英語力がつくリスニング指導の実際

今日は午前中3コマ。
高2はコンピュータ室で、Fairytale in NYの合唱練習とビデオ撮り。その後、Lesson 7 のPart 4のPicture Describing Activity。書画カメラで各ブースのモニターに絵を映して、それを指さしながらペアで描写の練習。重点は、

  • 動:実際の動作・行動・活動
  • 言:実際の発言 → 直接話法か間接話法か?
  • 心情:心理と感情
  • 前:その絵の前の状況はどうだったか?
  • 後:その絵の次の状況はどうなるか?

を意識してまとまりのある話を作る。このあたりで場数を踏むと、Story Grammarの定着も早い。ストーリーの山場で、"even when" など強調の表現を積極的に使うようにはなってきたのだが、動詞の意味特性はまだ把握しきれていないようだ。
Lesson 7ではないが、11月の歌のコメントで出て来た英文でも同様の課題があらわれている。

  • ? Even when he was sent to a jail, he was still caring about the woman.

という文を書いていた生徒がいた。whenとwas sent to だけなら非文にはならないのだろうが、主節が、was still caringと時間の幅がある表現なので、やはりここは、

  • Even when he was in a jail, ... と状態を示すか、
  • Even after he was sent to a jail, .... のように、時の前後関係を示す、「点」で表現するか、になるだろう。基本時制でも、動詞の意味が「点」か「線」か、そして「前後」か「オーバーラップ」か、というのは本当に難しい。このあたりは R.A. Closeが丁寧に例を挙げていた記憶がある。

各クラスとも、1名ないし2名に書画カメラまで出て来て、ペンで絵を指し示しながらデモをしてもらう。ご苦労様。デモでの英語表現を参考にした上で、さらにペアで練習。
年内、残すところ後2時間。Part 5の読解、Chrisのインタビューと「平和」の定義活動で終わりだな。
高3ライティングは、NEETのリライト。指導手順に従わずに、いつまでもダメ出しされる者が数名いる。この時期に来て、まだこのていたらくでは残念だが英語力の向上は難しいだろう。問題は、本人が「自分は英語が出来る」と思ってしまっているのではないか、ということ。誰か、目を覚ましてあげた方がよい。高3のこの時期だからこそ、まだまだ伸びるはずなのである。
昼過ぎから、自分の関わったリスニング教材(『東大特講リスニング』)に関する取材。開発のコンセプトや、指導例、市販の教材との差異について語ってきた。
とにかく、「入試の過去問演習」をひたすらやる、という学習と決別して欲しかったのである。いつまでたっても入試レベルと、自分のリスニング力とのギャップが埋まらないまま時間とエネルギーを消費してしまう。「入試の過去問が解けることがゴールなのではなく、『リスニング力、ひいては英語力をきちんと伸ばすことをゴールとした教材』となっていることを理解したうえで使用して欲しい。」という意図がどこまで伝わったか。
英語I程度の素材文をもとに、5分以上英語を聴き続ける基礎体力を養い、設問は東大型の視点を盛り込むのが第1巻。第2巻では素材文のレベルを英語IIから東大レベルまで引き上げる。内容理解が難しくなる分、問題は、概要把握と詳細な内容理解の2段階で、本番での2回のリスニングに即した課題。この1巻、2巻の中で、意味の処理を英語でするときに躓く文構造・情報構造・話者の心的態度などのポイントを段階的に練習していく。とりわけ、この「ポイント特講」の部分に私のこだわりが含まれているので、吟味して欲しい。教科書の著者や教材作成者は必見である。ディスコースマーカーを扱っている教材は今ではずいぶん増えたが、「譲歩」「添加・列挙」「除外・却下」の扱いに関しては、他の追随を許さないものであろう。
通信講座なので書店で手にとって、というわけにいかないのが難点だが、市販のどのリスニング教材よりも「英語の力」がつく教材だと自負している。高校生に限らず、教壇に立つ若い方からも、カスタマーレビューをいただきたいものです。
帰宅後、高3のNEET rewriteを全て読み、朱入れ。フィードバックのハンドアウトを作る代わりに、ワークシートのセルフチェック項目を活用。
疲れました。
本日の失われたBGM: (I’m in) over my head (Southside Johnny & the Jukes)