語研春期講習会

朝一で、卯城先生のreadingに関する講義から参加。昨日の今日だけに流石にきついが、有意義な講義だった。テーマはありふれたものではあるが、細かいところを見ると、Top-topやbottom-bottomでない方法論を考えるヒントをちゃんと示してくれていたのだが、どのくらいの受講者がそこに気付いていただろうか?直接お話する時間は取れなかったが、今後押しかけるつもりでおります。その節はよろしくお願いいたします。
私は、田尻先生の講座の後を任されていたので、本当に緊張した。
9回表で走者一掃の逆転安打を放ったイチローのあと、打席に立つ松中の心境か?「いや、9回裏をピシャリと抑える大塚のつもりで話をします」と言い切って始めた。
司会をしていただいた四方先生から帰宅後メールで「豪速球」というお褒めの(?)言葉をいただいたが、とりあえずボールは投げたかな、という感じ。投げっぱなしジャーマンスープレックスというべきか。
ただ、ライティング指導は実際のproductがなければ話ができないし、さらには指導のprocessが見えないと議論にならない。実際に書かせた経験のない人に実践のレベル、喜びと苦悩を理解していただくのは難しいのだが、今回の資料として添付したワークシート・ハンドアウト集をゴールからスタートまで逆算で眺めて行き、さらにそれをゴールへと辿り直してみると必ず「見えてくる」ものがあるはず。うちの高3生がわかったことを英語教師や教師志望者がわからないわけがないと信じています。『表現ノート』と『英語俳句』が時間の関係で紹介できなかったのが残念。
参考資料やシラバス化にあたっての疑問点などはメールをいただければ誠実に対応いたします。
Sentence level accuracyに関しては最後の質疑で理解していただけたことと期待するが、例えば、
助動詞と時制のズレで
You should have known better than to drop such an offensive remark about her.
または仮定法で
If I won the lottery, I would buy a mansion.
という英文を和文英訳や、空所補充や整序完成で作り上げるとしても、「つねに予め答えとして要求する英文はそこに存在している」課題をこなしているに過ぎない。Open-endedな、開放型の課題の中で、
You should have ….
の…の部分を言わせる(書かせる)
If I ..., I would....
の空所を言わせる(書かせる)ような状況設定とトレーニングを課すことが望ましいし、そういうトレーニングがあって初めて「文法演習」の意味づけが変わると思うのである。中学段階では田尻先生が正に指導している。そしてそのために3年間の仕込みがあるわけである。では高校段階での仕込みとは?英語I,英語IIの普段の言語活動の改善。音読・筆写、シャドウイングで型・パターンを馴染ませたら、頭に浮かんだ意味を、英語によって表す活動を課す。いわゆる「自由英作文」的な活動がパラグラフライティングである必然性はないのである。一文を自由に書かせる、とするなら何を書かせるのか?この発問なら、この項目が活かせる、このトピックならこのパターンを使わざるを得ない、というのは生徒に書かせ続けていれば見えてくるものなのだ。
その点では、今流行の認知意味論や脳科学の成果をそのまま授業改善に取り入れようとしても期待する成果は得られないだろう。現場感覚があるのみである。まさにK先生の言う「現場の矜持」である。
講座のタイトルの「ライティング指導の明日はどっちだ?」で、結局どっちなの?!という不満にお答えするなら、もう一回講師で呼んでもらうしかないでしょう。よろしくお願いします。
講習終了後は、同郷同窓でもあるT氏と商談(?)。終了時間を見計らって中野まで来てくれているところが流れ石。本当に久々に北海道話で笑った。あとは文学談義。ポストコロニアル文学の話や最近私が嵌っている詩人のSuji Kwock Kimの話等々…。良い仕事が生まれそうな予感。気を遣ってくれ、なかなか早い時間に帰宅できました。多謝。
本当に疲れました、本日はこの辺にしとうございます。