優駿

本業の国体県予選終了。
ふるさと選手も全員招集。来月の中国ブロック突破に向け、精鋭たちの汗が迸るのであった!
というのは、土曜日まで。本当に、肌がヒリヒリするほどの陽射しの下、トライアルレースが行われた。一転、日曜日は未明から雨。九州地方のような豪雨にはならなかったが、午後には本降り。選手の1Xランキングを参考に、サイドとシート順を考慮して、クルーを組み替え組み替え編成しなおしてリギングし直しての末、メンバーの最終決定。
今回は、成年男子の若手の中でも、地元の大学チームから、補漕も含めて代表選手が選出されたことの持つ意味が大きいと思います。
来月の中国ブロックは広島県・芦田川漕艇場。本国体の舞台、岐阜県・川辺に向けて、さらなる成長に期待します。
中国ブロックでは、県知事が視察・激励に来てくれることになったとかで、知事が各選手のことがわかるように各種目の代表選手の写真をデジカメで撮って解散。
帰路で、家が近づくにつれて、どんどん雨足が加速。
良いタイミングで撤収できたと思う。

さて、
「能動受動態」の続編。
ブログ主さんに前回の記事をお知らせしたところ、早速返信をいただいた。
ご本人も、授業で示す例としての適否を考えていたようですが、

  • ネット上に用例が散在する。
  • 許容できる実態が出てきた可能性がある。

とのことで、実際にネット上で見つけた用例を送ってくれました。

そのメールへの更なる返信で、私から、以下のような「見解」を送りました。日本語の表現はメールしたものから多少書き改めていますが、英語はそのままです。

私が今回の Lots of things sell at a convenience store. で問題視しているのは、次の二点になるでしょうか。
・ひとつはthings という名詞が単に一般論ではなく、具体的な「名詞」の代わりに用いられている、または、その文脈から言わずもがな名詞を指すのではないか、ということ。
この場合は、具体的な名詞に修正することが望ましいと思っています。

・もう一つは、そして、こちらのほうが由々しきことと思っているのですが、a lot of things といった時に、「数量」ではなく、「多種多様での多数・多量」を、つまり「たくさんの…」ではなく、「いろんな…」を意味している人が増えているのではないか、ということです。
私の考えは、そうであればmany different あるいは、a variety ofとか a wide range ofを使うべきだろう、というものです。

私がこの問題演習の英文を見て真っ先に「?」を感じたのは、 “Lots of things sell at a convenience store.” のままだとすると、一店舗の販売商品の「数量の多さ」について語ることになるのではないかという自分の直感からでした。

指摘された5つの実例の出典を調べてみました。いちいちリンクは張りません。引用符でくくって、「愚グル」と該当する英文がヒットすると思います。キャッシュで当該部分をハイライトにした方が見やすいかも知れません。

(1) There's usually a big line around the block, and a lot of things sell in the first hour.
これはサンプルセールの告知のような文で出てきています。
If you're a fan of local furniture design, head to a sample sale this Saturday at 10 Arkansas St. in San Francisco.

Internationally recognized furnishings -- from the likes of designer Ted Boerner and the DeSousa Hughes showroom -- will be available at prices below wholesale.

Rugs by Vicki Simon -- a range of colorful, contemporary pieces in many different shapes -- will be selling for $150 (reduced from $250 retail) and will average about $300 (from $500). Haba Design, Blank and Cables, Splinter Design and Crespi Woodworkings also will participate.
と、ここまでに「サンプルセールの商品、価格、売買に関わる人」の情報が既に出ています。とりわけ、” a range of colorful, contemporary pieces in many different shapes” という表現には注意が必要でしょう。「多種多様」を意味するなら、このような表現を用いるべきなのです。
そして、次の文は、そこでの「売れ方」を取り上げているので、その後に出てくるthingsはそのセールで扱われている「サンプル商品」であることは自明かと。

"There's usually a big line around the block, and a lot of things sell in the first hour," says Elizabeth Haba of Haba Design."

The Designer Sample Sale will take place from 10 a.m. to 4 p.m. on Saturday at 10 Arkansas St. (at 16th Street), San Francisco. Call Vicki Simon Rugs at (415) 576-0500 for more information.

(2) Lots of things sell on that day and there will be concerts and games too.
これは、マレーシアのYouth Cultural Bazaarの告知です。箇条書きの情報提供部分で、 “What do we sell” の項目を見る限りでは、私が指摘した二番目の問題点の例になるかと思います。

Dear NYPians do come down tomoro for the NYP Youth Cultural Bazaar. Lots of things sell on that day and there will be concerts and games too. So do come aite =) And support NYPMS booth. Booth 14. =)
Where: NYP Atrium
When: Tmr, 18th July 2007
What time: 12pm till 4.30pm
What do we sell: Henna paintings, Play cross traditional-modern games, Ketupat making ( teach by our stall vendors) and we also sell the ketupat making kits for only 1 dollar. It include ready make ketupat for sample, a roll of ribbon and also instructions. And lots more.
So check it yourself by coming down to the NYP atrium. Hope to see you der =)

(3) lots of things sell at a decent price

これは、amazonのカスタマーレビュー。商品はStorm Naturalという、bowlingの球。
Do your homework if you need one of these. They are available at this price with free shipping all over the place. You'd think you might get a good deal on Amazon, lots of things sell at a decent price, but not this.

