週末の本業トレを経て、今日から平常授業。
高1のOCは休みボケの払拭から。
生徒に、好きな (食べる) 魚の名前を聞いて、英名を問う。「鰤」という伏線から「英語の授業は6週間ぶりです」にあたる英語を答える課題。『グラセン和英』の出番。

  • This is the warmest winter in twenty years. 今年は20年ぶりの暖冬だ

から、お目当ての英語表現に到達できるか、まずやらせてみて、できないもどかしさを感じてもらって、そこから仕込みに入る。わざわざinputなどどいう発音と綴り字の難しい語を使わなくてもいいじゃないの。この単語、ほとんどの人が、/n/ではなく、/m/で発音してるでしょ。
発音の話しをもう少し。和英辞典で当該の語句や表現は見つけられても、肝心な英語での読み方が分からない。ではどうするか?英和で引き直すのも一手。でも、何回か間違えながらも、書いてあるとおりに発音すればおおよそ許容範囲の発音に落ち着くものなのです。綴り字から発音を導き出すのはまだ容易な方ですから。問題は、その逆。ある発音に、正しい綴り字を与えるのは初学者には難儀。
以前に紹介した書籍を再度取り上げます。

  • 成田圭市著 『英語の綴りと発音 「混沌」へのアプローチ』 (三恵社、2009年)

この書の最大の特徴は、「音」→「文字・綴り字」という対応にも配慮していること。例えば、子音。
/k/ という音をどのように表記しているのか、という例として、以下のような綴り字の類型を示し、全体に占める割合を併記している。例示した語はその類型を代表する典型例。

  • cat, disc (69%) / king, walk (10%) / axiom, anxious (6%) / chicken, neck (5%) / quick, question / acquire / chorus, stomach / accord, occur / biscuit, circuit / cheque, conquer

また、
/z/ という音に対しては、

  • has, is, prison / dessert, possess (以上の類型で 69%) / quiz, zoo / blizzard, jazz (27%)

という例を挙げている。たとえ、「/z/の音は、sかssかzかzzで表記しておけば、96%安心ですよ。これが原則ですから。」といわれても、初学者は個々の語を綴る際に一つひとつ覚えていかなければならないのである。
それでも子音はまだいい方である。母音となれば、
/ai/ という音に対して、

  • mild, time / die, tie / by, cry, type / bye, dye (以上、91%) / high, right (4%) / eye / height / buy / aisle

/ei/ に対しては、

  • ape, made (82%) / aim, rain (10%) / day, crayon (4%) / feint, rein / prey, they / break, great, steak / eight, neighbor

という例を挙げている。このような例を見れば、いくらフォニクスに習熟し、「音声化」ができたからといって、必ずしもその音から正しい綴り字を書けるとは言えないことが分かってもらえるだろうと思う。
高等学校段階であっても、ライティング指導の第一歩は文字指導である、と私は言い続けているのだが、なかなか理解してもらえないのは、実力のある英語教師の多くが、こういう基本語を無理なく覚えられた幸運な人たちであることによるのだろうか、と感じる今日この頃である。
教育困難校→進路多様校→受験校→進学校などなど、それこそ「多様な」校種での実践経験のある教師の言葉をもっと取り上げて議論をしないと高校間の垣根は越えられないだろう。今、→で方向を示したけれど、できれば、この逆の道を自分の意志で進んで行った人と話しをしたいなぁ…。多くの有能なベテラン教師は、進学校を経て、次は「超進学校」というステップ、つまり「学校」を越えて、指導主事とか大学の先生になっちゃうから。その意味では、A先生とか、KG先生は偉いよね。 大学から中学校へ、指導主事から中学へだから。
倫太郎さんとこの夏お会いした時に、「しがらみ」の話しになった。
確かに、長いこと一つの業界にいると「人脈」もできる。「持ちつ持たれつ」と言えば聞こえはいいが、その「しがらみ」に脈があると踏んだ人が乗っかっていき、利用して「成功」を目指す、という絵図が私はどうにも好きになれない。倫太郎さんには、「しがらみを使って生きていこうとは思っていない」というようなことを言ったと思う。本心である。
高2は「表現ノート」の仕上げと提出。
高3は、高2の課題の解答例のお手本を作ってもらうことに。以前のエントリーでも示した「後置修飾」シリーズのオープンエンドな文完成の課題です。まずはつじつまを合わせられる、「文」を作る力。そして、その文はいったい誰に言う文なのか、当事者同士のゴールは何なのか、を学習者自らが突き詰める課題でもあります。subsitution drillsをすることが目的なら、オーラルアプローチが日本を席巻した当時の方がよほど質・量共に優れていたでしょうから、何のためのdrillsなのか、そこを教師が自分の頭で考えておくことが指導の前提です。
高3の2コマ目は、全国いろいろな方にお世話になって完成した「英作診断テスト」の第1回 (英作診断テスト#1解答例と解説.pdf 直)。この10題から、何を感じ、何を学び、新たにどのようなアンテナを張り巡らすことができるか。期待はしているんですよ、いつだって。ただ、あと9回、全部で100題ありますからね。

放課後は本業。
台風が近づいているので、湖に置いてある艇を、大学生が艇庫のラックにしまってくれた。深謝。ということで、体育館でエルゴと体幹に。
2年生には、フィニッシュで「締める」ことの徹底。ただ腹筋を使ってボディのスイングを止めてもダメ。「力の出し終わり」を明確に。G大コーチ時代にお世話になったこともあるK氏の言っていたことが最近になってよく分かるようになった。今、アプローチしているのは「股関節の締め」と「体重を重く、硬く使う」こと。まだちょっと試行錯誤段階だが予感はある。
1年生は、体幹→10分間定常漕→1分オフ・1分オンでローテーション。
最後はストレッチ。ペアストレッチの種目を選手同士でできるよう指導中。

  • 理解して、体感して、理解が少し深まって、実感して、実践して、パフォーマンスが上がって、納得して、そのうち惰性となって、パフォーマンスが下がって、気が付いて、やり直しをして、新たな理解が生まれ、理解がより深まり、新たなレベルでの実践が始まる。

「できるようになる」過程なんて簡単には決められません。3歩進んで2歩下がるならまだいい方でしょう。ほとんど場合は、このプロセスの一番最初。「前提」と目されている「理解」の段階が覚束ないのだから。
明日は、風の様子を見て練習内容決定。
本日のBGM: Late for the sky (Superfly)