”this is my home”

週末は本業のインカレを視察のため上京。
母校の応援に加えて、国体の成年チームにかかわる選手たちのパフォーマンスの評価をするのが主眼ではあるのだが、勝ち負けのかかったレースに伴走するとなると、なかなか冷静に「見て」いることは難しい。このあたり、年齢にかかわらず優秀なコーチはみな冷静に燃えているようなので、学ぶべきことはまだまだ多い。GK大のMコーチからは、先日の「夏風邪」の件で気を使っていただいた。懐かしい顔に会える喜びと、結果を出せていない現在の自分の状況との間で鬩ぎ合い。まあ、それも自分で引いた選択肢である。
 
母校のG大の選手は、男子が最終日に残ったとはいえ、2種目で順位決定戦回り。結果、5位と7位である。一緒に練習をしている、某女子大は1年生ながら準優勝。この悔しさから新たな加速です。前任校の教え子で名門W大学進学後にこの競技を始めた選手も、インカレの舞台に立てて何より。部内選考を経てレースに出るだけでも大変だったことでしょう。朝早いレースでしたが、スタートに間に合ったので、伴走で目に焼き付けておきました。
幕が下りてみると、今年もN大が8種目中、7種目で優勝。残る1種目は準優勝。8+と4Xは4連覇。まさに王国です。
国体の選抜選手のうち三人が優勝と準優勝に貢献。他チームのもう一人は別種目で銅メダル、ということでまずまずのパフォーマンスを見せてくれていたといえるだろうか。インカレ後の打ち上げもそこそこに、帰りの新幹線へ急ぐ。

今回はインカレの合間を縫って、関東甲信越英語教育学会にちょっと顔を出してみた。シンポジウムに間に合うかどうか、という時間だったのだが、まずは山口行きで随分心遣いをしていただいた田邉先生にご挨拶。田邉門下の院生の方にも紹介してもらう。採用試験の時期なので、院生はみな自分の発表と試験の準備で大忙しの模様。
メインイベントと目して(黙して?)参加したシンポジウムは大入り盛況だったようです。このシンポに関しての評価は微妙ですね。いずれ何かを書くかもしれません。
懇親会にも少しだけ顔を出して、こちらにいた時分にお世話になっていた方たちに無沙汰を詫びたり、新しく出会った方に挨拶をしたり、旧交を温めたり。学芸大の金谷先生から、ライティングのフィードバックを研究しているという院生の方がいると紹介され、JACET関西支部のライティング研究のプロジェクトなど、今やあまり顧みられることのない国内の先行研究に関して、雑談レベルではあったが楽しく話ができた。
若い世代が、歴史に学び、先達を超え、お互いの論に切り込んで、実りある議論、突き抜けた議論ができるような学会であって欲しいと切に願う。
最終の新幹線を降り、駐車場に止めてあった車で真っ暗な道を帰る。日付の変わる直前に無事帰宅。
4時半に起き、今日からの講習で使うハンドアウトをチェックし、印刷。高1、高2ともようやく学年レベルの教科書に突入です。二度寝をすると、頭が働かなくなるのが分かっていたので、そのまま、本などを読み、軽い朝食を済ませ、ジャルダンの珈琲を飲んでから出校。
高1は、名詞句の拡充と、意味の繋がりの強さについて。

  • We are a group of twelve & thirteen-year-olds from Canada.

で、 “a 名詞1 of 名詞2 from 名詞3” の1, 2, 3の繋がりの強さは同じなのか?という問いかけ。
その後、抽象名詞化に関して、英語に行く前に日本語でウォームアップと思い、

  • 「8月も下旬だというのに、今日は暑いね。」の「暑い」は形容詞。では、この「暑い」を名詞に直すとどんな語になるか?

