを全て吐き出してしまえばいい。午後は少し様子を見て、雨脚が弱まった頃を見計らい出艇。雷が来たので早めに上げたが、今日は練習にはなったと思う。
正業の世界は激動の予感。柳瀬先生の掲示板や、山岡先生の談話室にも情報を投げかけてみたのだが、「コミュニケーション英語」に関連した中教審の資料がようやく公開された。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/004/07092002/4_1.pdf
プレスリリースから約3週間。英語教育界から誰も表だって論評していないように思うのは私だけか?英語教育学者は結局、体制に与するだけなのか?
今回の資料を読む限りでは、現状認識、課題分析と解決策としての新たな科目統合に整合性があるのか疑問である。
この案が、外国語専門部会での協議をもとに教育課程部会がまとめたものである以上、英語教育の専門家の声、現場の声が反映されている建前にはなるのだろうが、外国語専門部会で「リーディング(論)」「ライティング(論)」の専門家からのヒアリング、意見陳述はあったのだろうか。更に言えば、「英文法」の専門家、「英語教育史」の専門家からのヒアリングは?
英語Iをそのままにしておいては、いつまで経ってもコミュニケーション能力が養われない、というのだが、「writing能力」の定義もそこそこに次のような乱暴な物言いで片づけられてはたまったものではない。

  • 内容的にまとまりのある一貫した文章を書く力が十分身に付いていない状況なども見られる。
  • 「英語表現」は、スピーチやプレゼンテーション、ディスカッション、ディベートなど高度なコミュニケーション活動を行うことができるようにすることや複雑な文構造を用いて正確に内容的なまとまりのある多様な文章が書けるようにすること、あわせて論理的思考力や批判的思考力を養うことをねらいとして内容を構成する。

コミュニケーションが上位にあり、リーディング、ライティングはその下請け、孫請けで貢献してくれればいい、といわれてそれぞれの専門家はおめおめとひき下がって良いものなのか?自分が、コミュニケーション能力として見ているのは天の川に過ぎないのではないのか?という内省があって欲しいと思う。このまま指導要領に反映され済し崩し的に決まることは避けなければならない。

  • 現場の力量が問われる改訂

と言うひとことでは片づけてはいけない深刻な問題である。
10月20日には文科省の菅正隆氏が広島で講演を行うそうである。
http://www3.realint.com/cgi-bin/tarticles.cgi?forum+2270
演題はオーラルコミュニケーションとのことなので、質疑応答で新指導要領に絡ませられるかは疑問。
11月24日の英授研関東支部秋季大会での菅氏の講演は、そのものズバリ!

  • 「新教育課程と小中高の英語教育のこれから」

http://eijuken.at.infoseek.co.jp/east.htm
講演の最後に質疑応答くらいはあるだろう。英授研会員諸氏は、最近の菅氏お得意の、のらりくらりとした言葉で終わらせず、核心に切り込む準備をして臨んだ方がよい。早ければ年内決着の指導要領改訂。タイミング的に、文科省の外国語教育担当がこの問題に触れる最後の機会となるだろうから、英授研には、組織体として、この講演・質疑応答の模様をメディアに流す努力をして欲しいと切に願う。何度でも繰り返し言うが、高校も含めて英語教育の一大事に関して、肝心な情報や議論が英語教育業界の専門誌でも一般メディアでも明らかにされないというのは異常である。
「書評空間」の書評者に、新たに津田正氏が加わったことに最近始めて気づいた。外国語専門部会の面々は9月3日の書評、とりわけ最後の3段落を是非とも読まれたし。
http://booklog.kinokuniya.co.jp/tsuda/archives/2007/09/post_2.html
本日のBGM: I won’t back down (Tom Petty)