Bug on the water

頑固な虫さされのかゆみのようにぶり返す9月の暑さ。教室の生徒はエアコンをかけたがるので、身体の温度調節も付いていくのがしんどい。
高3センター対策では、高3の担任の先生が興味を示した「語法」についてのハンドブックをクラスで紹介。類書との違いなどを解説して、著者のねらいなどを補足。進学クラスは希望者に購入させるとのこと。対応が早いなぁ。『グランドセンチュリー和英』(三省堂)の巻末の語法一覧も便利ですよ。
授業はディスコースマーカーの注意点。巷に溢れる、粗雑なディスコースマーカー頼みの読解法に対して警告をしておいた。

  • 譲歩・逆接のマーカーは、そのマーカーの前後で対照的な内容がきますので、そこに注意して読みましょう

などといったまやかし・気休めに引っかかって地道な読みの力をつけようとしないものがいるのだ。
情報の提示順(それぞれの例で必ずしも1,2が等しいわけではないので注意)に、便宜上1,2と内容をまとめると、
1 but 2.

  • ではbutを見た時点で、それ以前の内容の1をまとめ、その内容とは対照的な2に来る内容の予測を立てたり、検証したりすることが容易である。

これに対して、howeverでは、
1. However, 2.

  • であれば、ほぼbutと同じ意味処理でいいのだが、

1. 2, however, 2の続き

  • となった場合には、howeverの直近の前後は結局2なのであるから、何も対比・対照がないのである。あくまでも1と2の論理関係を把握することが求められる。とりわけ、2の文の主部が長かったり、副詞句が文頭にあったりすると、2の続き部分との意味の整合性が掴めず、想像力を発揮するだけで終わってしまうことになる。

1 although 2.

  • では、althoughは従属節を導くわけであるからbutとは意味処理の過程が異なる。ただ、まだ、1と2との情報の区切り、境目はalthoughが示してくれているので楽である。

0. Although 1, 2.

  • では、従属節はどこまで続くのかを見極めることが必要である。このパターンでは、althoughの前後の0と1とをいくら吟味しても埒があかない。とりわけ、althoughの節中に and/ orの並列があったり関係詞があったり、ifやwhenなどの副詞節の入れ子になっていたりすると、途端に主節の把握が曖昧になる。

少なくとも、ここにあげたような基本形はスラスラと把握できる基礎的な読みの力をつけることが必要である。(ベネッセの『東大特講リスニング』の「ポイント特講」はこのような意味処理の過程をリスニングと精読と音読の繰り返しで身につけようというものである。)

高2オーラルは、熟達度チェックの続き。ひたすらフォニクスの復習と発音のトレーニング。同じ母音を練習していても、前後の子音の調音点によって崩れがちなものがあるので、得意な語を中心に3回発音してから、すかさずターゲットの語を発音、という手順。
たとえば、

  • girl/ girl/ girl → stir
  • early/ early/ early → work

といった具合。
今日新たに扱った語(音)の中では、
bought / caught などの母音が北米で変化してきていることを指摘。この音は結構(聞き)間違えやすいので今後要注意。
最終的には最小対立を含む有意味な例文でのトレーニング。簡単すぎるといえばそれまでだが、基礎の徹底なしに、オーラルコミュニケーションもないだろう、ということで2学期は徹底的に音声重視。次回はテストでビデオ収録。
高1普通科は先日とは別のクラス。there is/ there areの課の音読コピー作業が終わった問題の例文から3つ選んで対面リピート。ペアを変えながら、選ぶ例文を変え口慣らし、耳慣らしを充分させてから、ワークシートの裏に基本語の縦書き練習。まず4語ずつ板書し、コーラスリピート。自信を持って言えるようにして、ワークシートにそれぞれ5回は書かせる。今日は11語。時間はかかるが、家に帰って練習することはまずないので、教室でやらせることに意味がある。その後、並べ替え作文。新たなワークシートで次のレッスン、there was / there wereへ。
午後の普通科もう一クラスは祝日や行事による授業カットがあったため、なんと今学期初の授業。進度が違いすぎて大変。こまめに授業のチャンクを設定し、早め早めに対面リピートで声だし。なんとか、予定していたところまでは終了。

月末に研究会出席のため、休暇を取るので、その授業の振り替えをしてくれる教員とコマ探し。振り替えしてもらった後の戻しで自分がもらう分のコマも考えなければならないので大変です。関係諸氏、ご迷惑をおかけします。
本業でG大のGMからメールが来ていたので、フェザーリングに関しての見解を返信。案の定「イルカさんご一緒にフェザー」がよくわからないとのこと。まあ、そうでしょう。詳しくは今度会ったときにでも。

明日は0限のオーラルから。「ホントに恐かった夢」の種明かしからマッピング導入へ。塚田泰彦編著『個人と協同の学びを支援する 国語教室のマッピング』教育出版(2005年)から図解を拝借してハンドアウト作成。普通科は実力テスト。午後は、高2の授業担当者会議。
本日のBGM: Surface Tension (David Yazbek)