教育実習雑感

教育実習期間である(明日で終わりらしいが)。
3週間の実習のうち、最初の週が中間考査というかわいそうな日程だったようだ。先日、研究授業をみせてもらい、今日はその実習生が私の高2の授業を見に来た。というわけで、放課後に研究授業と私の授業に関してお互いに意見交換というつもりだったが、結局、一方的に私の話になってしまった。申し訳ない。
ただ、実習生の授業を見ると、英語教育に限らず、教育の「初心」というか、「原点」というか、大切なものを必ず再発見出来るので、本当に感謝しています。
今日話したなかで、「読解、readingの活動で本当に何をやっているのか?は吟味した方がよい」「概要把握のためのreading pointsとか、pre-reading questionsとかのお膳立て無しで生徒が自力で読む活動にも意味がある」「指示語の把握など、cohesionの根本でつまずいている場合には、all (in) Englishにこだわらず、日本語を使った方がよほど効果的で適切といえる」という部分は実習を離れても再検討して欲しいところですね。あと、反意語を新教材の導入時に提示することの意義(是非)は確認しておいた方が良い、という指摘も良く理解してもらいたい部分。たとえば、possibleとimpossible; ableとunable; での接頭辞の働きを生徒がそれ以前に習熟しているか? carefulとcarelessの単純な対比であっても、あまりにもナイーブに、-lessは否定・反対を表す接尾辞、などと説明にならない説明をしていないか?など気をつけなければならないことは多いのである。
たまたま、高3のライティングの授業でも指摘した項目だったのだが、とりわけ、お受験モードで、「語源、語根、語幹、接頭辞、接尾辞を活用して飛躍的に語彙を増やそう!!」という教師には要注意である。 語形成は初学者に限らず、中級者でも難しいのであるから。
Careless/ thoughtlessなどの語では基幹語として名詞の care/ thoughtというものがあり、対応する形容詞のcareful/ thoughtfulが存在している。しかしながら一見似ているが、timeless; stainless等の語では、こちらの-lessがついている形容詞の方がプラスの意味合いを持ち、対応する名詞 time/ stainは存在するものの、実際にはその名詞が動詞に転用されたものが基幹語であるから、対応する形容詞は timed / stained などとなり、こちらは制約や被害を受けるマイナスの意味あいとなる。また、hopelessでは、基幹語を名詞ととるか、動詞ととるかで意味合いが変わってくる。基幹語が動詞の場合には、countless / pricelessなど「?することができないくらい」と比喩的にプラスの方向へと形容詞の意味合いが変わってしまうことはなかなか理解されていない。さらには、 worthless; valueless; helplessなどでは-lessは限りなく「ゼロ」に近い意味を表すが、 useless; thoughtlessなどでは「一定の基準、期待に満たない、足りない」ことを示すのが基本であるから、実際の意味はかなり相対的で、幅があることに気をつける必要がある。私も、今日のブログで類型化して語ってはいるが、過度の一般化は危険であることを再度強調しておきたい。
今日の提言:初学者に語源の話をして煙に巻くのは止めましょう。