Think twice before going communicative.

明け方の降雨で、こりゃヤバイかな、と思っていたが、案の定グラウンドの状況が悪く、雨が上がってはいたけれどクラスマッチは中止。急遽、授業の準備。1限の講話は生徒指導部部長。国立教育政策研究所生徒指導研究センター総括研究官の滝充氏の説く「規範意識」「自己有用感」「ゼロトレランス」に関する話が中心。生徒は理解できていただろうか?
2限は、高2進学クラスのオーラル。本当は今学期もう授業がないはずだったので、発音についてじっくり取り組もうと思い、島岡丘氏の「発音熟達度診断テスト」を流用。今日のクラスでまず問いかけたのは、

  • 英語の聞き取りが出来ない、とか、TOEFL, TOEICのリスニングテストが速くて聞き取れないという人がいるのだが、その人たちは、同じ英文を音読のスピードで後戻りせず一読して、理解できるというのだろうか?

ということ。結局、「次から次にいろんなことを覚えても、英語が使えない」のではなくて、「使えるように覚えていない」のではないか?「丸暗記ではダメだ」という人は多いのだが、覚えた積もりになっているだけで、実は何も英語が残っていないケースが圧倒的である。

  • 中学校3年間、教科書の題材で最も心に残ったのは何?「マザーテレサ?」「キング牧師?」「鷹と子ども?」。どれが印象深かったかは人それぞれでいいでしょう、では、その一番印象深かったレッスンの出だしの1文から2文を英語で言ってみて。

この問いを受けて今までスラスラと英語を口にした者は残念ながら皆無に近い。
対話文とノンフィクション満載の検定教科書を用いた授業では「…について」の学習が主流で、「ことばそのもの」の学習になっていないのではないか?という問いを教師は反芻するべきだ。

  • 2学年分は下の教科書から、やり直しましょう。SでもHでもいいから、中2の教科書の最初から最後までをひたすら音読。時間を計る。途中でつかえたら、どこまで読み進めていようが最初の課からやり直し。時間も計り直し。1か月、来る日も来る日もスピードを上げ、もうこれ以上は上がりません、となったら、タイムを記録しておいて中3の教科書へ進む。今度は、2か月くらいかかるかも知れないけれど、同様に。中3の教科書がスラスラ読めるようになったら、中2の教科書をまた時間を計って読んでみる。普通、ここまでやれば、速くなっているかどうか、教科書を見た瞬間に実感があろう。いよいよ高1の教科書へ。だいたい、第3から第4課で語いも含め高校の言語材料になるあたりと、最後の2課くらいで文法事項がすべて出そろうあたりで、挫折しがちである。この段階のクリアには4か月とか半年とかかけていい。だって、去年はこれに1年かけてたのだから、それを自力で半年で出来れば御の字でしょう。

と熱く語ってみた。実際、ここまでやる生徒は100人に2人くらいだろう。でも、その人たちは確実に骨太の英語力を身につけて卒業していく。とことんトレーニングをやり抜いた後に残る言葉に価値を見いだしたい。
音読による英語力の養成に関して、以下の板書をして締めくくり。

  • 情報処理の回路を作る
  • I found it difficult to learn to be able to pronounce English appropriately.
  • 左→右へと進み、後戻りしない
  • 「まとまり」と「つながり」
  • 音変化とスピード
  • 語い
  • 個々の音は顎の開き/唇の形/舌先の強さ 
  • 上記を支える「息の量」「アコーディオン」

2学期開始時に、「熟達度テスト」の実施を予告。1学期の授業を無事終えました。
明日の萩往還の後半のルートを周り、コースの案内表示を準備して本日終了。雨が降らないことを祈ります。
夕食後テレビをつけると、美空ひばり生誕70年記念特番。録画。美空ひばりのすごさ以上に、船村徹の曲の良さを痛感。歌手を甘やかさないとでも言おうか、スローだけれども体力・気力のいる曲でもある。流石、ビートルズのオーディションに立ち会った日本人作曲家だ。

本日のBGM: Deeds, Not Words (Max Roach)

追記:
「聞き取り」そのものに関しては、過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20060601
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050219
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050221
などもご参照下さい。
「文字認識」や「文字認識の負荷」に関しては
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20050218
とくにコメント欄が参考になるでしょうか。