「専門家」とは誰のことか?

朝から三者懇談。夕方の6時少し前に終了。
帰宅途中で書籍を少々購入。

  • 市川伸一『学力低下論争』(ちくま新書、2002年)
  • 苅谷剛彦『教育改革の幻想』(ちくま新書、2002年)
  • 福地誠『教育格差が日本を没落させる』(洋泉社新書、2008年)
  • 平井伯昌『見抜く力 夢を叶えるコーチング』(幻冬舎新書、2008年)
  • 加藤典洋『文学地図 大江と村上と二十年』(朝日選書、2008年)

帰宅後、初中局メルマガが届く。

  • 高等学校学習指導要領改訂案が発表。

明日の朝刊には詳しく報道がなされて、文科省の該当サイトでも詳細がアップされるとのこと。問題は、その次のステップの「パブリックコメント」である。

文部科学省では、改訂案及び実施のスケジュール(案)について明日(12月23日)から来年1月21日まで意見公募手続(パブリックコメント)を実施します。
 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public
 (掲載は12月23日)
 その後、いただいた御意見を踏まえ、平成21年2月〜3月を目途に官報告示を行う予定です。
 改訂案等について、広く皆様からの御意見をお待ちしております。


このブログをお読み頂いているすべての皆様。私の物言いに対する賛否を超えて、とにかく、ここにみなさん一人一人の意見を集約させて下さい。私も当然意見を送ります。ブログなんかでチマチマやっていてもダメ、とは思わないけれど、やはり民意を反映させるには、「数の論理」ではなく、「論理ある意見の数」だと思うのです。「当局ももう発表するものは出来ていて、今更何を言っても無駄でしょ」、などと思わず、改訂案に対する賛否、質問を一人でも多くの人に寄せてほしいと思います。ここで声を上げずして、改訂されたあとで文句を言っても始まりません。

某局夜のニュースでは、都立国際高校の授業風景と英授研の秋季大会(関東支部)の様子が映っていた。A先生、M先生など知っている顔がいくつも。ただ、この研修会に休日返上で参加し努力している英語教師の一人から話を聞きはしても、文科省の示す改訂案に対する意見を専門家からとることはないのである。

  • では専門家とは誰のことか?

都立国際高校の塩崎校長は全英連の会長でもあるのだが、そんな立場からのコメントの扱いは全くなされなかった。英授研の取材をするのであれば、英授研会長や副会長にコメントを求めればいいのに。いっそのこと、JACET、JALT、全英連、語研、ELEC同友会など英語教育関連する団体・機関の長のコメントを一覧にして比較検討できるようにしてはどうか?
ニュースでコメントをしていたパックン(パトリック・ハーラン氏)が、

  • 英語を話せたらいいな、と思っているのに、英語を勉強していないのが問題。やる気の問題です。

と教師と学習者を一喝して締めくくっていたのは、ある意味ツボをついていると思ったのだが、そこを裏付けて一般の視聴者に伝えるなら、白井恭弘氏とか、竹内理氏とか、コメントを求める人がいるだろうと思うのである。けれども、結局は

  • これまでの学校英語教育批判・高校英語教師批判

が主眼なのだと捉えられかねない報道のありようだった。
私の主張はこのブログでも再三しているし、とりわけ「英英派」に関する私見は、今年度限りとなってしまった雑誌『英語青年』(研究社)の2006年10月号の特集に寄せた小論に書いた。「英語教育」という業界内でのまともな議論がないまま、指導要領に「理想の英語学習者像」と「理想の英語教師像」を描くことで一部の有識者の声が「主流」として「法的拘束力」を持ってしまうから、抜け道が横行するのである。抜け道を取り締まることにエネルギーを割く前に、その街道や関所が本当に万人に向けたものなのかどうか、広く世に問うことこそが肝である。
本日のBGM: There is power in a union (Billy Bragg)