Fat chance!

先日、2校ほど中学校の進路説明会に教頭と一緒に出席して、進学クラスの説明をしてきたのですが、順番を待つ間にお話しさせていただいた中学校の校長先生が、お二人とも卒業生の実名をあげて高校での現在の取り組み状況を確認していたのが印象に残りました。
生徒も保護者も、1校の説明時間は短いとはいえ、1日で何校も連続して一気に聴かなければいけないわけですから、大変です。私の出席した説明会の会場では、保護者と生徒が並んで座る形態だったこともあり、表情を見ながら、気持ちよく説明をすることができたことに感謝します。

期末テスト1週間前の正業の実作。
進学クラス2年の「質問づくり」も、Part 2 で揉まれてPart 3へ。
教科書の脚注にも内容を確認する質問がありますが、例えば、

  • What happened to Chris when he stepped on the landmine?

などという質問はナンセンスでしょう。不発弾ならともかく、地雷を踏んで無事でいられる訳はないのですから。高校生の知性をなめちゃいけません。最近の高校英語の「読み」の授業は、「発問」がブームのようなので、このような内容理解を促したり、確認したりするために、

  • 表面をなぞるのではなく、もっと本文の内容に鋭く切り込む「発問」を教師が用意する。

となりがちです。教師の用意した「発問」に答えることで、本当にQ&Asになっているでしょうか?英語力はついているのでしょうか?教師が一所懸命に「鋭い」質問を英語で用意し、それに英語で答えられれば生徒は読めていることになるのでしょうか?
私は、問いを立てる力、視点そのものを育て鍛えることを通じて、「読み」というものを再考する必要があると考えて、この質問づくりを続けています。質問を英語で作るとはいっても、その作業の間、生徒の頭の中では、日本語を援用しているでしょうし、最終的に英語で疑問「文」を作る訳ですから、やはり生徒の「語彙力」「文法力」が問われることになると思っています。

週明けの授業で、生徒から出てきたPart 2の質問文はこちら。

(?) There are over 100 million landmines around the world. What effect do these have on people who live near the area where these are buried?

フィードバックを経ての修正でフォーカスを当てたのは代名詞の受け継ぎ。”(over 100 million) landmines around the world” を次の文ではtheseという代名詞で受けて、それをさらに関係副詞の節中でも繰り返しているところ。二回目のtheseをthey に修正。
1. There are over 100 million landmines around the world. What effect do these have on people who live near the area where they are buried?
代名詞の使い方で、高校生の最大の弱点は itとthatなのですが、まず「ことがら」をthis, that で受けて、その次で itへ、という流れは再三繰り返して指導してきました。しかしながら、「複数形の名詞を導くのではなく、その前に言及した複数の人・ものを指して単独で名詞扱いするthese」はこれまでほとんど取り上げてこなかったので、少し解説を加えました。
その他、生徒の作成した質問を修正した結果得られたものを列挙しておきます。進学クラスの高2とはいえ、「英語力」はこの程度です。
2. How much pride did he take in the work of removing landmines?
3. What about his work did he find to be worthwhile?
4. How worthwhile did he feel removing landmines to be?
5. What made him very weak when he was removing landmines?
6. What did removing landmines mean to Mr. Moon?
7. Why wasn’t he able to maintain his concentration on removing landmines?
8. What caused the tragic accident while he was removing landmines?
9. What happened to him on his third step when he was going to take a rest?
10. Even though he knew he had to be careful and patient in removing landmines, he had an accident. Why?
11. How seriously were his arms and legs injured when he had been blown off by the landmine explosion?
12. What did he want to do when he realized that he was lying on his stomach?
13. What did he lose when he suffered the explosion of a landmine?
できるだけ、「whyに逃げない」、「be動詞に全部背負わせずに、動詞を引き出す」と指導していますが、細かい語法は辞書指導の機会と捉えています。最後の13.の文だと、「地雷一個につき」という感じもするね、と指摘はしておきました。
今日の授業で時間を取って考えたのは、次の文例の修正。どちらも、何か変だなぁ、ということは感じているようですが、どう直すのか良い表現が浮かばない模様。
? 14. What about the work in which their group removed landmines was worthwhile for him?

? 15. What was he checking after the accident?

14.では、”worthwhile” の使い方も含めて、

  • What about their work of removing landmines did he find worthwhile?
  • Where in their work of removing landmines did he find a challenge?