という問いで何を答えに求められているかが分からない生徒が続出。「暑い」という形容詞を名詞化して「暑さ」というように、概念でくくられたことばを取り出す、という基礎練習の不足が推測できる事例であった。

  • 「旨い」という形容詞には、「旨さ」という名詞と「旨み」という名詞が対応していて、棲み分けをしている。
  • 「おいしい」を形容詞と考えると、対応する「おいしさ」という名詞はあるけれども、(?)「おいしみ」という名詞は考えにくい。
  • 「国語辞典より英和辞典の方が厚い」という時の形容詞「厚い」には、「厚さ」と「厚み」という二つの名詞が対応している。

などということをやっていたら、1コマ90分は直ぐ終わってしまいます。それでも、Lesson1のパート1の予習の仕方まではハンドアウトのセクションを行ったり来たりしながらも、ちゃんと授業内で終わってもらいました。

高2は、フレーズ訳の活用で、高1では教師がフレーズ間で入れてくれていた合いの手を、今度は自分で入れる練習。次に、チャンクを越えたより大きな結びつきを見つけて、チャンクの取り出し方を柔軟に動かす練習。profoundlyなど、訳語に気をつける必要のある語義の理解や、分詞構文で ", pounding away..." と出てきた語句を元の形の動詞で "pound away"に直して辞書を引けるか、などといった基礎の基礎からの作業。"away" のもつ「次から次へと;どんどん」の感覚を掴むのに、学級文庫にあった"Kids Book of Questions"を生徒に持ってこさせて、その裏表紙にあった、"Ask Away!"を利用。というように行きつ戻りつで新出語句をグループで全て確認してから、「四角化で視覚化」などの一連の作業の自己修正。音読のバリエーションとその狙い、頭の働かせ方。復習での英文復元作業の重要性指摘とガイダンス。

お昼前に、高3の自分のクラスの模擬試験の答案と成績表を返却。明日のオープンキャンパス第二弾の打ち合わせをして、でんこちゃんいわく、「とっても暑いの1時〜4時」に帰宅。
パソコンを開くと、関東甲信越の懇親会で知り合った方が、こんなメッセージを送ってくれていました。少々長いのですが、切実な想いが言葉の端々から感じられたので、ご本人の了解のもと、固有名詞などを除き引用します。

  • 私は、普段は田舎の小学校英語の現場に立っています。 ご存知かと思いますが、小学校英語の現場は今とても混乱していて、tmrowing先生のような英語教師の方が見たら目を覆いたくなるような悲惨な状況のように思います。一般公開であるブログにはとても書けない事も多いです。 それでも、私は外から見て批判するだけよりは、その渦の中にいる方を選んでしまって、本当に試行錯誤する日々です。 だからこそ、先日大津先生達のシンポジウムに参加して、全国から日本の英語教育の事を真剣に思い背負って立つ先生方の気概にあふれた会場に参加できて、本当に良かったと思っています。/日本の英語教育はどういう方向に進んでいくのか、小学校英語の現場にいる私たちは一体何に踊らされているのか、これからも常に心にとめて、まずは自分に出来ること、目の前の子供たちに少しでも英語の土台が学べるように頑張っていきたいと思っています。/ 小学校英語でも、「概念教育」「ことばへの気づき」が実現できるよう、壁にぶちあたりながらも頑張りたいと思っています。私は、小学校英語がたとえ今どんなに悲惨な状況でも、決して絶望したりあきらめたりはしたくないです。 子供たちの持つ力はすごいものですよね(それは、きっと小学校でも高校でも) その可能性を信じて、これからも現場で頑張っていきたいです。/文科省の学習指導要領の壁や、小学校の先生達の英語に対する激しい拒否感の壁など、いろんな壁がありますがくじけずにやっていこうと思っています。 そういう時、tmrowing先生のブログってとっても力になるんですよ!心がくじけそうになったら、英語教育への思いが詰まった先生のブログをまた読ませて頂きますね。

勇気づけられているのはむしろこちらの方です。深謝。

明日からは地元で本業の強化合宿。午前中の学校での夏期課外から、午後は湖での練習へまたしても往復100km生活に移行となりますので、更新は無理せず、気長にいこうと思います。

本日のBGM: The anchor song (björk)