Ifs, ands or buts.

ELEC協議会の研修会終了!辛抱強く3時間集中してくれた参加者に感謝。
元同僚も参加していて、緊張感が増す。「それは事実と違う!」というところは指摘して下さい。
プロジェクターの接続、資料の綴じ方、ページ割りなど事前に頼んでいたものが上手くいっていなかったため、参加者の方には本当に不便をおかけしました。最大の反省点は、独話モードから双話・対話モードへの切り替えができていなかったこと。6月にブログを再開したとはいえ、山口に異動してからは、こと英語教育に関しては、以前にも増して「独り言・モノローグ」「つぶやきシロー」「ヒロシ」「だいたひかる」的な情報発信モードにいたので、遠方から足を運んでくれた方だけでなく、首都圏の方でも仕事を休んで来て戴いた方、学生の方など一人一人に満足して戴けたか、というと今回の出来には正直申し訳なく思います。
例によって時間切れで資料編とB4のワークシート集の解説が手薄になってしまいましたが、疑問点は何なりとメールを!
補足するとすれば、「語」「句」を書かせる指導のサンプルとして添付した資料の、「対句」の指導で andやbut、orの活用で上級者にもさまざまな練習をさせることができることを伝えたかった。
このブログの日々のタイトルでも、英語でのタイトルでは、andやor の使用頻度が高い。この1語を活用することで、発想・ロジック・表現という面でのブラッシュアップを期待できる。以前企画倒れになった「現代用語の英語知識」という若者の使う日本語を英語でどういうか?という活動があるのだが、

  • 「うざい」「きもい」

などといった、形容詞も英語一語で言い換えるのは大変なので、

  • unpleasant and annoying; unpleasant and unacceptable

などのように、A and B の交わりで示すとか、さらに A and B but C などのように、さらに既習語で絞り込む方法で、手持ちの語彙を有効活用できる。今回の「対句」の実践やBeginnings and Endings Poemの実践も、そういう視点でもう一度眺めて欲しいと思う。

今回の受講者からの声を少しご紹介。
・アルファベットを書けない子のためのタスクを用意して繰り返す。小文字の書き方、線の引き方なども工夫する。

  • →えんぴつの持ち方が悪い子には「持ち方君」という矯正グッズを与えて直し、姿勢が悪い子には毎日「姿勢」と言って直させる。 出来ない子を叱るのではなく、目の前の現実に対応して「何をすれば次の段階に進めるのか」を考え、スモールステップを踏んでいく必要があるのだと…反省させられました。日ごろ生徒に対して、「何で出来ないんだ」と思う心が自分になかったわけではないのでこれはしっかりと受け止めなくてはと思いました。

・ 書く、という作業を厭わせない。

  • →書いているうちに何か出来るものが増えるかもしれない。単語を覚えられたり、何かが身につくかもしれない。

・ いきなりパラグラフライティングをさせない。まずはbodyの部分の具体説明だけ英語で書かせ、topic sentenceとconclusionは前もって講師が書いておく。 今度はconclusionだけを空けておいて、topic sentenceとbodyは書いておく。そして筆者の主張を「言い換え」させる。 最後にbodyとconclusionだけ書いてtopic sentenceを生徒に考えさせる。読者の気持ちをぐっと引くような一文目を書くように指導する。

  • →この発想には本当に感動しました。なるほどこうやってやればいいのか、と思ったと同時に自分の実践の反省をしました。スモールステップの踏ませ方に感動しました。

・ 生徒に”自己表現”させたいならまず日本語で生徒がどんな”自己表現”をしているのか調べなくてはいけない。その上で語彙の選定やトピックを決めなくては書けるわけがない。

  • →「あなたの意見を書きなさい」「あなたの気持ちを書きなさい」などといきなり無理難題をつきつけるのではなく、まずは生徒が普段どんなことで友達と話をしたり、何を考えているのかを知らないのに無理矢理書かせても力は伸びない。 そこから語彙やトピックを選ばなくては”自己表現”にならないのではないか。なるほど!

・日本人がみんな間違える箇所は「放っておく」。日本人でも絶対間違えない箇所を「直す」。

  • →これまた目から鱗でした。誰もが間違える箇所はずっと付き合っていっていつか直すもの。絶対間違えようがない場所で間違っているのを発見したら、そこを徹底的に直す。そこで躓いている可能性が高いのだから。

・ ライティングの発達段階を単純な右肩上がりのものと捉えるのではなく、まずやってみて、できない時にどの段階まで戻って再チャレンジするかを考える。

  • →「文章を編む指導」→「まとまった文章を書かせる指導」→「文のつながりを書かせる指導」→「文を書かせる指導」→「句を書かせる指導」→「語を書かせる指導」と逆算していけばいくらでもあらたなスタート地点の可能性がある。そこから始めてみて、上手くいかない時にその前のどの段階を重点的に強化するかなど授業案を練る。

・ 表現ノートを生徒に作成させ、あるトピックで必要な語彙を自分で蓄積させていく。

  • →受験を意識しない生徒や意識する必要のない生徒でもこのやり方なら自分の興味にあわせて語彙が増えていくし、その興味にひきずられて英語も読めるようになっていくかもしれない…とこれまた反省でした。「単語帳」の扱い方についても考え直すよい機会になりました。

・私は今回2つの大きな「哲学」と書けばよいのでしょうか、それを学びました。

  1. どんな教え方でも「首尾一貫」していればきちんと力はつくはずだ
  2. 目の前の現実に対応して、きちんと生徒の実態を把握して授業をしなくちゃだめだ

これだけ、吸収して戴けると講師としては安堵。講座の冒頭でも言ったことだが、「相似形」を見て取ることができれば、自分の目の前の現実に対応する手がかりは得られると思う。
午後の部を担当する千葉大の大井恭子先生にご挨拶。ELECを後にし、忘れ物をしたホテルに戻る。
夕方からは、本業でこの3月まで見ていたG大合宿所へ。夏恒例の岩手合宿に行く直前の練習を見る。翌日は久々の4時半起床!自分の原点を再確認させてもらいました。
学生の出発を見送り、都心へ。眼鏡や時計の修理など地元ではできない雑用をこなし、超多忙な元同僚のK先生に時間を割いていただき近況報告。
今回は短い滞在ではあったが、夏期集中講義のまっただ中のDr.コーパスこと、投野由起夫先生、KATEの発表の準備中の鳥飼久美子先生など、迷惑を顧みず直接お話しする機会ができ、時間がとれたので、「人」を繋げてくれた「人」に感謝。こうした繋がりから得たものをまたいつか他の方に還元できれば、と思う。

本日のBGM: Walk of life (Dire Straits)