荒川静香選手が、トリノ五輪のexhibitionで使った曲目が "You raise me up"なのだが、あるTVニュースで、女子アナが「ユー・ライズ・ミー・アップ」と読み上げていた。言い直しやその後の訂正が無かったところをみると自信のある人なのだろう。
期末試験の採点もほぼ終わり、反省点を整理。オーセンティックな素材を活用するのはいいが、語彙の定着を考えると、小テストのない私の授業ではいかに、手を変え品を変え復習の作業に意味を持たせるかが重要である。
綴り字で多かったミスは apparentをappearentと書くもの。動詞appear; 名詞 appearenceの干渉であろう。
総括の中には「文法をやって欲しい」という声もあったが、文法に対する姿勢や意識を授業内、そして定期テストを通じて充分に伝え切れなかったのは残念である。テストでも文法力が問われる設問に対して初めから諦め、無解答の者がいる。音読シリーズを始め授業中の活動・作業の中で、文構造を把握する力が常に問われているのだが、そこに気が付かない生徒には明示的に教えてあげる必要があるのだろう。
中学生のころに読んでいたいわゆる少女漫画に『愛のアランフェス』(槇村さとる)というフィギュアスケートものがある。主人公の少女が、苦手意識を持っている規定演技(当時)で要求される数々の技術が、実は幼い頃からコーチとしての父に教わり、かつ自分が楽しんで取り組んできた練習種目の中に含まれていることに気付くシーンがあるのだが、その感覚をどうすれば持たせることができるか。本当に目利き腕利きのコーチというものは、学ぶべき技術や知識を自ら体系化し自家薬籠中のものとしつつ、それを個々の選手に合わせて指導に当たっているはずである。それこそまさにFocus on Formをシラバスに位置づけるということなのではないか。今の私の最大の課題である。
塾や予備校で問題演習をこなすことにより、文法をしっかりやっていると思いこんでいる生徒がいるとしたら、彼らの意識を少し大きく揺すぶっておかないといけない。短文の空所補充による文完成問題や、書き換え問題、並べ替え問題、4択問題など、いかにも文法問題ですという形態をとった出題に正答することが文法を身につけたことだという意識が強い生徒には、今回の期末考査の無解答・誤答部分での猛省を促す必要がある。流石に私の所に「今回の出題は暗記していればできる問題じゃないですか!!」と文句を言ってくる者はいないのだが、真意を理解してもらわないと、お互いの平和からは遠ざかってしまう。私の授業・テストでは、広範で正確な語彙力と骨太の文法力もしっかり問われているのだ。だからこそ、帰国子女と呼ばれる生徒も真剣にテスト前の勉強をせざるを得ないわけである。教科書の素材文というのは暗記した上で、それをどう使いこなすか、そこがポイントなのである。今回で最後なので、答案返却の際にしっかりと伝えておきたい。