大恩人

しばらく聴いていなかった Podcastingの局を一気にアップデート。
ちょっと豪音でのリスニングをやっておこうと思い、The Conversation Hour with Richard Fidler を聴く。約50分。最初の数分で自分の耳と頭のチューニング。徐々に調子が出てくる。10月10日の回は、Clare Bowditchが出演していた。新譜が出る模様。残念ながら日本のiTune Storeでは対応していないのだなぁ。彼女に関しては Finn Brothers のトリビュート盤(She Will Have Her Way: The Songs of Tim & Neil Finn, 2005)の冒頭 (Fall at your feet) を飾った歌手という認識しかなかったのだが、先行シングルを聴く限りでは、なかなか良い感じ。途中、即興で歌った『掃除機のうた』がチャーミング。もっとも、Neil Finn好きに悪いミュージシャンがいるとは思えない。
進学クラスの3年生で、立命館志望という生徒の相談を受ける。過去問をまだやっていないと言うので、2回分の過去問を出力して、担任に預けておいた。読解問題の長さや、全体の分量に気圧されないことが大切。英語に限って言えば、問題形式は一定だし、リスニングはないし、英文志望者以外はライティング(?)は課されないので、関西の私大の中では対策が立てやすい大学の一つだろう。駿台の青本のシリーズで、以前、桜井博之氏が執筆していた『立命館大の英語』が読解の参考書・問題集としても優れたものになっていたのを覚えている。今もまだ出ているのだろうか?
先日、進学クラスの高1で今までの『表現ノート』などを見せたのが、かなり刺激になったようで、学級日誌にも英語で短い感想を書いてきた、といって担任が報告してくれた。一人でも二人でも、まずは突き抜けてくれれば何よりである。
その一年のオーラル。前回扱った埼玉県のリスニングのスクリプトを打ち込んで次に与える課題を作ってみた。一カ所英文として「?」という部分があったのだが、聞きとる英文は本文で252語。約2分なので125 wpm程度。まず、このくらい語彙構文が易しいものをらくらくと(effortlessly)聞き取ることで自信を深めさせたい。
木曜日の授業は、先日福山に行ったときの代講分が戻り、0限+4限+7限と、1日同じクラスが3コマ。お互いに大変です。
0限では、キャロル・キングを合唱。まずは細かいところまで正確に発音練習。ペアで一人一行読み、対面リピート。続いて合唱。まずまず。
青森県書き換えバージョンのディクテーション確認。音読。さらなる内容理解の英問英答。
埼玉県のスクリプトをB4の用紙4分割それぞれに印刷したものを配布。Side Aは段落ごと全文ベタ打ち、Side Bは動詞を中心とした虫喰い、Side Cは前置詞を中心とした虫喰い、そしてSide Dは 修正ペン4本斜線。生徒は4つに折り音読活動に備えます。
まずは、Side Aで音声指導。個人での音読から。次は、音声を注意深く聴くだけ。重ね読みへと進む。ダメダメ。三省堂の『グランドセンチュリー英和』の巻頭特集ページにある「リスニングの極意」でも指摘しているのだが、/f/, /v/の音、-th-の音の区別が、多くの高校生の弱点である。そこで、無声音、有声音合わせてこの4音を含む箇所全てに2色の色ペンかラインマーカーで注意を促す。
「では、音読して、それぞれの音の箇所が来たらマーカーね!」
と言ったのだが、これができないできない。「びっくりだよっ!」といいたくなるくらい漏れまくり。(みなさんも、一度試してみられたし。)仕方なく、私が範読し、その箇所でマシーンのように部分再生繰り返ししながら進める。もの凄く長い時間を費やしたような打ち拉がれた気持ちで、0限は終了。
4限は次の段階へ。
0限でつけたマーカーの部分に意識を働かせて再度、CDの音声を聴くだけ。各自で音読して確認。次は、Side Bだけを見て、空所を埋めながらCDに重ね読み。この活動の時に、少し目線を先へ送って聞こえた音で補おうとするはずなので、自然と黙読のスパンがチャンクを意識するのではないかと、儚い期待。ペアを組んで、片方はSide A, 片方はSide Bで背中合わせ、一人一文読み。さらに、Side Cに進んで、空所補充しながらの個人音読。不明、不安な箇所をSide Aまで戻って確認。次は3人一組で、一人がSide A, 一人がSide B、そしてもう一人がSide Cで一人一文読み。最後はCDに重ねて、Side Dで修正テープ斜線4本を埋めながら音読。こんな感じで、午前の部終了!
7限は、石川県の出題のスクリプトを音読した後で、4限と同じく、/f/, /v/, -th-のチェック!埼玉より短いので、時間を区切ってマーカー。座席を anti-clockwiseに一つ移動し、他の生徒のマーカーに注意を払って音読。さらにもう一つ移動して、音読。漏れに気が付いたところで、自分の席に戻って補充・修正。音読。
富山県のスクリプトはさらりとチェックして、残り時間15分を切るくらいのところで、英語 I の教科書のサマリーへ。
前回、一人一文担当の並べ替えは終わっていたので、ワークシートのサマリーを書く欄を机の上に広げて、自分の担当した英文が印刷されたstripも広げて、筆記用具を持たず起立。各グループの他の生徒の座席へ行き、英文を一文覚えて帰ってくる。席に戻ったら、自分のワークシートに書いていく。途中で忘れたら、ワークシートに印刷されている本文を見て、「どの英文をどう言い換えたものだったか?」という遠回りで思い出すか、諦めてもう一回英文のstripを見に行って覚え直すか。ただし、覚え直しの場合は、往復した回数を、サマリー英文の横の余白に、「正」の字を書くというルール。今季、最大の盛り上がり。正の字を書きたくない生徒は、ひたすら机の脇でread & look-up状態。全員チャイムが鳴っても止めようとしませんでした。今回用いた英文はこちら。本文を言い換えて短くはしているものの、決して易しくなっているわけではありません。教えることは山ほどあるので。これもまた、次への布石です。

