Ordinary Persons

進学クラスの授業の話はよく書いていたが、今日の高1の普通科のクラスについても言及しておこう。
習熟度は低いが、英語はできるようになりたいと思っているクラス。このクラスを持っているもう一人の英語の先生がもともと教育系ではなく実用派・実務派の先生で、着実かつ新鮮な学びの視点で「英語1」を進めてくれているので、ポテンシャルの高いクラスである。私は、再入門講座担当。いわゆるGである。現在、高1でThere is / There are の文型を扱っている。中学の復習〜高校入試レベルの問題で構成されているテキストを使っているので、ひたすら答え合わせになりがち。でもそれだと、彼らは中学のときと同じやり方で学習を続け、やはり同じようにできないまま終わってしまう。
教室にあるものをthere is / there are でいくつか表現しQ&Aの後、板書。この情報をもとに、各自で、単数のもの、複数のものをそれぞれあげていく。全体で確認、リピートしたらテキストの内容へ。
ワークシートにテキストの問題の英文に共通の要素をまとめて印刷提示。ただし、チャンクごとにスペースを空けて、点線で縦に区切りを入れられるようにしておく。当然、「名詞は四角化で視覚化」。チャンクごとに音読と意味の確認をして、復唱。その後、筆写。初めは「先生、これ同じの書くんですか?」「そう!」「なんでここに書いてあるのをわざわざもう一回書くの?意味分かんない!」「意味がわかった英文を何回も読んだり書いたりするのが大事なの!」というようなやりとりを教室のあちこちで繰り返しながら進めていく。この程度の作業でも進度に差がつく。綴り字が自信を持って書けない、単語の意味がわからない、などなど、原因は様々。「bookのoが重なるのは短い音、roomのoが重なるのは長い音。長さは違うけど、どっちも強い音。発音しながら、空中で指でなぞり書きするっ!」などと、音声学の専門家から見ればお叱りを受けるような整理の仕方も敢えてしている。もっとも、モデルとして私自身が示す音には一切妥協しないが。ときには厳しく、ときにはもっと厳しく、極たまに優しく。突っ伏したり、机に頬をつけて、寝そべるように作業したりする輩はすかさず注意。これはなかなか大変。でも、しつこくしつこく。姿勢の悪さを見逃してしまうと、生徒は自分の音読の声が自分の身体に共鳴するのが感じられないし、文字を書く際の運筆が滞るから。でも、今何をやっているか判らなくなっちゃうから、姿勢が崩れてくるんだよね。
今日は、普通科のクラスでも「対面リピーティング」を導入。集中力が持続するのは2ペアで5,6分位。それでも、今までにないくらい音読に取り組んでいるので、この後も授業の中でしっかりと練習できるしかけを保証したい。テキストが伝統的なGの構成なので、「自己表現」とか「スピーチ」のようなものに逃げたり、臭いをかがせたりできないので、来年以降に向けて今主任とオリジナル教科書の作成を検討しているところである。これが、英語1やオーラルであれば、また違った切り口が期待できるのだが、1年目ではなかなか難しい。
進学クラスは「スピーチ」の続き。B6位の白紙に、自分のスピーチのキーワードを最大5つまで、スペースをとって書く。
自分と異なるテーマ・トピックでスピーチを書いたペアを作り、用紙を交換。スピーチを2回読み、相手にキーワードに関連づけてメモをとらせる。お互いにメモをとったら、相手に返し、新しいペアで同様の作業。すこしずつ、メモが増えたり、繋がったりする。生徒によってはなかなか英語の情報が付け足されない。3ペア目では、聴いてメモをとるのではなく、このキーワードとメモをもとにして、不明な情報、もっとこのあたりが判ると全体が見えるのに、という質問を一つ書く。お互いに質問を書いたら本人に返して着席。
次は個人作業で裏面にリバイズ。キーワードがなぜ聴き取りで活用できなかったのか?質問に対する答えは自分のスピーチで明らかになっていないのか?を考えて書き直し、清書。
各列の用紙を集めて、他の列の生徒の用紙と交換。表のキーワードとメモ、裏の原稿を本に、作者を当てるために質問を考える。あとは文字から判断して女子っぽいな、と思ったら女子に集中的に質問、男子の字だなと思えば、男子へ。早ければ2,3人で作者は判明。判明したら作者名を記入して全部回収。この段階までまずはやらせてから、教師による英文のチェックをしようという目論見。
英文そのものの良い例と悪い例、キーワード抜き出しの良い例悪い例、を踏まえて、2学期はマッピングなどのアイデアジェネレーションの活用に移りたい。
教科書の英語1では、「読み」が中心にはなるが、サマリーに繋がる内容確認の質問作成をグループ課題として課す予定。
今日はラストの10分少々で教科書のパート2の導入。
フレーズ読みはチャンクで区切られ改行センタリングした英文を目で追いながら範読2回を聴く。発音の怪しいところはカナで良いのでメモ。2分少々。次に、裏面のフレーズ訳の日本語を見ながら、単語の意味やコロケーションの確認。必要な部分のみ、表面にメモ可。時間は4分。次は裏面のフレーズ訳を目で追いながら、英文の範読を2回聴く。2分。フレーズ訳を見て、英語で何というのか考えてから表面に戻り、英語の確認をするつもりでチャンクごとに音読1回。約3分。本日はここまで。
高3はセンター対策。結束性(という言葉は使わないが)を強調して、第1問は3分で解答。何が決め手となって繋がりが決まるのか、「訳語」で終わるのではなく、「何を言うための文なのか?」を考えさせる。選択肢の英文をパラフレーズして見せて、こういう内容の2つの英文を一つにまとめたのと同じこと、というような展開で説明を続ける。とりあえず疑問の払拭できたところで、段落を通して音読。「全体のまとまりを感じろ」というdemandingな指示を与える。第2問は2分で。生徒は圧倒的に第2問の方が出来が悪いというか難しいと感じているだろうな、と思ったら、案の定3分の2くらいは第2問の方が難しいとのこと。無冠詞複数一般論、the+名詞は旧情報か常識、代名詞は具体的な名詞の代わり、という原理原則で順序を整理。この原理原則が使えるのも「語彙力」あればこそ!という話をする。この問題も解き終わって、意味の理解が済んだら音読を繰り返す。とにかく、基本文法項目を含む暗誦例文集を音読して覚えたように、パラグラフのレベルで基本パラグラフを30くらい刷り込んでおくと後が楽なのだ。長文は別の先生がリーディングで扱ってくれているので、この9月のねらいはパラグラフの中での語と語、文と文、などの意味の繋がりと全体を貫く主題へのまとまりを意識した音読の徹底。カリキュラムに「ライティング」があれば、cubingで様々な論理展開をカバーできて、他の科目へも波及効果があるのだが、それは無いものねだり。自分の今いる環境でベストを尽くさねば、自己ベストは超えられない。そういえば、大阪の英授研で太田洋先生に「ライティングとかばりばりやってるんですか?」と聞かれ、「いや、ウチのカリキュラムにはライティングっていう科目自体がないんです。」と答えたらビックリしていたなぁ。でも、私の場合、何をやってもwritingですから…。
4時間目に学年通信を印刷。各クラスそれぞれ担任の机上に。
午後は体育祭の練習総仕上げ。いよいよ明日となった。暑いのだろうなぁ。
初めて出向く会場なので、移動が一番心配である。聞けば、思いの外学校から近いらしい。しかも通勤ラッシュと逆方向とのこと。あまり早起きしなくても良さそうだ。
夕飯はカレーライス。
寝かせた一晩に宿る幸せ。

本日のBGM: It Suits Me Well (Sandy Denny)