「いいさ 今夜は君の好きな音楽を流そう」

今週はクラスマッチ(=球技大会?)と萩往還。天気が気になるところ。
今日の進学クラスはオーラルコミュニケーションのテスト返却。まずは、リスニングテストの音源のリピーティング&重ね読みから。スクリプトのない問題はシャドウイングを試す。自分で出せる音は聞けるのだから、まずは聞いた音を再生しようとするリピーティング訓練の重要性を説く。いい加減にシャドウイング崩れ・シャドウイングもどきで終わるくらいなら、「完コピ」の方が発音も聴きとる力も向上することを指摘。速さに慣れるなら「重ね読み」で十分だし、チャンクの長さに対応するのなら、「対面音読リピーティング」でまかなえる。
テストの解説では、リスニングの問いで、

  • Why was he going to check the show time?

という内容確認に対して、

  • 「今は時間を知らないから」

という解答があったことを告げる。
また電話の応対での空所補充で、

  • He is ( ) at his desk now.

という空所に、out を入れた者がいて、「それでは窓際族、ならぬ『窓外族』か?」と笑い。
残り時間を使い、6月の歌の復習。Ann Sallyバージョンで ”Only love can break your heart” の合唱。夏休みの課題として、「1日30分以上の音読」を課す。繰り返しに堪える音読素材として、英語の歌の価値を再認識してもらいたいものだ。今年度の目標は15曲。
授業の最後に今後の取り組みも含めて話す。

  • 日本の高校は文法訳読で、読み書きを偏重し、実際に聞く・話す能力を養っていない、と世間では批判されるが、一番問題なのは「高校1年から3年まで受験英語をやっているつもりなのに、その受験英語さえ身に付いていない」ということだと釘を刺しておいた。一方、早慶上智など今風の「速読力」や「ライティング力」が要求されるはずの大学入試を突破した大学生が、こてこての「英文和訳」と「和文英訳」しか課さない京都大学の学生よりも有意にGTECのスコアが低いというデータを紹介し、受験英語だろうが、なんだろうが学んだ英語をきちんと身につけてさえいれば外部試験など英語力の測定でも結果を出せることを強調。さらに、このオーラルの授業での目的は、会話の定型表現を覚えて、対話のふりをすることでも、入試の過去問演習に血眼になることでもなく、「英語力をつけること」であるとも。

では、「受験英語さえ身に付いていない」責任の所在は?英語教師が大好きな英文法指導の成果が上がっていないのは「ハト感」や「コアミーニング」の採用で一気に解決するのか?イメージに依存することで「わかったつもり」になっている学習者を大量に生産していないか?「今年度のセンター試験は速読力をより求められるようになりました」などと、某O社の機関誌にどこかの先生が書いていたが、センター試験レベルのどこが速読なのか?結局、前半の発音・強勢、文法・語法、語句整序、文整序、で時間を使いすぎるから読解問題の時間が足りないだけだ。進学校と言われるような高校なら、どの年度のセンター試験でも、高2の3学期に最後の第6問だけを解かせたらほとんど正答するだろう。受験英語指導で強みだったはずの文法指導が結局、功を奏していないことには目をつぶって、「速読」だの「パラリー」だのと唱えるのは笑止。批判だけしていてもしょうがないので、私の直前演習での指導方法を示しておく。速読が出来ないことの最大の原因は「英語で内容の保持が出来ない」ことにある、という前提に立った手法である。

  1. パッセージを全段落ベタ打ちで、B4位の用紙に印刷し配布。
  2. 英文を見ながら、教師の範読を聞き内容を追う。
  3. 範読終了時に、用紙を裏返し、何が書いてあったかを英語で書き出す。
  4. 悲しくなるくらい何も出来ないことを知らしめる。
  5. 今度は1段落のみ、フレーズのまとまりで改行・センタリングした用紙を配布。
  6. 範読後、裏返して、何が書いてあったか英語で書き出し。
  7. 周りとの情報交換(当然日本語で)後、もう一度範読・裏返し・書き出しを繰り返し。
  8. 次の段落が印刷された用紙を配布し、以下同様に繰り返し。
  9. 最終段落まで進んだら、用紙の裏側の書き出したメモだけを見ながら全体の内容を構築。
  10. その段階で、問題を解く。当然、理解が不十分なところは壊滅的となる。
  11. 解答を確認し、なぜ間違えたのか、という原因を読解の不備に帰するべく、B4版の原文を再読(精読)
  12. この読解作業の中で気づいたことを書き出し、情報交換。
  13. 一連の音読タスク。

和訳先渡しやパラフレーズ以外だってやることはいろいろあるでしょう?

本日のBGM: ぼくたちの音楽(HARCO)