直前の、 “… you might get a good deal on Amazon.” という部分までに、「価格、売れ方、売買が成立する場所」に言及されている。
 
(4) lots of things sell at auctions
これは、The New York Timesの記事。DE GUSTIBUS; Latest Thing in Water: Truffles より。
この文は、
As Ms. Odell reconstructs it, the president of the family-owned company, Georg Moller-Racke, wanted to make a contribution to the annual Sonoma County Wine Auction, a charitable event held each summer in Sonoma.
For the occasion, he had some of his mineral water flavored with the essence of truffle and presented in three-liter bottle. It sold at the auction for $950 and, in the words of Ms. Odell, ''became famous overnight.''
という文脈があって初めて成り立つもの。ここまでに、オークションの話題と、そこで売られる、「品物、価格、売れ方」に言及があり、当該の文へと続く。
Lots of things sell at auctions, however, and for far more than their intrinsic worth. Bottles of 150-year-old wine go for hundreds of thousands of dollars, not because anyone wants to drink them but because they want to own them.

(5) Lots of things sell on eBay.
先行文脈は、Things to sell on ebay? という、米国の「教えてヤフー」サイトでの質問に対する回答で、“What are some other things that are good to sell on ebay?” に対する直接の答えとして用いられている。
Lots of things sell on eBay. Lots of things don't sell on eBay. It's all in how you present it. I once sold a rock out of my yard just to prove I could. You must make your items desirable. If you have little to say about an item then why should it interest anyone?

(6) lots of things sell on this site
これは、eBid Forumでのやりとりで、オークションの話題であることが既にわかっているということが重要かと。この先行文脈は、“Just wondering what sells more on this site. Have you sold anything lately....” であり、そして、何人かの回答を見たJuliebabe25という回答者が、 “Lots of different things sell on here. I see small household items.” と答えたのを受けて、
as julie says... lots of things sell on this site, but, as others have said also, the more items "you" have listed the more chance "you" have of selling something... from what I have seen you need around 100 items minimum to stand a fair chance of selling here, and having different types of items helps (others may disagree with the last two statments, but that is my view)
という当該の発言者となっています。statement(s) の綴り字の誤りはご愛敬でしょうか。

こうして見るだけでも、
・先行文脈からthingsが「商品」「品物」を意味していることが明らかであること。
・今見たわずか数例でも、lots of を「多種多様」という意味で用いているらしき者がいること。
がわかろうかと思います。

私は、英語ネイティブの話したり書いたりした英語であっても、学ぶに値する「表現」とそうでないものとはあると思っています。

長文にお付き合い頂きました。
たまたま、「受動態」に関して、あれこれ考えていたところに、このブログ記事でしたので、あれこれ思案を重ねてみた次第です。
もともと考えていた「受動態」ネタは、動詞 “marry” に関して。
太田朗 『英文法・英作文---整理と拡充』 (研究社、1956年) に次のよう記述を見つけたのでした。 (p. 248)

marryには二通りの使い方がある。一は結婚する相手を直接目的語にして A married B. のようにいう用法。一は『(両親や牧師が) 結婚当事者を結婚させる』の意。その時はHer father married her to a rich man.のようにいう。この文の目的 herを主語にして受け身の形にすれば She was married to a rich man.となる。この文でwasの代りにgotを使えば動作の意味が強まる。「即ち結婚していた」ではなくて「結婚した」になる。結論として「AはBと結婚した」には、'A married B'と 'A got (was) married to B'と二通りのいい方があるが、これを混同してはいけない。

このような重要な指摘が、練習問題の解答解説のようなページでサラリと記されていることにも驚きます。
これは慶應大の大津由紀雄先生に教えて頂き、買い求めたもの。和歌山大の江利川先生のブログで詳しく紹介されています。 (http://blogs.yahoo.co.jp/gibson_erich_man/27246671.html)

先人の残してくれた資料に感謝するとともに、その内容を十分に咀嚼して、未来を担う若手へと還元することがわれわれの世代の役目でもあると思います。
私は、若手と言える年はとうに過ぎましたが、自分でもまだもう少し、跳ね続けてみたいと思います。

本日の晩酌: 若駒・純米大吟醸・雄町50% 無濾過生原酒 (栃木県)
本日のBGM: Young oh! oh! (岡村靖幸)