Teachers in their dressing room

次の授業実践報告を読んでどのような感想を持つだろうか?

  • ラウンド制をとると、1課を終えるのに時間がかかりすぎる。3年なので、できるだけ教科書を早く終えて演習に切り替えたいと考えていたが、なかなかそうはいかなかった。授業時間内にしかできないことと、家庭学習でもできることを再考し、ラウンド制を活かしながらも早く進め、量を読めるようにしていかなければならない。
  • 11月頃からは、生徒は目先のセンターテストばかりを意識するようになり 「とにかく選択肢の中から選べたらいい」という考えを持つようになる。和訳や自己表現は4月からもっと充実させておくべきだった 「生徒は、どの時期にどんな心理状態になり、何を求めるのか」を含めて。年間計画をたてる必要がある。
  • 語彙の定着を音読ばかりに頼っていたため、定期テストをしてみるとスペルミスが目立つ。音と綴りが結びついていないためで、フォニックスを早い時期にどう取り入れるか考える必要がある。効果的な確認テストの配置についてもっと検討すべきである。
  • 今年度、大変雰囲気の異なる2つのクラスを担当した。1つは、成績がよく英語好きも多いのだが、おとなしく音読活動の声も小さいクラスと、もう1つは元気で積極的で音読でも大変よく声の出るクラスであった。テストをするといつも5〜10点、声の小さなクラスが上であった。ほぼ同じ活動を両クラスにさせてきたが、いつも反応は声の大きなクラスのほうがよく 「そのうちにきっと成績も逆転する」という仮説をたてていた。ところが、結局最後まで成績の開きは同じで、センターテストでも約10点声の小さなクラスが上回っていた。声の大きさと成績の伸びにあまり相関が見られなかったのは残念である。クラスの雰囲気の良さをもっと利用して英語力を伸ばす方法がなかったのかと反省している。模擬試験のクラス別・分野別分析で、声の大きなクラスの方が発音・アクセント・文強勢の分野で声の小さなクラスを上回ったことがあったので、他の成績は悪くても発音の分野では「声の大きなクラスが成績もいい」と仮説をたて、過去の模擬試験の結果を調べてみた。しかし、結局4回の進研マーク模試において、声の大きなクラスが上回ったのはその1回だけであった。やはり声の大きさと成績には相関はなかった。

私は、3学期期末考査の採点をして自分の今年度の授業を総括したばかりだったのだが、自分のクラスのことを言われているような錯覚を覚えた。ここに紹介したのは、

  • 滋賀県立米原高校 「平成14年度〜平成16年度 SELHi研究開発実施報告書」より、リーディング (3年普通科文系) の授業に関する報告

である。(PDFファイルは以下のアドレスからダウンロード可 →http://www.maibara-h.shiga-ec.ed.jp/SelhiReport_ThreeYears.pdf)

昨年度のSELHi Forumで大好評を博した米原高校であるが、いわゆる普通科は普通の高校と同様に苦戦しているのである。私は昨年のForumで直接、英授研の発表で再度、米原高校の授業を見せてもらい、その指導の背景なども充分聞かせてもらった。それでも、英語科ではなく普通科にはどのような実践が活かされているのかは判りにくい。今回この冊子に目を通す中で改めて、「今風の指導方法」が本当に効果があるのか、もっと精査する必要があることを痛感した。このような普通科の地道な実践を発展させることにもっと人的リソースを注げないものだろうか?華やかな活動や成果のみに目を奪われることなく、地に足のついた実践をいかに共有し、内省を深めることができるか、年度末から次年度への移行期にこそ目を向けなければいけないことがある。

今年のフォーラムは以下の日程で行われる
平成18年3月17日(金曜日) 9時30分〜18時
パシフィコ横浜 横浜市西区みなとみらい1−1−1
 電話:045−221−2155

(もっとも残念ながらもう予約申し込みは終了しているようである。私は会場が横浜と遠いので今回は不参加を決め込みました。)