らくらくリスニング

辞書の制作にかかわるようになって14,5年、教科書を書くようになって10年になる。インターネットの普及により、音声教材の活用(そして作成)は10年前とは比べものにならないくらい便利になった。英語学習者によるサイトでの情報発信も増え、情報の取捨選択をする能力、価値判断を下す自分の視点と立脚点が問われる時代とも言える。
ということで、私が時々利用するサイトを紹介。

Spotlight
spotlightenglish.com

1500語の語彙と文の構造を簡略化した英文による、90語/分の音読スピードにコントロールされた番組。いわばVOAのスペシャルイングリッシュをインターネットラジオでやっていると思えばよい。プログラムの内容は多岐にわたり、アーカイブにはスクリプトもMP3ファイルもダウンロードできるようになっている。
最近のプログラムで興味深かったのは、Sign of Loveというもの
spotlightenglish.com

ホンデュラスで始まった手話グループの活動を紹介している。私は音声ファイルをダウンロードして聞いていて、後半で不覚にも目頭が熱くなった。コミュニケーションというものを考える材料にもなるだろう。
音読スピードがかなりコントロールされているので、高校生対象に授業で扱うならListening Comprehensionで概要把握の活動にするのではなく、Grammar Dictationやナレーターごとに完コピのdictationをさせるのにちょうどいいのではないだろうか。

語彙や文構造などの統制がされていない一般人向けのサイトが、
LOE (Living On Earth)
www.loe.org



National Public Radioのプログラムの一つなのだが、端的には「地球環境を考えるサイト」といえばいいだろうか。基本は合州国のネタ、合州国の視点ではあるが、環境問題は教科書に限らず、今日的問題であるので、テーマ語彙を整理するなど利用価値は高いと思われる。私は音声ファイルをダウンロードして、iPodで通勤時にシャドウイングやリピーティングをしたあと家でディクテーションして、自分のできなさ加減に唸っています。
その気になれば、英語のリスニングの練習は簡単にできる時代です。そういう意味では「らくらく」できるわけです。ただし、英語の音声が聞き取れるようになるまでには、いつの時代もかなりの時間とエネルギーが必要であることには変わりはありません。