などといった<疑問詞 + 前置詞 + 名詞>のまとまりを取り出す方向で修正を施しましたが、
15. だと、checkの語法が覚束ないと修正が浸透していきません。<check +節>だと、make sureに準じた捉え方でいいでしょうが、<check + 名詞>となると、

  • <check + 名詞1 +前置詞+ 名詞2>

というような結びつきが自分の守備範囲にないと出口がないように思います。
この質問で答えとして求めているのは、「どうしてそんな悲劇的な事故が起きたのか、ということ」という「ことがら」 (私の授業では「ワニの口」) のはずなのでしょうが、whatという単独の疑問詞を立てたことで個々の「名詞」に相当することば (私の授業では、四角化で視覚化の□) を求める疑問文となったように感じます。そうすると、意味内容を名詞化する必要が出てきますから、「原因」「理由」「背景」など、英語で名詞表現を思い浮かべ、それをcheckという動詞と共に使えなければうまく表現できません。
授業では、

たとえば、search という動詞であれば、<search + 場所 + for + 欲しいモノ>という典型的な結びつきがあるので、楽だけれども、checkの場合はどうなのか?<check + 状況・場面 + for + 原因 >という結びつきはどの程度認められるのか?こういうときは信頼の置ける辞書を確認して、正用例を求めるか、他の言い方で切り抜けるか、ということになるでしょう。『ウィズダム』を見ると、

  • I checked the document for error. 書類に誤りがないか点検した。

という例があることはわかるけど。これが自分の言いたいことのお手本となるかは別問題。

といって、代替案を示しておきました。

  • What did he try to find out after the tragic accident?
  • Did he check where he had gone wrong after the accident?

続いて、Part 2で出てきた形容詞から5つを選んで定義を示しておいたので、駆け足で当該の形容詞を確認。形容詞は「類義語で言い換え」てしまうと、立ち位置がずれたり、肌触りが変わったりすることもあるので、最終的には、その語に戻るための様々な工夫をしておくことが大切。例えば、”quiet” であれば、

  • soundless; noiseless; making very little or no sound; free from noise; calm

など、複数の定義を示してあります。困った時はいつも言っている、「反対にして否定する」「ひっくり返して元に戻す」です。
Part 4のワークシートを先に配布し、課題の構成と内容が若干変わっていることを指摘。全体の要約が求められていることには変わりはないのですが、教科書の指導書に載っていた「要約文」の英語にダメ出しをして、もっと良いものにしましょうという課題になっています。
ということで、2コマ目の前半でホワイトボードにPart 3の質問を全て書き出してもらい、残り時間で一挙にダメ出しをして次回までに修正案というところで本日は終了。

進学クラス1年は『レベルアップ英文法』。
ダイアローグで、登場人物それぞれの発話の意図とその首尾、感情とそれに伴う言動などを解説。当然、日本語です。音読するための下地均しでもあります。音声CDの真似をするだけではなく、まず自分で読んでみて「?」が浮かぶかどうか。では、実際の放送ではどうだったのか、と自分の「?」を確かめるための聞き取りなら、集中力は高まるかもしれません。とは言っても、そうなるだろうという期待の現れです。そんなに簡単に「リスニング力」は伸びませんよ。でも、やらなければ伸びはゼロどころか後退するだけですから。

商業科2年は、週明け最初ですから、「仕込み」の復習から。
まず、AとB全体を眺めて、チェックリストに記録。次に、私の範読に続いて斉唱。そして、ペアでの対面リピートで、Bの確認をして、自己評価です。週明けの最初の授業では、だいたい決まってこのような「仕込み直し」で半分以上の時間が取られるのが痛いのですが、これをやっておかないと次の作業も活動もドリルもエクササイズもタスクも何もあったものではありません。
斉唱で、”food chain” の最後の /n/ が「のぺーっ」としているのが気になったので、rain, pain など類例を含めて、舌先を強く使うドリル。
残りの時間で、このレッスンで出てくる語句の発音と綴り字。
今日扱ったのは、

  • 強勢: locate / located / location // heritage / secret

「動詞で –ateは二つ前」、「-tionはすぐ前」を確認。-tionは、どうかすると「ション」とか「シャン」といった音になるので、「春」の音読み、小説『杜子春』のリズムとイメージが近いと指導しています。heritageでは、 年齢という意味での、“age” の原則通りの読みに引きずられやすいので、短く引き締めるように。secretは今季までに数回扱った “picnic” と同様、カタカナの「促音」を忘れることから。

  • 綴り字 -ea- の発音: eat / sea / mean / eagle / eastern / seal / stream

のところで、/s/ 音の精度が低かったのと、語尾の /n/ が弱かったので、「舌先」のコントロールのドリル。「新聞紙」と「新幹線」は靜先生の教材からのパクリです。
次回までに本文の読みで「記号付け」を課題として指示して終了。

放課後は授業担当者会議があるので、本業はエルゴ。メニューを与え、ストレッチを充分やって帰るように指示。

担当者会議では、担任や学年主任の指導方針、個々の生徒の状況を把握するだけでなく、自分の担当しているクラスの他教科での様子を聞くことがとても大切。

帰宅後は高3のライティングのチェック。出来具合を熟慮の上、授業で扱った課題とパラレルな「お題」を期末考査に向けて作成。narrativeが8割、descriptiveが2割くらいになるでしょうか。お楽しみに。

さて、
地元のFM局で、ジャンクフジヤマさんのメジャーデビュー記念のクリアファイルのプレゼントという企画があり、当たりました。先週、朝、車を運転している時にこのキャンペーンを知り、学校に着くや否やメールで応募。ジャンクフジヤマ好きの同僚に伝えました。その結果、計3名に当たるというクリアファイルのうち2つが私の職場にあることになりました。有り難いことです。

本日のBGM: 雨のステイション (JUNK FUJIYAMA)