... because we love you.

今日は、関東関西とも英授研が開かれている。盛会となっているだろうか。
私は朝モーションで大学のボートチームの練習視察。土日の方が道が空いているので早めについた。
カタマランに同乗しちょっとだけ指導。
スイープに慣れていない下級生は、ターンの出来る水域で、インハンドローで一人漕ぎ。リラックスした姿勢で、インハンドで艇を掴まえていられるか。足を押し続け、インハンドを強く引ききるためには、腕漕ぎでもぶら下がりが感じられることが肝要。ここをごまかして、抜き上げだけ高さを出そうとしたり、ハンザウェイの速さを求めたりすれば、艇がどこかに行っていまい、減速し、立たない、直進しない、という三重苦となる。このインハンドの部分はスカルの技術とほとんど変わらないのだから、自信を持って思い切りよくいくべし。ペアで不安(定?)という場合には、一人漕ぎにしてでぐるぐる回る→サイド交代して回る→両舷で、というドリルを最初の内にしっかりやっておくことで対応できるはず。
スカル系は基礎技術は十分に理解できているはずなので、低レート中心の時期でもエントリーがモッサリしないように。間にスプリントを入れる時には気づくはずなので、問題は、その後、低レートに戻った時にもドライブを足ですぐに運び始めているか、ドライブのミドルからも伊勢エビのようにぶら下がって加速させているか、をチェックしてもらうこと。「蹴り戻し」を嫌がるばかりに、減速の谷に艇を落としてしまえば、エントリー時の艇は最低速になっているのだから、少々オールの操作をミスしたところでマイナスが表に出て来にくい。これが諸悪の根元。要は「加速を継ぎ足す」ということ。
そしてそれ以上に大事なのが、ベースの艇速を高く維持すること。目一杯艇にスピードを与え、リラックスしたリカバリーでも減速を出来るだけさせずに、次の加速へ、というリズムを作らないと、1モーション2時間少々で20km、1日2モーション5時間弱で40km以上を漕ぐことはできないでしょう。強化合宿の時だけ長く漕ぐのでは不十分だし、長い距離を漕いでいるということ自体に安心してはダメなのです。ベースの艇速を決めるのはイベントではなくコンスタントなのですから。
例えば、Mコーチ門下のGK大I選手は、1Xの1モーションで30km漕いだとのことです。30kmというのは、スピードがなければ1モーションで漕ぐのは大変な距離であるし、スピードを出したら出したで、維持するのは並大抵ではない。では、1モーションでそれだけ産出できるエネルギーを、2000m1発で発揮されたら、と考えてみて下さい。UTでの艇速、艇差の持つ意味は果てしなく大きいのです。シンプルに、ダイレクトに、ダイナミックに艇速を求めましょう。

さて、気になる大学入試の英語出題シリーズ、続編です。
旭川医大・後・09年の出題。
これぞ「ライティング」です。

  • Your friend worked for a nonprofit organization (NPO) that helps poor children. She discovered a government error that resulted in significantly higher funding for the NPO. She decided not to report the error in order to save more children.
  • State your opinion about her decision in English. Present specific reasons that support your opinion and argue against potential shortcomings of your opinion.

この大学は毎年、本当に良質のライティング出題を続けています。英語系の学部、英語重視を謳う大学は見習うべし。今年は、「予想される反論に対する再反論」までを求めているようです。昨年 (08年) の後期の出題は、argumentationで、自説の支持を論理的に行えば良かったのですが、今年は、もう一段高いレベルを要求されました。(GTEC Writing Trainingの課題でいうと、第3章の ”Persuasive Writing” がまさにぴったりのトレーニングとなります。授業の中ではここまでの指導は十分にできない、という先生はこのGWTを生徒に勧めて下さい。)
この大学、一昨年(07年)、は意見論述と言うよりは、「語り文+説明文」といったテクストタイプを求めていましたから、この3カ年を演習するだけでも、格好の英語ライティングの練習になります。(ちなみに、07年の出題は『パラグラフ・ライティング指導入門』(大修館)のpp.259-261で扱っています。)

全国区の「旧帝大」でもなく、地元密着型の国立総合大でもない場合には、集客の観点からか、大手予備校も解答例や解説を公開してくれないところが多いので、参考になる英文が少ないのは悩ましいですが、argumentationの解答にあたっては次の点に気をつけて下さい。

  • 理由説明の部分に、さらなる自分の意見を書かないこと。

巷に溢れる「自由英作文」対策では、この部分は指導されていないように感じることが多いのです。

  • I don’t support her opinion because I think we should teach young children to be honest and above telling lies.

というトピックセンテンスではbecauseの節中に主観・意見の陳述が含まれてしまい、それをさらに支持するべく理由を述べ、読者との共通基盤をつくらなければならなくなってしまいます。そして、私はそこまできちんとargueしている過去問の模範解答や解答例、参考書や問題集をほとんど見たことがありません。

  • I do not support her decision, seeing it in terms of honesty.
  • Looking at her decision from the viewpoint of honesty, I could not agree less.

などといった具合に、課題に対する反論の「ものさし」も示した上で賛否を表し、

  • She should have reported the error by the government instead.

というような自説を述べ、その次に自説の理由付けをするのが望ましい展開ではないかと思います。

先日のエントリーで「再現答案プロジェクト(仮)」へのご協力を呼びかけましたが、早速数名の先生が賛意を表してくれました。ありがとうございます。メールの一部をご本人了解の上紹介します。

  • ライティングの再現答案は,合否を判断する資料のためという予備校のような目的ではなく,ライティング指導の欠けている部分をあぶりだすための教育的な目的であると,これからのライティング指導に与える影響は大きいと思います。

まさに、私の言いたかったことをことばにしてくれたこの先生は、世間で取り上げられる「東大合格者数ランキング」でも常に上位に入る公立高校で、生徒にしっかりと骨太の英語の力をつけている方です。
これからのライティング指導のため、これからライティングを学ぶ生徒のために、是非とも多くの方のご協力をお願い致します。

本日のBGM: We'll never argue (Stephen Duffy)