全英連東京大会終了

前回の東京大会に続いて高校のライティング指導に関する分科会。前回は自分の発表だったが、今回は工藤洋路先生の記録係。指導助言者(なぜか東京ではモデレータというようだ)は東京外語大教授の根岸雅史氏。
少し早めに会場入りし、受付でかつての同僚Y先生にご挨拶。お元気そうで何より。全英連の英作文コンテストの二次審査員を専修大の上村妙子氏に引き受けてもらえたことをたいそう喜んでいたのが印象的。私も早く、Y先生の足下くらいには近づきたいものだ。かつての研究仲間S先生にもお会いできた。せっかく全英連を東京でやるのだから、こういう先生方の英語力、指導力を世に知らしめることの方が意義深いはずなのに、と思うくらい、いつも裏方で大会を支える側にいらっしゃるのだ。
第一分科会を覗きに行く。久保野雅史先生の会場は早、満席で、立ち見が出ていた。ライティングに関連の深い分野を扱う会場に足を運び会場の様子を伺う。一様にパワポを投影し、手元には縮刷版の資料。せめて、投影するパワポの文字のフォントサイズには気をつけて欲しいと思う。グラフなど文字が見えないものも多いのだ。第一分科会終了から、第二分科会の開始までは約20分あるのだが、受付は事前予約者と当日申し込み者との区別をしなければならず、また会場の入り口が狭いために、大渋滞。さらには事前予約者が160名に加えて当日申し込みが殺到し、220部用意した資料がなくなってしまった。
仕方がないので、資料原版を書画カメラで投影するという窮余の策に。記録係の私が、急遽、書画カメラとビデオの係を兼ねました。お見苦しい点は何卒ご容赦を。
工藤先生の発表は、「英語I」「英語II」でのライティング活動を重視しているところがポイントで、高校現場のライティング指導に対する有効な改善策の提示となっていたように思う。最後、時間が押してしまい用意した資料の全てをカバーすることが出来なかったのが極めて残念だったが、実践報告も含め以下の点は熟考に値する。

  • ライティングはどの教科書を使うかで、大きくシラバスが異なり、指導内容を規定することを理解せよ
  • 高校レベルでは、英語力を全体的に底上げすることで、より書けるようになる、というアプローチもあるはず
  • 生徒の書く英文に対するコントロール(大・中・小)を段階的に設定することが重要
  • 一文レベルでのopen-endedでクリエイティブなライティング活動をまず取り入れること
  • 主観と客観、具体と抽象などの言葉のトレーニングをしっかりと位置づけるべし

根岸教授のコメントでは、「高校現場でのライティング活動は極めてバリエーションに乏しい」という重要な指摘が。「和文英訳からパラグラフライティングへ一足飛びに指導しているのが現状」「日本の学習者は、新しいことを習ってもすぐに使おうとしない」「パラグラフの形式を整える前に、まずたくさん書けるようになっていることが大切」「たとえ教室でのライティング活動にバリエーションがあっても、テストの種類が限定的であるために、授業とテストの整合性に欠ける」「誰に向けて、何のために書くのか?という視点を持つ」などなど、評価論にも踏み込んだ解説がなされました。
終了後、根岸一門+私で昼食。
午後の部は、茨城大の阿野幸一先生のセミナーに工藤先生と一緒に参加。非常に盛りだくさんな内容を次から次へとリズミカルに展開する阿野氏は、中学から大学までの指導経験があるので、実践の紹介にも説得力がある。教科書の内容理解を指導するバリエーションは多くの高校で実践が可能だろう。サマリーの指導では、私とほとんど同じ指導手順であった。
一通り見終わって、ご苦労さん会でも、と思ったのだが、根岸先生以下ご多忙につき、またの機会にということで解散。参宮橋の駅前のパン屋に寄ってから帰宅。
帰宅後、高2の今月の歌コメント集。2学期最後なので、2学期分の生徒のコメントの英語約8000語のデータをもとにワードリストを作成し、コメント集に盛り込んだ。授業の中で3分程度の短い時間で1、2文程度の短い英文を書かせる訳だが、一人16語平均という計算となった。1学期の日本語交じり文も含めて、3学期までに分析結果を形に遺しておきたいものである。
ともあれ慌ただしい一日でした。
本日の失われたBGM: Jean’s not happening (The Pale Fountains)