the long and short of it

朝は5:30から本業。比較的暖かい朝でコンディションも良好。
練習後、我がチームの一人がなんと京都の駿台で竹岡氏に教わっていたことが判明。偶然にも今、竹岡氏と洛南高校の先生が書いている『入試必携英作文:write to the point』(数件出版)に関してコメントをしてくれと編集部から頼まれ、内容を精査しているところ。昨年の3月に語研の春期講習で講師を務めたのだが、終了後、洛南高校の先生二人にエッセイライティングや自由英作文の指導・評価法に関しての助言を求められたことがある。その時に、「でも、洛南なら竹岡氏が…」というやりとりをして以来、授業のシラバスは気にはなっていたのだ。意外にも身近なところに体験者がいたわけで、今度詳しく当時の授業の様子を聞いておきたい。
ファミレスで朝食を取り、午後までオフ。池袋でジュンク堂、リブロ、立教大周辺の古書店を巡る。
『ロジックの詩人たち―安野光雅対談』 (平凡社、1982年)

  • これは掘り出し物といえようか。対談相手は、大岡信、伏見康治、水上勉など錚々たる顔ぶれだが、ただの対談では終わらない。テーマは「現代の世界観(自然観)を確立するために、少なからぬ影響を与えてくれた先人」ということで、対談者ならではの人選。板倉聖宣は「井上円了」、鶴見和子は「南方熊楠」、井上ひさしは「伊能忠敬」などなど。平凡社は非凡だなぁ。

『ジュリアス・シーザー』(泰文堂、1983年)

  • これは、注釈が井上信行、小川直義だったので入手。井上氏は『村井・メドレーの初級アート英作文』の改訂版の監修者、小川氏は改訂者の一人。先日の小島信夫のサリンジャーといい、このシェイクスピアといい、最近、この手の注釈本にこだわっているのは、このブログでも再三強調しているパラフレーズと和訳の問題を考察するため。たとえば、outlive = survive; live longer than , slight = worthless, with your will = as you wishなどと英語でパラフレーズしているものもあれば、troubled 「荒れ狂った、浪立った」、 get the start of… 「…の先頭に立つ」、 made one of them 「一味に加わった」などと日本語訳しているものもある。このような匙加減をいろいろ眺めてみたいのだ。

『なるほど!英単語』(民衆社、1992年)

  • ものすごく小さいハンドブック。綴り字と発音、つまりフォニクスの基本を示したもの。監修は林野滋樹。著者は森高省治、イラストが松田順。

『音読王:心にきざむ英語の名文』(小学館、2002年)

  • 著者というか編者は井上一馬。『沈黙の春』の冒頭(本当に冒頭しかないのよ…)が収録されているので、そこだけのために入手。朗読を聴いてはみたものの、むーん、という感じ。これは高い買い物だった。

午後はトライアル。風が少し強くなりタイムは今ひとつ。ただ少しは陽も長くなったようだ。帰りがけにW大チームに所属している昨年の教え子から挨拶される。英語での教え子が本業でも頑張っているのを見るのは嬉しいものだ。早くメインレースに大学の代表で出られるといいのだが。
帰宅後、お腹の調子が今ひとつなので、夕飯はとろろそばにしてもらう。少し落ち着いて、高3の生徒から頼まれていた外語大ライティング過去問の添削。対比・対照での主題・力点・焦点をしっかりと踏まえて100語から150語くらいで書くことを心がけるべし。結構直しが必要。ただ、外語大のような和文長文を英語で要約する活動というのは、本来、英語I, 英語II、での充分なsummary writingの指導を踏まえて、ライティングという科目での本格的なwriting skillsの訓練を経て、その後に繋がるべきものだと感じる。その意味では、市販の英作文の教材も、「ライティング」の検定教科書も、私が監修しているGTEC Writing Trainingもほとんど役立たずである。
私の実践の中では、97-98年に「ライティング演習」という学校設定科目で行っていた指導が一番効果的だったと思う。当時は何も、特定の大学入試対策を考えていたわけではなく、高校卒業時に求められるライティング力、ということで、高3の2学期後半に長文の和文を英問英答を通じて要約するという授業をALTと作っていったのだった。この指導内容に関しては2003年の全英連で発表しているのだが、全く反響がなかったのだなぁ。これだけ反響がなく、支持してくれる者も一年間共に過ごした生徒しかいない中、よく、めげずに今日までライティング指導を続けてきたものだと思う。諦めなかったおかげで、この1年間で過去10年間分に相当する情報発信の機会を与えてもらい、いままで以上に多くの人との出会い、学びを得た。ありがたいことだ。できれば、この実践を追試し、より良いものへと昇華してくれる人が出て来て欲しい。
明日は本業もお休み。たまりにたまった原稿と、今月の歌のコメント集作成に没頭したいと思います。
本日のBGM: Love Will Find A Way (Jackie De Shannon)