I’m just a passer-by.

本日0限は高1進学クラスのオーラル。語法のハンドブックを欲しいという1年生が数名いるので、1年生が使っている『グランドセンチュリー和英』の巻末資料を開かせ、「語法とはなんぞや?」を解説。結構、食いついていたので予定を変更し、授業と家庭学習とのバランス、高1のうちにやっておくべきことなど、勉強法についての助言をいくつか。その後、3年の担任の先生に貸そうと思って持ってきた『英単語ピーナツ』(南雲堂)の旧版と新版の実物を見せ、コロケーションの説明。さらには、<日本語→英語>の順に学習できる(より正確に言えば、日本語で既に持っているtopical knowlege / lexical knowledge を活用して、新たに英語のlexical knowledgeを対応させるための)工夫がしてあるほぼ唯一の教材であることを強調。たまにはこういうのもいいでしょう。
コロケーションには大きく分けると語彙的連結と文法的連結とがあるのだが、この段階では深入りしなかった。教師の中にも、句動詞と熟語とコロケーションの区別を意識していない人は多いだろう。今流行の「コアミーニング」も、活用しさえすれば、句動詞などはかなり意味づけできるので知識として仕入れておいて損はないかも。進学校に勤務するのなら、put up with = stand, give in = yieldの意味の成り立ちくらいは説明できるようにしておいた方がいいのではないかと思う。
前回回収のワークシートを配布し、2回聞かせてメモを補足させてから、紙ホチキスをオープン。自分のメモで、しっかり聞けていた部分を赤ペンで囲ませる。何が聞き取れていれば充分な理解だったかを確認。
followedとなるべきところに holdと書くものがいて、「この文章の基本時制は?」「主語は?」と質問し、「聞いたことも、書き出してみると文としてのつじつまが合わないところに気が付くチャンスをもらえるのだ、それを活かすか殺すかが大きな違い」、と指摘。もしholdだとしても、all the way …の部分で変だと気が付くはず。got closer and closer to meの部分では、日本語では、「ますます距離が縮まった」などと言っても違和感を覚えない人が多いが、本来、距離が縮まっているのだから、「益す(=増す)」というのはおかしくないか?と投げかけてみたのだが、一様にぴんと来ていないようだった。
内容が理解できたら音読。まずは斉読、次におなじみ対面リピート。とにかく、スラスラ感がでるまで。
次に、重要語のフォニクスと発音。「フォニクスの知識」をいくら増やしても、正しい音で練習しないと、決して自分で区別して音を作れるようにはなりません。<正しい・整理された知識>と<練習+矯正>の両方が必要です。子音の/f/の特訓。さらには子音連続での発音練習と音節の確認。自信を持って細部まで音読できるようにして起立させ、2回読んだら着席。次に、各文で重要と思われる語を4つだけ残して、それ以外の語をエンピツで塗りつぶす。塗り終わったら、反時計回りに座席を一つずれて、原文の復元にトライ。さらにもう一つずれてもう一回。さらにもう一つずれて一回。自分の席に戻り、もう一回。ここまでやってチャイム。
朝のHRを挟んで、1限も時間割変更で私の授業。0限の続き。対面リピートでの復習から。最後の一文だけ、意味はそのまま、表現をアレンジしたVersion 2を読み、書き取り。2回読んで、1回相談タイム。情報交換で自分の理解を修正させておいて、さらに1回読み、回収。(写真参照)
アレンジした文は、

  • All I can remember now, however, is that my sister had the same dream on the same night.

基本の文型は9月の歌のAll I want is you. と同じだが、補語となる名詞のところに名詞節も来られることを実感してもらうには、それ以前に、SVOでthat節をクリアーしておく、この手順が効果的だろう、というのが授業者の狙い。どうなりますか。
英語 Iの教科書ワークシートに移り、範読に続いて斉読。内容・表現の確認を踏まえて、サマリーの書き取り。ワークシートには原文が載っているが、表現が変わっているものもあるので、やはり自分で考えながら書き取る必要がある。書き取りのコツとして、単語の頭文字だけでも書いておいて、先を急ぐ、というやり方を紹介。早速活用していたようだ。
4限には学年集会。文化祭の弁論大会に繋がる学年予選。副担任は生徒の投票の集計係です。
午後は普通科の英語G。午前中の実力テストの問題から幾つか質問が出たので、少し板書して解説。できないこと、分からないこと、に対してなんとかしようという心が少し育ってきたのか?
教科書の問題も、多くの生徒が理解→音読→筆写→対面リピート→再確認という流れが分かってきたようで、私は遅れがちな生徒の個別机間指導に時間を割けるので授業にリズムが出てきた。私は決して「テンポの速い授業」を目指していないので誤解なきよう。本業にたとえて言うなら、高強度UTのような授業が基本にあるわけです。でも、ここまでに半年かかったのは久しぶりだなぁ。
今日は、最後少し時間が余ったので、問題の中から発音を取り上げた。

  • bird/ girl/first/ third/ thirty の中の母音と、star/ dark/ park/ car/ hardの中の母音

とにかく英米のネイティブスピーカーと同じ音を出すことよりも、英語の音の全体像・枠組みの中で、この音はぶれずに出せる、という音を自分のものにすることを強調。とにかく、同じグループはブレを極力無くして同じ音を毎回作れるように。そのためには、得意な語を、そのグループの中に一つ作り、そこを足場にして練習すること、といって、

  • park/ park/ park → star
  • park/ park/ park → hard

という練習をさせたら、すぐにできるようになった生徒がいて、こちらが感激。焦らず、諦めず、甘やかさず。
放課後は実力テストの仕分け梱包。これも副担任の仕事。その後、2年生の担当者会議を経て勤務終了。

「書評空間」の阿部先生、今週は野口晴哉(のぐちはるちか)氏の『風邪の効用』(ちくま文庫)。阿部氏らしい読み方といえばそれまでだが、『整体入門』も併せて読んで欲しい。
今回阿部氏が引用していた「下痢」の件(くだり)は、

  • 左右型体癖について 二 (昭和39年8月 体癖修正法講座)

の講演でさらに進化(?)した内容となっている。
阿部先生、もし詳しく知りたければ、社団法人・整体協会/身体教育研究所へ。
最後に、野口晴哉氏の講演から英語版を。
The Clear Voice Of The Windと題されたものからの抜粋。(『月刊全生』9月号、2007年)

  • Through the division of labour in the management of our lives nowadays, we are working far more than other animals, but underlying our mode of life are biased ways of using the body. / There are people who use only their heads, and others who make a living by using their fingers only. / There are people who use their eyes to excess, and people whose legs only are overworked. / If you use your body in a biased way, it is natural that biased fatigue should result in those parts of the body that are used in a biased way. / How do you deal with this biased fatigue? This is the key to the most important health problems facing human beings today.

本日のBGM: Inside Outside (Chris von Sneidern)