Challenge

授業はボチボチ。

高1は進学クラスのみ。ガイダンスです。

それぞれ
それなり
そのうち

を受け入れることから。

「今まで学んだことで今の自分に何ができるのかが問われ、どのくらいできるか、またできないかを踏まえて、さらに何を学ばなければならないかを自分で感じ取ることが求められる授業」なので、範囲を決めた小テストはありませんよ。

という趣旨説明。

喩えて言えば、フィギュアスケートのシングルスのSPのような感じ。盛り込むべき「エレメンツ」はちゃんとあるけれども、ジャンプで何を飛ぶかは自分で決めるし、失敗して何をどうリカバリーするか、その時の「選択判断」。レベル判定とGOEで加点。ノービスと五輪最終組では当然スコアも違いますから。
オープニングのコンボが単独になり、リカバリーするにはどこかでコンボを入れないといけないけれど、「つながり」と「まとまり」を無視しては、全体の「流れ」「構成」そして演技の「主題」を表現できないもの。高難度ジャンプでアピールするばかりでなく、綻び・淀みなく「滑る」ことも大事な要素。
「ルッツ」が跳べなくても、「フリップ」で魅せることで、加点を得ることも可能。でも、羽生選手ではないけれども、「ループ」 に挑戦することで、「サルコウ」の精度が高まることだってあるから、挑戦 には意味がある。そんなことを実感できる「英語教室」でありたいのです。
「ジャッジ」から選手へのフィードバックでもある「スコアシート」は自分がさらに成長するための大事な情報に溢れている宝。教師から生徒へのフィードバックも同じ。テストの点数や偏差値の先、奥に意味があるのです。
ということで、春期課題テストを返却。

絶対に、返却されたそばから「赤ペン」で正解に書き直して行くような行動を取らないこと。直すべきは、目的地ではなくて地図。OSを書き換えるのです。

と強調。

具体的な指導は、綴り字と発音、発音の前段階の「発声」さらには、その基盤の「姿勢」をしつこく。

舌先の強さ
唇の形
顎の開き
アコーディオンのように身体を使った呼吸(息の強さ)
姿勢

文字指導に関しては、例年通り。
基本はSassoonのPrimary Regularのフォント。
26文字の正確な発音を3・3・7拍子で、AからZまでの往路と、ZからAまでの復路と。

小文字の文字のグルーピングは形とバランスと運筆と。
お猿さんの尻尾とキリンさんの首。
首と胴と尻尾の比率は3:4:3、4:5:4、7:11:7 くらいが目安。
この比率で指導するなら、四線指導も有効です。でも、この比率が意識できれば、基線だけで十分なんですよ。手島先生は流石ですね。
私の文字指導の基本になる考え方は過去ログの、

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20120211
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20120213

を是非。

筆記補助具をひとつずつ配布し、次回までに鉛筆を準備するよう指示。
まだ、全然教科書にも入りませんし、英語で進めてもいません。

看護科高2は、『フレーズ本』を使っての対面リピートができるよう、例文を通して音源を確認したあと、私の範読に続いて要所要所を斉唱。
教科書の方は仕込みのBで日英フレーズのマッチングを個人でやってから、ペア活動。日→英の出題で、英語の回答が返ってきたら、その回答が正しければそのままリピート。正しくなければ正しいものを出題者が言うところまで。単なる出し入れの反復練習です。仕込みですから。ここまでやっておけば、教科書の英文の「意味をとる」レベルでつまづくことはありませんから、「狙い」をもった活動(それをタスクと呼ぶかどうかは別として)にすぐ移れます。

高2でも進学クラスの方はひたすら『コーパス口頭英作文』。反応速度を上げることが狙いなのであって、早口で読めということは決してありません。なんとか今週末でUnit 30まで見通し。音声上(調音上)の注意点をしつこく。「舌先の強さ」がまだまだ。「呼気」そのものが弱いので、調音のまずさが際立って露呈する者がチラホラ。恐らく、国語の時間の音読でもダメだしされるだろうなぁ…。

高3は、「診断テスト」も#2で、20番まで。
昨年度の3年生とのやり取りを経て、解説も少しだけバージョンアップ。

※次のような例と比較すると、この の働きがイメージしやすいかもしれない。主語として用いる時は複数扱いなので注意。
「ホームレス (の人たち)」the homeless / 「」 the handicapped / 「失業者」 the unemployed
cf. When the going gets tough, the tough get going.
苦境に立てば (立つほど)、屈強な者たちはやる気になるものだ。(JFKの父Josephの言葉)


I found that the movie was emotional [touching].
I found the movie emotional [touching].
※ 「やってみたら、○○だった」のfind。使いすぎには注意。直接経験。文型はSVO (= that 節) またはSVOCで整理。
※ 「~的」という日本語に出会ったら、できる限り「~というのはどういうこと?」と突き詰めて捉えておくことが大切。「深く心を揺さぶる」「強い印象を与える」「感情を呼び起こす」など、日本語の豊かさがあれば、それに対応する英語を選ぶことが可能となる。


They objected to the new law.
They opposed the new law.
※ object はcomplainと同じ仲間でイメージ=自動詞。前置詞のコロケーションの徹底。
※ oppose はfightと同じ仲間でイメージ=他動詞。

