The world according to ...

本業イベント終了! (もし結果に興味のある方がいましたら詳しくはこちらのサイトで→ http://www.jara.or.jp/raceresult/index.html)
疲労困憊。私もこれを節目に休養充電したい…。
さて、私がよく読むブログ「英語教育にもの申す」のコメント欄に、柳瀬陽介氏が次のように書いていて印象に残った。

  • TOEICで730点以上取る学生でも、驚くほど日本語が読めない学生がいます。斎藤孝氏の新書程度でも「抽象的すぎる」のだそうです。第一言語の書き言葉能力(リテラシー)は、あらゆる教育の基礎の一つと考えているだけに、私は大学の現場で危機を感じています。

内田樹がかねてから指摘していることだが、まるで「虫食い」のように、自分の分かる部分だけを読んでいる学生・生徒の「読解力」を誰も調査・研究していないのではないかと思う。「虫食い読み」の積み重ねは、いざ分からない語句に出会い立ち止まって考えるときにさらなる問題を生む。文脈から補おうにも、その前後が読めていないのだから埋めようがない。意味の欠如に対する不快感を持つのであればまだ希望があるが、自分が読めた虫食い的な意味に対する不快感に自分の認識が支配されてしまうと事態は深刻である。その結果、書き手に対する先入観やその時々の読み手の心的態度に揺すぶられてしまう読みの習慣形成が助長される。知識の欠落以上の問題が潜んでいる。内田樹の最近の論考では「『矛盾』と書けない大学生」(『書きたい、書けない「書く」の壁』ゆまに書房、2005年)がわかりやすい。PISA型読解力を追求したい方も是非一読を。
しかしながら、そもそも、新書レベルでさえ抽象的で読めないと学生が感じているとしたら、このような単行本を読むことはない。打つ手はあるのだろうか…。