Standards or Benchmarks?

高3ライティングはいよいよ「ことわざ」編。ハンドアウトで昨年の三年生の書いたモデル文の音読に始まり、全体構成をチェック。頭出しチャンクを音読した後、再度モデル文の音読。今年のことわざ候補は以下の6つ。

  • 失敗は成功のもと
  • 弱り目に祟り目
  • 喉元過ぎれば熱さ忘れる
  • 情けは他人のためならず
  • 身から出た錆び
  • 油断大敵

二つのことわざを選んでidea generationの活動。CUBINGと全体構成を考える。同じことわざを選択した者同士で更なる情報交換をした後、どちらか一つに絞ってドラフトを作成できるよう語彙・表現の準備。以下次回。
高2は10月の歌、Mike Scott のOpenのコメント集をもとに、グループ活動。まず1回歌ってみて、その後にコメント集配布。タスクを提示し、英語表現の拾い出し。今回は、生徒のコメントで寄せられた日本語を英語に直す課題。意味のある、コミュニケーションのために必要な準備としての和文英訳とでもしておきましょう。全5問。各グループから、1−5までの担当を決め、それぞれの問題担当者が新たに集まり、責任を持って英文を作成し、それをグループに持ち帰りレポートするというもの。問題は以下の通り。

  1. 一つ一つの文は短いけどしっかり言葉一つ一つに意味が込められている。
  2. 聴いているとたくさんの想像ができる曲だと思った。聴いた人それぞれの感じ方が違う曲だと思った。
  3. 今まで聴いてきた歌の歌詞 (lyrics) とは違って、詩 (poem) のようなので、淡々としているように見えるけど、それが逆に聴く人の心の奥まで訴えて来る感じがした。
  4. 抽象的な表現が多いけれど、それがまた試聴者に自由な発想を許していて奥が深いと思った。
  5. 使われている語は簡素だけど、文脈から考えると、それぞれに深い意味が込められていると思った。

担当者会議の制限時間は10分。その後、各グループに帰ってのレポートで約10分。レポートの際に他のメンバーからでた質問・疑義・反論を各担当者は控えておき、再度担当者会議で修正・推敲。本日はここまで。
昼休みに、外語大の入試対策で新聞記事・特集の要約をしている生徒が指導して欲しいとプリントを持ってきた。日本の新聞からの素材の選択といい、なかなかいい目の付け所。普段のライティング授業だけで、これだけ課題のチェックを抱えているのに、それ以外に個別に見る私の方は大変なのだが…。さらには、昨日予約のあった、過去問添削指導。この生徒は、今年ライティングを教えていないので、昼休みに問題と解答を預かり、6時限と放課後にかけて個別指導。入試のライティングとはいえ、課題の英文に一部難しいものもあり、高3の2学期としてはそれなりの手応えでしょう。TOEFLのようにふんだんに解答の分量が与えられているわけではないので、解答の構成に関してはかなりきつく「型」にはめて考える必要がある。ただし、内容の首尾一貫性の吟味に加え、結局、問われているのは自分の価値観であること、などはしつこく釘を刺しておいた。計1時間半くらいをかけて、4題それぞれが問うている争点、解答に当たっての考え方、課題の英文をどう活かすか、などの解説だけでなく、生徒本人の解答に当たっての意図、語彙選択の際に検討した他の候補を確認した上で、代替表現や修正案を示しながら、書き直しの指針を本人に語らせるところまで。言ってみれば、第1ラウンド終了。書き直して再提出の時にまた個別指導、で第2ラウンドという流れ。中間テスト前なので、生徒と教師のどちらも大変です。
明日は、高3ライティングの1時間半遅れクラスと、高2のグループ課題総決算シリーズ第一回。さらには午後から会議が入っているのだった。いつになったらテストが完成することやら。
中教審の教育課程部会(第45回(第3期第31回))議事録・配付資料を読んだ。(→ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/004/06091107.htm

※この資料も2016年6月現在リンク切れ。
現在読めるのは、こちら→http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/06091107/003.htm
「議事録」も発言者は伏せられている→http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gijiroku/1263882.htm
この当時の文科省の実務担当は宍戸&平田審議官→http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/1265511.htm

高等学校に於ける教育内容の改善の指針として「コンテンツ」の重視という考え方が出て来ているのだが理解に苦しむ。

  • 3.コンテンツの重視: 発信力を重視する観点からは何を伝えるかという内容との関係が重要であるとともに、興味・関心、活動の現実性や必然性が大切であり、高等学校において、コンテンツを重視することが必要であると考えられるが、このような観点から、現行の科目構成を見直す必要があるか。見直す必要がある場合、例えば、主に人文社会を内容とするものと主に自然科学を内容とするものに分けるということについてどのように考えるか。

何を言っているか、「世間」だけでなく、英語教師にも分かるように説明し直して欲しい。「コンテンツ」などと言う前に、文科省と専門家は一刻も早く、日本人に学校教育の成果として求める英語力・英語の諸技能を定義しなさい、と言いたい。Can-do statementsでもband scalesでもrubricsでも、attainment targetsでも何でも良いから、早く具体的な発達段階の見取り図を教師と生徒に示すことだ。
2001年の同友会の年次大会で、Indiana州のIndiana Academic Standards for Foreign LanguagesとCanadian Language Benchmarksを紹介し、今後この方向の研究に要注意、といっておいたのだが、5年経過した今でも相変わらず現場では無関心のようである。(文科省は先日私のブログでも紹介した香住丘高校などの先行事例をもっと広める努力をすべきである)

IASFLのこちらの資料は生憎、2016年現在で、リンクが切れています→ http://sites.evscschools.com/Uploads/Files/03e2304b-ec3c-47be-90a3-8cadc2c55ed1.pdf#search=%27Indiana+Academic+Standards+for+Foreign+Languages%27
こちらの指導資料も同様にリンク切れ→ http://sites.evscschools.com/Uploads/Files/20925133-84e9-4f7a-b403-8b34bfe9ee09.pdf#search=%27Indiana+Academic+Standards+for+Foreign+Languages%27

2016年6月現在では World Languages という括りで言語教育が行われている模様。
Indiana Academic Standards
http://www.doe.in.gov/standards/world-languages

World Languages Overview
http://www.doe.in.gov/sites/default/files/standards/world-languages-and-international-education/wlstandards-overview3-4-2014.pdf

CLB のファイルはこちらから→ http://www.cic.gc.ca/english/pdf/pub/language-benchmarks.pdf

CLBの理論的背景の理解にはこちら→ http://www.language.ca/documents/comparative_framework.pdf

最近の"can-do"資料はこちら (※2013年改訂版)
   → http://www.language.ca/documents/CLB_Can_Do_Statements_web.pdf

http://www.language.ca/display_page.asp?page_id=372

海外の事例はあくまでも参考にしかならないので、そのまま移入してもあまりご利益はない。国内の英語使用環境、英語学習環境に身を置いて自前で整備しながらリストを作り上げるしかないのであり、そのような先行研究・実践事例にこそ意味がある。
本日はこれにて。