教員間格差に思う

タレント弁護士から転身した某府知事の政策に関わる記事を遅ればせながら見つけた。
http://sankei.jp.msn.com/life/education/080729/edc0807290014000-n1.htm
府民はこのような人を行政のトップにしておいて大丈夫なのだろうか?
この記事(http://www.asahi.com/politics/update/0429/OSK200804290046.html)が出た時はいくらなんでも良識は働くでしょう?と思っていたが、ホントにやるらしい。
こんな記事も出ている。(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080808-00000121-san-soci
その中で某氏は「和田中を超える成功例が出てくるかも知れない」などと言っているのだが、和田中の何がどのように成功例なのか?はっきりと示すべきだ。
そんな中、
東京新聞の次のような連載を読んで、胸が締め付けられるような思いをした。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2008081202000120.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2008081902000107.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2008082302000118.html
教育というものに公的なお金をかけない国であり、地方自治体なのである。夜スペなどをやる前に、この状況を改善してはどうなのか?「臨時」教員の実態をそのままにしておくということは、教育格差の前に、「教員間格差」を助長するということであり、教育はいつまで経っても「臨時」のままであるということを意味する。この状況を改善しない限り、教員免許更新制度などを取り入れて、不適格教員を排除する前に、制度そのものが破綻してしまうのではないか。

自分自身、大学を卒業後すぐに公立の採用試験に受かり、公立そして私立の専任「教諭」として18年務めてから、故あって非常勤講師を三年間務めた。40歳から42歳まで。年収は激減し、文字通り死活問題だった。
このブログで記した私の実践のほとんどは、そんな非常勤時代のものである。生徒、クラスに恵まれたこともあり、英語の授業に関しては、本当にもうこれ以上のことは自分にはできない、というレベルに達したと思っている。
その後、某私立大学の専任講師に決まっていたのだが、山口県の体協から国体に向けた指導者として是非、という話が持ち上がり、Oコーチからは「もう決めてきたから」との一声もあり、大学の方はお断りして、現在に至るわけである。

それなりに苦労はしたが後悔はしていない。
ただ、もう一度、そこに戻るかと言われたら、返事に困る。
身分も収入も不安定な非常勤講師は、ともすれば心身の安定にも欠くことが多い。私の場合は、ブログを書き続けることによって、かろうじてバランスを維持していたとも言える。何度か、「人は、このようにして心が壊れていくのだろうなぁ…」という局面があった。自分を支えてくれたのは、自らが吐き出すことば、自分の身を削って形となったことばであり、そういった「ことば」というものへの信頼であったと言えるかも知れない。
その中から、私の実践のみを通じて、仕事を依頼してくれた、任せてくれた方たちにはいくら感謝してもし足りない。GTEC Writing Training にしても、東大特講リスニングにしても、『英語青年』にしても、何かを感じ取って私に原稿を書かせる決断をしてくれたのだろう。担当者側のリスクも大きかったのではないかと思う。私という固有名詞にも、私の肩書きにも何の付加価値もないのだから。今回上梓された『パラグラフ・ライティング指導入門』にしても、著者代表、編集者の方には感謝の言葉もない。目の前の生徒、学習者と日々、泥臭く、青臭く藻掻いた末に、何かが実りとして私の手元に残っているということなのだろうと思う。
苦労もいつか報われるなどと、気休めは言えないけれども、

  • 全国にいる非常勤・非正規の英語教師のみなさん。頑張りましょう。教育現場を支えているのは、カリスマ教師などではありません。あなた達です。
  • 困難校・進路多様校での実践に悩んでいる英語教師の皆さん。声を上げましょう。全高校生の半数以上はそういう学校の生徒なのです。
  • 少なくとも教師同士は、お互いの声に耳を傾けましょう。聞いてもらうことで救われるのは生徒も教師も同じです。
  • 少しでも余裕のある人は、その声を世間へと届けましょう。何度でも何度でも。

こんなことをブログで言っても、無責任な呼びかけに聞こえるだけかもしれません。
このブログは、人に勇気を与えたり、応援メッセージを発する場ではありませんが、今回の東京新聞の記事を読んで、自分がそんな思いに駆られたことは事実として残しておきたいと思います。

本日のBGM: Town Cryer (Elvis Costello)