Czeslaw Milosz

米国の詩人Robert Hassは桂冠詩人も務めた著名な詩人であるばかりでなく、俳句の英訳を初め翻訳者としても優れた業績を残している。今日見たレクチャーでポーランド出身(生誕はリトアニア)の詩人・文学者であるCzeslaw Miloszについて、熱く語っていたのが印象的であった。このポーランドの詩人の名前の読み方を初め背景的知識がほとんどなかったのでしばし思案。大学の後輩が現在ポーランドに留学しているのでメールで尋ねてみた。以下、その回答の抜粋。

  • Czeslaw Miloszはカタカナで書くと「チェスワフ・ミウォシュ」となります。実際は"l"が、名前、名字共にポーランド特有の文字です。
  • Miloszはとても有名な詩人です。私も以前日本で、彼の作品を間違いなく読んだ気はするのですが、何を読んだかは残念ながら、さっぱり記憶にありません。文化に関する資料をほとんど日本においてきてしまったのですが、Miloszは亡命詩人だったように記憶しています。フランスとアメリカに亡命して、当時の共産主義政権の批判をしており、以前政治関係の本で読んだ覚えがあるのですが、彼がノーベル賞をとったとき、ポーランド人は彼のことを全く知らなかったそうです。というのも、彼の作品の流入がポーランドで規制されていたためです。
  • 現代のポーランド人は、Miloszのことを良く知っています。ポーランドでは日本と少し違って、学校では文学の名作をしっかり読ませるという方針らしいので、有名な作家についてはどんな人も皆良く知っているように感じます。特に、私が勉強する大学の名前にもなっているAdam Mickiewicz (アダム・ミツキェヴィチ) はポーランドロマン主義最大の詩人、と言われていて、以前こちらの小学校の教科書を見たのですが、毎年毎年、彼の作品をいくつか学んでいるようでした。それから、私の周りの人たちは皆、彼の最も有名な作品のひとつである「パン タデウシュ」という物語の1章を暗唱できます。

さすがG大生。素早いレスに感謝。やはり、名前が言えるとそれだけで少し安心する。それにしても詩人の名前が大学の名前になっているのは彼我の差を感じるなぁ。ちなみに、Hassによれば、Czeslaw Miloszは90歳を過ぎ、ほとんど耳が聞こえなくなっても詩を作り続けていたそうな。

追記:京都大学の小山哲氏が次のような追悼文を書いております。
http://www.polinfojp.com/kansai/milosz04.htm