Could you explain the problem to us in detail?
※ explain の語法→「人」を目的語にとれない動詞というより、目的語にくる名詞は「ことがら」の性質を持っていることに注意。「ワニ」が出てきてもおかしくない気配を感じること。
類例を整理。cf. 「提案する」suggest
Could you give us a detailed account [explanation] of the problem?
※ 名詞化 (17. 参照) の後は動詞とのコロケーションを徹底。典型的な動詞は、give でキャッチボールの文型。

「1題1頁」を使って地道にノート整理です。

高3の学級文庫用に、COBUILDのシリーズから何か1冊を、と思い新たに購入。

COBUILD Learner’s Illustrated Dictionary of American English(2nd)
http://t.co/oeSiHf9pCr

ナショナルジオグラフィック社と提携して作られた第2版。定義はどちらかというと大まか。購入した紙の辞書のアクセスコードをモバイルアプリに入れればアプリも直ぐに使えます。

先週の範囲で、”belong” が出てきていたので、語感を掴むべく、「白板活動」学級文庫の辞書類を活用して例文の比較です。

あるべきところにある;いるべきところにいる

という実感が持てるように、用例を自分で生き直すことです。
『前置詞のハンドブック』から、2、3例を補足。
それを踏まえて、教科書で飛ばしていた、レイチェル・カーソンの ”Silent Spring” を原文で繰り返し聴き読む。音源は密林のaudible版のサンプルを教室で再生。
”something that should belong in spring” とでもいうべきものがことごとく損なわれ、失われていく様を感じてもらいました。易しく(優しく?)書き直された版で読んだつもりになるよりも、この第一章くらいは、原文に近い「ことば」で、響きも含めて味わいたいものです。


高3は「入試演習」も扱わざるをえないので、まずは自分自身の経験から。ブログでも書いたような経験(http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110301 )を語り、実際に私が受験した1982年の東京外国語大学の入試問題を見せて解説。このような出題で「測れる」英語力と、今の大学受験生に望まれている英語力とのギャップは?と問いかけてみました。

「今風」の代表例として、今年のセンター試験の「ディスカッションもどき」の出題を例に取り、この「ディスカッション」がなぜ「ディスカッション」として成立していないか、を考えてもらいました。形式だけは尤もらしいけれども、実態の伴わない出題に現を抜かすよりは、地道に「英語力」向上を目指しましょう、という話。その後、宿題として、昨年の「ディスカッションもどき」を配布。

センター試験の解説に関しては、以下の過去ログ参照。
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20140119

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20140126

とりわけ、「ディスカッションもどき」への批判は、こちらで。
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20130122

週末は本業の県予選で遠い方の湖まで。
シーズンも幕開けです。
GW連休中の遠征に向けた県選抜クルーの編成も兼ねています。自チームだけ蚊帳の外という感じですね。どうしたものか。
解決の糸口も見つからないまま帰宅したら、まだパン教室は続いていて、妻の「生徒さん」にご挨拶。皆、出来上がったパンを前に楽しそうに語らっていました。
「ものづくり」も「ひとづくり」も難しいからこそ愉しさも格別なのですよね。

さて、
文科省から「有識者会議」第2回の資料発表。 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/shiryo/1345784.htm
そのうち、一つだけ取り上げて批判的に考察する。

「能力記述文の形で示した国の学習到達目標(試案)」について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2014/04/01/1345784_04.pdf

現行の指導要領をベースにしているから、真っ当な「能力記述」にならないのではないか、って誰かから指摘はあったのでしょうか?英国のMFLのattainment target の記述文に遥かに及ばないですよ、これじゃ。

「それぞれ」異なる多種多様な学校の、多種多様な教室の、多種多様な生徒の、「それなり」と「そのうち」が全く考えられていないのが大問題だと思います。私が頻りにMFLのattainment targetを推すのはその部分を考えて欲しいからです。
「呟き」でも度々書いていますが、再掲。
「英語力の自前の定義」といっても、技能や態度でいえば、この程度のものがあれば、現行の指導要領よりは一歩先へ進めるでしょう、と言って早20年。英国の悪名高き(?)NC の MFL(外国語)attainment target の例。
http://t.co/rQIrolSjvp

英国の事例secondaryレベルの記述はこちら。
http://t.co/f8kGIEeNJu

日本だと高校で参考になるでしょうか。
日本の学校教育は「学年制」を捨てられないのであれば、CEFR型の記述ではなく、この英国MFL型、つまり学校教育の枠組みでの発達段階、個々人の達成度のばらつきを踏まえた記述を目指すべき、というのが私の考えです。


「英語教育」での到達目標とそれに至る発達段階を考えるための材料として、フィギュアスケートの「バッジテスト」での記述をお読み下さい。何ができるかという到達目標の完成形を記述するだけでは現場での指導には不十分だということがわかるでしょう。
http://t.co/DzsFpBM16a

学習者に焦点を当てれば、いかに「それぞれ」に配慮しても「そのうち」が「どのうち?」なのかも「それぞれ」です。到達度も必ず誰もが「それなり」になりますが、「どれなり?」も「それぞれ」ですから、私の「それなり」と彼・彼女の「それなり」が違うことに、不当に劣等感を持たせない指導が必要だと思っています。だからこそ、現場では悩みが尽きないのです。

「有識者」それぞれの、それなり、をどのようにすり合わせ、共有し、落とし所を作るのか、注目しています。ただ、自分は「所用」で会議に出られないからといって、文書を提出し、議論で取り上げた上、必ず議事録に入れろ、だなんていう人に、どんな「見識」があるのか訝しく思います。

本日のBGM:みんなの願いがかなう日まで (佐野元春)