  • His teacher worried whether Mr. Dawson was ready to learn many things at the same time, while he didn’t want to waste his time.
  • Mr. Dawson studied so hard that he learned all the letters in the alphabet in an amazingly short time.
  • Although his teacher tried to teach him the ABC’s of the English sounds, Mr. Dawson wanted to learn some meaningful words.
  • His teacher was impressed with Mr. Dawson’s progress and said he inspired everyone in the class.
  • The younger adults who used to be thought as poor students became motivated enough to come to the class in time.

次回は、各英文担当者が赤ペン先生となり、グループの他の生徒のワークシートの英語を直していきます。真っ赤になることも考えられるので、整理するためには、当然、清書が必要。そうです、私が作る両面天地逆シートで、裏面の罫線はそのために印刷されているといっても過言ではありません。視写の活用の一例です。
放課後は、職員会議。ふぅ〜っ。今年度初の0限あり、7限あり、+職員会議。疲れました。
今週も授業はあと一日。なんとか乗り切りたいものです。

帰宅したら、アマゾンで頼んでいた書籍が届いていた。

  • 竹下和男著『英語は頭から訳す 直読直解法と訳出技法 14』(北星堂, 2007年)

これは、日本英語教育史学会月報213号で紹介されていたもの。現任校での授業に活かせるかどうか、じっくり腰を据えて読みたいと思う。

「英語授業工房」さんに、フレーズ訳絡みでワークシートのサンプルを送ったのだが、そのお礼をブログの方でしていただいた。本当に律儀な方です。こちらこそ有り難うございます。いいものができたらどんどん公開して下さい。このブログをお読みの方、私のワークシートでよければ、いつでも送りますので、左のプロフィール欄からメールをどうぞ。できれば、物々交換で、いろんなワークシートが飛び交うのがいいですね。どうしても本物が見たければ、自分から会いに行く、その精神が大切。私も先日、福山まで山岡大基先生の授業を見に行きましたが、山岡先生は今年の夏のELEC協議会で私が担当したライティングの研修会にわざわざ参加してくれていました(大井先生を見に来た、と言うのが正解かもしれませんが…)。この時の研修会には「英語教育にもの申す」の倫太郎さんも来てくれていたのですね。普段、ブログ、ウェブサイトで繋がっている英語教師の「オフ会」みたいな感じです。
来週19日はライティング指導紹介のビデオで神奈川の方にお目にかかる予定ですが、12月にはなんと故郷、北海道に行くことになりました!詳細が決まれば、また告知します。
もう少し近いところでは、11月11日(日)にホームグラウンドである、ELEC同友会英語教育学会の年次大会で東京に行きます。今年のライティング研究部会の分科会は「高校入試のライティング問題」が主たるテーマ。中学校の教員はもちろんですが、高校の教員にこそ、見て欲しい、考えて欲しいテーマになっています。大会の記念講演は田尻悟郎氏。必見です。ちょうど後一月。出張依頼書などの諸手続は、同友会のウェブサイトから、事務局へお問い合わせをお願いします。

オークションや古書関連を検索していたら、倉谷直臣氏のブログ(http://k7003.blog89.fc2.com/blog-entry-114.html)に辿り着く。

  • 私には、人生三人の大恩人があります。/このお三方とのご縁がなければ、今日の私はありません。

という言葉にしみじみ。私にとっては倉谷氏こそ大恩人である。倉谷氏の書物との出会いがなければ、今日の私はないのだから。

本日のBGM: When the lights went down (Clare Bowditch & The Feedindg Set)