I'm a man.

※ジョー・ジャクソンのアルバムタイトルみたいな題を付けていますが、性差別的な意図は全くありませんので、誤解無きよう。

2学期は学校行事も多く、変則的な時間割になることが多いのですが、実作は淡々と。
高3では「模試」の解説もしています。
と言っても、「解法の伝授」ではありません。

大学入試センター試験で「グラフ・図表」問題、などといわれる出題形式がありますが、まずはそこから。
グラフ・表などを盛り込んだ出題形式であっても「英文」を読むことが基本なので、「英文」と「エイブン」の見極めは勿論、「数量表現」「比例表現」「倍数・分数」「割合・比率」などを確認しています。
ここは、現任校の以前のカリキュラムや、前任校などでは、「ライティング」の指導の流れで、「説明文」の必須の課題として「書かせて」いたものです。僅か数年、十数年前のことですが隔世の感があります。

私の手書きメモを貼っておきますので、↓アイコンをクリックして下さい。

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「ディスカッションもどき」問題では、選択肢を消して再読させ、自分で要約や言い換えをさせています。日本語でOKと言っていますが、5人に1人くらいは英語でチャレンジしています。(「もどき」という形容の背景は語ると長くなり、私のストレスも増しますので、過去ログをお読み下さい。)

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で、その後、選択肢を再読して、「真っ当な表現を選ぶ」というもの。結局「読解」問題というのは簡単ですが、英語力のある生徒ほど、選択肢で使われている英語表現、語法の「アラ」が気になるものです。で、「消去法」などが幅をきかせるのですね。

授業でコメントしたのは、「あくまでも『もどき』だから」ということと、「議論している個々の『固有名詞』の発音がわからないとイライラするから、『男子Aさん』、『女子Bさん』くらいでいいんじゃないの?」ということ。

これ、面白いのが、

司会者気取りのAoto (アオト?エイオウト?)の出すお題に、お調子者のOwenが2つアイデアを出したので、そのうちの1つ「専門スタッフ」を膨らませて、「専門オフィス」を欲しがるMia (ミア?ミーア?マイア?)の声は、自分で「専門スタッフがいればなぁ…」言っておきながら「事務所レベル」の話に広がりそうだと早々と切り捨てるOwenによってかき消されてしまう。そして、その後、Miaの発言機会は与えられず、最後に「総意」がまとまるはずの場面でも、Miaからは賛意が寄せられたかどうかわからないまま、この議論は終わっている。

という構成。
流石は「もどき」の出題を周到に分析して作られた模試だな、と思いますよ。

写真の手書きメモはLamy nexxで書いたもの。青インクはLamy のターコイズ。ニブはスタブの1.1mmに交換しています。

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模試の出題と解説で困るのが、「現代英語の語法に照らして、その出題形式で問うことに意味はあるか?」という設問。
今回の進研模試だと、これ。

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文法なのか、語法なのか、イディオムなのか、単なる語彙の知識プラスアルファを見たいのか、10題しか無いなかで欲張りすぎのようにも思います。受験対策では「第2問」などと呼ばれるカテゴリーのために膨大な練習問題を用意しているのでしょうね。

一番気になったのは、所謂「倒置」による、条件節相当の表現となるもの。「なぜ?」とその理屈や由来を問われても、専門家の間でも断定はできずに今日に至っているようなものですが、私は「疑問文由来」に与しています。それでも、この形式は formalな物言いなんだと思いますよ。文法所や辞書の「スピーチレベル」では、「格式体」とか「かたく」というような注記がつくところでしょう。

もっとも、「格式体」とか「かたく」というのは、何も「話し言葉では一切用いられない」ということを意味しません。「改まった場面で話す」ということは日常で多々ありますから。それでも、この程度のことで「倒置による条件節相当の表現」を使うかな、というところ。しかも、模試の解答解説には「スピーチレベル」の話は一切なし。

読解の文章中に出てくるのは普通のことなのでそこでの出題なら全く問題はないと思うのですが、これを「英文を完成する」という形式で問うことに意味があるか?ということです。

センター試験の第2問は見直しが求められてしかるべきであり、これでは「知識偏重」と言われても仕方ないでしょう。

もう一題は、出題の英文での、beyond description の使われ方に関する違和感。

確かにbeyond description とはよく使う表現だと思うのですが、その定型句の定義でさえ、description の関連語(つまりdescribe) は使わない工夫をするものでは?というのが私の語感であり実感です。

ケンブリッジのアプリ辞書から。ここでは、describe を使って定義しています。

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ODEアプリ版。

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こうなるのが普通というのが私の感覚です。

beyond を使った定型表現の例。コウビルドの米語英英和から。
こういうことばの選択にこそ知性が現れるかと。

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第2問のBは整序作文。「並べ換え(替え)」問題。
なぜ、対話文にする必要があるのでしょう?
対話文にしたがために、ツッコミどころ満載。対話ってこれで終わっていいの?

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最近登場した第2問のCの方は、改善ではなく即刻廃止すべきだと思っています。

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対話文である必然もなく、組み合わせで、英語としてあり得ないものが選択肢になっているのです。
「8択」になるわけがない!
見にくいだけでなく、醜い問題。
こんな頭の使い方を「模試」として課されたり、さらにはその練習として課されていけば、言葉のセンスがどんどん劣化していくことでしょう。

という具合に「模試」を受験させる度に、その出題にストレスを感じます。以前は、その都度「模試」の出題を司る「編集長」にメールを出して照会していましたが、最近では徒労に終わることが分かっているので自分の授業の中で取り上げて注意を促しています。

例によって、授業に当たっての「教材研究」はたいてい手書きなのですが、最近、「文字指導」に関して「指導者の指導」での助言を求められることが多くなったこともあり、自分の「筆記用具」も万年筆のニブ(ペン先の金属部分)をスタブにすることにしました。欧文書体を身体で感じる「学び直し」ですかね。

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お陰様で、何かとストレスの多い、模試の解説のための準備でも、文字通り「文字を書くストレス」は激減しました。スタブ様々です。

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万年筆の胴軸の素材と形状、硬さ(柔らかさ)は指が胴軸に接する感触を左右するし、ホールド感はペンの長さと重さ、前後の重心配分バランスで随分変わります。そして、ペンそのものの重さと筆圧によって滑らかに動かし続けることができます。上手い下手はその後の話かな、と。

「小学校英語」に関連して、文科省からの新教材 “We can!” が話題となっているようですが、十数年、このブログなどで叫び続けてきたことも無駄ではなかったかな、という感想です。ただ、現場の指導者を指導する「有識者」や大学の先生方の「文字指導観」には「?」も多いので、まだまだ叫び続けないといけないと思っています。

今のところ、11月下旬に広島にて、「文字指導」関連でセミナー(ワークショップ?)を担当することが決まっています。有料で人数制限はあるかと思います。詳細が決まり次第、こちらでもアップします。

年明けの2月の某学会(私は会員ではないのですが)、では久々に生業の専門(自称)の「ライティング」でお話します。こちらは「文字指導」ではなく、中高現場での「ライティング」に特化したワークショップを担当する予定です。

本日はこの辺で。

本日のBGM: No Myth (Michael Penn)
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